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Tommy Guerrero に会いたいコミュのTommy Guerrero & Money Mark対談

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6月2日に代官山AIRで行われた映画『Sprout』の特別試写で、
Sprout house bandのライヴが行われました。
その翌日、トーマス・キャンベル、トミー・ゲレロ、マニー・マークの
インタビューが行われ、ボクは何回かに分けて、彼らに話を聞きました。
で、今日はトミーとマークのインタビューを書き込みます。
雑誌用のインタビューでしたが、 紙面上の都合で、
かなりの部分がカットされています。
そこでここではもっと読んでもらいたいと思いました。
もちろんフルサイズ。とても長いです。
Sprout house bandのことはもちろん、いろんなことを聞いてます。
もし、興味があったらぜひ!



●6月2日の『Sporut』特別試写の後に行われた、Sprout house bandの初めてのライヴだけど、あそこまで盛り上がるっていうのは、正直予想できた?
マニー・マーク(以下M):全然、予想してなかったよね(笑)。
トミー・ゲレロ(以下T):まったく予想外の展開だったね(笑)。全員で集まってやるのも2回目だったし。こっちもどうなるかわかんないくらいだったから……。
●ライヴ前に一緒に練習してたんじゃないの?
T:いや、全然してないよね(笑)。
M:練習なんてほとんどしてないよね。
T:してないね、前の日にはジャックも入れて、30分くらい練習したけどね。
M:そうだね、あれが初めての練習かもしれない。最初に集まったときには、ずっとレコーディングしてたし……。
T:うん、かなり長いことやってたよね。
M:だから、昨日のライヴが初ステージってことになるのかも。
T:うん、だから観てる側もびっくりしてたけど、やってるこっち側も相当びっくりしてたから……(笑)。
●『Sporut』のサントラの録音の時も、あんな感じで、かなりグルーヴ感たっぷりの演奏ができたの?
M:えーっと、ぶっちゃけ、まだ映画を観てなくてさ(笑)。サンプル盤CDを送ってもらうまで、自分がSprout house bandだってことすら知らなかったくらいだし(笑)。友達から電話がかかってきて「お前、ジャック・ジョンソンと新しくバンドを始めたんだって」って(笑)。
T:ボクもサンプル盤を受け取って、初めて自分がこのバンドにいるって知った(笑)。
M:うん、ボクはジャックとソロのツアーに出るってことは決まってたけどね。そしたら、いきなりSprout house bandだろ? “えっ、そうなの!?”って感じだったよ。
T:うん、かなり笑えた(笑)。トーマスのほうもまだバンド名とか全然考えてなかったみたいで、『Sporut』のために集まったバンドだから、とりあえずSprout house bandってことにしたみたいだけどね。だから、最初はちょっと驚いたけど、まぁ、自然といったら自然というか、スタジオでジャムったときの感覚がすごくよかったから。昨日のライヴもそうだけど、みんなが一緒に集まって自然にセッションを始める、みたいな感じだったよね。
●Sprout house bandにインスパイアされて、それが自分の作品とかに返ってきたとかはある?
M:マリオ(ジャック・ジョンソンの作品のプロデュースなどを手掛ける男)の持つサウンドがいいんだよ。マリオって、もともといい耳をしてるし、さらに機材なんかもすごくよくってさ。名器っていうのは、こちらが何もしなくてもひとりでに良い音を導き出してくれるものだからね。
●なるほど。
M:そう。あと、スタジオの中の雰囲気がもよかったし。いくら条件が整ってても、なかなかそこにいいヴァイブレーションが生まれてこないこともあるし……。その時にはもう、今日は何をやってもダメなんだって思ってあきらめるしかないね。
●トミーはどう?
T:そうだなぁ……。自分としては本当に、このメンツと一緒にできたってことだけで、すごく刺激になったけど。うん、すごいよかった。マークも言ってたけど、マリオと一緒にスタジオに入れたことだけでも感動だったし、マリオが作業する姿を初めて間近で見ることができて、音楽に対するアプローチとかすごく参考になった。それにマリオが所有してる数々の名器といわれる楽器が、自分の手に届く範囲内にあるだけでも感動だったしさ。ちょっと後ろを振り向けば、ギターからドラムからキーボードから、素晴らしい楽器が一同に並んでるんだから、まさに圧巻だよね。しかも、それを好きなように手に取って、“よし”って自分の心の準備ができた瞬間に、その場ですぐレコーディング体制に入れるんだからね。ほんと、これ以上ないくらい最高だったよ。
●今回のレコーディングのジャム・セッションは、ある程度コードを決めて、それに自分の感覚で音をみんなが重ねていったって感じなの?
T:まぁ、誰かひとりが「このコードでいくから、ついて来てよ」ってこともあったけど、だいたいはただなんとなく音を出し始めて“なるほど、そうくるか”みたいな感じで繋げてくところから始まってるね。
M:それを可能にしてくれたのは、たぶんデジタル・レコーディングのおかげだと思うんだけど……。デジタル・レコーディングだと、丸々1時間レコーディングして、そこから一番いいとこを3分間分だけ取り出すってことも可能だし……って、もしも、自分がそうしたいのならの話だけどね。だから、ジャム・セッションをしながら、レコーディングするってことも、デジタル・レコーディングを使えば、わりと気軽にできるようになったし。ただ、昔だったらそうはいかないっていうか、ジャム・セッションでレコーディングって、あんまりお勧めできる方法ではなかったね。オープン・リールでレコーディングしていくとなると、まずテープ代が高くつくって問題があるし、後からテープを聴き直して編集するのに、また膨大な時間と手間がかかるんだよね。だから、ジャム・セッションからレコーディングしていく方法って、昔は敬遠されがちだったんだけど、デジタル・レコーディングのおかげで、今では多くの人達がこの方法を使ってレコーディングしてるよ。ただ、今回、ジャム・セッションの形でレコーディングしてるっていっても、後でそんなに音に手を加えてないよ。
T:うん、ボーナス・トラックで曲を短くしたくらいで……何しろ、12分もあったし(笑)。いくら何でも長すぎると思って、短く編集していったけど。でも、あとから編集したっていったらそのくらいで、ほとんどはセッションしたままの状態になってるし。たとえば『Spanish Flowers』って曲では、ジャックがウッド・ベースで出した音がすごく良くてさ、そこからちょっとしたフレーズをジャックが弾いてって、それに合わせてボクがギターを弾いていく形で作っていった曲だし。ジャックが出した最初の音からして、すごくいいヴァイブレーションが出てたから、こっちもすぐに流れに乗ってけたって感じだね。


