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創作恐怖話〜新感覚恐怖へ〜コミュの【黒百合は枯れない −木子−】 二話

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一話 http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=35321335&comment_count=13&comm_id=2866832



目的の丘についた頃には、日はもう沈み、あたりは暗く静かだった。

2人は丘の上、”呪いの祠”へと続いているであろうコンクリート製の階段の前に立ち、

暗くなった空より更に黒く見える丘の上を眺めていた。

(…はあ。なんでこんなとこ来るっていったんだろ…。)

霊などの類の話を信じない伸一だが、実際に現場にきてみると、

その不気味な光景に思わず二の足を踏みたくなってしまった。

(霊云々っていうより、そもそも変な人間がいてもおかしくねえじゃん。)

チラっと横に並んでいる怜奈の様子をのぞいた。

さっきまでは伸一と一緒に丘を見上げていたが、いつの間にか自分の足元へ視線を落としていた。

それを見ると、しょうがないか、となんとなく踏ん切りがつきそうだった。

「…よし、行くかな。怜奈も行く?」

「えっ?!」

怜奈は「まさか!」とでも言いたそうな顔を伸一に向ける。

「はは、冗談だよ。向こうにコンビニがあるみたいだからそこで待ってて。」

「…ううん。ここで待ってる。」

「マジ?大丈夫?」

「うん…。」

なけなしの勇気というのだろうか、その気持ちのこもった言葉に

柄にもなく伸一は少し感動してしまった。

クスっと少し笑うと「じゃあ行ってくるわ。」と言い残して階段を登り始めた。

足元の古びた階段はかなり崩壊しており、異様な雰囲気を醸し出すのに一役かっているようだった。

それでも伸一の心中は、恐怖という感情に支配されることはなかった。

それよりも、彼女のための誇らしい行動という気持ちが大きく、

後ろから見つめているであろう彼女の視線ばかりを気にしていた。

普段から深夜俳諧は日常茶飯事であり、豊とともに行動することもあれば、

一人で暗い街をぶらぶらしたり、廃屋で喫煙しているのだ。

今回は目的が目的であるため、多少心持が違うだけの話である。

むしろ現在の時刻が19時を少し過ぎたところなので、

伸一にとってはまだ夜のお遊びが始まった時間帯という感覚だった。



何事もなく淡々と階段を登り、やがて前方には平にひらけた場所が見えてきた。

登り終えるころには周りの暗さに目がなれてきており、

その平場にポツンと置かれている木製の祠をすぐに認めることができた。

「あれか…。」

近づいてみると、伸一が想像していたよりなんともお粗末なものだった。

大きさはせいぜいひざまでの高さで、横幅も縦とほぼ同じくらいで、

おもいっきり蹴ると、跡形もなくばらばらになってしまいそうだった。

「こんなものがねえ…。周りにも何もねえし…。」

伸一は一つため息をつくと、タバコを一本吸おうと胸ポケットに手をあてた。

が、ありえないだろうが万が一タバコの火を怜奈が見てしまって、

人魂だとかパニックになってしまったらかわいそうだと思い、手を下げた。

(俺も女には弱いな。)

フッと自分の行いを嘲笑した。



その時だった。


「ク ク ク。」

背後から女の笑い声が聞こえ、伸一はそれに反応して振り返った。

息をのんだ。

そこには、笑い声の主と思われる白装束を着た女の人が立っていた。

しかし、その姿はあきらかに異様だった。

髪は腰まであろうかというくらい長く、ボサボサでまったく整っていない。

手足は骨に皮をはっているのかと思うくらいガリガリで、皮膚は血の気がまったく感じられない。

なのに唇は血の様に赤く、妖しく歪んでいる。

そして極めつけは目で、眼球に白目がなく、黒よりも暗い黒で塗りつぶされているようだった。

その視線は伸一から離れず、伸一もその視線から逃げられないような気分になり、動けなかった。

周りの空気も重くなり、その空気はその女からでているようだった。

(こいつが…。)

霊を信じる信じないという考えはどこかへ吹き飛んでいた。

目の前の得たいのしれないモノが、怜奈が言っていた「女」だと強引に理解させられた。

体中から冷たい汗が吹き出て、しばらくにらみ合いが続いた。

怜奈は女が一方的に話をしてきたといっていたが、

その女は最初の笑い声から一切声を出さず、ただその異様な雰囲気を見にまとったまま伸一を見ていた。

(何もしてこないのか…?)

目の前の女は相変わらずじっとしているだけで、ついに伸一のほうから話の口火を切った。

「お、お前、昨日女に呪いをかけただろ。」

自分でもツッコミたくなるくらいストレートな質問だった。

それでも女は何も反応せず、ただ不気味な笑顔を顔に浮かべていた。

伸一はつづけた。

「その呪いを解けよ。む、無理なら…俺を身代わりにしても…。」

女は相変わらず無反応だった。

「てめえ…なんとか言えよ、オイッ!」

あまりの無反応っぷりに思わず口調が荒くなってしまった。

すると、女は初めて反応を見せた。

「ク ク ク。」

「何が可笑しいんだよ!」

「本 気 ナ ラ ア ノ 女 ガ 死 ヌ 夜 ニ モ ウ 一 度 来 イ。」

「あ?」

女はそれ以上なにも語らなかった。

その言葉だけ残すと、闇に溶け込むように姿が消えていった。

「もう一度こいだと…。」

改めて全身冷たい汗で濡れていることを実感した。

途中からはイライラして熱くなっていたが、女が消えて少しずつ冷静になってくると、

怜奈の言っていたことは全て真実で、本当に命に関わることなのだと思えるようになっていた。

そして、次に身代わりとしてあの女の前に立つと、確実に自分は死ぬということも理解した。

(…とにかく、怜奈にはどう説明すれば…。)

