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PINEAPPLE DAYSコミュの第2話

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第1話
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第2話

昨晩のことはあまり覚えていない。
体は相変わらず臭い。
英語らしき授業を受けてはいるが、先生の言っていることは右耳から入って、左耳に抜けている。
それもそうだ、もう2日間まともに寝ていない。
目は膨れ、体はベトベトだ。眠いのか眠くないのか、もうそれすらもわからない。
ふと、ピザハットのことを思い出した。
「そういえば、家でピザ頼んだはずなのにピザ食ってねーよ。」
なんだかだまされた気がした。
「今日もピザ頼もうかな。」
昨晩みた環七の風景を思い出しながらぼんやりと考えていると、どこからか音が聞こえてきた。
「ドン、ドン、ドン、ドン。」
すると突然教室の前の扉が開き、ドカドカと足音をわざとらしくたてながら入ってくる男。
頭についているヘッドフォンからは常識はずれな4つ打がもれている。
その男はヘッドフォンを取りケンタの隣に座った。


「ふー。」
ため息をつきながらサングラスをはずす。
「あれ?」
思わずケンタは言った。
「ピザハット、、、」
昨晩、ケンタをつれまわした師匠だった。
しかし、食べそびれたピザのコトが頭を離れずにいたため、彼が師匠であることよりもピザハットの店員であることを先に口から放出してしまったのだった。


「あ、KJじゃん。こんなところで牛乳片手に座ってなにしてんの?」
師匠はいまさら先生の方を伺いながら小声で言った。
「いや、KJじゃねーし。師匠こそ、いまどきチェリオって、、、」
名前を間違えられたことよりも、師匠ことマモルにこんな世界一つまらなくけだるい空間である教室で出会ったことの嬉しさが勝り、自然と笑顔になった。
先生の声は相変わらず遠く、水の中の音のようだったが、マモルの声だけはクリアに聞こえた。
「授業終わったら少し付き合ってよ。」
ケンタは二日寝ていなく、ダルく、臭い体のことも忘れ、
「がってんしょうち。」
と大きな声で言った。
クラスの中の視線が自分に突き刺さった、が気のせいだろう。
今日もハーコーな1日になりそうなことを知らせるように薄い緑を突き刺す日差しが見えた。


「きーんこーんかーんこーん」
2限終了をしらせるチャイムが鳴り響いた。
二人はすでにこの世界一つまらなくけだるい空間から脱出していた。


校舎から出るとケンタはマモルの吸うみたこともない銘柄のタバコの匂いに包まれた。
それからすぐにマモルは歩き出した。ケンタも後に続く。
未だに何処が何処だか理解していないケンタをよそにマモルはキャンパスの中をなんの迷いもなく進んだ。
その背中を見ながらケンタは昨夜のことを思い出していた。
「俺は東京生まれHip-Hop育ち♪悪そな奴は、、、」


思い返しているうちにいつの間にか大学から離れ、二人はある一軒のラーメン屋の前で立ち止まった。
「どっと屋??」
ケンタが不安そうな面持ちで呟きケンタの方を見ると、ケンタはその視線を完全に無視してラーメン屋の中に入っていった。
慌ててマモルの後を追い店内に入ると、そこはカウンター8席しかない小さな店であった。
マモルは食券機の前で慣れた手つきで千円を入れた。
するとマモルの顔がみるみると、、、


赤く笑顔になっていく。しかもすぐさま大盛のボタンを押し、目はキッチンの中にある山盛りの野菜とニンニクにラブコールを送っていた。
「郷に入っては郷に従え。」祖母から言われた言葉を胸にケンタは大盛のボタンを押し、とりあえず店長にラブコールを送った。
女好きの店長はケンタに冷ややかな目線を送り、
「何入れます?」
と聞いた。
ケンタはマモルの言うことがなぜかわかった。
声をそろえて、
「全部!!」
ケンタはまた店長を見つめた。店長の中ではケンタはすでにゲイである。
店長がケンタの前にラーメンとおぼしきものをおいた。
「ド、ド、ドン、ドーン」
ウッドマンが世界中に響いた。


