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シークレットゲームコミュのシークレットゲーム 〜おまけエピソード〜 第2話[踊るマリオネット]

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第2話[踊るマリオネット]                作者:桐島成実


〈参加者ペア一覧〉〈残り7組中7組)

『ハイパーゴールデン幼馴染カップル 〜死さえも乗り越え愛を培う〜 』・・・エーススペード【御剣総一】&エースハート【桜姫優希】

『ベストバイプレーヤーズ 〜脇役からの脱却を目指す!〜 』・・・ツークローバー【葉月克弘】&ツーダイヤ【陸島文香】

『危うきストライク・スリーコンビ 〜躊躇なき攻撃は最強の武器となる〜 』・・・スペード【高山浩太】&スリークローバー【長沢勇治】

『ビート・ザ・ジョーカーズ 〜刹那快楽主義の脅威を知れ!〜 』・・・セブンクローバー【手塚義光】&セブンダイヤ【漆山権造】

『リアルキラークィーンズ 〜真のヒロイン&女王様は私!?〜 』ジャックハート【姫萩咲実】&ジャックダイヤ【郷田真弓】

『チャーミングフラワーズ 〜不器用さと愛嬌で苦難を乗り切る!〜 』クィーンダイヤ【北条かりん】&クィーンハート【色条優希】

『ローズプリンセス 〜うら若き乙女は魅力のカード!?〜 』キングスペード【綺堂渚】&キングハート【矢幡麗佳】

〈司会進行役〉・・・【スミス】

〈特別ゲスト〉・・・【北条かりん】&【麻生真奈美】





スミス『な〜んか、上の方に物凄ーく派手な名前が連なっているけど・・・。ま、いいかぁ!』

スミス『やあっ!また会ったね、そこのキミ達!今日のゲーム進行はマスコットキャラであるボクが担当するよ〜!』

かれん「特別ゲスト役を仰せつかった、北条かりんです。よろしくお願いします!」

真奈美「同じく麻生真奈美ですー」

スミス『一応、ルールを説明しておこうかな?今回はペアでの対決。総勢7組のペアによる戦いだよっ!』

スミス『それぞれのペアに異なった条件が課せられて、制限時間内にそれらをクリアしないと、罰ゲーム!っていうのが、今回のルールなんだよねっ!』

かれん「条件の内容によっては、相反する条件があったりします。そうなりますと、どちらかのペアが確実に脱落する事になります」

真奈美「これらのルールを計4回繰り返す事になりますー。つまり、4つの条件を総計24時間掛けてクリアしないといけないんですねぇ〜」

スミス「そういうことっ!ところでお2人方。今回優勝しそうなペアって、一体誰だと思う?」

かれん「うーんと・・・。本音を言えばお姉ちゃんを後押ししたいけど、本命はやっぱり総一&桜姫ペアかな?」

真奈美「私は、やっぱり渚かなぁ?麗佳さんと組んでるから、結構強いかもぉ?」

スミス「なーるほどぉ。おおっ!?さっそく参加者のみんなが動きだしたみたいだよっ」



・・・
・・・・・


総一「ええと、こっちの方角でいいんだよな?」

