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匡の仲間達/みーのコミュの中大大戦争〜匡の仲間達〜(第3話)

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日も暮れようかという頃、山長はトラックの助手席から、外を眺め、たばこをふかした。道は舗装されておらず、そのためトラックはたいしたスピードが出ていないのに激しく揺れた。運転手は相変わらず鈴重であった。町まではあと10km。運転席のすぐ後ろで東利と匡は地図を見つめていた。
「そろそろ橋がある。その橋を渡ると5kmで町だ。佐久とはこの橋で合流する。さっき夕凪に無線で連絡を取らせた所、佐久は少し遅れているが、順調に来ているらしい」
匡はたばこを咥えながら、ライターを探してポケットに手を突っ込んだ。
「橋は大丈夫でしょうか」
山長が助手席からジッポを差し出す。
「それは行ってみないとわからん」
松凪が困り果てた顔をして東利の所に来る。
「東利さん、此下さんを何とかしてくださいよ。トラックの後ろで魔人のように暴れていて、手がつけられないっす。見てくださいよ、この傷を。あの濃い髭にこすられて痛くて。山汎君なんか逃げ回って、弾薬箱でバリケード作ってますよ」
匡は眉間にしわを寄せて苦笑した。
「松凪君。それが何とかなるようなら誰も苦労してないんだよ。あきらめなさい」
「そんな事言ったって。東利さん!」
「松凪。あの惟新さんでもこれは止められないんだ。運命だと思ってあきらめてくれ」
トラックの後部で、山汎は弾薬箱で作ったバリケードに立てこもっていた。昼間の空襲で箱がそんなにあるわけではない。バリケードの中は狭く、山汎ひとり入ると一杯になった。外から宇津木君が入れてくれとさけぶ。
「宇津木君、許してくれ。このシェルターは定員1名なんだ」
松凪は先輩風を吹かし、菊屋を盾にした。しかし、それがなんの解決になるはずもない。長い兵役でわかっていた。やがて菊屋の悲鳴が響き、続いて、松凪の悲鳴が轟いた。夕凪は宇津木を盾にしようと画策したが無駄であった。彼は東利と匡のいる所に逃げた。しかし、無情にも東利にたたき返されてしまったのだ。
「東利さん、シゲが運転に疲れているだろうから変わってあげようと思ったのです」
無駄な抵抗をする夕凪が犠牲になると魔人のターゲットは宇津木一人となった。
こんな恐怖は生まれてはじめてである。迫り来るジョーズのようだ。かどに追いつめられた宇津木はこの世のモノとは思えない恐怖を体験した。
しばらくすると、トラックの中に宇津木の悲鳴が響く。弾薬箱のバリケードの中で山汎は涙を流しながらつぶやいた。
「君の尊い犠牲は無駄にはせん!」

もう一台のジープはトラックの前、30mを走っていた。早川はカービン銃を右手に持ち、鋭い眼光を光らせていた。いつ敵が現れてもおかしくない。ジープの運転手は輪島である。彼らはトラックの荷台で繰り広げられている阿鼻叫喚の地獄を知らない幸せ者であった。
「輪島君、車を停めろ。あれが目標の橋だな」
早川はそう言うと、車を停止させ、後ろのトラックに合図を送った。輪島はダッシュボードの双眼鏡を早川に差し出した。
「どうです? 何か見えますか?」
停止ししたトラックから山長と東利が走ってくる。
「どうだ?」
「どうやら敵はいないですね。このまま突っ切ってしまいますか?」
「そうだな。敵がいないのなら構わないだろう。佐久達が来るまで橋を確保しよう」
東利と山長はトラックに戻ると、此下は相変わらず、菊屋達を恐怖のどん底に陥れていた。東利は此下を制止して言った。
「よーし、みんな聞け。今より橋を渡る。戦闘態勢を取れ。シゲ、早川のジープに離されるなよ」
菊屋達はライフルに弾薬を詰め、サスペンダーに手榴弾をかけた。隣にいる夕凪は肩にバズーカ砲を掛けると言った。
「暴れまわる此下さんに比べたら、戦闘の方がずっといいや」
「まったくだ」

