大人は伝えているか？コミュの続）少年よ、大志を抱け

　　子ども達の学力低下を心配する声が新聞を賑わしています。
それこそ、国家の一大事と言わんばかりの勢いです。すなわち学力は、
学歴はもちろん地位や財力、さらには人の幸せまで保証するものだと、
世間の誰もが考えているかのようです。　

　　しかし、高い学力があれば幸せでしょうか？　そして、
学力の低い人は不幸せなのでしょうか？

　　確かに学力は、ないよりあった方が良いでしょう。しかし、
いくら学力があっても、他人の悲しみが分からない人間で良いのでしょうか？
弱者をいたわる情を持たず、人のために尽くす喜びを知らないばかりか、
それを面倒で馬鹿くさいと思うような人間で良いのでしょうか？
トラブルに遭っても身の処し方が分からず、ごまかしたり逃げたりする
人間で良いのでしょうか？　卑怯で狡い行為をしてでも、得をしたがる
人間で良いのでしょうか？

　　新聞に目をやると、汚職・談合・捏造・隠蔽、粉飾決算やインサイダー取引、
そしてタウンミーティングでの　「やらせ発言」、さらには高校の必修科目の
履修逃れ―。それこそ、周囲に迷惑や不幸をもたらし、卑怯･卑劣と
軽蔑される連中ばかりです。しかも彼らは、まさしく高学歴で
学力のある連中ではありませんか。

　　一方、私の診療所には数多くの高齢者がやってきます。その誰もが、
明るく温厚で慎み深く、誠実で礼儀正しい人達です。しかも親切で感謝の心に満ち、
誰からも信頼され、かつ慕われています。困っている者がいれば助け、
弱い立場の者をいたわり、人を裏切らず、道に外れたことを嫌います。
すなわち、私が常々　「こういう人になりたい」　と心から尊敬し、
我が身の手本としている人達です。

　　彼らは学生時代、成績が良かったとは限りません。学歴にしても、
高校を出ていない人もいるはずです。もちろん、地位や財力に恵まれて
いない人だっているでしょう。それでも彼らは、人間として実に立派な人物で、
かつ幸せな人生を過ごしています。そして、そんな彼らこそが、この山形県を
支えてきたのです。

　　幸せの必要条件は、人としての生き方を身につけることだと思います。
それに比べれば、学力など幸せの十分条件の一つに過ぎません。

　　札幌農学校（北海道大学の前身）の初代教頭、ウィリアム・スミス・クラーク博士の
「Boys be ambitious　（少年よ、大志を抱け）」　を知らない人はいないでしょう。
真偽については諸説ありますが、この言葉には次のような続きがあることを、
私は小学校時代の恩師から教わりました。すなわち、
　
　　「少年よ、大志を抱け。お金のためではなく、自分のためでもなく、
　　　まして名声のためでもない。人として如何に在るべきか、
　　　その道を全うするために、少年よ、大志を抱け」―。

コメント(2)

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[1] mixiユーザー 07月20日 12:23

　ウィリアム・スミス・クラーク博士の言葉として有名なものに、もう１つ
「紳士たれ！」というのがあります。

　そのエピソードについては別の機会で述べるとして、「紳士たれ！」とは
「心の強さ・美しさを求めた言葉」だと理解しています。

　今の日本、心が強く美しい大人がもっと増えれば
解決する問題は沢山あります。

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