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創作恐怖話〜新感覚恐怖へ〜コミュの【茶話】悪魔の感情

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悪魔はあまり感情を持たない…

なぜなら悪魔だから。


だから悪魔は興味を持つのだ。

人間の持つ喜怒哀楽の感情に。


この物語はそんな悪魔に興味を抱かれた1人の男の話である。






オレは、某企業に勤めながら一人暮らしをする社会人だ。


この日、一匹の悪魔がオレに歩み寄った。



オレがバラエティー番組をテレビをみて、笑っていると、そいつは姿を現した。

オレの笑っている姿を横から不思議そうにじっと見つめていた。

最初はその風貌と突然の出現に腰を抜かすほど驚いたが、どうやらオレに危害を
加えるような奴ではないらしい。

言葉も通じた。


「おっ、お前一体、何者なんだ!?
なんでそんな気持ちの悪い格好をしてるんだ!?」

「オレは悪魔だよ。
まあ信じられないと思うけどな、暇つぶしに来ただけだ。
ところでお前、なんでそんなに笑ってる?」


「なぜって、み…見てるテレビが面白いからに決まってるだろ!
なんだよ、暇つぶしって!?」


「なるほど…面白いか、面白い、面白い、なるほど、面白いと笑うのか。
暇つぶしというか、人間はなぜそんなに笑ったり、泣いたり、怒ったり、するの
かオレは興味があるんだよ。」

悪魔は無表情のまま、口を動かし、オレの質問に答えた。


「どうするつもりなんだ?お前は?」


「オレはお前がなんで泣いたり、笑ったりしてるのかを見に来たんだ。
こうやって話すことも出来るんだ。
ちょっとその理由について教えてくれ。
おっと今じゃなくていいぞ。
実際にお前が今みたいに笑ったりしてる時に、その理由を聞かせてくれ。」


(どうやら悪魔と言っても、オレが想像しているような怖い悪魔じゃなさそうだ
な。)



「別に構わないよ。
怒ってる時は言い方が悪くなるかもしれないけどね。」


「そうか、そうか、それはさらに楽しみだ。」


気付けは悪魔はオレの隣でテレビを見ながら楽しそうに笑っていた。

「これが笑うってことだな。」
悪魔はつぶやいた。


この日から、オレの生活の横には悪魔がいた。

どうやら悪魔は自分が決めた人間以外には見られることはないらしい。

普通の人間は悪魔の存在に気付くことはないのだ。



ある日、オレは一人の友人と喧嘩をした。


「なんでオレのこと、裏切ったんだよ!!」


「仕方ないだろ!うまくいくはずだったんだ!」


「人のこと、裏切って、なに開き直ってるんだよ!!
いい加減にしろよ!もう知らねぇ!」


オレの友人は、多額の借金をしていた。

その一部の借金は本当にヤバいとこから借りていたらしく、そのお金の分はオレ
がその友人に貸したんだ。

ところがその友人はそのお金をすべてギャンブルに使ってしまったのだ。


そこにすかさず、悪魔は来た。

「お前、なんでそんなに怒ってる?」


「…………………………」


オレは暫くの間、何も答えなかった。


悪魔はじっとオレを見ていた。


「これが怒るってことだよ。
オレが何にも言わなかったことに対して不快に思っただろ。
人間は相手に自分が期待していない態度をとられると不快に思い、怒るんだ。
オレが怒ったのは、オレが期待していないような行動をさっきの友人はしてたか
らだよ。」


「なるほど。お前の説明は分かりやすいな。
これが怒るということなんだな。
なるほど なるほど。不快になると人は怒るのか。」


そして徐々に悪魔はテレビを見て笑ったり、オレの言葉に対して怒ってみせたり
するようになっていった。

悪魔の表情が人間に近付いてきているのをオレは感じていた。


悪魔も感情を持つことが出来るんだなとオレは感心した。


なによりこの悪魔、人間よりとても感情に対して素直だった。


そんな悪魔と生活を共にしていたある日のこと、

急に母親の死が訪れた。
交通事故に巻き込まれたのだ。

昨日、電話ではあんなに元気だったのに……


オレは急いで実家に戻った。

母親の遺体の前でオレは泣き崩れた。


そこに悪魔は現れた。

「何故、お前泣いてる。」


「…………………………」

はっきり言って、そんなこと悪魔に教えてあげる気分にはなれなかった。

「何故なにも答えない。オレ怒るぞ。」


「そうだな、だがちょっとだけ待ってくれ。」


オレは自分自身の感情を落ち着かせるため、外に散歩に出掛けた。

「ここの公園は、オレが小さい頃、よく父さんと母さんに連れてきてもらったん
たんだ。
オレこの公園が好きで、休みの日には、公園に行きたがって、父さんと母さんを
困らせてたな。
オレにとっては母さんはとても大切な存在。
人間は大切な存在を失うと悲しんで泣くんだよ。」


「なるほど。
大切な存在を失うと人は泣くのか。
でもお前の母親はオレにとっては大切な存在じゃないから、よくその感情が分か
らない。
今、オレにとって大切な存在はお前だ。」














この日、一匹の悪魔が涙を流しながら満足そうに飛び立っていった。

「なるほど。これが泣くということだな。」








悪魔はあまり感情を持たない…

なぜなら悪魔だから。


だから悪魔は興味を持つのだ。

人間の持つ喜怒哀楽の感情に。(終)

コメント(19)

現代人が見習うべきですな。

感情に対して素直って大事ですね。
喜怒哀楽か…。社会に出て働いていると自分の感情を圧し殺さなくてはならない場面がたくさん!そうしないとうまく世間を渡れないし…。

こうして私も日に日に悪魔になっていくのでしょうか?
悪魔に萌えてしまった……

死んだら泣いてくれる存在があるのはきっと幸せな事です。
これって…


悪魔が主人公を殺して「泣く」ことを知ったんでしょうか?
それとも、主人公が死ぬまでそばにいて得た感情なんでしょうか?

前者なら怖いあせあせ(飛び散る汗)あせあせ(飛び散る汗)
コメントありがとうございますわーい(嬉しい顔)ぴかぴか(新しい)

二葉さん、その通りです手(グー)

悪魔の感情は人間の真似をしているだけでした。
結局、最後は『泣く』ということを真似するために大切な存在を殺してしまったということです…
コンピュータみたいですね。悪魔って。

感情もなく微妙に形の変わるのを、人間が勝手に感情移入してしまう。

悪魔と友人にでもなった気でいたら、殺されちゃった。

親切にするのが怖くなります。
悪魔のおバカ―――!
人工知能に死の不平等っていうものを認識させようとした場合、同じジレンマに立ち向うような気がしました。

科学者に読んでもらいたいかも。うん。
ああ!なるほど電球

コメント見るまでいい話だと思ってた!
ありがとうございますわーい(嬉しい顔)ぴかぴか(新しい)
捉え方次第で怖い話にも良い話にもなる…

これは思ってもない収穫でした手(グー)
ありがとうございますわーい(嬉しい顔)
なむるさん

仮面時代からの嬉しいコメントありがたしわーい(嬉しい顔)手(グー)ぴかぴか(新しい)

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