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小説を書いて読んで楽しもうッ!コミュの女王降臨、ソノ名は『テディ』! 前編

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サラがタカを探す中、あちらもどうやら闘いは終わったらしく、
彼が敵の女性に膝枕らしきモノをされている姿が見える。
そんな姿に呆れつつ、タカが無事な事にサラから安堵の溜息が洩れた。


「…ハァ…何やってんだか…まぁ生きてるみたいだから良しとするなり。
 後はイヴなりね……プレリ、ちょっとソレを貸すなり。」


「キュピーッ!」


「ホイッ!」


イヴが入った球を手渡されると、サラは空かさずディスペル【解除魔法】を使い、
彼女に掛かった魔法を解く。


ポンッ!…フラァ…ドサッ!


開放の身になったのはイイが、やはりイヴは気を失っているらしく、
自由落下で下降して来る彼女は、無惨にもサラの上にそのまま覆い被さってきた。


づんっ!


「ゥギャァッ!んがぎぎぎぎ…お、重いなりぃぃッ!」


ジタバタジタバタッ!


鋼鉄のボディの下に組み敷かれ暴れていると、イヴは漸く目を覚まし、
もがき苦しむサラの存在に気付いた。


「ンン…ア、アレ?…アッ!ゴメンナサイ サラさんッ!!」


「は、早ぐ退ぐな”り”〜死む”〜ッ!」


ジタバタジタバタッ!


『いつもより多く暴れてま〜す』と、言わんばかりに、手足をバタつかせ必死の形相でもがくサラ。
真っ赤な顔で暴れるソノ姿は、お歳頃の男性には見せられないモノだった…。

…やがてイヴもサラの上から降りて一息付くと、申し訳無さそうに俯きながら謝罪する。


「ヨイショ…ット…失礼シマシタ…。」


「フゥゥ〜死ぬかと思ったなりよ〜。」


「…アノ…私ソンナニ重カッタデスカ?」


「う〜ん…女の子に言うのは、ちょっと酷かもしれないけど、
 ボディが金属だけあって、やっぱり重いなりよ…。」


ズッガガ〜〜〜〜ン……


特大効果音付きショックを受け、アンドロイドながらもイヴは固く決意した…『ダイエットしよう』と…。


パァーーーーーーーーーー…


…数十分後


プヨが放つ暖かな光が消えた時には、タカの体は ほぼ完治していた。


「…ふぅ、これでもう大丈夫ね…右眼の傷は残っちゃったけど、
 まぁ見える様にはなってるでしょ…ハァ〜…流石に疲れたわ……。」


死ぬ一歩手前から全快に近い状態にまで癒すのには、膨大な魔力が要求され、
彼女の体に予想もつかぬ疲労が代償として襲い掛かる。
しかし例え、この行為が自分にとって重大なmissだったとしても、
プヨに後悔の念はこれっぽっちも無い、寧ろ喜んで受け入れよう。


「…何やってんだろ…私……。」


自らタカを傷付け、そして癒す…少し前なら考えられない事だった。
一度 敵と見なしたら赤子でも顔色一つ変えず殺せた筈なのに
どんな心境の変化かこの漢、タカを殺す事は出来ず助けてしまった。
しかも安らかに眠るその寝顔を見ているだけで…顔が、心が熱くなるのが判る。


「(……多分これが…人を好きになる……って事なのかしら…?)」


キョロキョロ…


初恋故の好奇心か、少し大胆な行動を取ろうとするプヨ。
何も知らず眠るタカの口元へ、序々に近づいてゆく…。


「……ちょっと位イイかな?興味あるし…ご、御褒美よね?」


ゆっくり…ゆっくりとタカの顔に近づく唇…。


あと5cm…4cm…3・2・1…


「ア〜〜〜、ン〜〜〜、コホン…。」


シュバッッッ!!


