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リレー小説「起承転結」コミュの結髪亭主〜Pさんの挿絵の筋

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 「さむらいびょう?」

 私の名前は剣持守。
 至って普通のサラリーマンだ。
 今年で46になるが、今まで大きな病気などした事が無かった。
 
 しかし、最近おかしいのだ。
 
 そう、
 初めに異変を感じたのは、居間のソファーで大好きな時代劇を見ていた時だった。
 
 毎度お馴染みの展開で、バッタバッタと悪人を斬り倒していく隻眼の侍。
 毎回、私はその刀捌きを見てスッキリとするのだが、
 その日は何故か心臓がドクンドクンと高鳴り、
 有る筈も無い、腰に差した刀に手が伸びてしまったのだ。
 
 それからというもの、時代劇を見る時は勿論、
 バラエティー番組などで、安っぽいちょん髷のカツラを被った芸人を見るだけで
 鼓動が激しくなり、腰に手が伸びる程になってしまったのだ。

 
 そして事件が起こる。

 
 帰宅途中に通る商店街に『越後屋』という和菓子屋がある。
 甘い物に興味の無い私には、一切縁の無い店だったのだが、
 どうにも店の主人が悪人に見えて堪らなくなってしまい、

 「おうおうおう!越後屋よ!主の悪行三昧ぃぃぃ許せんっ!」

 私は叫びながら、見えない刀で主人を斬り付けてしまったのだ。
 幸いというか、勿論、主人には怪我は無かったのだが・・・
 
 この事件を機に、私は病院に相談に行ったのである。


 「はい。間違いなく侍病です」

 「さむらいって、お侍さんの侍?病?」

 「はい。侍病です。非常に珍しい病気で、過去に数件しか発症例がありません」

 「ほぉゎ・・・」

 私はポカーンと半開きの口で、相槌と吐息が入り混じったような声を出したが、
 慌てて気を取り直すと、

 「私はどうなってしまうのでしょうか?」

 と、医師の方へと身を乗り出した。

 「いや、安心してください。命に別状は無いんですよ。ただ・・・」

 「ただ・・・? ただ、何です、か・・・?」

 不安から恐る恐る聞く私に、

 「なにぶん発症例が少ないのでなんとも言えませんが、
  このまま症状が進行すると、発作の頻度が増えるでしょう。そして・・・」

 さらに身を乗り出して、先生の眼をじっと見つめる私。

 「ちょん髷になりますね」

 「へ?ちょんまげ?」

 「はい。髪質が変化して、自然と髪型がちょん髷になってしまうんです・・・」

 「せ、拙者が? あっ、嗚呼また! わ、私が?」

 「はい。残念ながら、今のところ特効薬もなく・・・」


 気が付くと私は、横断歩道の前で立ち尽くしていた。
 信号が何度、赤から青に変わったのだろうか。
 ぼーっと突っ立ったままの私の頭に、様々な想いが巡る。
 医師の言葉や、これからの事、人に理解されない孤独な病。

 行き交う人々や車など眼中に入らない。
 何も耳に入ってこない。
 ただ、ただ、立ち尽くす。

 が、しかし、
 
 突如、私の耳にある言葉が入ってくる。
 
 私の隣で携帯電話で喋りながら信号待ちをする、
 私と同年代くらいのサラリーマンの声だった。

 
 「ええ、そうですね。拙者の、あ、いえ、私の方から連絡しておくでござる、ゴホッ、失礼、連絡しておきます」

 
 そのサラリーマン、良く見ると髪型がちょん髷になりかけているではないか!

 (彼も侍病だ!!)