「なんだこれ、、、」
思わず口から出てしまった。
「どーした?」
マモルはスペシャルスマイルでここぞとばかり丼に盛られた野菜の恐山、標高18cm(推定)に箸を入れながら言った。
スペシャルスマイルに促され恐る恐る目の前のものを口に入れてみた。
なんだこれは。本当にラーメンか?油のうくスープに使った太メン。
口に入れると歯茎とのガチンコタイマンを挑んでくるではないか。
さらにもやしとキャベツで見事に組み上げられた恐山。
切り崩そうにもどこから切り崩していいかわからない。
太メン、恐山、そして油のトリプルタッグに苦しみながらケンタは完食した。
勝利の笑顔で隣を見るとすでにマモルの姿はなく、そこにはなぜか色黒のサラリーマン風のマッチョ。
ケンタの笑顔に答えるかの様にサラリーマン風の男も飛び切りの笑顔を返してきた。
「しまった。こいつはゲイだ!!」
悟ったケンタはゲイの笑顔を無視して店長に
「ご馳走様」とだけ言って店を出た。
店長の妙にニヤけた顔が気になったが気にせず外でタバコをふかすケンタに声をかけた。


「すごかったっす、あのラーメン。」
「あれが日本のアンダーグラウンドだよ。俺はすべての物にパンチを求めるんだ。人生、音楽、女、酒、、、もちろんラーメンにも。」
「なぜそれほどまでに?」
「決まっているじゃないか。俺はモンキー・パンチが大大大大大大大好きなんだよ。不二子ちゃんは俺の永遠のアイドルであり、ヒョードルだ。」
「師、師しょ、、、」
ケンタ言いかけて止めた。
こいつに早く追いつかなければ!
ケンタはこの時胸の中で強く決心した。
と同時に強い吐き気に見舞われ、その場に座り込んでしまった。
それを見たマモルはポケットからあるものを取り出した。
それは赤くひかる、、、


レーザーだった。
レーザーの先には薬局。
薬局は爆音ノイズ(最高!)と共に崩れ去り中から消化剤がポンっと出てきた。
ケンタはそれを拾い口に入れ飲み込むと、
「師匠、、、」
熱視線である。
マモルはその殺気をシカトし、
「やるだろう。」
と一言、かっこよすぎる師匠。
「ほれ、座ってないで3限行くぞ。」
二人は、ガイダンスを欠席し、履修登録もせず、さっき受けていた英語の授業が再履のクラスであることすらI don’t know状態でどっと屋を後にした。
この時カオリがガイダンスに出席していて、二人と交わらなかったことは書くまでもないだろう。


この物語のヒロイン、カオリが登場するのはまだ遠く先のことである。
マモルとわかれたケンタは強烈な喉の乾きを覚えあきやまに一人立ち寄った。
店に入ったケンタはあっさりとジュースコーナーを通り過ぎ、更に奥の酒コーナーで立ち止まった。
「どっちにしよう、、、」
いつもの葛藤が始まった。
ビールを4本買うか、5本買うか。生きるべきか死ぬべきか。
ケンタは自分の酔いを五段階でわけている。
詳細は以下の通り。


其の一 『Beerは水だぜ!』これはまさに飲み始め。この先の己の醜態など想像すらしていない。酒に酔っているのではなく、酒の席に酔っているのだ。
其の二 『ねーちゃん、酒はまだか?』くだを巻き始める。
其の三 『赤ら顔、二世議員』文字通り、真っ赤な顔で大きな事を言い始める。翌日には「身に覚えがございません。」の一点張りなのは言うまでもない。
其の四 『職業:酔っ払い』ちどり足、頭にネクタイ、右にワンカップ大関、左に折り詰。
そして其の五、、、


というのは真っ赤なウソで酔いを段階わけしたことなどただの一度もない。
ビール4本飲もうが5本飲もうが酔いにそれほどの差が出るわけでもない。
ケンタにとっての問題は「ビジュアル」である。
各社のビールを4本並べればまるでろくでなしブルースに出てくる四天王のように勇ましい。
しかし、5本並べればそれはまるでドラゴンボールZに出てくるギニュー特選隊のようにスタイリッシュだからである。
「ろくブルかギニューか、、、」
ケンタは己の全脳を振り絞って6秒考えた。
結果、6本買うことにした。
理由はロック(6)が大好きだからだ。
会計を済ませ、ケンタは颯爽とあの場所にスキップしていた。
入学以来、すっと気になっていたあの場所へ。


