弁護士は生き返らせるコミュの?

mixiユーザー 2007年11月11日 18:09

結局真理奈と進一は、お互いの親同士がどんな関係か、結論を出すことはできな
かった。結論を出すことはできなかったが、話しているうちに時間は過ぎ、再び
休憩時間となって、清一郎が店から家に戻ってきた。しかも清一郎はあとで家に
来ると言ってた進一の母親である雫田美奈子と一緒に家に戻ってきた。ついには
じめて真理奈と進一と清一郎と美奈子の四人が勢揃いすることとなった。真理奈
はどうしても四人が一緒に暮らすことになった理由を聞き出そうと考えていた。
話は家の中で一番広い洋間で話進められることとなった。口火を切ったのはやは
り清一郎だった。「真理奈、それから進一君。二人に聞いて欲しいことがあるん
だ。実は俺と美奈子さんは、大学時代の親友なんだ。一度付き合っていたことも
ある。そして二人とも結婚しようと考えていたこともあった。でも結局は、お互
い別々の人と結婚したわけなんだ。そして今、お互いに配偶者とは別れている。
これもいい機会だと思ってな、」「結婚するの？と真理奈が口を挟んだ。「いや
、そうではない。結婚はしないんだ。でもお互い気心知れた仲だからな。一緒に
住んでいこうと決めたんだ」「結婚はしないけど一
緒に暮らすの？」「そういうことになるな」「ちょっとおかしくない？」と真理
奈が不思議そうな顔をした。「だって、ふつう結婚するから一緒に住むんでしょ
？」清一郎はその質問に何も答えなかった。「進一君は僕とはじめましてだよね
。今は大学の何年生だっけ？」「三年です」「ということは実家から出て一人暮
らしを始めてからもう三年になるんだね。勉強とかはどう？」「なんとかやって
ます」「一人暮らしをするとさ、炊事・洗濯から何でもやらなくちゃいけないか
ら大変だろ？それに一人暮らしをするとお金もかかるしなぁ。ここから通ったら
どうだい？大学に」「確かにここからだったら、今のアパートから通うのとほと
んど変わりらないし、家賃だって浮かすことができるし助かります。だけど僕ら
が来てお邪魔じゃないんですか？」「全然。今バイトとかはしているの？」「今
は何もしていないんですけど、やりたいなとは思っています」「だったらウチで
働かないかな？もしウチに住めば、ものすごく近いバイト先になるわけだしさ」
「そこまで面倒みていただけるなんて、本当にありがたい話なんですが・・・母
さん。仕事は？ここに住むことになったら仕事場に
通うの大変じゃないの？」「そのことなんだけどね、進一。母さんちょっと仕事
を休もうと思っているの。最近体の調子があまり良くなくってねぇ」「進一君、
実家に近頃あまり帰ってなかったんだろ？親孝行すると思ってここに住みなさい
。ウチは全然構わないから」「ちょっとお父さん。ワタシまで納得してないんだ
けど。もうちょっとちゃんと説明してよ。どこの世界に結婚するわけでもないの
に、突然家族を二人も増やそうとする父親がいるのよ？」「なあ、真理奈。人は
どうして結婚とかそういう形にこだわるんだろうな。結婚はもちろんしたほうが
いいのかもしれない。だけど人それぞれのやり方があってもいいとは思わないか
？俺と美奈子さんは結婚という形は確かに取らないんだ。だけど俺は美奈子さん
のことを愛している。心の底からだ。だから、一緒にいたいと思っているんだ」
「お父さんは美奈子さんのことが好きなのね？」「そうだよ」「だったら何も問
題ないじゃない。それを早く言ってよ。お互い愛し合っているのなら何も問題な
いじゃない」「本当か？お父さん達式をあげたり、婚姻届を出したりしないけど
、一緒に住んでもいいか？」真理奈はもちろん、と
いうように頷いた。「進一君はいいかな？」「急に結婚とか聞いて少しびっくり
しましたけど、僕は嬉しいです。僕にとってもバイトのこととか住むところとか
ありがたいことばかりですから」

