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創作恐怖話〜新感覚恐怖へ〜コミュの「お人形」

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自分のページに掲載している創作読みきりです。
お暇があれば目を通していただいて、感想等よろしく御願い致しますm(__)m
なにぶん数年前にネタが思い浮かんだものなので解りづらい描写等ございましたらお気軽にご質問ください。よろしくお願いし致します。
ではどうぞm(__)m












はいはい…いらっしゃい。
え?またあの話が聞きたいって?嫌だよめんどくさいのに…お前等絶対黙って聞かないし。俺はお話のお兄ちゃんじゃないっての。こら、今おっさんって言ったの誰だ?はい、モトキには聞かせない〜、ユウヤは黙ってろ。
何だよしつこいな…友達が増えたから連れてきた?
あのなぁ…だから俺は…ミヤちゃん、名前なんか聞いてねぇし…
あ〜…もう、おやつはないぞ、は?持ってきた?
…はぁ、用意の良いことで…
しゃーねぇなぁ…そっちに上がれよ?そう、いつも通り。そっちは入るな。立入禁止。よしよし、いつも物分りが良くて助かる。
さてと…

あれは…いつのことだったか。確か俺がまだこの家に越してくる前のことだった。
両親をなくした俺は一人でそのまま国営団地に住んでいた。
低所得世帯であれば誰でも入れるような代物だ。
部屋の間取りなんか聞かないでくれよ?ワンルームではないだけで家族三人で住むには狭すぎた。
けれどもその時はとても広く感じたんだよ。

まぁ早くに親をなくしたからご近所さんは何かと世話をやいてくれてたから、特に不自由はしなかったさ。
お向かいさんはいなかったから階段を上り下りする音が聞こえてうちの前で止まったら、まぁ世話焼きな奥様方の登場ってわけだ。

そんなある日、いつものように階段を上る音が聞こえてうちの前で止まった。読んでいた雑誌を放って立ち上がろうとすると話し声が聞こえた。
管理人の声と数人の声。そして向かいのドアが開く音。
それ以外は気にしなかったがそれだけで事を把握するには充分だった。
「なんだ、誰か越してきたのか。」
雑誌を拾いなおして読み進む。
しばらくするとひっきりなしに足音が聞こえるようになった。
まぁそんなものだろう。
そう言いながら音が煩わしくなった俺は小腹が空いたので外へ出ることにした。
すると越してきた人達ばったりと出会った。

年は見た感じ30そこそこってとこだろう、こんなとこに越してくるには似合わない小奇麗な女性がいた、その後ろで可愛らしい白いワンピースを着た女の子が人形を抱いている。
部屋の中から女性と同い年くらいの男性が出てくる。これまた国営団地の味気ない壁にはそぐわない好男性だった。
「はじめまして、この度お向かいに越して来ることになりました。○○と申します。よろしく御願い致します。」
女性からなんともご丁寧な挨拶をいただいたが、
「あ、ども。向かいの××ですこちらこそよろしく御願いします。」
としか返せなかった。
「ほら、●●ちゃん。ご挨拶は?」
そう言って女性は足女の子を前に押しやる。
「はじめまして、○○●●です。」
たどたどしい口調で恥ずかしそうに挨拶した女の子はぎゅっと人形を抱きしめていた。


そうしてうちにお向かいさんが出来た。
当然だが親子三人暮らしで、父親は早くから家を出て、いつも決まった時間に帰ってくる。なんで知ってるかって?俺が夜勤してたろ?行きと帰りに丁度顔を合わせるんだよ。
女性とはあまり話す機会は無かった、それなりにはあったけどな。
美人の奥さんと情事?ユウヤ〜、アホかお前は。

次第に女の子は環境に慣れてきたのか近所の子どもたちとも遊ぶようになっていた。
女性も奥様方の会話に仲良く交じっていた。
だけど俺はいつまでもその女性がこの空間にいることになれることが無かったよ。
綺麗だからってのもあると思うんだけど、なんというか…無理してるって感じかな。まぁ取り越し苦労かと思ったんだけども。