総一達2人は通路を確認しつつ、ゆっくりと目的地へ目指していた。

桜姫「うん、そうよ。・・・なんか、こうしてるといつも登下校していた日々を思い出すわね」

総一「ああ、そうだな」

2人は手錠を掛けられている事もあってか、互いに腕を組み合っていた。その様は恋人同士そのものだった。

今までの登下校では、お互いに気恥ずかしいのか腕を組む事まではしなかった。それだけにどこか新鮮な感じがしていた。

桜姫「あら?この扉、開かないわね?」

通路の壁に備え付けられていた扉は取っ手がなく、電子ロックがかけられているようだ。

総一「他に目的地に行けそうな道筋はないな。やっぱりココを通過して、旗を取りに行くしかないよなぁ・・・」

総一達に最初に課せられた条件は、【3時間以内に所定の場所に掲げられている赤い旗を取りに行くこと】だった。

総一「弱ったなぁ。無理にこじ開けようとして、かえって取り返しがつかなくなるかもしれないし・・・」

桜姫「あ、じゃあ、私が取って来てあげよっか?」

総一「どうやって?」

言いたい事が理解出来ない総一。それに気づいたのか、桜姫は言うより先に行動に移す。

おもむろに片手を壁に突き出す桜姫。すると抵抗らしき抵抗もなく、あっけなく壁に手が埋まってしまう。

桜姫「ホラ!私幽霊だから、壁をすり抜けたり出来るのよね」

総一「あ、ホントだ」

つい先ほど桜姫の幽霊を目撃した時はひどく驚いた総一だったが、その現実を受け入れたのか、さほど驚いた様子はなかった。

桜姫「それじゃ、私行って来るわね」

総一「ああ・・・」

自身の手首に掛けられていたはずの手錠をすり抜け、電子ロックの扉さえもすり抜け、あっという間に姿を消した。

総一「ま、待てよ?この展開どこかで・・・」

その考えに行き着いた結果、総一はガラにもなくガタガタと震えだした。

―――そ、そうだ!なんで気づかなかったんだ!!ゆ、優希が、交通事故に遭った時もそうだったじゃないか!?

俺の誕生日のお祝いにと、近くのケーキ屋まで向かった優希は帰らぬ人にっ・・・!

総一「ま、待て!優希!?待ってくれ!!」

総一の叫びも、壁に遮られてしまう。また俺は、優希を助けられないのか!?その絶望感が、罪の意識が、総一を押しつぶす。

総一「俺を置いて行かないでくれぇ〜!!?」

必死で電子ロック式の扉を叩きつける総一。するとそこに、

桜姫「うるさいわね、総一。静かにしなさいよ!」

総一「優希!?って、うわぁぁぁぁぁっ!??」

優希は、扉から顔の先端だけを外に出している状態だった。その様はまるで、顔の部分だけポッカリと穴を開けられた部分に、人が顔をおっつける看板のような再現だった。

総一「ぶ、無事か!優希!?」

扉から全身を出した桜姫の手には、赤い旗が握られていた。

桜姫「大丈夫よ。ホラ、このとおり」

総一「そ、そうか。良かった・・・」

桜姫「途中色々あったけどね。トゲトゲだらけの天井が降ってきたり、大きな鉄球が坂を転がってきたり。まぁ、全部すり抜けちゃったけど・・・」

総一「優希・・・」

ギュッ!

