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☆モンスターハンター外伝☆コミュのドンドルマへの復讐!5

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題:ドンドルマへの復讐!
       〜第五章、失われし英雄〜   

作:リョウ


 密林の空気は澄みきっていた。木漏れ日に照らされたメロはゆっくりと目を閉じ、お腹一杯に空気を吸い込む。幼少の頃父に連れられボウガンの練習に勤しんだ頃が懐かしまれる。今にもあの父のいつもの高笑いが聞こえてきそうだ。
 喉の渇きを覚え、水辺に寄りしゃがみ込んだメロは探し物を見つけた。ソレは母の残した調合書に記載されていた薬草の新芽である。父の足の傷を心配し、密林にコレを採りにやってきたのだ。
後はにが虫とアオキノコ、ハチミツを採取しなければならない。立ち上がろうとしたその時、後方から息遣いを感じる。明らかに人のソレではない。所持したボウガンをゆっくり装填すると気配を窺う。 荒々しい息遣いと共に辺りをゆるがす足音がメロに近づいてくる。しゃがんだ状態から横に跳び、力強くボウガンを構えた。擬態が一瞬とけて紫のモンスターが姿を表す。

 アモンとホッツはもう故郷『ジポン村』に着こうとしていた。今をして思えばこの地形は隠れ里と呼べるような場所に位置している。ココット村から狩場密林に入り、奥地にある滝まで歩く。激しく流れる滝をツタの葉を架け登り洞窟へと入る。湿気の多い洞窟内を歩く事一時間、出口から崖を下ると村の入り口が見えてくる。入り口に差し掛かるとアモンが歩みを止めた。
「ここからは・・・一人で行かせてくれないか?」
 ホッツの方を振り返り深く頭を下げ、懇願する。
「しかし・・・」
「頼む!」
 より深々と頭を下げるアモンをみたホッツはそこまでされてはと承諾をする。
村へと歩き始めたアモンを見送るとホッツは大剣を片手でニ、三度振ると後方に向き直る。
「おい!そろそろ出てこいや!」
 暫しの沈黙の後、風を切って投げナイフが数本ホッツ目掛けて飛んでくる。両手で大剣の柄を握るとホッツは『フン』と気合の声をあげ、下から上へ振り上げる。向かってきたナイフは高々と上空に打ち上げられ、力なく地面に落ちる。ソレと同時に岩肌の影より黒い衣に笠を被った者達二人が走り寄る。その手には”ハイニンジャソード”とよばれる片手剣が握られ、一度重なりあうように一列になると一人が上空に跳び斬りかかってくる。ホッツはソレを横に回避するともう一方の者がそこに斬りかかる。
『ガイーン!!!!!!』
 鉄と鉄がぶつかり合う音が木魂する。斬りかかった者は後方に跳ぶと驚きの表情を口元に浮ばせている。
「おいおい、なんなんだ〜」
 襲われた者とは思えないような能天気極まりない声で質問するホッツに更に複数の黒衣が今度は歩み寄ってくる。
「さすがはオロチの一人。手ごわいですな・・・」
 黒衣の一行の後方にいた男が前にゆっくりとした足取りでやってくる。
「我が名はソル、これにいるはドンドルマの防衛大臣直轄の使いの者達です」
「そのような者達が一体なにをコソコソとしかもここに?」
 大剣を背負い直すとホッツはその場にドカッと腰を降ろす。
「防衛大臣の命によりお主達を尾行していたのだ」
 ソルも同様に腰を降ろすと事情を説明する。様はホッツとほぼ同じ命で後を追ってきていたと。
「フン!なんにしろアモンは無事着いた。アンタ等のお役目も終了ってこった」
「それはお前が決める事ではない」
 スクリッと立ち上がるとホッツを鋭い視線で見やり、複数の者達は物陰に消えていく。ホッツは頭をボリボリと掻くとゆっくり立ち上がる。
「ホッツ!」
 呆然と立っているホッツの肩に手を掛けたのはアモンであった。
「どうした?アモン?」
 村へと向かったはずのアモンがここに居るのだ、ホッツは何事かと疑念を抱く。
「なにやら嫌な予感がする・・・。俺はココットに引き返す」
「いや、ちょっと待ってくれ・・・」
 厳しい表情で引き返そうとするアモンを引き止め、ホッツは「その予感とは?」と再び問う。
「上手くは言えないが・・・、ナズチの事もあるし、二人が心配だ。やはり・・・」
「・・・、わかった。ココットには俺が戻ろう。アモンは自分の使命をまっとうしてくれ。」
 暫く黙って考え込んだ後、アモンはホッツの申し出を受けた。ここまで旅を共にしてきた二人が別々の方向へと歩みだしていく。