●サーフ・ムーヴィーのための曲だってことで、何か特別な感情というか、意識してたことはあったの? まぁ、さっき言ってたみたいに、マークはまだ映画を観てないってことだけど。
M:そうなんだけど、ただ、スタジオに入った時点でトーマスの映画のためのサントラになるって話は聞かされてたし、前に前作に当たる『the seedling』を観てたしね。だから、『the seedling』と同じでドキュメンタリーなんだろうなってことは感じてたし、それに合うサウンドなりヴァイブレーションなりを作るのが自分達の役目だろうと思ってた。ただ、基本的にボク達がやってたことはトーマスがやったことと同じことで、スタジオの中から生まれエネルギーを音の形でドキュメンタリーにしたようなもんだよね。あの日、あの場所に居合わせたことの記録というか。トーマスだって、できあがるまでどんな映画が撮れるのか予想もつかなかっただろうけど、それと同じで、ボク達もスタジオに入った時点では何が起こるのか予想もつかなかったんだよ。ふとした過ちから、世にも美しい子供が産まれることもあるっていうのと同じだよ(笑)。
●トミーはどう(笑)?
T:まぁ、トーマスとは今までにも何度も一緒に仕事をしてきたし、だから、ボクにとっては単なるサーフ・ムーヴィーっていうよりは、ある人達の人生というか、生き方そのものについての映画っていう気がしてて……。で、まぁ、トーマスはボクがどういうことをやってるのか知ってるし、ジャックやマークの作品についてもよく知ってる。だから、トーマスには、ボク達が同じようなマインドで音楽をやっていて、そこから何かしらクリエイティヴなものが生み出せるじゃないかってことがわかってたんだと思うよ。そしたらたまたま今回の映画があって、みんなを集めてサントラを作るってアイディアを思いついたんだろうね。まぁ、サーフィンについては、ボクは泳ぎもできないくらいだし(笑)、生まれてこの方サーフィンをやった経験は一度もないんだけど(笑)。だから、サーフ映画のために曲を作ってるんだって感覚はなかったね。本当に、今さっきマークが言ったように、スタジオの中で生まれるヴァイブを、トーマスのイメージをもとに記録していったって感じかな。トーマスのイメージだとか、映画自体から伝わるヴァイブレーションだとかエネルギーとか、あるいはメッセージみたいなものでもいいけど、それに力を与えていくっていうのが自分達の役目だと思ってたね。
●アメリカでも、日本でもそうだと思うけど、サーフ・ミュージックっていうと何か変な(笑)、先入観を持って聴く人がいるけれども……。
T&M:(笑)。
●それはもうサントラを作ってる段階から関係ないって感じだったのかな。
T:さすがにそれは意識しなかったね(笑)、トーマスも言ってたけど、サーフィンって言ったら即座にビーチ・ボーイズとかベンチャーズを連想するようなのって、ものすごく短絡的っていうか浅はかな考え方だと思うよ。人の趣味って、そんなにわかりやすく分類されるようなもんじゃないしね。
●実際、ボクの知ってるサーファーで、ビーチ・ボーイズやベンチャーズを聴いてる人はいないけどね(笑)。
T&M:たしかにそうだ(笑)。
●もしかして、秘密にしてるだけかもしれないけど(笑)。
M:いや、そんなサーファーいないから(笑)。ボクが断言する(笑)。要するに、便宜上のものだろ、レコード屋に“サーフ・ミュージック”のセクションを作っておけば、マーケティングしやすいってだけのことで、レコード屋に置いてある音楽は全部そうやってカテゴリーに分類される運命にあるんだよ。
●でも、実際に日本でもサーファーは、ジャム系のバンドを聴いたり、レゲエやダブとか、まぁ、いろんな音楽を聴いてるんだけどね。そういう認識は持ってたりしたの?
M:いや、全然。
T:全然、意識してなかったね。
M:というか、ジャンルとかカテゴリーとかいうこと自体、既にどうでもいいしさ。無理に分けようとするから、かえってややこしくなるんだよ。ボクが最初のアルバムの『マークズ・キーボード・リペア』を出したときなんか、もうわけがわかんないっていうかさ、レコード屋の棚に置いてある全ジャンルを網羅してるようなもんだったから(笑)。それこそ、エレクトロニカからヒップホップからポップやロックやソウルに至るまで全部の音が詰まってるから、レコード屋もどうやって売ったらいいんだってアタマ抱えてたよ。