早川のジープが出発し、重はトラックを急発進させた。坂をゆっくり下っていくと目の前に鉄橋が現れる。輪島はハンドルを握り締めいっきに鉄橋を突き抜けた。「よし、大丈夫だ」 ジープが対岸に達した時、ジープの前面で大爆発が起こり、ジープは転倒、早川と輪島は道端に吹き飛ばされた。鈴重は転倒したトラックをよけようとして、ハンドルを切った。トラックは道端の木に激突して止まった。山長はトラックを飛び降り、転倒したジープに駆け寄る。30m位先の森から敵の発砲が始まった。
「早川、大丈夫か?」
「大丈夫です。輪島君ものびているだけで、どこもけがはないようです」
山長と早川は横転したジープの横でマシンガンを撃ちはじめた。

東利はトラックから兵達を降ろすと、すぐに散開して攻撃を命じた。匡が運転席でのびている鈴重を引き摺り下ろし、東利の所まで引きずっていった。
「シゲは大丈夫か?」
「どうやら大丈夫のようです。この様子だと幸いにも負傷者はなさそうですね」
「ああ。あの先に重機関銃がすえられているだろう。此下君と匡、それに宇津木君は重機関銃をあそこの小屋に据えてくれ。俺達が敵に接近するから援護してくれ。残りの連中は散開しろ。山汎、トラックの爆薬は降ろしたろうな」
「降ろしました」
山長が機銃掃射に追われながら走ってくる。
「東利君、そこは危険だ。敵が右に回り込んでいる。全員をジープの所に散開させよう」
東利は匡と此下が小屋に無事にたどり着く所を見届けた。
「よし、俺についてこい!」
匡が重機関銃で援護しはじめると、隊員達は障害物に隠れて応戦しながら、早川達の所まで行った。東利が早川のいる窪地に飛び込む。
「早川、どうだ」
「東利さん、山長さん。あそこをみてください。正面に機関銃陣地があります。その後ろは20mのところなんですが、あれ、対戦車砲じゃないですか」
「やばいなあ、何とか佐久に知らせてやらないと。無線機はどこだ?」
「シゲが持ってたから、トラックの運転席だ。援護してくれ。回収してくる」
そう言うと山長はカービン銃を手に飛び出した。

佐久達が橋に近づくと、戦闘の音が聞こえてきた。瓶田は操縦席のハッチから顔を出すと、心配そうに砲塔の佐久を振り返った。
「なんか向こうの方、ばりばり言っているんですけど、大丈夫ですかね」
「わからん、とにかく進もう。宇久土君、戦闘態勢をとれ!」
突然、2号車の道広から無線連絡が入る。
「佐久さん、道広っす。どうやら敵の待ち伏せにあったようです。脇道があります。これを使った方が早く行けそうです。先に行かせてください。突入します」
そう言うと2号車は脇道に入り、まっすぐ川岸に降りていった。
「よし、道広、榴弾装填!目標1時の機関銃陣地」
「おい、亨。なに命令してんだよ」
「あったりめーじゃん。俺が戦車長だ」
「なに言っているんだよ。戦車長は俺だ」
「道広さんも亨さんも喧嘩している場合じゃないっすよ」
「そうだよ、道広。虎兵のいう通りだ。早く装填しろ」
「きったねー、後でぶっ飛ばすからな」
「目標1時。撃て!」
2号車は対岸から砲撃を開始した。

「おい、あれは佐久さんの戦車じゃないか」
激しい機関銃の弾幕にさらされている菊屋、夕凪、鈴重は後ろを振り返った。道広の放った砲弾は敵の塹壕陣地のまわりに着弾し、そのたびに敵の攻撃が弱まった。トラックから無線機を何とか回収し、転倒したジープの影に飛び込んだ山長はヘルメットを押さえて身をかがめた。
「東利君、輪島君、無線で佐久を呼びだせ。急いでくれ。この迫撃砲を何とかしないとだめだな」
「ああ、わかっているよ。早川と山汎に迂回して攻撃させよう。それよりも先に佐久に連絡をつけないといかんな。輪島君、まだつながらないか?」
「さっきからやっているんですが。まだ出ません。トラックが木に激突したとき、チューニングがおかしくなってしまったみたいです」
「そうか、早く頼む」