桜姫「な、何!?いきなり抱きついたりして!」

総一「もう2度と離さない。お前1人になんかしないから・・・」

桜姫「嬉しい言葉だけど、ちょ、ちょっと苦しいってば、総一」

こうして2人は、総一の気が済むまでしばらく抱き合っていたのであった。



・・・
・・・・・

仲良く歩調を合わせている総一達とは違い、互いに自分のペースで歩もうとする別のペアがあった。

手塚「オラ!さっさと歩けっての、オッサン!」

漆山「い、いててっ!ひ、引張らないでくれ、手塚くん。手首が痛いじゃないか!」

手塚達2人もまた、総一達とほぼ同様の条件をクリアする為、目的地を目指していた。

手塚「・・・ん?コイツぁ、電子ロックか?」

そしてこれまた総一達と同じ障害物が待ち受けていた。ただし、位置的に総一達とは別の電子ロックなのだが。

手塚「操作パネルがあるな。押してみるか」

扉のすぐ横の壁に設置されたそれは、1〜10までの数字が表示された液晶ディスプレイだった。

漆山「あ、ああ」

漆山の返事を待たずして、それらを適当に押してみる手塚。しかし軽い電子音が響くだけで、何も変化が起こらない。

手塚「やっぱ無理か」

何度か押してみるが、やはりピクともしない。それに少しイラだったのが、手塚が無茶な提案をする。

手塚「いっそのこと強行突破してみるか?」

漆山「どうやって突破するんだね?」

手塚「んあ?えー・・・」

扉を壊せそうなものは手元にはない。正直なところ、勢いで言っただけだった。

手詰まり感の手塚だったが、ごまかし気味に扉のまわりを調べていると、ふとダンボールが床に置かれているのに気がついた。

手塚「お?こいつは・・・」

漆山「何かみつかったのかね?」

手塚はダンボールのフタを破り捨てる。すると中に入っていたのは、何がなんだか分からない電子機器の数々だった。

手塚「な、なんだぁ?コイツは・・・」

手塚には何がなんだか分からなかったが、意外にも漆山は理解したようだ。

漆山「おおっ、コイツがあれば、ロックを解除出来るかもしれん」

手塚「なにっ!マジか!?」

漆山は電子機器の数々を取り出し、それらを手際よく操作し、そして15分ほどたった後―。

プシューッ

ロックがかかっていたはずの扉は、すんなりと開いたのだった。

手塚「ほーう・・・」

これには手塚も素直に感心していた。

手塚「やるじゃねえか、オッサン」

漆山「ふ、ふん、見直したか?」

自慢げに誇る漆山。それが滑稽に映ったのか、手塚は満面の笑みを浮かべていた。

手塚「ああ、初めてアンタと行動を共にしてよかったと思ってるぜ」

漆山「う、ぐむぅ・・・」

手塚「オッサンが唸っても、ちっともかわいくねえっての」

漆山「や、やかましいっ!」

実際の所、漆山の持ち得る技術力は相当なものだ。電子機器のみならず、物を作ったり細工をしたり、器用さと想像力を求められるそれらは、もはや職人技と言ってもいいかもしれない。

はた迷惑と言える難儀な性格さえ直せば、きっと出世したに違いないだろう。言い換えれば、それだけ損をしているわけだが・・・。

手塚「何はともあれ、これで先に進む事が出来るな」

と言って、扉の一歩向こうに足を踏み出した、のだが。

手塚「なんじゃ、コイツは・・・」

心底呆れた感のあるトーンでそう呟く手塚。

タイル式の一面の壁に、石鹸やシャンプーにリンス、そしてこじんまりとした浴槽と、それらの類は、ここが浴室だという事を鮮明に示していた。

手塚「何でよりにもよって浴室なんだ、オイ!」

手塚はなぜか傍に居る漆山に突っかかる。

漆山「お、俺に言わないでくれっ!?」

手塚「わざわざ浴室に電子ロック式の扉なんて大業なモンを取り付けたってのか!?バカじゃねえか!?」

本来なら主催者側の人間に言うべき事なのだが、影も形も見当たらないので、完全に漆山に飛び火していた。

手塚「っと、こんなことやってる場合じゃねえな」

と言い、あたりを調べ始める。が、どこからどう見ても不自然な点はない。浴室として見れば、の話だが。

手塚「強いて言えば、この窓をくぐるしかねえのか・・・?」

その窓は小さく、人一人がやっと渡れる程度だった。しかもその先は闇に閉ざされており、何があるかが見えない。

手塚「暗くて向こうの様子が見えねえな。ってなわけで、漆山のオッサン、お先にどうぞ!」

漆山「ほえっ!?」

まるで理屈になっていない理由で漆山を先導させる手塚。その表情はニヤッと笑みを浮かべていた。

漆山「な、なんで俺が・・・!」

手塚「なあに、簡単なコトさ。重たいオッサンを不安定な上から引張るか、下からしっかりと支えるか、その違いってワケさ」

もちろん、実際の理由は言葉どおりではない。要は毒味役を押し付けているだけだった。

当然のことながら、漆山の態度には不満がありありと浮かんでいた。が、有無を言わせない勢いで、ほとんど強引に押し上げる。

漆山「いてっ!いててっ!!」

そして悲鳴を無視し、力ずくで漆山を押し込もうとする手塚。その甲斐あってか、なんとか窓を潜り抜ける事に成功した。

手塚「何か足を引っ掛けるところはねえか?」

漆山「あ、ああ、足場が狭そうだが、なんとか」

手塚「よぉし、・・・ひとまず危険はなさそうだな。よし、オッサン―」

言いかけた手塚だったが、突如手錠が強く引張られる。

漆山「うわああああっ!?」

手塚「なんだとっ!?」

足場を踏み外したのか、真っ逆さまに下に落ちる漆山。その勢いに引張られ、手塚まで窓の向こう側へと身を投げ出された。

ザバァーン!!