 奇跡的に仲間と出会えたような喜びが走る。

 信号が青に変わり、足早に横断歩道を渡るちょん髷サラリーマン。
 後姿を希望に満ちた目で眺めながら固まっていた私だったが、
 信号が点滅するのと同時に、彼を追いかけだした。

(鯊)
========================================================

拙者、鎧塚兵次と申す。数えで45となり申す。

時は元禄15年12月14日 (西暦1703年)巳の刻。江戸・両国のとある屋敷にて、拙者を含む赤穂四十八士が集い、密議を交わしていた。討ち入り時刻、吉良邸の見取り図、合言葉などを周知したのち、四十八士それぞれの決意を述べる段。いよいよ拙者の出番がまわってきた。

「必ずや主君の仇、吉良の首を獲り、後世に赤穂浪士の名を遺し、年末テレビ時代劇の定番コンテンツとなるべく、世間をサプライズさせようぞ!」

大石内蔵助、これを聞くや、

「お主、後半何を申した」
「え、あ、いや自分でもパニクって…いや、こ、こ混乱してまして」

「鎧塚殿、長く浅野家につかえ、このたびの無念、お主もいたく感じているであろう。ただ、今夜の失敗は絶対に許されない。討ち入り、お主の参加、見合わせてはくれないか」

「いや、しかし、同志である俺たちがトゥギャザーしてリベンジするんだっちゅー…」

言い終わらぬうちに堀部安兵衛につまみ出された。これにより吉良邸討入りメンバーは四十七人となる。

今にも雪降り出しそうな冷たい町をあてどなくさまよう。ふと、町医者の看板が目に止まる。

「みれにあむびょう?」
「安土桃山時代、織田信長の信任を得ていた宣教師、ルイスフロイスの書物によると、西暦2000年頃に使われる言葉や風俗を、なぜだかこの時代に表現してしまう病とのこと」

「拙者はどうなってしまうでござるか?」
「安心するがよい。命に別状はござらん。ただ・・・」

「ただ?」
「このまま症状が進行すると発作の頻度が増えるであろう。そして髪が茶色く染まり、おでこから頭頂、首筋にかけての中央部分を残し、左右の髪の成長は止まり・・・」

「モヒカンの茶髪?」
「ほお。300年後には、『モヒカン』と言うのか」

「治す手立てはごさらぬのか?」
「今のところはな。病と上手く付き合い生きて行くがよい」

討ち入り不参戦の無念。自分で制御できぬ言動、将来への言い知れぬ不安。浪士の皆より早くハラキリしたい心境。どうにもテンションが上がらない。テンションってなんだろう。

神仏に祈るしかないのか…拙者は隅田川のほとりをとぼとぼ歩き、浅草寺へと向かった。雷門の向こうから大きな声が。

「ユー、超まぶくね!今夜俺とクラブでオールしようぜ!!」

赤青黄緑を散りばめた極彩色の女物の着物を纏った傾奇者。髪は明るい茶色に染まり、髷はポニーテールのように垂れ下がっている。ポニーテールってなんだろう。

ともかく彼も「ミレニアム病」に違いない。天涯孤独を覚悟していた拙者に一筋の光。町娘にフラレ歩き出す彼を呼び止めねば。

「あいや待たれい!そこのヤンキー!!」

−−

私は横断歩道を駆け足で渡る。同じ「侍病」であろう彼は雑居ビルに入ろうとしている。どうにか気づいてもらわねば。声を上げる前にポケットに入っていた500円玉を、彼目掛け投げつけた。

(ごはんどん)
========================================================

私の投げた500円玉は、彼が後ろ手に閉めた雑居ビルのドアに空しく当たって転がった。
必死に転がった500円を拾って彼を追う。こんな時でも出てしまう貧乏気質が憎らしい。
曇ったガラスのビルの扉を押し開けると、ホコリだらけの階段の突き当たりに事務所らしきドアがある。そのドアが閉まるのが見えた。急いで階段を駆け上がる間にも、頭のむずがゆさが止まらない。どうやら全力でちょん髷になりかけているらしい。
ノックもせずにドアを開けると、先刻のサラリーマンが何もない部屋の片隅で、ぽつんとしゃがみこんでいた。彼の目の前にはヒビの入った鏡。それに映った彼と目が合った。