●ボクもレコード屋のどこに行ったら、マークのCDを見つけられるのかわかんない(笑)。
T:それ、いいね(笑)。
M:ボクも“サーフ・ミュージック”なんて言葉は使いたくないし、もしかして今回の『Sporut』のサントラもレコード屋の“サーフ・ミュージック”の棚に入れられちゃうかもしれないけど、その同じ棚に、たとえばネブラスカの山奥に住む今まで一度も海を見たこともない自称サーファーによるサーフ・ミュージックだって混じってるかもしれないよ(笑)。
T:たしかに(笑)、キミが今言ったこともおもしろいんだけど、でも、何て言うかなあ……。やっぱり、ジャンルとかカテゴリーってくだらないよ。それに、ある種の人達はこういう音楽を聴く傾向にあるってことは一概に言えないと思うし、ほとんどの場合は単なる偏見だったりするんじゃないかな。ボクもダブを聴いてるけど、というか、Sprout house bandの全員がダブやジャム・バンドが好きなんだけど……。たとえば最近のジャム・バンドだったら、何がいいかなあ……。まぁ、それはいいとして、基本的には何でも聴くし、それは他の人にとっても同じだと思うんだよ。とくに日本のリスナーなんかは、それこそ節操なくいろいろ聴いてるように思えるし……。こないだもブラック・フラッグとパッツイ・クラインの両方が好きだって日本人がいたしさ。だから、この手の人達はこういう音楽を聴いてるっていうのは、作られたイメージであって、現実的にはあてはまらないような気がする。ただ単に、レコードを売りやすくするための戦略っていうか。マークが自分のアルバムについて言ってたことは、ボクのレコードについてもあてはまることで、前にレコード屋に行って自分のアルバムがエレクトロニカの棚に置かれてるのを見たときには、“ええーっ!?”って感じだったけど(笑)。“お前、本当にこのアルバムを聴いたのか?”っていう感じさ(笑)。たしかにボクはエレクトロニク系の機材は使ってるけど、それだけでエレクトロニカと言っていいのかって感じだし。たぶん、レコードを買いつけたヤツが、ボクのアルバムをどのカテゴリーに分類したらいいのかわかんなくて“いいや、エレクトロに入れとけ”って感じだったんだろうと思うけど(笑)。エレクトロ以外にも、自分のレコードがヒップホップやロックの棚に置かれてるのを見たこともあるし、レコード屋によって全然バラバラなんだ。もう毎度のことだよ(笑)……。あぁ、あと、エクスペリメンタルの棚に置かれてることもあったな(笑)。あんときはさすがに参ったなと思ったけど(笑)。
●アンビエント・セクションに置かれてることもあるでしょう。
T:そうそう“何を根拠に?”っていう感じさ(笑)。ナイロン・ストリング・ギターにブレイクを利かせただけの音が、なんでエクスペリメンタルになっちゃうんだっていうね。それって、すごく頭の悪い人の発想っていうか。あと許せないのがトリップ・ホップだの、グリッジ・ホップだのっていう、あの一連の用語!
●やたらとホップが多すぎますよね(笑)。
T:そう、いかにもマーケティング用に新しい呼び方を考えてみました、みたいなさ(笑)。ほんと、やってらんなくなるよ。
M:個人的にはトリップ・バップってジャンルが登場しないかなって思ってるんだけど(笑)。トリップ・バップならボクもそこに分類されていいな(笑)。
●いいですね、早速始めたらどう(笑)。
T:ちょっと捻りのきいたビー・バップ、みたいな感じ(笑)?
M:そう(笑)。
T:スキップ・ホップってのはどう(笑)?
●トミーのCDって、クラブ・ミュージックのジャズのところに入ってたりするけど……。
T:ボクのレコードがジャズ?
●なんか、すっごい誤解されてるなっていうか、わかんなかったらパンクの棚にでも入れとけって感じだけど。
T:でも、そしたら、そもそもジャズとは何かを定義するところから始めなくちゃいけないし(笑)。
M:ジョージ・クリントンがボクの『マークズ・キーボード・リペア』を聴いたときに、新しいセクションを設ける必要があるなってことをタワー・レコードの店員に言ったんだって……。何だっけ、そうだ、“イージーリスニング・パンクロック”だ。