近づくスピードの百倍は速かろうと思う身のこなしで、最初のスタート地点に戻り、
声のした方向に首がもげそうな勢いで振り返るプヨ。
するとそこには、非常〜〜に気まずい場面に遭遇した顔つきのイヴと、
好奇心剥き出し120%状態のサラがこちらを見ていた。


「…なんて、お約束なの……ハァ」

片手で顔を多い、この鉄板とも言える状況に辟易とした溜息を吐くプヨ、
そこにサラが堰を切った様に、彼女の傍らで催促してくる。


「ネッネッネッ!続きはしないなりか?ほらっ早くするなりッ!」


「…サラさん…ソンナ両手ヲ口元ニ寄セ『ワクワクドキドキモード』デ、
 尚且ツ超至近距離デ言ワレタラ、シタクテモ出来マセンヨ…。」


「んぢゃ、こーするなり♪」


するとサラは即座に両手で顔を覆ったが、
良く見ると彼女の瞳は指の隙間からしっかりとコチラを覗いていた…。
それを見た瞬間イヴの顔にピキマークが走る。


「…言葉ガ悪カッタ様デスネ…今コノ状況デ何ガアロウト、
 サラさんガ期待シテイルヨーナ事ハ絶ッッ対ニ起キマセンッ!」


「え〜〜ッ!つまんないなりぃ〜!」


地団駄を踏むサラ、それを宥めるイヴの姿は若い母親を連想させる。


「詰マラナカッタラ、ティッシュデモ鼻ニ詰メテテ下サイッ!
 何ト言ワレヨウト無理ナモノハ無理デスッ!ネェッ?」


「えッ?あ…うん…。」


二人の勢いにすっかり飲み込まれ、毒気を抜かれたプヨだったが、
寝ているタカの顔へもぅ一度視線を落とすと、優しい口調で二人を嗜めた。


「…ねぇ…彼が起きるまで静かにしてくれないかしら?」


ピタッ!…シーーーーーン…


今まで、あーでもない、こーでもないと喧々囂々【けんけんごうごう】の二人だったが、
プヨの思いもよらぬ言葉に、目を丸くしながら揃って口を塞ぐ。


「(ねぇねぇ?一体何があったなりか?)」


「(…サァ?私ニハ解リ兼ネマス…。)」


ヒソヒソ声で話しているつもりなのか、二人は身を屈め、プヨの様子をチラチラと伺っている。


「…全部聞こえているわよ…もぅ…。」


ソレを見て最早怒る気も失せたのか、溜息混じりに肩を落とすプヨ、
先程迄対立していた事など、既にどーでも良くなっている。
そして二人も流石にソコまで呆れられては自重せざるを得なく、揃って頭を書く姿は、
バツの悪さを物語っていた。


「あちゃ、失敗なり…テヘヘ♪」


「…アハハハ。」


乾いた笑いで冷え切った場を取り繕おうとしたが、ふと空中に浮かぶ かへおれの姿が目に入る。
二人ともさっきの光景を見てから、彼の事など既に頭から消え失せていたらしく、
何とも難しい表情で上を見上げ、正直に白状した。