ある日、公園で子どもたちが遊んでいた。その中に●●ちゃんもいた。
子どもたちはビー玉や貝殻を持ち寄って、代わる代わるにそれを隠しては見つけている。いわゆる「宝探しゲーム」だ。
懐かしいなぁ…よく付き合ってやったろ?え?あぁ、そういやマジで見つからなくって泣いたっけモトキ。ははは。
まぁまぁ、続けるぞ。

それで次は●●ちゃんの宝物を隠すことになった。●●ちゃんは不安そうにいつも抱いていた人形を差し出す。
ベランダでタバコを吸いながらボーっとその光景を眺めていると、一人の男の子が人形を抱えて近くの木にするすると登って行った。

あ〜、ガキって器用だな。俺も得意?うん、お前はサルだ、カツ。

飽きてきたので夜勤に備えて寝ることにした。
泣き声が聞こえる。女の子の泣き声だった、日は沈みかけて空は茜色に染まる。けれどもいくつも団地が建っている間にある公園はもう暗くなってきていた。
もう一度ベランダに出て公園を見ると、ボヤっと白く見えるもの木の下でうずくまっていた。泣き声の元だった。
俺は靴を引っ掛けて公園に降りた。5歩くらい木に登ってひっかかっていた人形をとり、しゃくりあげている女の子に渡すと、ぎゅっと人形を抱きしめた。
「ありがとう。お兄ちゃん。」
と笑顔で言ってくれる。

それから少し●●ちゃんと話をした。

「そのお人形は●●ちゃんと同じお洋服なんだね。」
改めて見ると女の子と人形は同じ白いワンピースを着ている。
「うん、それでね、ママと同じ頭なの。」
髪の毛のことらしい、よくは覚えてないがそんな気がしなくもなかった。
「●●ちゃんはほんとにそのお人形が大好きなんだね。」
「うん!ママがくれたの!」
誇らしげに微笑んでくれる。何はともあれいいことをした気分だ。
「あ!パパだ!」
急に女の子が叫んで行ってしまう。もうそんな時間なのか、俺も仕事に行かないと…と時計を見たがまだ6時を回ったところでさ。
「パパ、お帰り!今日は早かったね!●●良い子にしてたよ!」
…俺のことなど忘れてしまったかのように父親と一緒に階段をあがっていくのを見届けてから、俺も家に帰った。
その日の夜勤は辛かったよ、何せ2時間も早く起きてちまったんだから。いつもより眠い目をこすって家へ帰る。

その日からだろな…行き帰りに父親と顔を合わせることがなくなったの。あぁ、あと何かが変わり始めたのもな。

たまに長期休みの日があったろ?おう、一週間ぐらい。そんときになんとかするべきだったのかもな。
いつも静かなお向かいさんが夜はうってかわって騒がしかった。…変な想像するなよ?この下半身野郎。
金切り声と泣き声、物が割れる音。
え?まぁ防音はそれなりについてたからマシだったけどさ、壁に何かが当たったら流石にわかるだろ。
まぁそれが5日くらい続いてたわけよ、いつから始まったかは知らなかったんだけどさ。
そんな後にだな、顔合わせたくないって思うだろ?そんなときに限って会うんだよ。

ある時は奥さんだけだった、いつもの笑顔で挨拶はしてくれけど…もう目が血走ってたな。口も引きつってたし、あぁそういや井戸端会議で突然ヒステリックになったこともあったんだってよ?他の奥様方が訊きもしないのに教えてくれたんだよ、ご丁寧なことだろ。

違う時は●●ちゃんだけだった。いつも泣き腫らした目で人形を抱いてたよ。いつも白いワンピースでさ。
一度だけ、
「ママに何かされてるのか?」
って訊いたことがあったんだけどな、その時、
「ママァー」
って大泣きするんだよ。だからそれ以上訊けなかったよ。

