絢香にとって活動休止前の最後のシングルとなる「みんな空の下」。セカンドアルバム、『Sing to the Sky』と呼応するかのようなタイトルが示すように、これまで「空」をモチーフとした楽曲を数多く生んできた絢香の、いわば集大成とも言えるようなトーンを帯びたスケールの大きなバラードである。まるで活動休止を見据えたような曲にも思えるが、実際は二年近く前、彼女自身が「ひとりぼっち」でもがいていた頃に書かれたものだという。
「もともとは自分の友達というはっきりした対象があって、その子に向けて書いた曲だったんです。彼女が必死でがんばっている姿に心を打たれて、そこから生まれた曲だったから、リリースする予定もなかったんです。その友達にはCD−Rで渡したものの、それきりになっていて、たまたま今回CMの話をいただいたときに、この曲がそのCMテーマにもピッタリだなと思ったので、それで最終的にこうやってリリースまで決まったんです。真正面から何かと向き合って、すごくがんばっている人って、強さとともに何とも言えない大きな優しさみたいなものを持っているように感じるんですね。必死でがんばっているときにその人がふと見せる笑顔というのが、強くもあり優しくもある輝いた笑顔で。そこでハッと生まれた曲だったんです」
5、「さまざまな環境問題と向き合う時間が、この2年間でいきなり多くなったんです。それまで『環境問題ってなんか固いな、難しそう』と思って、まったく知らなかったのに、いったん知り始めたら、実はすごく自分の身近にある、自分達にも責任のあることだとわかって。はじめて知ることもたくさんあったんですけど、やっぱり結局思うのって、日々自分が大切にしているものや人をどれだけ守れるかということだったりして。そういう感情が生まれて、やっとそういう大きなものに思いを向けられるんだなと思ったからこそ、大きなことを歌うのもときには大事だけど、普段忘れてしまうぐらい当たり前の幸せを、切り取って書きたいなぁって」
2008年2月29日、日本武道館。絢香の呼びかけで、彼女と親交のあるアーティスト多数をゲストに迎えたイベント「POWER OF MUSIC」は、国際協力NGOセンター(JANIC)の協力を得て、“子供の笑顔を守りたい”というテーマのもと開催された。このイベント以外にも、テーマ性の強いイベントに積極的に参加してきた彼女が、シングル「手をつなごう」について語った言葉より。(『SWITCH』Vol.26 No.7 2008年7月号)
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「つねにどこからでも空に見られているというか、空って、自分も含めて、いま起こっているすべてを、悪いことをしている人も良いことをしている人も、何もかも上から見ている気がするんです。それを全部黙って受け入れてくれる、何よりも大きな存在だと思っていて。心強い味方みたいな感じなんですよね。だからすごく好きだし、何かを求めているときに、やっぱり空を見上げてしまうんです。私は上を向いて歌うというのも癖になっていて、ライブ会場で空が見えなくても、天井を突き破って空に届くぐらいの気持ちで歌いたいといつも思います。それは『歌を空に届けたい』という思いと同時に、『空を通じて繋がっている人に歌を届けてほしい』という思いもあって。私の歌を聴いてくれる全員に会うことはできないけれど、その人達ともどこか空を通じて繋がっていたいという思いがあって」
セカンドアルバム『Sing to the Sky』は2008年6月にリリース。このアルバムタイトルに限らず、たびたび彼女の歌に重要なモチーフとして繰り返し登場する「空」という言葉のイメージを、リリース時のインタビューで語ってくれた。この「空」に対する思いは、最新の、そして活動休止前としては最後のシングルとなる「みんな空の下」にまで繋がっていく。(『SWITCH』Vol.25 No.7 2008年7月号)