T:それ、いいね(笑)、“イージーリスニング・パンクロック”って(笑)。
●オフィスでも普通に聴けそう(笑)。
M:そう、オフィスでも聴けるパンクロックっていう感じ(笑)。
●ボクもこの前、知り合いと波乗りに行くときに、買ったばかりのニュー・オーダーをかけたら「ええっ!?」って言われた。まぁ、ニュー・オーダーはちょっとメロウなところもあるけど「サーフィンやる人は、もっとアコースティックなメロウなものを聴いてるのかと思ってた』って言われた(笑)。
T:そんなもんでしょ(笑)
●“えぇっ、サーファーが“ラヴ・トライアングル”を聴くの!?”みたいな(笑)。
T:でもそれ、ちょっとかっこいいかも(笑)。
M:そうやって、サーファーのイメージを変えていかないとさっ。
●今はサーフィンの音楽とかも、かなりミクスチャーだと思うだけどね。
M:でも、それって今さらというか、ジャンルとか関係なしに音楽を聴いてる人は昔からたくさんいたしさ。メイン・ストリームが今になって、必死でそこに追いつこうとしてるってだけのことでね……。たとえば、ビースティ・ボーイズが『チェック・ユア・ヘッズ』を作ったとき、レーベル側が「なんだこれ、ミックス・テープじゃないか!」って、いちゃもんつけてきたんだけど(笑)。何しろパンクからヒップホップからジャズ風のインストゥルメンタルまでありのアルバムだからね(笑)。レコード会社の人間にしてみれば「お前ら、一体、何考えてるんだ!?」っていうわけさ(笑)。「もう1回、スタジオに戻ってアルバムを作り直してこい!」とまで言われたんだけど(笑)。要するに「それまでのビースティの路線で、丸々ヒップホップのアルバムを作ってくれ」ってことなんだろうけど、ビースティの連中は「オレ達のアルバムなんだから、オレ達の好きにさせてくれ!」って、一蹴にしてたけどね(笑)。そもそも、リスナーが求めてたのは、そういうアルバムなんだよ。結局、本当に音楽が好きな人なら、マイルス・デイヴィスもパンクもロックも全部聴いてるし、作り手のほうもジャンルなんか関係なしに作ってるんだからね。それを今さらミクスチャーとかクロスオーヴァーとか言ってるようじゃ遅いっていうか、今ではミクスチャー的なものが次世代の音楽みたいにされてるけど、でも、クロスオーヴァーとか意識してる時点でダメっていうか、それがまたひとつの定型になってるわけだからね。
●もしトーマスが次のサーフ・ムーヴィーを作るとしたら、なんとかハウス・バンドになるかわからないけど、参加するつもりはある?
T:次回作のタイトルは『TREE』だよ(笑)。
●じゃあ、そのツリー・ハウス・バンドに参加する意思はある(笑)?
T:もちろん(笑)。
M:そのときはツリー・ハウスでレコーディングしないとね(笑)。
T:うん、このメンバーでも別の人と一緒でもいいけど、やるからには全部のサントラに挑戦してみたいな。
M:それはおもしろそうかもね。
T:そっちのほうが絶対おもしろいって。作品中のいろんなモードを全体を通して伝えていくっていう。それにマークもボクもいろんなスタイルに通じてるし、場面ごとにサウンドやスタイルを変えていったりしてさ、ブラッグ・フラッグ風にしてみたりとか、いろいろやってみたりしてね。
●曲の雰囲気やスタイルは変わるけど、全部同じ人達が演奏してるって、おもしろそうですね。
T:そうそう、映画の中の世界を通して、そこからまたイメージを繋げていったりとかね。
●じゃあ、そのレコーディングは相当楽しかったんだね。
T:ボクはすっごい楽しめたけどね。
M:実は、トミーとは去年も一緒にジャム・セッションしてるんだよね。
T:そう、マークのライヴにゲストで参加してね。
M:あんとき、2,3曲くらい一緒にやったんだっけ?
T:うん、でも『Sporut』のセッションは本当に楽しかったな。マリオと一緒にできてうれしかったし、マリオのスタジオで彼が実際に作業をするところを眺めたり、関わってる人達もみんなよくて、本当にいい経験になったよ。