「…あ”…忘れてたなり…。」


「………ハイ。」


やれやれと言わんばかりのゼスチャーを見せ、
プヨは空中の かへおれを支える呪縛を解こうとしたが――


「お待ちなさい…プヨ。」


するとそこに今まで聞いた事の無い、凛とした声が辺りの空間に木霊した。
突如 聞こえた声にサラが逸早く反応し、周囲を見回す。


「にゅッ!誰なりッ!?」


フゥォン…


やがて何かがブレる様な音が彼女等の耳に響き、
かへおれ付近の空間が歪むと三人の魔族が姿を現す。


「……アッ、かへおれサンノ隣デスッ!…エッ!?リツさん?」


「あッ!さっきのハッチーとか、ゆー奴なりッ!」


空中に浮かびながら優雅に一礼するリツ、
のらりくらりとした彼の佇まいは、相変わらず掴み処が無い。


「…先程ぶりですね、フロイライン達。」


「にゅ!?何であの女が生きてるなりッ!」


サラの声を聞いた途端、リツの影に隠れ、身体を震わせながら怯えてるハッチーの代わりに、
激昂するサラを刺激しない様、彼は言葉を選んで答えた。


「あぁ…実はココに居るハッチーは私の彼女でしてね…。
 実はアノ時、二人の闘いを邪魔しない様、別空間で拝見していたのですが、
 貴方が最後に放った魔法をあのまま放っておくと、
 幾らハッチーと言えど死ぬ状況でしたので助け出したのです。
 …少々決闘に於ける礼儀作法に欠けるとは思いましたが、どうか許して下さい。
 私も最愛の彼女を殺されて、冷静でいられるとは限りませんからねぇ…。
 いやぁそれにしても、まさか禁呪を使用するとは夢にも思いませんでしたよ。
 流石は『時の眷属』…と言った処ですか…さぁハッチー…貴方も謝りなさい。
 後先省みず攻撃を仕掛けたのは君なのですからね。」


「……ピィ…ごめんなさぃ…もうしません………怖かったよぉぉおぉッ!びぇ〜んッ!」


滝涙ダクダク・体ブルブルのハッチーは、今ではすっかりショげてしまい、
嗜めるリツに抱きついて、子供の様に泣き叫んでいた。
サラはそんな彼女を冷たくあしらうと、隣にいる女性に興味を向け子供ならではの問題発言をする。


「……フン!まぁどーでもいいなり…ん〜で、その隣の『オバチャン』は誰なりか?」


ピキィィィッッ!!!


何処からとも無く、破滅の音が聞こえた気がした…、
恐らくはかへおれの隣に立っている女性の方から、発せられたと考えられる。
良く見るとソノ女性は、濡れ烏【からす】の様な長い黒髪を綺麗に結い上げ、
長いまつげを携えた瞳には、絶えずニコニコと微笑み浮かべており、
赤い口紅を塗った口元にある黒子【ほくろ】が、大人の色気を醸し出している。
そして何と言っても、特筆すべきはその胸の大きさッ!!
まるで特大のメロンをヤケクソ気味に突っ込んだかの様な膨らみが、
シンプルなドレスの中から零れ落ちそうに見える。
そんな『でんじゃらすないすばでぃ』美人だが、よーーっく見るとさっき放ったサラの言葉により、
右上こめかみに極最小のピキマークが、『ココ注目』と言わんばかりに矢印付きで見える。

…ドス黒い不安がリツの胸を蝕む…。


「…………」


ヴゥンッ


再び羽虫が飛び立つ様な音が響いたかと思うと、
タカとプヨを除いた5人が強制的に空間を転移させられた。
如何やらサラ達が移動した場所は二人から離れた所らしく、辺りには木々や川が見え、
何気なく空を見上ると既に夕日は落ちており、時刻は逢魔が刻【おうまがとき】を指している。


「ほえ?ココ何処なりか??」


あどけない顔して周囲をキョロキョロと見ていたサラだったが、
ふと正面から刺すような視線を感じた。
にこやかに微笑む女性…何故かサラの事を見つめている。
不審に思った彼女が首を傾げ尋ねた…ダメ出し付きで…。


「にゅ?どうしたなり?『オバちゃん』??」


ブチッィィィィィィィ!!!!


その音を聞いた途端、リツの顔が真っ青を超えて黒く変色する。
頭にハテナマークを浮かべた侭、正面の女性と向き合うサラ、
罪悪感などコレっぽちもないのが、更に状況を悪化させる。


フッ…


不意に美女が消えたかと思うと突如サラの目の前に現れ、
不思議そうに見ている彼女の耳を、力の限り強く引っ張った。


「…うふふ…お姉さんでしょ?お・ね・え・さ・ん♪」


ぎゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ〜


まるでサザ@さんの1シーン宛ら【さながら】、惨たらしい光景が繰り広げられ、
抵抗する事も忘れる位の激しい激痛がサラの耳を襲う…。


「あだだだだだだッ!痛いなりッ痛いなりッッ!お姉さんッ!!!」


パッ!