キャンパスのはじの方にあるあの建物。流行の最先端を行くいくあの場所。
そこには未だかつてない電脳の世界が広がっていることだろう。整然と並べられたBOXから様々な場所、時空、それこそ均一なマトリックスの世界へ行けるはずだ。
しかし、ケンタの心はマトリックスの世界から一瞬にして現実へ戻された。
ケンタの正面、すこし向こうから歩いてくる女性がいた。逆光で顔はよく見えなかったが、目をそらすことができなかった。
すれ違った女性は暗く、遠く、美しい眼をしていた。
マトなんとかのことなどどうでもよくなりケンタは女性の後をつけた。


がしかし6秒程度後をつけるとそれにも飽きてしまった。
なぜ6秒かって?フフフッ、もう一度だけ説明しよう。
ケンタはロック(6)が大好きだからだ。
女性をつけていたせいでキャンパスないで迷子になった。
ケンタは6人に道を聞き、6分で無事正門にたどり着くことができた。
もちろんケンタのヘッドフォンで鳴り響いているのはロック(6)だ。
そこから半ば無理やりだが、666歩程歩くとあの場所に着いた。
ケンタの額には7筋の汗が光っていた。
慌てて1筋の汗を拭き、6筋になったことを確認し、6回深呼吸してからあの場所のドアを開けようとしたが、自動ドアだったため、あっさりと入ることができた。
入り口には力強くこう書かれていた。
「生協」


「ぽうーん」そういってドアが閉まった。ケンタには聞こえていた。
あの日見たコンビニの棚のおにぎりをなぎ倒していた男を思い出した。
「やってみっか。」
パンの商品だなの所までツカツカと歩み寄り、
「うおりゃーん」
手を振り上げてブン、と振り下ろした。
バラバラと音を立ててパンが落下した。
偶然にもロック(6個)だったので買った。問題ナシ。
その姿を生協で買い物している1人の女の子が見ていた。


「ちょっと!!」
その女の子がケンタに近づいてきた。
しまった、怒られるのか?ドキドキしながらケンタは慌てて言った。
「アニョハセヨ!!」
彼女はポカーンとした顔をした。
「あ、ごめんなさい。日本に来たばかりなんだね、ごめん。」
と謝った。
しまった、彼女の中では俺は韓国人じゃないか。
心の叫びとは裏腹に口からは、
「チャーシューメン、ちゃーしゅーめーん、ドッドヤー、パーナプーでーず。」
年末、徹子の部屋で新しい外国語ネタを披露するタモリよろしく驚異的なペースで何億何万という単語を、、、
「あ、ごめん。あたし朝鮮語わかんないからさ(笑)」
ケンタはその笑顔に吸い込まれそうになった。
「でさ、君、スイートブール6個も買ってどうするの?そんなにお腹すいてるの?そうだ来日記念にいいところに連れてってあげる。」
女の子は韓国人であるはずのケンタに向かって日本語で一方的にまくし立てると、強引にケンタの腕を取った。
その笑顔に誘われるままに、、、


連れて行かれそうになったが、再び強い吐き気に見舞われて座り込んでしまった。
「実はさっき、どっと屋っていうラーメンを食べてお腹いっぱいなんだよ。スイートブールもノリで買っただけで。っていうか日本人なんだ。」
順番は置いておいて一応の説明をした。
それを聞いた女の子は天使のように微笑みながら言った。
「そうなんだ(笑)面白い子だね。もしかして1年生?」
「はい、そうです。メディ社の。」
「もう入るサークルは決めたの?」
「いえまだ全然決めてないです。」
それを聞いた彼女はもう一度天使のような微笑で囁いた。
「私のサークル見にこない?」
「行きます!」
彼女の言葉が終わるより早くケンタは答えていた。
「何サークルなんですか?」
「MOSAよ。とりあえず行ってみましょ。」
実際に行ってみるとMOSAの雰囲気はとてもよくその後毎日のように部室に行っては望遠鏡を覗き宇宙に散らばる星に酔う生活が始まった。
ついでに履修も先輩に組んでもらった。
しかし、ケンタにとっての最高の美とは流れ星でもオリオン座でもましてやレティクル座でもなく、あの天使のような微笑でありオリオンビールであった。
そんなある日、ケンタの前にあの男が再び現れた。

コメント(1)

第3話は文字お越し中です。
しばしお待ちを。

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