●トミーはこれを機にサーフィンを始めたりはしないの?
T:それはないね(笑)。
●ないですか(笑)。
T:絶対にないだろうね。これ以上痛い目に遭ってどうするっていうかさ。痛い目に遭う方法なら、他にいくらでも知ってるからさ(笑)、これ以上痛い思いはしたくないんだよ。ボクにスノボをやらないかって誘ってくる連中もいるんけど……。弟がスノボ関係の仕事をしてて、毎年春になると山に出かけてくんだよね。春だから天候もいいし、まだ少し雪も残ってて。で、毎年「来年こそ、必ず一緒に行こうな!」って言われるんだけど、冗談じゃないよ。もともと寒いのは苦手だし、年にいっぺんやるかやらないかのことでケガするかもイヤだしさ。年1回のスノボでケガして、その後、何ヶ月か棒に振るようじゃ、シャレになんないよ。
M:スカイ・ダイビングとかやってみたら?
T:全然興味ないね(笑)。何がおもしろいんだかさっぱり理解できないよ。“スカイ・ダイビング最高!”って、“何がだよ?”って感じだし。パラシュートが開かなかったら、一貫の終わりじゃん。
M:たしかに、クルマを運転してても事故に遭う可能性はあるからね(笑)。
●マークはどう? これを機にまたサーフィンをやってみたりとか。
M:そうだね、また始めてみるのもおもしろいかもしれない。ただ、今は音楽に集中してるからなあ……。でも、またやってみるのもいいかもしれないね。
●今度、スケートボード一式を送っておく(笑)?
M:わかった(笑)。
●ある日、海外から小包が届いてて、中を開けたらボード一式入ってるっていう。
M:サポーターとか、ボーダー用のパンツは入ってないの(笑)?
●それも入れておくよ(笑)。スケートしながら、都会の喧騒を録音できたりもするし。
M:いや、都会の音ってどれもこれも同じなんだよ。
●一日頑張ってレコーディングしても、結局、ザーっていうノイズしか録れなかった(笑)?
M:そうだね、クルマのエンジンの音とか、サウンドのバリエーションが限られてるね。だから、まったく同じとまでは言わないけど、どの都市もある程度似たようなサウンドであることはたしかだね。都会の喧噪だったら、むしろ自然の音のほうがバリエーション豊かだよね。いろんな鳥の声とか、動物の鳴き声とかさ。
●マークは昔ヒッピーだったんだよね。
M:大昔にね。
●そのときはやっぱり長髪?
M:いや、それもかなり大昔の話だけど。
T:今の“ヒッピーは長髪”っていうのが、まさにステレオタイプっていうんだよ(笑)。
●チーチ&チョンとかだったらどう?
T&M:(笑)。
T:うん、ストーナー系はたしかにヒッピーかもしれないけど(笑)。
●でも、肌の色の白いほうのほうが、よりステレオタイプなヒッピーって感じがするけど。
T:あぁ、チョンのほう? というか、チョンがヒッピーのイメージの原型を作ったんだろ。あとは何だろう……。『イージー・ライダー』とか?
●なるほど。でも、ヒッピーのイメージっていったら、やっぱりチーチ&チョンかなぁ。
M:それより、カルフォルニアからサンフランシスコの海岸周辺には筋金入りのヒッピーが住んでるから……。それに、ニューヨークの周辺とかね。あのへんには本物のヒッピーが住んでる。
●思春期の頃は、ヒッピーを毛嫌いしてたけど。
M:ヒッピーを毛嫌いする理由って何なんだろうね?
●ピースとか言ってるのが、とにかくウザい? 思春期って、何かに反抗したいし。
T:わかる、ボクもそんな感じだった「ファッキング・ヒッピー、ファック・ユーーーーー!!」って感じだったし(笑)。
M:おとなしく家でガールフレンドとヤッてろよっていう(笑)。
T:手のつけられない悪ガキっていうか、パンクで、しかもスケーターで「ファ――――ック、ファック・エブリシング!!」ってやってるガキに、愛だのピースだの説いたってさぁ(笑)。
M:でも、若い頃ヒッピーだったヤツは、年取って今、みんな共和党員になってるんだよ。
T:そうそう、マジでそうだよ(笑)。そんで若いときにパンクをやってた連中は……。
M:今ではピースフルな人間になってる(笑)。何事もやりすぎはよくないって。
●パンクは若い頃に思いっきり怒りや鬱憤を発散させてるから、もう十分スッキリしたって感じ? ところで、トミーはスノーボードを始める気は本当にないの?
T:いや、とにかくケガしたくないんだよ(笑)。
