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老師の庵コミュの現在分詞

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最近,というより,かなり長期にわたって,分詞に引っかかっている.

分詞は,おそらくインド・ヨーロッパ語族特有の語形と思われるが,

動詞から形成された語形で,名詞の状態を述べる形容詞である(例外もあるが).

いわゆる定動詞と異なるのは,

(1) 人称・数による変化がない.

(2) 時制による変化がない.

の2点で,この点で,他の動詞起源の語形と一括して準動詞と呼ばれることもある.


ところで現在分詞だが,これは,以下のような性質を持つ.

(1) 名詞(当然代名詞を含む)について,ある行為が現に行われつつあることを述べる.

> a sleeping baby 眠っている赤ん坊

(2) ほとんどの言語において,-ent あるいは -ant なる接尾辞によって形成される.もちろん,言語によって,多少の音の変化はある.

(3) これがもっとも重要.現在分詞は,文の述語とはならない.つまり,たとえばフランス語を借用すると,

>Il est chantant. 彼は歌っている.

という文はNG.
(il = he, est = is, chantant が chanter <歌う> の現在分詞)

現在分詞はあくまで,主たる動詞(あるいは述語)の存在を前提として,それと同時に行われる行為・状態を述べる.

その場合,上の「眠っている赤ん坊」のように,どんなに構文が複雑になっても,結局のところ,名詞に対する修飾語である.

現在分詞の基本的性格については以上であるが,これに対して,重大な例外があることに,諸氏は気がつくであろう.

いうまでもなく英語である.

(1) 英語の現在分詞は -ing なる接尾辞によって作られる.

(2) 英語には進行形という表現があり,"be + 現在分詞" によって「〜は〜している」という意味を表現しうる.

ここにおいて現在分詞は文の述語であり,例の5文型でいえば,SVCのC(主格補語)である.


では,なぜ英語だけそうなのか.

それについて述べようとするのが,この小部屋の目的である.

(to be continued)

コメント(1)

英語の現在分詞,いわゆる -ing形は,起源は現在分詞ではない.

ドイツ語の -ung と同じ動名詞だ.

bedeuten (意味する) > Bedeutung (意味)

achten (注意する,尊重する) > Achtung (注意,敬意)

のように.

インド・ヨーロッパ語族は,およそ15の語派に細分されるが,

英語はドイツ語と同じゲルマン語派だから,類似性が見られるのも当然.

(実は話は逆で,類似性を分析した結果,同じ語派に属すると判断されたのだが).


それでは,英語には,インド・ヨーロッパ語族に共通の,

接尾辞 -ent あるいは -ant によって形成される現在分詞に相当する語が存在しないかというと,

そうでもなくて,同様の接尾辞をもつ形容詞がこれに相当する.

これらの形容詞は「〜する性質をもつ,〜する傾向をもつ」という意味をもつ.

depend (依存する,従属する) > dependent

resist (抵抗する) > resistant

exist (存在する) > existent

obey (服従する) > obedient

serve (仕える) > servant

これらのほとんどは,語末の -t を -ce に替えることによって,名詞を作ることができる.

servant のように,形容詞と同一の語形のまま,名詞として用いられる語もある.

obedient の例で,動詞には存在しなかった子音が,形容詞では出現しているが,これは,

起源となる動詞には存在した子音が,英語では,動詞では脱落したが,

形容詞では,接尾辞がついたおかげで消えずに残ったものである.

上記の例で,-ent と -ant がまちまちだが,これは,動詞の意味や発音には関係せず,

歴史的理由による.これらの語はすべて英語にとって輸入語であり,

-ent形は,ラテン語から英語に輸入された語,-ant形は,もともとはやはりラテン語であるが,

フランス語を経由して英語に入った語である.

1066年の「ノルマンの征服」以降,ノルマン人がイングランドを統治することになり,

百年戦争にいたるまで,現在の言葉でいうと,イングランドはフランスの影響下にあった.

当時のイングランドの宮廷では,フランス語が日常の言語であったという.

だから,フランス語からの輸入語はざらにある.

上記の例をみると,「なぐる,蹴る,食う,寝る」のような直接的な動作,行動を表す動詞はなく,

どちらかというと,精神作用に関する動詞ばかりであるのに気がつく.

これは,私が意図的に選んだのではない.

「なぐる,蹴る」に類する動詞にも -ent あるいは -ant 形が存在しないかと思ったのだが,

ついに思いつかなかったのだ.

直接的動作・行為を表す動詞は,たいていの言語にもともと具わっている.

精神作用を表す動詞はそうではない.だから,輸入語にたよるわけだ.

長話になってしまい,本来の現在分詞から遠ざかってしまったが,今回の結論.

(1) 英語の -ing形は本来動名詞である.

(2) 英語においては,-ent あるいは -ant を接尾辞とする形容詞が現在分詞に相当する.

それでは,どのようにして,-ing形が現在分詞の座を占めることになったか,であるが,

それは,また今度ね!










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