すると、何か水の様な物に、全身を浸からせた。

漆山「ぷはぁっ」

手塚「げほげほっ、ば、バカ野郎!・・・」

思わず怒鳴りつけそうになった手塚。だが、直にまわりの壁に触れた事で、それが何かがわかった。

手塚「あん?」

それは、つい先ほど触れた感触と同じだった。

漆山「な、なんだこれは・・・?浴槽か?」

漆山の言うとおり、そのものズバリ浴槽だった。

手塚「浴室の窓を挟んでまた浴室だと!?・・・本当のバカじゃねえのか、ここの連中!?」

集合住宅でも、どこかのアホな設計士でも、こんな訳わからん造り方はしねえぞ!何の為に窓があるんだよ??

ってか、そもそもこんな所を通行するヤツぁ、普通いねえよっ!

漆山「ブクブクブク(だから、俺は知らないんだ!八つ当たりしないでくれぇ!?)」

漆山の顔面をお湯に沈めて、怒りを露わにする手塚。が、そんな自分さえもアホらしくなったのか、途端に漆山を解放した。

手塚「あ゛ーくそっ!?ツッコミどころが多すぎて、もう何がなんだかわからねえよ・・・」

手塚はこれまでにないほど、脱力感というものを体感していた。

漆山「し、死ぬ・・・!死んでしまう・・・」

この後、様々な怪奇な仕掛け?の数々に遭遇した2人だったが、何とか目的の黄色い旗を手に入れる事が出来た。

と、いうより危険があったというよりも、あまりにも意味不明な展開ばかりが待ち受けていたの過ぎないのだが・・・。



・・・
・・・・・


麗佳「はぁ・・・、まさかこんな展開になるなんてね・・・」

渚「でもでもぉ、いつもの展開と比べれば、ずいぶんとマシなんじゃないかなぁ?」

麗佳「あなたはお気楽ねぇ・・・」

一方、麗佳&渚の2人は、ずっと続く通路を進み続けていた。

麗佳「ええと、所定の場所に行き、そこに掲げられている緑色の旗をとればいいのよね?」

渚「そうよぉ〜。けど、何かが待ち構えてそうな予感♪」

麗佳「それは間違いないわね」

そんなやり取りをしつつ、通路を進んでいくと、これまで全面コンクリートだった壁が途切れ、突如開けた場所へとたどり着いた。

麗佳「ここは・・・公園、かしら??」

渚「みたいだねぇ〜」

地面が土のそこは、室内に造られた様々な木々があり、整備された遊歩道なんかもあり、まるでどこかの公園に散歩に来たような錯覚を覚えた。

麗佳「色々と無駄の極みね・・・」

しかも上に方にはご丁寧に空が描かれており、太陽までしっかりと存在していた。

麗佳「さすがに本物の太陽じゃないようね。映像、か何かかしら?」

渚「う〜ん、どうだろ?」

麗佳「けれど日光まで照らされているし・・・。っと、そんな事考えてる場合じゃないわね」

先に急がなければ、そう思い数歩先に進んだところで・・・。

麗佳「きゃーーーーっ!!?」

渚「ど、どうしたの!?麗佳ちゃん!?」

駆け寄る渚にすがり付きつつ、麗佳はある1点を指差す。

麗佳「く、く、く、クモっ!!?」

差した指の方に、木の枝と枝の間に巣くっているクモの姿があった。

激しく動揺する麗佳に対し、渚はいつもと変わらない表情を見せる。

渚「あ、ホントだ!・・・えいっ!えいっ!」

渚は何を思ったか、地面に落ちていた枝を拾い、おもむろにクモの巣をいじり始める。

渚「ぐ〜る、ぐ〜る、よし!出来たっ♪」

クモの巣をかき回し、あろうことかクモ自身を糸でがんじがらめにしてしまった。

麗佳「・・・・・・・・・・」

完全に思考が止まってしまった麗佳の手を取り、再び歩き出す。