「…そなたは?」
振り向きざま、安っぽい芝居のような口調で彼が問う。頭をしきりになでているが、超高速再生の映像を見るように、彼の頭はどんどん変化を続けている。

「拙者は剣持守。見たところ同じ病とお見受け申す。」


私と、水戸と名乗ったその男は、床に体育座りで腰を据えて話をしはじめた。
「何ゆえ、このような何もないビルに入られたか」
「拙者…わたくしにもわかりかねるでござる。ただぼんやりと、何かに惹かれるように…」

水戸は答えながら頭をなでた。鏡に映った後頭部はもう完全にちょん髷になっている。私は否応なく目に入る自分の頭からも目をそらした。

「失礼な話かもしれぬが、拙者はそなたのお姿を見かけたときは観音菩薩のお導きかと思い申した。まさか仲間がいるとは」

そう言った私の言葉に答える前に、水戸は胸ポケットから珍しい煙草ケースを取り出し、その中からハイライトを一本抜き取った。

色あせた赤のようなくすんだ茶色と、まだ鮮やかさを失っていない青と黄色の糸で織られたケース。相当な年季の入ったものと思われた。水戸はゆっくりと語り始める。

「お見受けしたところ、お年も変わらぬものと見える。
…妻も子もおられる身でしょうな。気の毒極まりない。
拙者は一人身、まだそのあたりで気が楽でござる。
恥ずかしながら、つい最近まではいい年をこいて金髪のポニーテール、その上、原宿界隈でおなごの尻を追いかけまわしておりました」

ちょん髷になってはいても、どこか生真面目さを感じさせる水戸。その雰囲気と彼の話のギャップに拙者は少々違和感を感じ申した。

「しかし、今は真面目に勤めていらっしゃるようで」

「ようやく立ち直ったのでござる。20年かかりましたな。
忘れもしない、あの日、あの男のせいで…」

それまではただ人柄の良さを感じさせていた水戸の目が怪しく光った。
拙者は思わずありもしない刀に手をかける。

−−

先のナンパ男は雷門をくぐって、寺の境内へ入っていった。拙者の声は届かなかったらしい。

必死で男を追いかける間にも頭がむずがゆくてしょうがない。どうやらフルスロットルでモヒカンになりかけているようだ。

ようやく追いついたとき、男は手水を水鏡にして自分の姿を見つめていた。
「…アンタ、何?」
パツキンのポニーテールを揺らしながら男は振り向く。

「俺、鎧塚。仲間っぽい感じかなーーって思って。」

ナンパ男と拙者は手水の脇の石に腰掛ける。昼間だというのに全く参拝客が見えない。

「俺、マジ自分だけかなあって思ってたけど。ちょっと嬉しかったりしたんよね。仲間見つけた感じでさあ」

納言と名乗った男はふところからきせるを取り出し、葉を詰めた。
たばこの葉が入っていた入れ物も、着物と同じように鮮やかな赤青黄緑。思わず目を奪われる色だ。

「あんた、結構真面目そうな感じじゃね?ヨメもいるっぽいっしょ。
めっちゃかわいそうだよなあ。オレは失うもんねーから良いけど」

納言はきせるの煙をふかしながら吐き捨てるように言う。

「何であんなところでナンパなんかしてたんだよ。ニート?働けよ」

図らずも言葉が無礼な感じになってしまう。武士としてまずいっぽい。

「は?何お前KY???オレだって好きでプーなんじゃねっつの。
今こうしてふらふらしてんのは、俺のせいじゃねえの。
忘れもしない、あの日、あのヤローのせいで…」

ナンパ男の目が怪しく光った。
俺は思わず腰の刀に手をかける。

(ふらと絵梨)
========================================================

水戸五郎光は、従業員出入口で待っている。
あらかた女の子は出て行ったが、小七は一向に出てくる様子もない。
ケータイを取り出し、着信なかったか確認してみる。

♪飲みすぎたのは あなたのせいよ
マイクを片手に耳元で歌った小七の声が蘇る。
オネダリの眼差しに、表で待ってる、と合図しておいた。
ほくそえみながら煙草ケースからハイライト一本抜き取り、火をつけた。
その途端、『路上喫煙条例違反』で罰金課せられた。深夜料金一割増し。
バッキンくらい、屁でもない。バッキンもパツキンもカンケーネエ。

