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ザ・ヨーガ・ライフ・ソサエティコミュのわたしの初めてのインド・5

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わたしの初めてのインド・5

ハリオーム! 成瀬です。
前回に続き、「アナン・ニケータン」の生活をもう少し詳しく紹介します。
初めは、不便な生活に慣れずに辛い思いをしましたが、数日過ごすうちに、インドに着いた当時からの疲れも緊張も徐々に取れてきました。
この「アナン・ニケータン」の生活があったからこそ、その後インド中を回ることが出来たのだと思います。


●アナンタ・ニケータンの食事
「アナン・ニケータン」の食事は、ローティ(小麦粉を溶いて薄く焼いたチャパティと同じ)、野菜サラダ、チャイ程度で、いわゆるカレーはほとんど食べません。ローティにつけるバターやヨーグルトは牛乳を攪拌して自分たちで作ります。インドでは牛乳屋さんが新鮮な牛乳を定期的に持ってきてくれるのです。食べるものは質素かも知れませんが、「アナン・ニケータン」の人たちはこうして食事できることをとても感謝しているようでした。
「アナン・ニケータン」の周辺には三度の食事さえ摂れないで、過酷な肉体労働をする人が大勢います。中にはライスやチャパティに、おかずは塩ととても辛い青唐辛子数本だけという人もいて、そういう人たちの平均寿命はとても短いそうです。
周りに食事も満足に摂れない人がいるのですから、米一粒も野菜の一かけらも無駄にはできません。食事の最後はお皿に少し残った食べ残りも指でぬぐって、きれいにします。
これには食べ物を残してはもったいないということの他にも、水が貴重なので、食器を洗うのにあまり使えないという現実的な事情もあったのです。

インドでは水はたいへん貴重です。小屋の回りには先生自身が掘ったという井戸がいくつかあります。むやみに掘っても徒労に終わります。そこに育っている植物から判断して水脈のようなものをみつけるのだそうです。固い岩盤を砕き、火薬を使いながら、奥様と二人でたいへん苦労をして作ったと聞きました。そうやって掘った井戸が、小屋の回りに場所を変えて三つほどありました。
わたしが訪れた11月はインドでは乾季だったのですが、「アナン・ニケータン」に着いたその日、突然のにわか雨が降りました。前田先生は瑞兆だといって喜んでくださいました。なんだか、自分が褒められたような気持ちになってしまいました。

井戸の水面にはインドのアメンボウやゲンゴロウなのでしょうか、小さな虫が浮いたり泳いだりしています。虫が泳いでいる水なんか飲めないと思うかも知れませんが、虫が生息しているというのは飲める水の証拠なのだと教えられました。腐った水では虫も生きていられないのです。
水を汲むときは、柄にロープを結びつけたバケツを井戸の中に放り投げて汲み上げますが、乾季になると水位は低くなり、水も汲めなくなってしまいます。そうなると遠くの泉まで、水を汲みに行かなくてはなりません。頭に壷やバケツなどの容器を乗せて何十分もかけて水を汲みに行かなくてはなりません。

インドの女性たちは、頭に乗せた水を少しもこぼさず上手に歩きますが、慣れないと、せっかく汲んだ水を歩くたびに頭から被ってしまうことになります。重たい水を頭に乗せながら、姿勢をまっすぐにして歩かなくてはなりません。でこぼこ道を歩くのに、足元を見ることも出来ないのです。
そうやって集めた水を小屋の中の石でできた水槽に入れ、大切に使います。岩盤を通って湧いた水なので、ほんとうのインドのミネラル・ウォーターです。
しかも、石の水槽なので気化熱によってとても冷たく冷えています。インドの地層を長い間流れてきた「アナン・ニケータン」の水は、ほんとうに冷たくておいしいミネラル・ウォーターでした。
顔を洗ったり歯を磨いたり食器を洗ったあとの水は、小屋の回りの植物や野菜にかけます。一滴も無駄には出来ません。
インドには、カースト(ヴァルナやジャーティ)と呼ばれる身分制度のようなものがいまだ残っていますが(詳しくは『インドの叡智』などで学んでいます)、このカーストのなかで不可触民と呼ばれる最下層の人たちは、上位カーストの人たちからこの水を使わせてもらえなかったという歴史があります。暑い国インドで、水を使わせてもらえないというのは生死に関わる問題なのですが、そうやって不可触民の人たちは差別されていたのです。

●アナン・ニケータンのトイレ事情
トイレは小屋の外にあります。地面に直径6〜70センチ、深さ7〜80センチくらいの穴が掘ってあり、その穴に足を乗せられるくらいの幅の板が二本渡してあります。ご存知の方も多いと思いますが、インドでは用を足した後は紙ではなく水で処理するのが一般的です。そして、最後はシャベルで上から土をかけて終了です。まるで、「アナン・ニケータン」の生活すべてがサバイバル・ゲームのようです。
ちなみに、トイレの回りは、申し訳程度に細い棒切れを立てた囲いがありますが、隙間だらけなので、あってもなくても同じようなものです。
トイレが排泄物で一杯になると、それを掘り返し飼料として使うのだそうです。そういえば、昔の日本も水洗などなく、汲み取り式のトイレでした。しかし、それを前田先生自身がなさっているということに頭が下がります。

夜、トイレに行くときは回りが真っ暗で何も見えませんので、懐中電灯が必要です。インドの山奥なので、月が出ていない夜などは鼻をつままれても分からないくらいの真っ暗闇です。なにやら獣も出そうな雰囲気です。恐いので、ちょっとくらいの便意ならば我慢してしまいます。
実際、一、二カ月後に「アナン・ニケータン」に戻ってきたわたしは、夜、小屋のすぐ近くでトラのうなるような声を聞き、真っ青になりました。
小用のときは小屋の前に植わっているマンゴーの樹の根本にかけます。前田先生にそうしてくださいと言われたのです。飼料が不足しているので、栄養分になるのだそうです。
残念なことに時期的なこともあり、わたしたちの養分で育てたそのマンゴーは食べることができませんでした。

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