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ジュリエット・アドベンチャーコミュのブッシュベイビー・ガール

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「ブッシュベービー・ガール」





アフリカ、ケニヤに出張に行った時のことでした。2日間、暇な時間ができてしまい、「せっかくだから観光気分を味わおう、動物サファリにでも行こうかな」と思ったのです。

しかし、土壇場での予約では通常のサファリ・ツアーは空きがありません。唯一空いていたのがサバンナの木の上に建てられたロッジに滞在して、そこのテラスから動物を観察するというタイプのツアーでした。ハンティングするチーターや駆けていくシマウマの群れなどはきっと見られないことでしょうけれど、きっと素敵な野生が見られるわ!と、そこに行くことにしました。

翌日、早朝の出発。大きなバスでサバンナに向かいました。バスの中で、ロッジのテラスから見える可能性のある動物のリストを渡されました。

何十種類もある動物の数の多さに驚き、わくわくし始めました。ゾウもライオンもサイもあります。

そしてリストの一番最後に「ブッシュベイビー」と記されていました。さて、これはいったいどんな動物なのだろう。

まさか、サバンナで生活するマサイの子供たちのことじゃないよね、なんて考えている間に到着しました。

そこは木の上というよりも、大きな木の柱の上に建てられた巨大な高床式のロッジでした。

ずいぶん建物から離れたところから高床の通路に上り、高所のコースを歩いて建物に入るようになっていました。

宿泊する部屋があり、レストラン、売店もあります。部屋からも外がもちろん見られますが、いちばんよく見える場所には大きなテラスが作られています。

私は寝室に荷物を置き、さっそく、テラスへ行きました。カフェになっていて、私は暖かいミルクティにお砂糖を少し入れ、くつろぎながら、ウォッチングを開始しました。



広い空、まぶしい光、周りには大自然。
気温は暑いけれど、からっとしていてとてもいい気分です。

大自然の真っただ中で、のんびりその自然に浸る幸せをかみしめていました。

テラスから少し離れた所に池があります。動物たちが次々、水を飲みに来る場所のようです。
ゾウとサイ。
つづけてライオン。
ライオンが去ると草食動物たちが大きい順にやってきました。
バッファロー、大型のガゼル、小型の動物たち。
ここは動物界で強い順に集まるのかな、なんて思ったりしました。あとから聞いたところ、水に惹かれるだけでなく、泥に塩が含まれており、貴重な塩分補給地にもなっている場所なのだそうです。



ゾウを観察して特に興味深かったのは親子です。大勢の大人のゾウの中に子供のゾウが紛れ込んでガヤガヤと茂みから現れてやってきたのですが、私が見ても、「この子供のゾウのお母さんはきっと、このゾウだな」って見当がつくほど親子が似ているのです。やってくる時は親子ばらばらであっても、いざ水を飲む時はそっくりの大きいゾウと小さいゾウが並び、子供はその親ゾウにまとわりつきじゃれるのです。ゾウの世界でも親子って似るんですね。

もうひとつ、「子供が危ないことをしたら親はペシッとたたいて叱る」という、人間と似た行動も発見してくすっと笑ってしまいました。

それはゾウの群れがまとまって夢中で水を飲んでいた時のことでした。池の反対側に一頭のサイが現れました。とたんに、さりげなくですが、群れ全体がそこから離れるように岸辺に立つ位置をずらしていったのです。「まあ、ゾウはサイを避けるんだわ。サイはゾウでも怖い存在なのかしら」なんて思っていた時です。

一匹の子ゾウがサイに気づき、好奇心からでしょうか、群れを離れ、サイの方へテクテク歩きだしたのです。お母さんは子供がいないことに気づくと、辺りを急いで見回し、サイの方へ向かっている子ゾウを見つけるとあわてて追いかけます。追いつくといきなり鼻で、パシッと子ゾウをひっぱたきました。そして続けて鼻で子ゾウの向きを変えさせ、母ゾウは何か声を出しながら子供を連れて群れの方へ戻って行きました。お母さんはどの世界でも同じですね!子育ては厳しく、愛の鞭が必要なんですね。胸がキュンとしました。



このテラスにいると全く飽きません。


私はゆっくりお茶を飲みながら、双眼鏡を手に観察に夢中になっていました。

と、突然、私のテーブルにぴょこんと小さな生き物が飛びのってきたのです。手の平より小さい動物です。手をグーにした時の大きさほどの生き物。体に尻尾が生えています。大きな目をした、リスなのか、サルなのか、良くわからないような生き物です。色は濃い茶色。

その小動物はティーポットから注ぎすぎてテーブルに僅かこぼれた紅茶を舐め始めました。小さいピンクの舌がぺろぺろ、ぺろぺろ。とてもかわいい!