 村人の目撃情報、メロの姿が見えない。父親の直感がはたらき、胸騒ぎがする。ゾロは納屋のドアを勢いよく開け中に入る。中にはいくつもの武器やアイテムが置かれて、整頓されていた。ゾロは奥に進み埃まみれの布を退ける。そこには巨大なタルと特殊なトラップツールが置かれていた。
 一般に世に知られている罠は三種類ある。大型モンスター等に多く用いられる”落とし穴”、小型モンスター等にも有効で一時的に麻痺状態を引き起こす”シビレ罠”、そして悪天候によってタル爆弾の類が使用できない時によく用いられる”爆雷針”、これは避雷針を立て人為的に雷を操る物だ。モンスターの捕獲等には前二つがよく用いられ、また足止めをしてタル爆弾等で大ダメージを与えるなどに用いられる。今ゾロが手にしているトラップは三種に属さない特別な物だ。
 調合の賢者と呼ばれたゾロの妻メルは不幸な事故で世を去るまでにいくつかの物を残している。一つは調合屋やハンター等が所持する”調合書”である。以前よりあった調合書を翻訳し、より有効に狩りをするハンター達の為にメルが書き上げたのだ。
 しかしその類まれなる才能によって作られ、自ら禁じた調合物も存在していた。その中でも特に危険な物二つが今、ゾロの目の前にあるモノである。
 罠の方を”古龍封じ”、文字どおり古龍を一時的に足止めするものである。従来の落とし穴やシビレ罠はその絶対的な力によって古龍種には効果を成さない。ソレを克服したのが古龍封じである。
しかし、古龍種の力を封じる程の罠の威力は絶大で対人間にも発動してしまうのだ。罠の仕組みは地面にセットした起爆装置を踏むと地面よりシビレ強化ネットが飛び出し上空に飛ばされその後落下し、地面に叩きつけられる。コノ力も利用した罠であり人間なら死に到る衝撃がある。
 もう一つはゾロ自身目の当たりにした事のある物である。”大タル爆弾ドス”・・・、その威力は地形そのものを変える威力である。ゾロにとっては妻メルの命を奪い去った忌まわしいアイテムであった。
 メロがまだ一歳になったばかりの時、ゾロが村を留守にしたおり、空の王『リオレウス』と陸の女王『リオレイア』により村が襲われた。当時村のハンターはゾロのみだった為、妻メルは勇敢にも作成したばかりの大タル爆弾ドスを持ち、自らをオトリにして密林に誘い込み自爆したのだ。遠征より帰還したゾロが事情を聞き、密林に急いだ。あらゆる策を講じたのだろう跡が見てとれた。二匹と相対するメルが居るエリアにゾロが足を踏み入れた瞬間、閃光と共に爆音と爆風が上がり、ゾロは隣のエリアに吹き飛ばされ気を失う。気がつき急いで爆心地に行ってみると肉片と化した二匹があるのみでメルの遺体は発見できなかった。身を呈して村を守ったのだ。
 あれ以来目にするのも嫌ったこの巨大なタル。暫しソレを見つめた後、背中に一つともう一つを両手で抱え納屋を出る。様々な思いを踏みしめるように密林へと向かっていく。