小雪が舞い出した。
さっき腰をくねらせ、小七の視線を捕らえようとしていた男の歌声が不意に襲ってくる。
♪おーろーかーもーのーよー
「オヒチちゃんは、この水戸しか目にはいらないのさ」
だが、小七にケータイしてみると、電源切られている。
出入口のドアはいつの間にかロックされている。
「どういうこと?愚か者は、俺か!?」
水戸は頭に来た。湯気が出た。種子島が突起し、炎と共に鉄砲玉が飛び出した。
〔シュバ、ベリズボドン〕
毛髪がチリヂリ焦げて、禿げた。月代(さかやき)になった。種子島は黒光りする刷毛になった。

後に『五郎光髷』と呼ばれるヘアスタイルの発生の瞬間を、読者のあなたは見たことになる。
「頭に血が上らなくて、男らしい」とタチマチ巷に広まった。


さて、話を戻すと、…。

辺りの気配が異様である。警鐘がけたたましく打ち鳴らされている。
折からの北風に乗って火の粉が激しい勢いで飛んでくる。
大火事だ!!
水戸は、逃げ惑う人々に逆らって火事場に急行した。表参道から荒神に抜け、下駄履き横丁目指してヒタスラ走った。
炎と煙が轟々いて夜空を真っ赤に染めている。
町火消しの親分衆、いろは四十八人が水戸を追い抜いて行った。
耳に飛び込んだ言葉が信じられない。
「火元は八尾矢だぞ〜」
八尾矢といえば小七の家以外にないではないか。
「オヒチィ、オヒチィ…、オイッチニィ、オイッチニィ…」
周りは真っ赤、頭の中は真っ白だった。真っシ暗に走った。

ふいに開いた屋敷のくぐり戸に激突して気絶した。
厳つい男が、『モヒカン髷』を庇いながら木戸から出てきた。
「五郎光じゃないか?ヘイ、アミーゴ。ウエイクアップ。ミイのウッディドアがウオータードアをプッシュした。レ・ミゼラブル。ブルブル」
水戸が目を開けると、鎧塚兵次が寝巻き姿で立っていた。
これでも、創業300年を誇る和菓子本舗『越後屋』の若旦那だ。かつて播磨の忠臣になって名を上げようとした放蕩者だった。

水戸はようやく気がついて、「兵次ぃ。大変だぞー」
「やけにストリートがドットコム。ファッツヒャプンでウオッチング」
「兵次、いいか、よく聞けよ。八尾矢が火事だ」
「ヴェジタブルストアのファイヤーアクシデントだろ?それにウインドがバッドサプライズと言いたいのだろ?」
「呑気な奴だな。火元がオヒチちゃんの家だっつーの」

大雪暴風波浪警報まで発令され火災非難勧告とシノギを削っている。火の粉が勝つか、吹雪が勝つか、という状況。

火の見櫓の上で、赤青黄緑を散りばめた女物を纏ったパツキンの『ポニーテール』が、煙管で鉦を叩いてカブいている。
出初式ばりに、纏を操って見栄を切っている。

鎧塚が、その『ポニーテール』に怒鳴った。
「ヘイ、ヤンキーの。何やってんだー。ヘブンアーティストたあ、オメエのことか?」
「ばっきゃろー」
ヤンキーの、パツキンのポニーテールの極彩色が怒鳴り返した、「オヒチを救い出さなきゃ、流れちまうぞ」
「リトルセブンガールを質草みてぇに言いやがって。兎に角、黙れってんだ」
「何を!降りてくっから、待ちやがれ。勝負つけちゃおーじゃねえか」

