ESDとは・・・Education For Sustainable Development 持続可能な開発
タイのメーピン川カリキュラムによるESDの実践
チェンマイの事例 水のサイクルを理解することが、水へのESD タイ・・・雨季は3−4ヶ月のみ(非常に大事) ピン川は地域の文化と根付いていて、昔は周囲の自然も豊かだったため、一年中豊かな川だった。特に昔は、大雨が降っても、何日かして洪水が起きたため、あらかじめ大雨が降ればいつ洪水が来るか予測して避難可能であったが、最近は、水系の適切な計画・管理・運営の欠如、環境への配慮のない土木計画、分水界の荒廃を引き起こす山間部での森林破壊、大規模な土壌浸食、河道への土砂の堆積といった問題により洪水がすぐに起こるようになってしまった。また、気候変動、不適切な土地利用、水質汚濁の原因となる排水の流入、河の不法な占有といった問題もある。川の不法な占有とは、川に土砂その他を捨てる、あるいは、シルテーションという現象を引き起こす水性植物を植える、といった川を私物化する行為を指す。 そのため、ピン川とその環境を守らねばならない、と地元の住民が立ち上がった。1993年に「ピン川流域とその環境を守るための調整委員会」(The Coordinating Committee for the Protection of the Pin River Basin and Environment, CCPE)が組織された。 メンバーはボランティアで、学者、教師、学生、僧侶、市民で構成されている。短期・長期両方の目標に対して、多くのプログラムが実践されている。 河川の問題を解決するためには、まず、一般の人々の意識を向上させなければならない。CCPEは、マスメディアも巻き込んで、街や地域の行政職員、若者、教師、政府の部局、市民団体など、地元住民の力を結集するためのプログラムを実施し、それによって人々の環境の意識を高め、さらなる行動につなげていこうとしている。川や水が生活にとっていかに大切かわかってもらうために、対話セミナーを開いて情報を提供する、自然保護キャンプや教育と意識向上のためのキャンペーンを実施する、川の監視ネットワークを立ち上げるなど、多彩な活動を行っている。 また、この活動においてもっとも重要なターゲットグループのひとつが子供と若者であり、彼らには活動に参加させると同時に、知識、考えかた、価値観、判断力、社会的スキル、さらに道徳心と責任感を身につけるための教育を受けさせなくてはいけない。そのため、ピン川カリキュラムは、持続可能な環境教育を行うための手引きとなるよう作られている。つまり、環境との共生の仕方を理解し、環境に対する正しい考え方と関心を身につけ、人間社会に対してだけでなく、天然資源や環境に対しても、責任のある行動がとれるように、子供や若者を育成するための知識を、新しくまとめなおしたものである。