その頃、2号車では、虎兵が機銃を撃ちまくり、道広は弾薬を装填しまくっていた。
「道広、もう少し右だ。よくねらえ。撃て」
古葉(亨)がそう言うと、戦車の右前で大きな爆音がした。
「亨さん、PAK(対戦車砲)です。キャタピラやられました。動けませんよ」
「亨、射出器が焼き付いたぞ。やっぱボロだな。この戦車。どおする?」
「どうするも、こうするもあるめー。動けなくなったら、この戦車はただの棺桶だぜ。脱出しよう。道広はそこのトンプソンを持て。虎兵はライフルだ」
「亨さん、佐久さんが無線に出ました」
そう言うと虎兵は無線機の受話器を亨に差し出した。
「どおした」
「キャタピラやられて、射出器も焼き付きました。脱出します」
「わかった。援護してやる。うまく川を渡って、本隊と合流してくれ」
古葉、道広、虎兵は何とか戦車の外に出た。近くの障害物まで走って伏せると、2発目の対戦車砲弾が戦車の機関を直撃した。
「あぶねー。さあ、道広さん、走りますよ」
「ちょっと待て、虎兵。今、伏せたとき泥食っちゃったよ」
「そんなん、いいっすから」

迫撃砲の砲弾が炸裂する中、輪島は必死に無線機のチューニングを行っていた。
「こちら、桐生1号。こちら桐生1号、マック1号聞こえますか?どおぞ」
「こちらマック1号、何とか聞こえます。どおぞ」
「東利さん、佐久さんが出ました」
輪島は受話器を東利に差し出した。
「東利だ。感度は悪いが聞こえる。道路の正面に対戦車砲があるぞ。気をつけてくれ。どうぞ」
「なんとかつぶしてくれないか。まるっきり前に進めない。どうぞ」
山長が転がるように、東利のそばに飛び込んでくる。
「東利君、敵の反撃は強力だ。なんとか重機関銃をつぶさないと、こっちがやられちまう。現に早川君達があぶない」
「佐久が無線に出た。なんとか対岸に来るように言ってくれ。俺は早川を支えてくる」
そう言うと東利はヘルメットを押さえて機銃掃射の中を走っていった。
「山長だ。あー、どかんどかんとうるさいが、とりあえず聞こえる。佐久ちゃん、なんとか対岸に渡ってくれ。対戦車砲はなんとか始末する。もう一台の戦車はどうした?」
「20m下流の対岸でろうそくのように燃えているよ。この戦車は耐水装置を積んでないから、川を渡るのは危険だ」
「佐久ちゃん、お宝がかかっているんだ。少しは無理をしてくれ。我々はしゃにむにおしまくる。とにかく前進しかないんだ」
「わかった。やれるだけはやってみるよ。脱出した古葉君達を援護してやってくれ」
「わかった。通信終わり」
そう言うと、受話器を輪島に投げつけ山長は最前線に走り出した。佐久は宇久土と瓶田の顔を見ると、にやと笑い、景気よく言った。
「アムロ、行きます!」

師団司令部では師団付き作戦参謀の上郡少尉が不信な電波を傍受していた。作戦本部会議が終わると惟新大尉は部屋から出てきた。
「惟新大尉。ちょっと来て欲しいのですが」
「どうした、上郡君」
「実はですね。今日の昼過ぎからなのですが、どうもよく分からない交信がされています。まあ、聞けばすぐ分かりますから、ちょっと来ていただけませんか」
上郡は惟新を通信室に連れて行き、大型電波受信機の前に座らせた。彼が、つけてくれ、と言うと無線技師の軍曹が電波の傍受をはじめる。
「どこだかわからないのですが、『きりゅういちごう』、とか『マック』とか、『ただし』とか『金塊作戦』とか暗号が飛び交っています。あ、これです、これ」
両者はヘッドフォンに耳を傾けると、しばらく黙って聞き入った。交信は雑音が入って聞き取りにくかったが、確かに『きりゅう』と言っているようである。
「雑音が多くて聞き取れないな」
「そうですか。大尉の中隊はいまどこに?」
「いま再編成中だ。奴等のことだから今ごろは酒飲んで寝ているよ」
「そうですね」
惟新はヘッドフォンを渡すと上郡の顔を見ながら一人つぶやいた。
「まさかな」