「ぎゃんッ!!」


沫や後もう少しで体が浮く処まで引っ張られたが、
急に離された為、そのまま尻餅をついてしまうサラ…ソノ瞳には溢れんばかりに涙が溜まっていた。


「うん♪宜しい〜♪イイ子、イイ子〜♪」


なでなで…なでなで…


激痛から漸く開放されたが ふとした油断から口が滑り、又もや『禁句』を言いそうになる。


「あぅ〜誰なり、このオバ――」


ギランッ!!!


すると今まで閉じていた彼女の瞳が開き、凄まじい殺気と共に睨まれる。
サラは原始的直感で『狩られるッ!』と感じ取り、即座に前言撤回した。


「ゲフンゲフンッ…お、お姉さんは?」


すると皆が注目する中、彼女は頤【おとがい】に指をあてながら可愛く首を傾げ、
トンでもない事を言い出した。


「え〜と私ぃ?私はソコに居る方の妻ですの♪をほほほほ☆」


スッと持ち上げた指先は、見間違う事無く真っ直ぐ かへおれの事を指していた。


「…………ゑ”?」


「……………エ”?」


イブとサラは同時に互いの顔を見合わせ、今彼女が言った言葉を反芻する。
しかし脳が酷い反発を起こし、中々理解しようとしない。


「ですから今さっき言ったでしょ?妻なの奥サンなのワ・イ・フなの♪」


呆れたリツが見るに見兼ね、やり場の無い天然ボケに突っ込みを入れる。
あのまま居ては騒がしくなる事を見越して、プヨとタカに気を配り、
ココにさり気無く転移したまでは流石と思ったが、
やはり『この人』はこ〜ゆ〜人だという事を、改めて認識せざるを得ない。


「…ふぅ……『アスタロト公爵婦人』?二人が固まっていますが…。」


「あらあら、まぁまぁどーしましょ〜。」


さして大変そうな素振りには見えないが、微妙に彼女の柳眉が下がっており、
口元もややへの字に結ばれている。
恐らくは是が彼女にとって精一杯の困った顔なのだろう。
そんな光景を前にリツは溜め息を一つ吐き、諦め様としたが、
ふと何気無く後方を見遣ると、ハッチーの姿が点線つきで消えている事に気付く。
不審に思った彼が辺りを見渡すと『ほっかむりハッチー』が、
丁度 何処かへ移動しようとしている所だった。


「…抜き足…差し足…忍び足…こそこそ…いぢめっ子が固まってる隙に…。
 さて、ここまで来ればOKかな?…それぢゃぁちょっとプヨちゃんの所に行ってくんねぇ〜♪」


「…余り邪魔をしてはイケませんよ?」


「ハァ〜イ♪もぉ〜リッちゃんは心配性なんだからぁ〜アハハハ。」


バビューーーーーーーーーンッ!


「……それだから心配なのです。」


憂いを帯びたリツの独り言虚しく、ハッチーはプヨの元へと飛んでいった。
そんなハッチーの事などまるで気にせず、アスタロトと呼ばれた女性は長く結い上げた髪を掻き揚げ、衣装の上からでもハッキリと解る『爆乳』の下に組んだ腕を敷く。


「それはそーとアナタ…いつまで狸寝入りをしているのかしら?」


にこやかな瞳の隙間から、優しい言葉とは裏腹な温度の冷めた目が少し見える。
一方かへおれの方は…


…シーン…返事が無い…只の屍の様だ…。


「あら?まだシラを切るつもり?私にはとっくにバレてるのよ…エィ♪」


ボシュンッ!


掛け声こそはメチャクチャ可愛いが、掌から出た火球は、
裕に10mを超え、とてつもなく可愛くない。


グォォオオォォーーーッ!


凄まじい熱量を帯び、真っ直ぐ彼に向かって飛来する紅蓮の火球。
あと少しで当たるッ!と、思ったその時――


バシューーーーーッ!!


火球は何者かの力により、跡形も無く霧散してしまった。


「ドアホォォォッ!な、何すんねんッ『テディ子』ォッ!」

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