おなかをすかせているかもしれない。私はあわてて、自室に戻り、ロッジに来る途中に立ち寄った市場で買ったミニ・バナナを持ってテラスに戻りました。

でも戻るとその姿は消えていました。



私はバナナを剥いて、半分に切って、手に持って、じっと待ってみることにしました。どれ位してからでしょう、目の前にそのチビちゃんが現れたのです。

そしてすぐに、その小さい手を私の手の上に置き、私が持つバナナをパクパクかじり始めました。


おおおおおー。野生の動物が目の前で、私におびえることなく、信頼を寄せて食べています!

その小さい手は少しひやっとした感触で安心しきった感じで私の手の上に乗っています!

ぽくぽく。

もちろん、観光客たちに慣れているのでしょうが・・・

あまりにも小さく、愛らしいその姿に、そしてあどけない動作がかわいらしく、私はドキドキ!

すると、もう一匹が現れました。残りの半分のバナナをもう一方の手で差し出すと、パッと前足(手)を私の手に乗せて、寄りかかるようにしてバナナをかじって食べ始めたのです。

私はハッピ〜 !

すると、どこからか「ワオー!ザッツァ・ブッシュベイビー!」というアメリカ人らしき男性の叫び声が聞こえてきました。

男は近づき、英語で「確かにブッシュベイビーだ!」と感嘆しています。「なるほどこの動物がブッシュベービーなのね!」私は初めて知りました。

男性の友人、連れのカップルもやってきて、合わせて3人は私のそばに座り、バナナを食べる「ブッシュベービーたち」を静かに見守りました。

2匹のブッシュ・ベイビーは半分のバナナを食べ終えてもまだほしそうにしていましたので、また新しく半分ずつ差し上げます。すると、またかじり始め、二匹ともほとんど同時に、そのおよそその半分を食べたタイミングでで、「もう、おなかいっぱい!」という表情で動きが止まり、そして同時にさっと去ってしまったのです。

私たち4人は一緒に大声で笑ってしまいました。



これが私とブッシュベービーの出会いです。このツアーは一泊二日。二日目の昼過ぎには首都ナイロビに戻るという大変短いプチ・バカンスでしたが、中身は想像以上に楽しい思い出を残してくれました。



このバカンスが終わったそのしばらく後におまけの出来事が私を待っているなど、全く予想もしていませんでした。

私はナイロビに戻り仕事を続けました。その一週間後、パリ経由で帰国する日が訪れました。

夕方出発の便でしたが、トランジットルームに入ってからアナウンスがあり、飛行機は数時間遅れる模様で搭乗客はただ待つようにという指示でした。私は長い廊下のような待合室の一番奥の椅子に座り、持参していた本を読み始めました。

どれくらい時間がたったのでしょうか。突然、ただっぴろい待合室の遠く、向こうのほうで、誰かが大きな声を出しているのに気づきました。

何が起きたのかな、ふと、頭をあげて、耳を傾けると、最初は聞き取れなかった言葉がやがて「ヘーイ、ブッシュベイビー・ガール!!!」というように聞こえてきたのです。

「変なの、ブッシュベイビー・ガールって。」ずいぶん変わった人の呼び方をする人もいるのね、と思いながらも、私はまた、そのまま読書に戻りました。

すると、「へーイ、ブッシュベイビー・ガール!!!!ヘイ、ユー!!!!」声が大きく、近くなってきています。



「ええっ?もしかして、私〜????」

もしかしてあの時のアメリカ人の男性???

と、よく見ると、その通りです。テラスで出会った男性がニコニコ、私のほうへと歩いてきます。ずっと叫んでいたので、待合室の客みんなの注目の的です。

いったい誰をそう呼んでいるのだろうか、誰もが気にして見ています。

ありゃりゃりゃりゃ〜

そして彼は私のまん前まで来て、満面の笑みで英語で「ハイ!また会えたね、ブッシュベイビー・ガール!」 手を差し出しました。

同時に部屋中からざわ〜っとささやき声が響いてきました。

顔が真っ赤になっている私の横に彼は腰かけ、うれしそうに、「飛行機は深夜になりそうだから、一緒にいさせてね」と言い出し、そこから次々ジョークを飛ばし、私を笑わせ、笑わせ、長いはずの待ち時間があっという間に過ぎてしまったのです。

午前一時。やっと乗るはずの飛行機が到着し、整備され、搭乗することになりました。「もう眠いので、きっとパリに着くまでお別れね」といいながら搭乗の列に並びました。機内では私が彼の前を歩き、自分の席を先に見つけたので座ろうとすると、彼はにこにこして私の隣に座ってしまいました。「だめよ〜、みんなそれぞれ指定席があるんだから」と追い返そうとしたのですが、なんと彼は本当に私の横の席が記されているボーディング・パスを持っていたのです。びっくりです。そして友人のカップルも追いついてきて、私たちの前の2席に座り、この偶然が本当なのだということが判明しました。

まったく、こんな3度も出会うなんて、本当に不思議!


