この時代フェッラーラは、都市の面積が倍増し、ピアージョ・ロセッティによって現在国立絵画館になっているディアマンテ館Palazzo dei Diamantiと考古学博物館になっているルドヴィコ・イル・モーロ館が建設された。スイスの美術史家ヤコブ・ブルックハルトはその著「イタリアルネッサンスの文化史」の中でフェッラーラをヨーロッパ最初の近代都市と定義している。彼の念頭にあったのが前述したエルコレ1世が命じたピアージョ・ロセッティによる第3次都市拡張計画だった。 ユネスコの挙げているフェッラーラの代表的な建築には、エステ城Castello Estense、スキファイノア宮殿Palazzo Schifanoia、カテドラルCattedrale、テアトロ・コムナ―レTeatro Comunaleなどがある。
ポー河のデルタ地帯 また、ポー河のデルタ地帯も世界遺産の範囲である。ここには、54000ヘクタールの広大なデルタ地帯が広がっている。ポー・デルタ公園になっていて、特殊な動物や植物などが生息している。アルプスに水源を持つポー河は、北部イタリアを横断し総延長650kmの旅をここで終えアドリア海にそそぐ。その中心であるコマッキオComacchioでは、松林、砂丘、塩田などが存在し、夏には水深1mの水の上を船で遊覧したり、道をサイクリングする人、徒歩での散策、バードウォッチングなどが盛んに行われている。この地域にゴディゴーロという人口14000人位の小さな街がある。この周辺は湿地帯で、イタリア有数の鰻の産地であるが、ここにポンポ―ザ修道院Abbazia di Pomposaがある。ベネディクト派の大きな修道院で、11世紀頃建設され、1063年にとり付けられた高さ43mの鐘楼がそそり立っている。修道院の内部は、ジョット派の絵画で美しく装飾されている。私は5年くらい前にここを訪れた事があった。高い鐘楼とロマネスク様式のバジリカが印象的だった。