小七の家は大方消失し、四十八人の親分衆が野次馬の喝采を浴びて引き上げる所だった。
頭を下げる老夫婦の脇に、見覚えある男の胸で泣いている小七がいた。
その男はキモい腰つきの“♪おーろーかーもーのーよー”だったが、後頭部からキノコを生やしている。
水戸は、そ知らぬふりして小七に駆け寄った。
「心配したぜ、オヒチちゃん」
小七の髪は、『銀杏崩し』になっている。
その男が慇懃に、「お店で、オヒチとデュエットしていた方ですね」と言いやがった。
キーの高い、拍子抜けするような笑い声でしゃべる。
「先刻はどうも」
水戸は、頭を下げてしまった。日頃の律儀さがこういう場面でも出てくるから情けない。
律儀だけでは、勝ち目がない。
「わたくし、こういう者です」

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差し出す名刺を押し頂くと、楷書で、『剣持 守』と印刷してある。
「何ですか?この、名前の下に小さな活字で…、“小七の許婚”と、読めるけど…」
「分かりやすくさせて頂いております」
「なんだああァ?許婚だと?」
「オヒチの家がこうなった以上、今すぐご両親も引き取って…」

水戸は、剣持にガンを飛ばした。渋面を作って威嚇してやった。
剣持は刀のツバに手を掛けた。頭のキノコが燐光を放った。
「こりゃあ『毒キノコ髻』だ。負けた!」

雪駄の鼻緒も切れ足袋が泥濘に冷えていくのも、どこを歩いているのも、知らない。
♪ろくなもんじゃねえ…
追い払っても追いかけてくる歌声。

「ジャスト、待ってよ、プリーズ」
火の見櫓の下で、『モヒカン髷』と『ポニーテール』が囲碁を打っている。
二人とも、どこで手に入れたのか、すっぽりカイマキに包まっている。
「兵次、帰ろうぜ」
二人には水戸の弱々しい声が聞こえない。
「無理。今度こそ待てない。負けてやれない。髷結ってやれない」
「なにがムリだ。たかが囲碁だ。イゴイゴ、アミーゴ」
「空気読めねえテメエに、一手先を読め、ってんのが無理」
「パツキンのイケメンのお兄ぃさんよお。カブき者がかぶりを振っちゃイケメンぜ」
「兵次、もうその辺でいいだろ」
鎧塚がようやく気がついた。
「忘れるところだった。ウオータードア。おお、そっちのアミーゴはいったい誰?」
「フーテンの納言を知らねえのか。モグリの放蕩だな」
「アイドントノ、と来らあ。悪いな。度ケチが。オヒチちゃんは無事か?」
「最悪。『毒キノコ』にさらわれたよ」
「誰だ、そいつは?」
鎧塚に振り向くフーテンの納言の目が激しく光った。
「オメエのせいだ!待った、待ったばかしで」
鎧塚の脇差は、竹光の紛い物。抜く訳にはいかない。

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剣持守は46才。
時代劇だけが楽しみのサラリーマンである。
20年前に意中の小七を射止めた。当時から『キノコ髷』が自慢だった。
小七の髪は『銀杏崩』から『梨崩』に変わっていた。
ともかく髷を結った成人は多いから、特に可笑しいことではなかった。

ん?
やっぱり可笑しい?
そう、近頃、特に可笑しい。
二人で見合す顔と顔。幸福に満ちて笑うならまだいいが。
最近の剣持は笑いたくもないのに、大声で笑ってしまう。
一度発作を起こすと、コメカミが炎症を起こすほど続く。
腹が捩れ過ぎて、床屋の看板のような螺旋を描く。
取り付くシマがない、と“福”逃げ出すくらいだから始末が悪い。
医者に診てもらうと…。
「わらい茸病」と言う。

「わははははははははははっは」
『毒キノコ髷』が輝いている。
小七はその度に、荷物を纏めて出て行こうと思案している。

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他の3人の消息も記しておこう。

鎧塚兵次は、茶髪『モヒカン髷』も白髪になるくらい、苦労を重ねて『越後屋』の大旦那に納まっている。忠臣蔵をテーマにした創作和菓子「侍ミレニアム」の発売20周年を迎えて、繁盛している。
帰宅途中の剣持の笑い顔を、好意的に受け取っている。