●たぶん、10年前には口が裂けてもそんなこと言えなかったでしょう。友達もファンもみんなスケーターで、そこで「ケガするのがイヤだから」なんて言おうものなら……。
T:そう(笑)。そこで痛みを知ってたかもね(笑)。
●ふたりはヒッピーだったりするの?
T:いや、カミさんとよく「自分達って本当はヒッピーなのかも……」ってジョークを言ってるんだけど、でも、母親とかから見ればヒッピーなのかなって。
M:ヒッピーっていうより、ボヘミアンなんだよ。
T:そう、自由な暮らしを選択してる人間ってことだよね。できるだけオーガニックな食生活をするようにしてるし、肉とか身体に悪いのは食べないようにしてる。だから、自分達としては、ただ単にクリーンな暮らしをするように心がけてるだけなんだけど、母親からすれば理解不能というか、よく「今度、マクドナルドに連れてってあげるわよ」ってからかわれるんだけど(笑)。「あんた達がいないときに、子供達にマックのハンバーガーとシェイクをお腹いっぱいになるまで食べさせてやるから」って(笑)。ボクとカミさんの主義を知った上で、そう言ってるんだけどね。ただ、母親からすれば、自分達がヒッピーと思われても不思議じゃないのかなって。ただ、ヒッピーとかじゃなくても、今の自分にできることってあると思うんだよ。たとえばほんの小さなことでも、ちょっと意識するだけでも全然違うと思うしさ。買い物をするときにも、なるべく環境に優しい商品を選んだりとかね。カミさんなんかも、できるだけ緑に近い環境で子供を育てる方法はないか、いろいろ調べてるし。それにボク達の住むノース・カルフォルニアにはオーガニックやエコロジーの思想が他の地域に比べて発展してるからね。そうした情報が手に入りやすいこともあるし。ゴミのリサイクルや分別も進んでるしね。
M:電動式のクルマを無料でチャージしてくれるサービスがあったりね。
T:そう、コミュニティぐるみでエコロジーに取り組んでるし、ボク達もそうした流れを支持してるんだ。こないだ地元のビーチで開催されたフェスに出たときも、出演料を地元のサーファー達によるカルフォルニアのビーチをきれいにするキャンペーンに寄付したし……。
M:もしかして、その金をジョイント代にあててるかもよ(笑)。もう全部吸っちゃったんじゃないの(笑)。
T:それはむしろうらやましい、って、冗談だけど(笑)。でも、公共ラジオを守ろうとかさ、そうした動きをできるだけ支持していきたいんだよ。
M:ジョイント吸いながら、ビーチでゴミ拾いしてたりして(笑)。
T:誰の金でジョイント吸ってんだっていう(笑)。うそうそ(笑)。
●昨日みんなで集まってやったのは、夢が叶ったみたいだったって、トーマスが言ってたんだけど……。
M:うん、トーマスの喜ぶ顔が見れてよかったし、トーマスの作品が多くの目に触れる機会ができてよかったよね。
T:ミュージシャンもそうだけど、映画監督ってすごく孤独なものだからね。長時間、自分ひとりで作業していかなくちゃいけないし。今だって、ボク達はホテルにひとりで泊まってるし、5千人の観客の前でプレイしたかと思えば30分後には楽屋で自分でいるひとりっていう……。映画監督にしても、撮影中は何人ものスタッフに囲まれてるけど、編集室では完全にひとりだし……。しかも、自分ひとりで何時間も戦っていかなくちゃいけないんだから……。だから、ちょっとぐらいご褒美があってもいいっていうか……。昨日のライヴはたぶん、頑張ったトーマスへのご褒美だよね。
●なるほどね。
T:でもさ、自分もそうだけど、こういう仕事をしてる人間は幸せだなあって……。音楽をやって、こうして今、キミ達とここで話ができて……。戦争とか経済問題についての話じゃなくて、自分の音楽やアートについて話ができるっていうのはさ。それは本当に恵まれてると思うよね。本当に自分達はラッキーだなって思うよ。
M:雑誌作りもたぶん同じくらいやりがいがあるんじゃないかな……。自分の好きな写真をのっけて、記事を書いて……。だから、ここにいる人達はみんなラッキーだよね。それにジャックも……。ジャックもアルバムの売上の1パーセントだっけ? を、パタゴニアの社長がやってる基金に寄付してるし。ジャックは他にもいろんな基金を支持してるみたいだしさ。そうやって、少しでも自分のやってることを仲間のために還元していけたらいいよね。

