■歌詞はおよそ次のような感じ。1番 : I feel depressed,I feel so bad / Coz you're the best girl that I ever had / I can't get your love,I can't get a fraction / Oh,little girl,psychotic reaction / And it feels like this →訳 : ほんとがっかりだ。気分悪いぜ。お前は俺が付き合ったなかでも、一番いい女なのに。ちっとも愛を感じないんだ。みじんもな。ハニー、お前全くわけわかんないぜ。そう、こんな気分だ。(→間奏。ファズ全開のリード・ギター。やりきれない気持ちを描写するように引っ掻き回すサイド・ギター。)2番 : I feel so lonely night and day / I can't get your love,I must stay away / Well I need you girl by my side / Oh,little girl,would you like to take a ride now / I can't get your love , I can't get satisfaction / Oh,little girl,psychotic reaction→訳 : 昼も夜もなく淋しい。愛がない。分かり合えない。そばにいて欲しいんだ。ハニー、いっそ殺してくれないか。愛がない。満たされない。ハニー、まったくわけわかんないぜ。(訳詞はあくまで俺オリジナルの大意です)。
■サウンドに関して言えば、この曲はよく「ヤードバーズの"I'm A Man(原曲はボ・ディドリー)"に対する西海岸からの回答」なんて言われる。確かに、間奏部の展開は似ているかもしれない。他のレパートリーも含めて、ハープの入れ方など、あちこちに影響は認められる。しかし、明らかに、イビツなアメリカのガレージ・サウンドに仕上がっているのは何故か?つい、最初に強烈なカウンター・パンチを喰らってしまうイントロのファズ・ギターに心奪われがちだが、後ろで実はしっかりと鳴り響く、ジャングリーなサイド・ギターと単純なベース・リフを聴いてみると....何かに似ていないか?それは、ガレージ曲で言えば、例えばチャンプスの"テキーラ"だ。ファズのリフによって、ついつい凶暴なイメージで捉えてしまいがちなこの曲には、呑気でありつつ、イカレた雰囲気をかもし出す、メキシカン・ガレージ・サウンドの要素もかなりの割合で占めているのだ。ブリティッシュ・ビート・バンドからは表面的な影響を受けたに過ぎない。例えばヤードバーズのような本格的ブルース志向は全く感じられず、とにかく黒っぽくない。それが、逆にガレージ・サウンドとしてのこのバンドの存在を際立たせている。下手と言われるキース・レルフよりも更に拙いハープと、ヤケ気味のvocal(でも実は結構上品な声質だったりする→何れにせよ、ブルースからは程遠い)、3強ギタリストはもちろんいないが、技術のなさが結果的にヤードバーズ以上にドスを効かせてしまうことになるファズ・ギターなど、どこから割ってもティーン・ガレージ・パンクの模範のようなサウンドだ。そこに、メキシコ系アメリカ人の町、サン・ホセのチカーノ(民族の誇りと強い社会意識を自ら定義するためのポジティヴな言葉、スペイン語源)・バンド的要素がブレンドされたミクスチャー・サウンドというのが、この曲の全てである。ちなみにタコスと覆面レスラーの国、メキシコの60'sガレージ・バンドは総じて破天荒に明るく、脳天気で楽しく聴こえる場合が多い(語感のせいかもしれないが)。
■シングル、「サイコティック・リアクション」は裏面がこのCDでは?曲目にあたる「They're Gonna Get You」とのカップリングで1966年に新興レーベル、DOUBLE SHOTからリリースされた(DOUBLE SHOT 104)。同年9/17付けでビルボード・チャート79位に初登場、順調にランク・アップし、同10/15付けでチャートの5位まで上昇。翌週もその順位をキープ。同年10月の月間チャートでもやはり、5位。まるで冗談みたいに、その名が示すとおり5位ばかりにカウントされ、全米、そして世界にその名を知らしめた。このシングルはイギリス、フランス、ドイツ、ニュージーランド、スペイン、ベルギー、オランダ、スウェーデン、そして我が日本でも発売されている。自分達の予想以上のセンセーションを巻き起こし、あっさりスターダムにのし上る。その勢いで'69年までの間に、同レーベルからシングルを計6枚、そして、唯一のアルバム「サイコティック・リアクション」をリリースした。この5人の学生達には更にビッグになる可能性があったかも、なかったかもしれないが、ともかく「偉大なる一発野郎たち」という称号が与えられるバンドとなってまった。理由としては、これだけ売れたにもかかわらずサン・ホセ以外の場所では決してライヴを行わなかったことと、SEAN自身のネタ切れ、それ以上に全員が学業に専念する決意を固めたため...などと言われる。'68年初頭には活動停止、バンドは自然消滅してしまった。