俺の休みの間、最後の2、3日は騒ぎが収まったんだよ。
奇妙なくらい静かでさ、まぁ落ち着いたんだろうってことで気に留めるをやめたんだ、白状とか言うなよな、まぁ…いいけども。
夜勤が始まって、しばらくしたら●●ちゃんを見かけたんだ、ベランダでタバコ吸ってたら、公園にいた。
仕事の時間よりちょっと早く降りたら、まだそこにいてさ。声をかけたら。
「パパもママもいなくなっちゃった…」
って、呟いた。すごく寂しそうに人形を抱いてた。
なんか人形も少しみすぼらしくなっててさ、髪も服もボロボロになってた。女の子も似たようなものだった…

なんか聞いちまったら放っておけなくなって、仕事休む。って電話しようとしたんよ、そしたらさ、
「●●!!何時だと思ってるの!!帰ってきなさい!!!」
団地中に響く声で母親の声がした。
その声が聞こえると●●ちゃんは走って家に帰ってったわ。
てか、ママもいなくなっちゃったって…と思うだろ?
こら、最後まで聞けって、分かってても口を挟むな。ったく…ハルト、お前の悪い癖だぞ?

夜勤が終わって家に帰って寝てたら誰かが尋ねて来たんだよ。出てみたら警察だった。

お向かいさんで殺人があったらしい。殺されたのは○○▲▲さんとその義理の娘の●●ちゃん。凶器は包丁で、出所と指紋から心中だと分かった。

父親は大手の会社のお偉いさんだったらしい、そして一人の女性と結婚して子どもをもうけた。だが、子どもが3つになる頃にこの世を去る。
まだ若かった父親は再婚するが、子どもは新しい母親にはまったく懐かなかったそうだ。
●●ちゃんが着ていた服は生前に母親から買ってもらったもので、人形は遺品らしい。なんでも手作りの人形で中には遺骨が入っていたそうだ。
現場は悲惨なものだったらしい、部屋中に血痕が飛び散り、女性は数箇所の刺し傷があり、喉には小さな噛み跡があったのだという。●●ちゃんは背中の傷が肺に達し、苦しい最期を迎えたのだろう…白いワンピースも真っ赤に染まっていた。もちろん人形も…
不思議なことに人形は赤いルージュをひいたように唇の部分が真っ赤に染まっていた。悲しそうな表情だが、どこか微笑んでいるようにも見えたという。

ママがくれた人形…
遺骨の入った人形…
真っ赤な唇…
女性の喉の噛み傷…

この不思議な話はこれで終わらない。新しく来たミヤちゃんは息を飲んで事の顛末を待つ。

もう一つ不思議なことが起きた。●●ちゃんの大事にしていた人形が消えた、警察から抜け出したんだ。
どこに行ったのかわからないその人形はいつしか人々の噂になり「キラードール」と名づけられた。
大事なものを傷つけたものは生かしてはおかない。
血に染まった白いワンピース、真っ赤に染まった唇。

もしかしたらおもちゃ屋さんに売っているかも…?




それ持ってるんでしょ?だからユウヤ、口を挟むなよ…いいとこなのにさ…お前等は知ってるけどもミヤちゃんは知らないだろうが…
あっちの部屋にある、だから言うなってば…入っちゃいけないってさっきも!
あ〜ぁ…ミヤちゃん行っちゃったよ…

フスマの開く音がする。
声にならない悲鳴が聞こえる。
俺は男の子の人形を置いてゆっくり立ち上がる。

隣の部屋には…
血に染まったワンピースを着た女の子が幾つも転がっていた。

また一つ大事なお人形が増える。

「だから立入禁止って言ったでしょ。」

コメント(3)

ミヤちゃんは残念ながら逃げられません…

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