宇津木は此下と匡と一緒に重機関銃を撃ちまくっていた。砲身が真っ赤に焼ける程の連射であった。
「中田君、あそこを見てくれ。道広達だ。なんとかこっちに引っ張ってくる。援護してくれ」
そう言うと此下はトンプソンを持って小屋を飛び出し、川の方に下っていった。
「宇津木君、此下君を援護するんだ」
川岸ではブッシュに隠れて古葉等3人が渡河の機会を伺っていた。
「おいどうするよ。ちょっと深ければそのまま沈んじゃうぜ。おれ、水の中で撃たれるのやだなあ」
「そんな事言ったってしょうがないですよ。一人ずつ渡りましょう」
対岸の岸辺の木の根本に此下が現れる。
「おおい、こっちだ。合図を送ったら、3人、まとまって走ってこい。援護してやる」
「やった、此下さんの援護がつきますよ」
虎兵は喜んだ。此下は後ろを振り返ると手振りで匡に合図を送る。それと同時に宇津木の機銃掃射がはじまった。
「さあ、早く渡ってこい!」
3人は勢いよく飛び出す。川の水深は30cmもなかった。渡り終えると道広が石につまずいてこけたが、此下と古葉でなんとか草むらに引きずり込んだ。
「いやあ、助かりました」
「道広、おでこから血が出ているよ」
「とにかく、みんなの所に戻ろう」

東利は菊屋、夕凪、鈴重、早川と敵重機関銃陣地の前で銃撃戦の最中であった。
「このままじゃ、膠着状態だ。夕凪とシゲ、右から敵の銃座の下まで潜り込んで手榴弾を叩き込んでくれ。俺達で援護してやる」
早川と東利、菊屋はトンプソンを乱射しはじめた。敵の攻撃が一時的に小さくなり、その隙を突いて、鈴重と夕凪は飛び出した。障害物をうまく利用しながら、彼らはうまく機関銃陣地の下にへばりついた。夕凪がへばりついた土のうの上から敵の重機関銃の銃身が飛び出して、射撃を続けている。
「おい、シゲ、手榴弾をよこせ」
夕凪は敵に気をつけながら、鈴重に手を差し出した。鈴重は全身のポケットをまさぐった。
「夕凪、どうしよう。どこかに落として来ちゃったみたいだ」
「なにい。この場におよんでなくすなよ。そんな大事なもの」
「おまえだってなんで持っていないんだ」
東利と早川、菊屋は夕凪達が敵に気づかれないように援護していた。菊屋は早川の顔を見て言った。
「あの馬鹿共なにやってるんすかね」
しかし、ついに敵は夕凪達の存在に気づいてしまった。敵兵の一人が手榴弾のピンをはずすと土のうから身を乗り出して、夕凪達に投げようとする。と、その瞬間、菊屋は手榴弾を持った敵兵の腕を狙撃した。敵は手榴弾を陣地内に落とす。爆音が起こり、敵陣地を壊滅させた。
「よし、突撃。敵を掃討する」
そう言うと、東利と早川、菊屋は飛び出してきた。早川は夕凪と鈴重の顔を見るとつぶやいた。
「おまえらが如何にあほであるかよくわかったよ」

一方、山長は松凪、輪島、山汎と転倒したジープのまわりで防戦に務めていた。
「松凪、これじゃ埒があかん。おまえ、あの対戦車砲陣地をつぶしてこい」
「つぶして来いって、顔も出せないほど撃たれているのにどうするんですか」
「見てみろ、敵の対戦車砲のすぐ横に給水塔があるだろう。山汎と行って、あれを爆破して敵陣を水浸しにするんだ。いい手だろう」
「また、そんな適当な作戦をよく思い付きますね」
横で輪島がにやついて言った。
「早く行った方がいいっすよ」
「ちくしょう、おぼえていろよ、輪島君。さあ、山汎君、いくぞ」
「松凪さん先に行ってくださいよ」
「山汎君までそんな事言うのか」
「松凪、つべこべ言わずに早く行け。さっさといかないと後ろから撃つぞ」
松凪と山汎は陣地を飛び出した。

迫撃砲の攻撃は続いていたが、菊屋はなんとか山長の所に戻った。
「山長さん、敵が退いていきますよ」
「本当か」
「いま、東利さん達が敵の後ろに回り込んでいます。僕は佐久さんを先導してきますから、掃討に加わってください」


こうして、佐久は何とか渡河を終え、匡の仲間達は敵陣を突破した。トラックを失ってしまった隊員達は佐久の戦車の上に乗り、奇声を上げながら町に進んだ。

次回予告
いよいよ町に到着した匡様御一行にまたもや強敵が現れる。金塊を目の前に彼らが取る作戦とは!?

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