 相対するナズチを睨みつけメロは奮闘していた。どれほどの攻撃を交わしどれほどの時間相対しているのかも解からない。対策を講じてないメロは弾数を気にしながら何とか凌いできた。体力は限界に近い。麻痺弾を撃ちこみ逃げた方が良さそうだと感じ装填した瞬間、ナズチの長い舌がメロを打ち付けた。衝撃で吹き飛び瀕死状態になる。ナズチは高く飛び上がると毒ガスを放出する。身体が毒に冒されもはや成す術も無いメロにナズチがゆっくり近づいてくる。
 死を覚悟したメロの耳に聞きなじんだ叫び声が聞こえる。父ゾロが遠方より走りながら叫んでいる。
「メロ!!!!!」
 ボウガンを撃ち鳴らしながら走り寄るゾロにナズチが攻撃をする。紙一重で交わすとメロに呼びかけながら笑顔を見せる。
「もう大丈夫だ!父ちゃん来たからもう大丈夫だぞメロ!」
 呼びかけが聞こえるものの言葉で返事をする事が出来ない。ただその安心感からメロは気を失う。
気を失ったメロに近寄ろうと試みるがナズチが警戒し、それを許さない。
 ゾロ自身大タルドスは最終手段と考え、コノエリアの入り口に置いてきていた。ボウガンで惹き付けメロを連れて逃げるつもりでいたがソレも出来そうにない。その時覚悟を決めた。
 メロのそばを離れ後ずさりしながらボウガンを撃ち、ナズチの注意を誘う。ゾロの方へと突進してくるナズチを見るとボウガンを納め猛ダッシュする。その先には大タル爆弾ドスと同位置に設置された罠が見えてくる。ナズチの巨体とゾロの身体が重なる瞬間、身体に激痛がはしり地面に叩きつけられた。地面を這いながら必死に意識を保つゾロにナズチがトドメをさす為近づく。

 ホッツは密林にまで戻ってきていた。村へと急ぐ最中異様な気配を感じる。近くにはいないもののソレは感じられた。ゾロの言っていたナズチであろうと直感した。すぐ隣のエリアであろうと考え一瞬迷う。村に戻るべきか、ナズチの確認をするか。村に戻ろう・・・、そう決めた時となりのエリアから何か聞こえる。迷いを振り切るように向きを変え、ナズチの居るであろうエリアへ向かう。
 ホッツは自分の目を疑った。遠方にもかかわらずソノ光景は鮮明で何か現実離れしているような光景。
 ゾロはナズチの歩みを確認すると懐より”秘薬”を取り出し服用した。身体に体力が戻ると古龍封じを発動させた。地面から勢いよくネットが飛び出しナズチとゾロを包み込むと上空に飛ぶ。
 ナズチが宙を舞う姿を見たホッツはその現場へ走り出す。ネットに包まれ落ちてくるナズチと共にゾロを発見すると叫んでいた。
「ゾロさーん!!!」
『ズーーーン!!!!!!!!!!!!!!!!!』
 叫び声は落ちてきた巨体が地面に叩きつけられる轟音にかき消され、走るのを止め暫し呆然と立ちすくむ。
 ナズチは目を回しているようで時よりピクピクと動いている。その端にゾロが顔を真っ青にして横たわっている。
 大剣を構えて近寄るホッツにゾロは声をかける。
「ゴホッ!ホ・・・ホッツ・・ホッツ殿・・・か?」
「喋らないで!今ネットを切ります!」
「無駄だ!・・・この・・・ネットは・・・切れん!それより・・・」
 咳き込むゾロの口からは血が噴出している。ホッツがどうにか救出を試みようとすると「聞け!!」とゾロが叫ぶ。
「俺は・・・・も・・もうダメだ・・・メロを・・メロを!」
 ゾロが指差す方を見やると同じく青ざめた顔で横たわっているメロが後方に見てとれる。ここへ来てホッツはメロの姿を始めて確認したのだ。
「し、しかし!」
「メロを頼むぞ・・・ムコ殿!!」
 ゾロが小タル爆弾を取り出し火を着けようとするとホッツは全てを理解した。巨大なタルを一度見ると後方に向かって走り始める。横たわっていたメロが意識が戻ったのか立ち上がるのが見える。
「メロ!!逃げるぞ!!」
「ホ・・・ホッツ?え・・・なにアレ?」
 ゾロが横たわっているのが見えるとメロもホッツの方に走り出している。メロが向かおうとするのを制し担ぎ上げるとホッツは涙しながら走り出す。
「嫌だ!ホッツ!離して!!離してってば!!父ちゃん!!父ちゃーーん!!!!!」
 力なく担がれるメロが暴れるがホッツは止まらない。振り返る事無くひたすら走り続ける。
 ゾロは小タル爆弾に火をつけると巨大なタルの横へ転がす。
「へ・・・クソ・・・モン・・スターが人の・・・親父の力を思い知れ・・・」
 静かに首を傾け、ホッツに担がれるメロを見つめると大きく息を吸い込み目を閉じる。
「メロ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
『ドーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!!!!!』
 父、ゾロの叫び声の後に閃光が広がり爆音と爆風がやってくる。衝撃によって二人は吹き飛ばされる。 
 再び気を失ったメロの頬に涙が流れた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・つづく・・・・・・・・・・・・・・・・

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