コメント(14)

スゴイ面白かったです。どうもありがとうございます。
>ちむとし
読んでもらって、こちらこそありがとうございました。
楽しいインタビューありがとうございます!
さしつかえなければ掲載誌も教えてほしいのですが…。

マークの長髪ヒッピー姿、ビーステイのプロモで見た事あります。
なんだっけな、なんか雪山で演奏してるやつ。
>ス
この対談は『EYESCREAM』という雑誌のために、
話を聞いたものです。
次号の『GQ』では、このふたりにトーマス・キャンベルも加わり、
カリフォルニアのカルチャー・シーンについて、
おかしな話を聞いています。
インタビューとても面白かったです。
しっかり大事な事を考えてるんだけど、そこに絶妙なジョークを入れてくるセンスは脱帽ですね。目指すところです。
トミーゲレロがサーフィンしないとかスカイダイビングがどうだとか話してるところの掛け合いよかったですね。
多分、このインタビューを落ち込んでる時に読むと、きっと元気になれる。気がする。
>ボブ
ありがとうございます。
元気になってもらえたら、本当にうれしいです。
愛すべき2人のインタビューでお腹いっぱいになりました!
ありがとうございます!!
>にしかわさん
長かったでしょう。
読んでもらって、ありがとうございます。
『EYESCREAM』見てましたけど、
インタビューのところは短くて。
もっと色々話してくれてたんすね。

すごい面白かったです!
>エイイチロウ
そうなんです。
紙面上だとどうしてもスペースに規制があり、
多くを掲載することができないんです。

楽しんでもらえてよかったです。
めちゃよかったです。
二人とも大好きなので。

元ヒッピーは共和党員?
これも新しいジョークですね。

GQのほうもチェックしてみます。

ありがとうございました。
はじめまして。ですが。。
>shun
楽しんでもらえてよかったです。
ふたりは、よく冗談言いあっていて、
よく笑ってるんですよね。

GQもけっこう面白い話をしてくれています。

ありがとうございます。

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