「そういえば真理奈。お前さっきもその緑色の封筒を持っていなかったっけ？」
「あぁ、これ？これはモデル事務所の合格通知よ」「モデル？お前モデルになる
のか？」「まだ事務所に入っただけだからね。仕事がもらえるかどうかは、これ
からもっと頑張れるかどうかってところだけどね」「お前、何て事務所に入るん
だよ。怪しいところじゃないのか？」「お父さん。怪しいかどうかぐらいワタシ
だってわかるわよ」「そうだな。俺だって好き勝手やって真理奈に迷惑かけてき
たところがあるからな。だから真理奈の自由にやったらいいよ」食事を終えて、
清一郎は再び店に戻って行った。真理奈はもしかしたら清一郎に反対されるかも
しれないと思っていたので、ホッとしていた。進一は今いるアパートの荷物を整
理したいということで、一旦戻った。真理奈と美奈子が部屋で二人きりとなった
。「ごめんなさいね、真理奈ちゃん。急にこんなことになってしまって」「いえ
、いいんです。本当なら父がわたしにちゃんと説明しなくてはならないと思いま
すから。でも本当にあんな父のどこが良かったんですか？」「ねえ、真理奈ちゃ
ん。真理奈ちゃんがモデルになりたかったのはどう
して？」「ワタシですか？わたしはなんだろう、モデルになりたいと思ったから
履歴書をいろんな事務所に送って、やっとナインスって事務所が合格通知を今日
送ってくれて・・・結局モデルになりたいなって単純に思ってたからですかね」
「わたしもそうよ。清一郎さんと一緒にいたいって単純に思ったからなの。それ
以外は特に何もないわ。理由なんてそんなものなのよ」「でも結婚、はしないけ
ど、それに近いことをするわけだから、もっと条件のいい人と一緒になったほう
がいいんじゃないかって思ったりもするんですよ。だって、美奈子さんってすご
い美人だし、ウチの父と歳が同じぐらいだなんて信じられないし全然若く見えま
すよ。ウチのお父さんなんてそんなに歳はいってないのに、結構禿げあがってる
じゃないですか。おでこだってすごい広いし。あっ、そうそう。最近あった話な
んですけどね。近所の中学生がよく塾帰りに、何人かで店にお菓子を買いに来る
んですよ。それで夜コンビニの前でお菓子を食べてボロボロと食べかすや袋なん
かをゴミ箱に捨てずに落としていくんですね。それでそのことを父が注意したん
です。そうしたら父よりも体格のいい子がすごんで
きちゃって。うるせぇ、禿げオヤジ、とかハゲコンは黙ってろとか生意気に言っ
てきたんですよ」「真理奈ちゃん。今ハゲコンって言ったのかしら？ハゲコンっ
てなあに？」「たぶん、禿げててコンビニで働いているからだと思うんですけど
。子供達は、父のことをハゲコン・ハゲコンって店に来る度に店内で隠れてコソ
コソ言うようになっちゃって。そのうち、戦車型のラジコンを店の駐車場で塾帰
りに動かすようになったっんです。夜なのにワアワア騒いで、本当にムカつくガ
キ共なんですよ。戦車のラジコンのリモコンで『ハゲコン』動け、とか父に向か
って言って勝手に爆笑してたりするんですよ。それでちょっと話を元に戻します
けど、毎日のようにコンビニに行って、子供達にバカにされたりしながら働いて
いるのがウチの父なんですよ。娘のワタシが言うのもなんなんですけど、美奈子
さんは父と一緒にいて本当に幸せなんですかね？」美奈子は間を置かずに答えた
。「幸せよ。まちがいないわ。だってあなたのお父さん、とっても優しい人だか
ら」「そうですか。そう思っててくれてるんですか。美奈子さんがそう言ってく
れてワタシもほっとしました」「真理奈ちゃん。わ
たしも一つ気になっていたことがあったんだけど、美奈子ちゃんは進一と一緒に
住むことになって嫌じゃないかしら？」進一は美奈子に似て女の子のような顔を
している。体型だってすごい細い。あれだけかっこいい人がそばにいて暮らして
くれるのは悪い気はしない、と真理奈は感じていた。「全然嫌じゃないですよ。
店を手伝ってくれるみたいで、逆に助かりますけどね」「そう言ってもらえて本
当に良かったわ。わたしね、進一と真理奈ちゃんがうまくやっていけるかどうか
が一番心配だったの。真理奈ちゃんがしっかりしていて本当に助かったわ。真理
奈ちゃん。これからもよろしくね。モデルの仕事応援しているからね」「ありが
とうございます。こちらこそよろしくお願いします」真理奈はこの時、ずっと美
奈子と一緒にいられるのだと信じていたが、後にあっけなくその望みの糸は断ち
切られることとなった。