ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

日記で対決!バトルスタジアムコミュの宝石の恨み〜後編〜

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
次の日の朝、雄輔は死んでいた。

部屋はめちゃくちゃに荒らされ、壁などにナイフの跡が残っていた。どうやら寝ている間に首を切られたらしい。手にはザクロが握りしめられていた。本田は頭を抱えていた。発見したのはまたしても加奈子だった。

本田「これで一つ確実に分かったことがあります。この事件は外部からの犯行ではない。我々は一晩中外にいましたが怪しい人影は一切見ておりません。外にいたとはいえ、事件を防げなかったことを深く、深く謝罪します」

本田は頭を下げた。

本田「必ずや犯人を見つけ出します。ちなみに皆さんのアリバイは…ですよね。ないですよね…」

京子「あの、刑事さん、昨日の赤いボールは後から握らされたものなんですか?」

本田「え?あぁ、死体の状況から見て、あれは死んだ後に握らされてるな。赤い玉にザクロ。みなさん何か心当たりはありませんか?」

東郷「ザクロ?なんだそれ?」

加奈子「主人がそれを握って死んでいたのです…」

森下「そんなことより早くここから出してくれ!私は犯人じゃないんだ!もうこんなところにいられるか!」

本田「捜査を続けますので、みなさんはリビングのテーブルのところにいてください。決して一人で出歩かないように。どうしてもというときは、これ、私の携帯番号なのですぐに呼んでください。私が同行しますから」

重い足取りでリビングへと向かった。

加奈子「あのぉ…刑事さんちょっと…」

全員がテーブルを囲んで座っていた。数分後、話を終えた加奈子が戻ってきた。絹代はぼろぼろと泣いていた。

東郷「ほんとに辛いでしょう…私も辛いです。誰がこんなひどいことを…」

森下「もうこうなったら俺はこの手で犯人を見つけてやる!重雄は赤い玉、雄輔くんはザクロ…」

そのとき、携帯が震えた。

加奈子「主人の携帯…はいもしもし、安西雄輔の携帯です。はい、私妻の加奈子です。主人はいま…いま…主人はいま体調を崩しておりまして…はい、宝石が…いやぁ私には分かりかねますので主人の体調が回復し次第折り返しお電話させていただきます。はい、はい、失礼します」

京子「宝石?ねぇ!ザクロ石って宝石なかった!?」

絹代「えぇ、ガーネット。ザクロ石とも呼ばれるわ。じゃあまさか!あの人が持ってた血のボールって!」

東郷「ブラッドストーン。3月の誕生石だ。ちなみにザクロ石は1月の誕生石だ」

京子「ザクロ石は12月の誕生石じゃないの?」

東郷「それはトルコ石だよ」

絹代「誕生石になぞらえて殺されたというの!?たしかにあの人の誕生日は3月よ!でも、雄輔は…」

京子「…お父さんは12月生まれ。それは、あなたを除いたここにいる全員が知っている。ちょうどあなただけ、席をはずしていたわよね?」





京子「ねぇ東郷さん、あなたがおじいちゃんとお父さんを殺したんじゃないの?あなたはお父さんがやぎ座という情報だけで誕生日を1月だと思った。でもね、知ってる?お父さんの誕生日はあなたと同じなんだよ。ねぇ、あなたが犯人なんでしょ?」

加奈子は泣いていた。声を出すのもままならないほど泣いていた。

加奈子「…のね?」

京子「え?」

加奈子「あなたが犯人なのね、京子」

京子「悪い冗談はやめてよ、お母さん」

加奈子「東郷さんにね、犯行は不可能なの。お父さんの部屋はね、壁とかがナイフでえぐられたりしてたんだけど、お父さんの布団もね、切り刻まれて、中の羽毛が散乱していたの。東郷さんね、ひどい喘息なの。それを知らないのはあなた一人なの。東郷さんを犯人に仕立て上げようとしたみたいだけど、できなかったね」

京子「きっと誰かが私をはめようとしているんだわ!」

本田「いい加減にしろ!」

京子は泣き崩れた。

本田「どうしてこんなことをしたんだ。お父さんは君を救ってくれたんだろ?どうして殺したりなんか…」

京子「救った?あいつが?そんなバカな。私はあいつに雇われたんだ。私の本名は宮内京子。私の父は安西重雄に殺されたんだ」

絹代「宮内って!そんな!」

京子「父は宝石商だった。けれど安西重雄が仲間と共謀し、父の会社に不正があったように仕向けた。マスコミでも取り上げられ、会社は倒産。そしてその後、父は首をくくったわ」

絹代「あんたが、あのときの…」

京子「そして私は復讐を誓ったの。そしたら去年にお父さん、いや、雄輔が話を持ちかけてきたの。『捕まらずに復讐する方法がある。家の家政婦として潜り込まないか』って。まぁ重雄が死ねば地位が転がり込んでくると思ったんだろうね。それが気に入らなかったの。だから殺した。そしてそれを東郷の仕業にすれば、全員まとめられるって思ったの」

本田「マジかよ…中学生だろおい…けれどお前はこっちの罠にかかった。加奈子さんが私に誕生石じゃないかって教えてくれたんだ。そして、状況から見ると犯人は一見東郷さんに見えるが、実はお前だってことも教えてくれた。そこでこっちは餌を撒いたんだ」

京子「…はぁ。あの電話ね」

本田「さすがだな、そう、あの電話は俺がかけた。加奈子さんは演技をしていた。そこで宝石というキーワードを出し、お前が東郷に罪をなすりつけようとしたらお前が犯人だって証拠をだすことになるからな」

京子「詰めが甘かったわ」

本田「で、どうして部屋を荒らしたんだ?」

京子「首を切って部屋を荒す。その方が残酷だから私の仕業って思いにくいでしょ?だって私、中学生だから。でも余計なことしちゃったみたい。そこのオッサンを殺せなかったのは残念だけど、ばれちゃったからしょうがない。全部私のミス。あ=あ、もうちょっと考えて計画を練ればよかった。宝石の恨みを宝石で晴らすって発想はいけてると思ったのになぁ」

本田「話は警察でゆっくり聞くから、ほら、こい」

加奈子は憂いを纏った京子の後ろ姿をずっと眺めていた。





こうして宝石にまつわる事件は終わった。

加奈子の薬指で光る宝石は、淡く、哀しい輝きを放っていた。

コメント(3)

創作会お疲れ様ですわーい(嬉しい顔)

ドキドキしながら読ませて頂きました。

上手くまとめられていてよかったと思います。

ただ僕も下手なんで偉そうには言えないのですが、ラストらへんをもう少し細かく書かれるとよかったかなと感じました。

発想に奇抜な展開は素晴らしいと思います。

楽しまさせて頂きありがとうございましたウッシッシ
人物リストと照らし合わせながら拝見しましたv
ごせさんはいつも重厚な作品を書かれますよねー。
渋いよなあ……。
本格ミステリで良かったです。
お疲れ様でした!
恐ろしい中学生ですね〜
少年法に守られるんだろうな(笑)

面白かったですよわーい(嬉しい顔)

ログインすると、みんなのコメントがもっと見れるよ

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

日記で対決!バトルスタジアム 更新情報

日記で対決!バトルスタジアムのメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング