座・一座（旧山﨑千惠子一座）コミュの代表のつぶやき　第14回

日本は今、大変な時代に直面しています。
「超高齢化社会」。65歳以上の人が総人口に占める割合を“高齢化率”と言い、これが7%を超えると「高齢化社会」、14%を超えると「高齢社会」、21%を超えると「超高齢社会」と言うそうです。
そして日本は1970年に「高齢化社会」となり、1994年に「高齢社会」となっています。
しかも日本の人口は減少の一途を辿り、1億2,700万人程度で推移していたものが2020年には1億2,410万人、2030年1億1,662万人、2050年には1億人を割り込み、さらに2060年には9,000万人をも割り込みそうな勢いです。
そうすると必然的に“高齢化率”も上がるわけで、2025年には30%、2060年には40%に達すると見られています。
大変な時代です。
年金負担などもそうですが、私は実はもっと違った「超高齢社会」がすでに到来していると思います。

それは国民の総老人化。
皆さんはお気づきでしょうか？　

私は大阪市に在住ですが、大阪人の歩く速度が遅くなった事を…
かつて日本一早歩きと揶揄され、信号を待てない人種だとか、二人寄ったら漫才になるとか…
様々な点で軽蔑され、尊敬されていた大阪人の美徳の一つがスピードでした。

言葉が速い、決断が早い、動きが速い、判断が早い…即断即決の大阪人。
それが正しかろうが誤りであろうが、速い事こそが肝要であると考えて、日本の中でも特異な地位を占めていた大阪人。
地方から出て来た人はまずその速度に驚き、そしてそれに馴染んで大阪人化していく。

そうした大阪人の姿は今やほとんど見られず、老人の速度に合わせた歩き、話し、判断、決断…すべての点でスローモーションになっている現実。

お気づきでしょうか？　
最近のドラマのセリフの速度が1970年代のドラマの半分程度になっている事を…
かつて世界中の映画界に影響を与えた黒澤明監督は三船敏郎という俳優を発見した時、台詞も動きも他の俳優の3倍速い、と驚嘆したと伝えられています。
すべての俳優が三船敏郎であれば3時間の映画は1時間で収まる訳です。
現在、それが半分程度のスローモーションとなっているという事は、逆に言えば1時間のドラマが2時間必要だという事です。

ドラマが面白くないわけです。

ドラマだけではなく、発想や考え方、行動などの基準がすべて老齢化していく恐怖をお考えください。
超高齢社会の恐ろしさとはこうした若者も含めたすべての民族全体の高齢化という事なのです。

現に今ウチにいる劇団員たちも何だか落ち着いて大人びた態度をとる割には、言ってる内容が伴っていない感があります。
要するに外見が老人化している訳です。

私のような古い大阪人タイプの人間は、こうした落ち着いた若者や子供を見るとイライラ感が募ってどうしようもありません。

想像してください。
老人の速度でしか物を考えたり、判断したり、結論を出せない姿を…考えてください。

かつての文明地域、メソポタミア、エジプト、インダス、黄河が退廃していった大きな原因は、長い平和がもたらした老人社会を築き上げた結果だという事を…この文明が若い力に凌駕されていった事を…