イタリア世界遺産（JITRA)コミュの世界遺産への招待

世界遺産への招待

世界遺産とは何か？

我々が通常世界遺産と呼んでいる「世界遺産」とは、1972年にユネスコ総会で採択された国際条約で、正式名称は「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」の事で、人類にとって、後世に伝える価値があると認定された場所を指し、文化遺産、自然遺産、文化、自然両方の価値がある認定された複合遺産とに分類されている。その中には自然災害、環境破壊によって危機に晒されている遺産、人間の歴史上、これからあってはならない大量虐殺が行われた悲惨な場所、負の遺産と呼ばれる場所なども含まれる。2006年8月現在世界には、文化遺産644,自然遺産162、複合遺産24があり、トータルで830箇所、138カ国に分布し、世界遺産条約を締結した国は、2006年8月現在180カ国以上あり、日本は125番目の国として1992年に加盟している。現在世界遺産を一番多く保有する国はイタリアが一番で、41箇所を数え、次に多いのがスペイン39箇所、ドイツ32箇所、フランス30箇所などが続いている。

B.世界遺産リスト
UNESCOの世界遺産に登録されるためには、ユネスコの定めた登録基準に合致しているかどうかが、審査されそれを満たしている事が条件になる。文化遺産は6、自然遺産は4つの登録条件を満たしている事が必須である。以下がユネスコの定める文化遺産の定義である。

（ⅰ）人類の創造的資質を表現している傑作（シェナの歴史的地域など）

（ⅱ）ある期間を通じて、またある世界の文化圏で、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観の発展に関し、人類の重要な価値の交流を示すもの。（美術的に優れた絵画（ミケランジェロがシスティナ礼拝堂に描いた「最後の審判」など）

（ⅲ）現存しているものやまたは消滅した文化的伝統、文明に関して少なくとも特別な証拠を持っている独特なもの。（ポンペイの遺跡など）

（ⅳ）人類の歴史上重要な時代を例証する、ある様式の建造物、建築物群、技術の集積、または景観などの顕著な例（シチリア西部のヴァル・ディ・ノートや他の町に見られるバロック様式の建築など）

（ⅴ）特に、困難回復の変化の影響下で、損傷されやす状況下にある場合における、ある文化、または複数の文化）を代表する伝統的集落、または土地利用の顕著なもの。（アルベッロのトゥルッリ）。

（ⅵ）顕著な普遍的な意義のある出来事、現存の伝統、思想、信仰や芸術的、文学的作品と、直接に明白に関連する重要なもの（フィレンツェの歴史的地域）。

ユネスコの定める自然遺産の定義

（?）すぐれた自然美、自然現象が見られる地域で審美的に重要なもの。（スイスアルプスの景観が美しいユングフラウなど）

（?）地球の歴史の各主要な段階を現している重要なもので、その中には生活の記録、土地形成の発展過程を示しているもの、あるいは地質学的、地文学的に重要なものを含む。（ノルウェー西岸に分布するガイランゲルフィヨルドとオイフィヨルドは無数の河と滝、氷河など点在し、地球の変化をあらわす20億年の歴史が見られる。）

（?）生態系や動植物の進化の過程を示す重要なもので、陸上、淡水、海岸、海などの進化と発展において、進行している重要な生態学的、生物学的プロセスを示す顕著な見本となるもの。（ダーウィンが進化論を発表する動機になったガラパゴス島には、他では見られない動物が現在生息している。）

（?）絶滅の恐れのある野生の動物、植物種などの生息地で、科学的、保護的観点から見て重要で普遍的な価値を含んでいるもの。（南米ブラジルとアルゼンチンの国境に位置するイグアス国立公園では、木材の伐採などの影響　多くの貴重な動物、植物が絶滅の危機に瀕している。）

Ｅ．危機に晒されている世界遺産と負の遺産
人類の世界遺産の中には戦争や武力紛争などによって破壊されこのままでは世界遺産の価値を損なうと認定された危機に晒さている世界遺産もある。2006年8月現在ユネスコは世界で32箇所をその危機の遺産として登録している。ユネスコは、このリストに入っている場所の管轄政府に対して保護や修復のための資金提供、人材の派遣などを行っている。代表的な「危機に晒されている世界遺産」は世界三大宗教の発祥地であるエルサレムで、ここではアラブとユダヤの民族的対立が、武力抗争を起こしている。また、莫大な観光客や大規模都市開発などがあり、黄金に輝くドゥームのある美しい街エルサレムは危機に瀕している。幸いイタリアにはまだ登録された「危機に晒されている世界遺産」はないが、小さい町に300万人の人が押しかけるサン・ジミニャーノや気温の上昇などで水位が上がる高潮の被害で、ヴェネツィアのサン・マルコ広場などは水没の危険に晒されている。近い将来ヴェネツィアが「危機に晒されている世界遺産」に登録されるかもしれない。
地球には、「負の遺産」と呼ばれる世界遺産もある。世界遺産条約で、正式に定義はされていないが、人間が過去に犯した重大な過ちを、二度としないために記憶に留めておく記念物を世界遺産に認定している。代表的な例が第二次世界大戦中ポーランドのアウシュヴィッツでナチスによる100万人以上のユダヤ人の大量虐殺が行われた場所や世界で最初に原爆が投下された広島は10万人以上の人が犠牲になった。その象徴である原爆ドゥームなどが世界遺産になっている。イタリアにはこのような遺産はない。

F.世界遺産登録までの過程
世界遺産は申請すれば必ず、登録されるわけではない。ここには厳しい審査が待っている。ここでは、世界遺産誕生までのプロセスを簡単に説明しよう。
世界遺産を管轄している組織はユネスコ（UNESCO）で1945年に創設された国際連合の機関の一つで、文化、教育、科学などを通して世界の平和と人類の福祉に寄与することを目的としている。
世界遺産についていえばユネスコは、世界各国に「世界遺産条約」を締結することを推進し、条約を結んだ国には世界遺産に登録する場所を推薦するように促し、登録されたものに対しては保護するシステムが作られた。
まず世界遺産に登録されるには、当事国が世界遺産条約の締結をすることが前提で、その後その申請した場所が、その国の法律で確実に保護されている事が条件となる。それらの条件が揃ったら各自治体は、登録理由を書き、自国のユネスコの機関に申請する。国はそれを審査し「暫定リスト」を作る。この暫定リストに入らないと世界遺産には登録されない。現在イタリアは71箇所が暫定リストに入っているので、将来イタリアの世界遺産になるには国内での激しい競争に勝ち抜かなければならないので、如何に大変かわかる。その後ユネスコは、各国から提出されたリストを受理し、文化遺産はICOMOS(国際記念物遺跡会議）と自然遺産はIUCN（国際自然保護連合）で調査し、結果をユネスコ世界遺産センターに報告する。そして世界遺産委員会ビューロー会議が開催され、審議、結果が報告され、世界遺産委員会で正式に承認されてはじめて世界遺産になる。
2006年に開催された第30回の世界遺産委員会で、「今後世界遺産を持っている国も持たない国も一年に認定される世界遺産は、最大2物件までと決められ、そのうち1件は自然遺産である事が義務付けられた。そして一年に登録される件数は最大45件と規定された。

Joschua