仲見世通りを歩くと、華麗な口上が観光客を釘付けにしているのを目にするだろう。
フーテンの納言が極彩色の着物を纏ってテキヤをやっている。
時代物の煙管や半鐘の金物から、カツラやカンザシの頭物まで売りつけて、これも繁盛している。
トレードマークの『ポニーテール』は、今では『レインボウ・オサガリ』と呼び名が変わったものの、納言はやっぱり、カブいている。

水戸五郎光は、“八尾矢邸跡地”に、ビューティサロン「モンドコロ」を立ち上げた。
自毛の『五郎光髷』はもう流行らない。
しかし、『雁次郎』という、顔を真っ白に塗るスタイルや、『勘九郎』という、顔を真っ黒に塗るスタイルを編み出してから、一躍カリスマ美容師と持てはやされた。
定番の『志の字』や『乃の字』は無論の事、『紐字』『杓文字』『鏡文字』と、女心をくすぐる新機軸を打ち出し、セレブ御用達のサロンに成長させた。
気を引かんとする若い女性は引きも切らないが、小七以上の女性が現れない限り、独身を守るつもりである。
そして、いつか小七の髪を結ってみたいと、叶わぬ夢を見ているが、当の小七は、近所であるにも係わらず、わざわざ遠いビューティサロンに行くのである。
(P)

コメント(39)

鯊さんwrote:
      うわ〜、
      侍病っていうのと、病院行って診断されるのと、仲間に遭う、
      っていう流れのみ考えてて、あとはノープランで書き始めたら、
      2時間掛かりました・・・
      Gさん、そして皆様、遅くなってしまいました。
      すいません。
仮題ありがとうございます〜

えーと、
実はですね、
「さむらいびょう?」
のところからが本文の書き出しだったんです・・・
仮題とも取れる位置に書いてしまったので分かりづらかったですね、
すいません。
お手数ですが、
書き出しの部分の上に「さむらいびょう?」を入れて貰えますでしょうか?
ごめんなさい書き直しましたー。単純な私のコピペミスでしたー。

『越後屋』という和菓子屋!黄金色のお菓子。くるしゅうない。
さっどうやって料理しよう♪
途中経過。

拙者、サムライ言葉とか勉強中ナリ。今週末くらいまでお待ちをナリね。コロッケがたべたいナリ。
忠臣蔵と銭形平次。ほとんど見たことありませんです待てルパン。

本筋よりもサムライ&ミレニアム言葉の選択に8割以上の時間を費やしました。携帯で流行語大賞調べながら描いてたら4駅乗り過ごしました。

鯊さんの「起」にかぶせて、2つの時代がパラレルで展開するストーリー。どのように「転」でまとめていただけるか楽しみっすふらっとさんごめんなさい承がこんなに自由だとは!

仮題を変えてみました。まだ仮題なので、終わりまでにどなたか本題つけてくださいな。
500円玉当たらないんかい!完走お疲れ様でした!
「承」の段階で、現在と過去を交錯させるとこまで考えてました。あと5行も書けばばっちり交錯していたのですが、話を固めすぎるのもなあと思い、ふらとさんに丸投げました。おおまだ交錯してない。この自分の思い通りにならないのがリレーならではの醍醐味ですなあ。おもろい。

恒例の3人が寄ってたかって「起」を書き上げた、「結」泣かせのお話ですね(今まで「結」が泣かない筋なんかありませんが)
すみません遅れました。
とりあえずUPしました。修正箇所お願いします!!
のっけましたー。またなんか編集ポイントありましたら、
お声かけてくださいませー。
混乱、混乱・・・
もっと読み込まねばっ(汗

Gさんの時代交錯攻撃・・・怖いw

1枚が2枚
2枚が4枚
4枚が8枚

登場人物制限が欲しいところです(笑

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