考えてもしょうがないと頭をふり、一度丘を降りることにした。



「伸一、大丈夫だった?」

階段を降りる途中の伸一を見つけた怜奈は、降りてくるまで待てなかった。

「あ、ああ…。」

頭の中は混乱する。

(どこまで話せば…。)

そうこうするうちに階段は終わり、怜奈と対面するところまで来ていた。

「…何かいた?」

「ああ、まあ…そうだな…。」

こんなに怜奈と話をするのが嫌だと思ったのは初めてだった。

とにかく、急いで頭の中を整理し、最も怜奈を安心させることができるであろう答えを導き出す。

「実は、怜奈が言ってたと思う女がでてきたよ。」

「ええ!ホント?」

「ああ。多分、白い着物みたいなのきた髪の長い女でしょ。」

「そうそう。何かされた?」

「…いや。」

「そう。よかった。」

「それでさ、怜奈のこと話してさ、何とか呪いを解いてくれるよう説得したよ。」

これが伸一の導き出したベストの解答だった。

「ウソッ!?」

「ほんとだよ。」

「ええ。どうやって説得したの?」

「えっ?そ、それは…。」

そこまでは考えてはおらず、少し視線を怜奈からはずした。

「あの…。そうだ!ほら、怜奈が持ってったっていうユリ。

 あのことで怒ったらしいから俺が新しいの植えるよっていったら許してくれたよ。」

「ああ、そうだったんだ。」

我ながら冷静に対処できたものだと、伸一は心の中で胸をなでおろした。

安心したせいか、怜奈があまり深く考えなかったことが幸いした。

「そっか。私が悪いことしたんだね。じゃあ私が今度植えにくるよ。」

「いやいや!いいよ。俺がもっかい来るからさ。」

「ええ、いいよ。説得までしてもらったんだし。」

「いいっていいって。その代わり今度ヤらせてよ。」

「え、ヤらせるって…もう!バカ!」

暗くて見えないが顔を真っ赤にして伸一の肩を叩くと、怜奈は帰り道を歩き始めた。

その後ろからすぐについていく伸一は、怜奈の後ろ姿をじっと見ていた。

(そうだ。これでいいんだ。)

こう答えておけば、怜奈は何も考えず安心していられるし、

そして伸一は彼女の代わりになって命を落とす覚悟を決めた。

(こいつと付き合えなくなるのは寂しいけど…。

 でもあんまり仕事とかして社会ってのに出たいとは思わねえし。

 どうせいつかは死ぬんだから、彼女のために死ぬってのもかっこいいかもな。)

もしかしたら、自分の犠牲になったと怜奈は気づくかもしれない。

彼氏の突然の死を悲しむかもしれない。

それでも、これが手っ取り早い解決方法なら迷うことはなかった。

それに、自分も助かりたいと思うことはなかった。

あの女にあったときとは違って、今は不思議と冷静に死を受け入れられそうだった。





2日後。

この日は日曜日だった。

怜奈は念のためと、肝試しに一緒にいった友達と、隣町の寺へお払いにいった。

そして、伸一は帰ってきた怜奈と映画を見る約束をしていたので、

駅近くのコーヒーショップで暇をつぶしていた。

(死ぬまでにあと何回デートできんのかな…。)

死ぬまでに…そう思うとやっぱり寂しいという気持ちは湧き上がってくる。

(まあいいさ。どうせならこんな今すぐ、スッキリした気持ちのまま死にてえな。)

そう思ってコーヒーを一口すすったとき、ふと自分の横に人が立っていることに気づいた。

それとほぼ同時に、その人間が話しかけてきた。

「ねえ。」

その声の主を見ると、その人は女だった。

と言っても、あの”祠”で見た女とは全く別物だった。

身長は160半ばくらいだろうか、モデルのような体型をしており、

顔はかなり整っており、ゆるいパーマがかかった肩までの茶髪とかなりマッチしていた。

化粧をしっかり決めており、服装も胸元がひらいた服と超がつくくらいのミニスカートと、

なかなか派手な格好だった。

一言で言えば美人であり、おそらく化粧をしていなくても並以上と思われた。

そんな見知らぬ女性が突然伸一に声をかけてきたのだ。

「向かいの席に座ってもいい?」






続く

コメント(7)

「早めにアップします!」と宣言して早2週間…。

フヒヒ。すいません。

いや、ほんとに。

それにしてもその人の身なりとか書くのってすっげー大変だ!

服の知識とかまったくないから全然わかんねえ!!

なのでそのあたりのツッコミはなしでよろしくです。

ツッコんだ人は管理人さんにあいつ強制退会にしてって頼んで、逆に僕が強制退会させられますひよこ
逆に強制退会…不覚にも爆笑してしまいましたダッシュ(走り出す様)

この女性が何か助けになるのか…気になるるんるん
髭座長さん
へっへっへ。今回はべっぴんさんも用意してまっせひよこ
夜伽のほうもしっかり吉原で鍛えられているらしいでっせ指でOK

やきゃさん
あ、明日でげすか…たらーっ(汗)
明日は麻生首相の握手会があるので無理でやんす涙
その女性、気になりますっexclamation ×2
どーなるんだろうexclamation & question


ひよこさんの強制退会はイヤです…冷や汗(笑)


次回も楽しみにしていますねっウインクリボン

↑↑
ご安心を

その後、強制入会させますのでウッシッシ
しょくぱんまんさん
あの女は…俺の元カノだ
…っていえるような過去がほしいです泣き顔


ストレンジカメレオンさん
「ん〜じゃあ思い切って退会しちゃおっかなぴかぴか(新しい)
「冷蔵庫を買うかのようにexclamation ×2」(ガビーン)
byすごいよマサルさん

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