私たちは楽しいおしゃべりを続けました。

彼はニューヨークで働く医者でジョンという名前の男性でした。同行している男性は彼の親友でIT関係の仕事で大儲けをしたので、お祝いにと、その恋人と彼を誘い、憧れだったアフリカ・サファリに来たのだということでした。3人でのアフリカの旅は素晴らしかったらしく、うれしそうに思い出話をしてくれました。

やっと飛行機が飛び立ち、客人たちの疲れも出て、多くが眠ってしまっても、彼と私の笑い声が絶えることなく、ささやきながらでしたが、いつまでもおしゃべりを続けていました。


そんな時です。客室アナウンスがフランス語で流れました。そのフライトはフランスの航空会社の運行でしたので、フランス語だったのです。私はその内容を聞いてたいへん驚きました。しかし続けてあるべきの英語のアナウンスがありません。ジョンのおしゃべりを差し止め、彼に言いました。

「あなた、お医者さんでしょ。すぐに機長さんのところに行かないと!」「緊急に医師を探しているってアナウンスなのよ!!!!」

彼は「ウソならおしおきだぞ!」と笑いながら、半信半疑で立ち上がり、私にウィンクを送りながらコックピットに向かいました。

それは機内に重病人が出たためのアナウンスで、ジョンははその患者に適切な処置を施し、空港に到着して緊急入院するまでの命をつないだのです。
彼は、戻ってきて、私に起きたことを説明してくれ、「ブッシュベービーガールに感謝だな!人助けができたんだからね!」と笑って言いました。

なんて偶然がこんなに重なるのでしょう。まったく不思議です。


そして機長が私たちの席に現れ、マグナムサイズのシャンパンボトルをプレゼントしてきました。私はアメリカ人医師の恋人と勘違いされ、「素晴らしい彼氏ですよ」「いい治療してくれて本当に助かりました!」とご機嫌です。

本当は一人のアメリカ人医師と私(ブッシュベービー・ガール?)の偶然の出会いでしかないのですが。。。。


私たちはシャンパン・グラスを交わし、くすくす笑いつづけ、パリに到着するまで甘い時間を過ごしました。

そしてパリの空港に到着。 別れ際、彼は耳元にこうささやきました。

「またね、ブッシュベイビー・ガール」






彼とはその後、再会していません。でも私の中で楽しいような、くすぐったいような、少しときめくようで不思議なブッシュベービー・ガールだったひと時の大切な思い出なのです。


コメント(5)

なんかアーウィン・ショーの短篇みたいな話ですね。
素敵な出会いを用意してくれたのはバナナをご馳走になったブッシュベビーのお礼だったのかもしれませんな。


国際線の飛行機にも何度か乗ってますが未だに…

ご搭乗のお客様の中にお医者さまはいらっしゃいませんか?

と、言うアナウスは聞いたコトがありません。
カフェで暖かい飲み物を飲みながら水を飲みに来るサヴァンナの動物達を眺められるなんて素晴らしいですね。
旅の途中で同じ人に何度も出会うってことはよくあります。
旅は道連れ、世は情けですよね。。
旅先の恋も良いものですね。
旅の恥は掻き捨てれば良いですからね。。うまい!
いやいや、楽しいお話でした。
続きを期待していますよ。指でOK
●沙羅パパ さんへ
おおおお!「アーウィン・ショーの短篇」に比較されて光栄です。なるほど、ブッシュベービーからご馳走のお礼のマジックだったのかな、そう考えたことありませんでしたが、納得!そして「ご搭乗のお客様の中にお医者さまはいらっしゃいませんか?」そう!!!そうです、まるで映画みたいでした。映画の世界でしかありえないこの名文句、ついに聞くことができたのです。しかも、お医者さんは横に座っている!もう、ヒロイン気分でした〜。

●ひまじんさんへ
カフェのサファリ、確かに今思えばシックですね。この旅は恋までたどり着かない、そのプロローグで終わりました。恋の真似事を数分間楽しんだってかんじかな。むふふふふ。これからのお話、楽しんでくださいませ。
 野生動物にえさ与えては、いけません。(ヾ(--;)ぉぃぉぃって、ソコかい!)
 といいながらも、無論私もクルーガーでリスにえさやりました。ヾ(_ _。)ハンセイ…
 なかなかいい出会いでしたねえ。。
 私も、一昨年の帰国の際、素敵なドイツ人の女の子いあ。。女性と言った方がいいのか、席が隣どおりになった。
 私のつたない英語を、ちゃんと聞いてくれたいい子だった。うんうん!(^-^)
 よくよく聞いてみると、その子はモデルの卵。
 今頃どうなった事やら・・・。
 Σ('=';) ハッ!! 逸脱しました。。。ぺこ <(_ _)>
●South Blue さんへ
旅って自分がちょっと特別な人って気分にさせてくれますね。

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