渚「これで良しっ♪じゃあ先いこっ♪」

麗佳「・・・もしかして」

クモより目の前に居る女性の方が末恐ろしいような・・・。そんな事を考えずにはいられない麗佳だった。



・・・
・・・・・


渚「あ、小屋はっけ〜ん!」

公園を進み、生い茂った森にたどり着き、その中へと入っていった麗佳達。

木々の間をすり抜けるようにして歩いていくと、目の前に突如小屋が姿を現した。

麗佳「場所としては、ここで正しいのよね?」

渚「うん〜」

ふと周りを調べてみると、看板らしきものが小屋の入り口の前に立てかけられていた。

麗佳「・・・〈この店の名前を言ってはいけません〉・・・?」

看板には確かにそう書かれていた。

渚「う〜んと??どういう意味だろ〜?」

麗佳「さ、さあ・・・?」

考えても答えは出ず、ひとまず小屋の中に入ることにした。

麗佳としては、イヤ〜な空気が漂うこの中には入りたくなかったが、そうも言っていられない。

麗佳「行くわよ?」

入り口の扉を開け、中の様子を窺う。そこは何一つ置かれても飾られてもいない質素な通路で、真っ直ぐに向かって続いていた。

麗佳「・・・行くしかないわよね」

渚「悩んでてもしょうがないよぉ〜。行動あるのみっ!」

麗佳「あっ、ちょっと、コラ!・・・もうっ、考えなしに動こうとするんだから・・・」

ぶつぶつと文句を言いつつも、渚の後に続く麗佳。しばらく歩いていると、再び扉に差し掛かった。

麗佳「扉の前に看板・・・?ええと、〈西洋料理・・・〉」

その先を言おうとして、ハッと口をつぐんだ。

麗佳「確か、店の名前は言っちゃいけないのよね」

麗佳は、先ほど見た看板を思い出し、渚の方に目配せする。

ちなみに、今目の前にある看板には、〈西洋料理店・山猫軒〉と書かれてあった。

渚「うん。安直な引っ掛けだよねぇ〜」

麗佳「・・・そ、そうね」

看板を尻目に、扉を開いて先へと進む。

麗佳「また看板・・・」

扉の先へと進むと、先ほどと同じ長い一本道と、扉の前の看板が置かれてあった。

渚「今度は何だろ〜?えーとぉ、〈当軒は料理に時間がかかりますから、ご承知下さい〉だって?」

麗佳「は?どうして?・・・と言うより、聞きたい事は山ほどあるんだけど」

麗佳はいぶかしんでいたが、渚は全く気にしてないようだ。

渚「料理の仕込みは、時間がかかるのよぉ〜」

麗佳「あなたの料理好きは知ってるけれど、やっぱり変じゃない?」

やっぱりどころか、目一杯変なのだが、そんな麗佳の抗議を完全に無視し、渚は扉を開く。

麗佳「はぁ、またなのね・・・」

と思っていたのだが、今度は先ほどとは状況が違っていた。

扉と看板は同じなのだが、その脇に柄の長いブラシと、等身大の鏡が設置されていたことだ。

麗佳は看板に目をやると、やはり考えなしに先に進もうとする渚の首根っこを掴んで引張る。

渚「きゃ!は、離してぇ〜」

麗佳「先行くんじゃないってば!引き返すわよっ!」

渚「ふぇ?」

麗佳「思い出したわ・・・」

先ほどから頭に引っ掛かっていた疑問。それが一つの答えとなって導きだされた。

〈お客さま方、ここで髪をきちんとして、それから履き物の泥を落としてください〉

そう書かれた看板を渚がじぃ〜と見つめる。

渚「これは〜??」

麗佳「あんたね!これは〈注文の多い料理店〉って作品名で―」

渚のボケぶりに、思わずそう口走ってしまった麗佳。最初の看板の事を思い出したのは、事が起こってからだった。

ガタン!ガタン!!

麗佳「きゃあっ!?」

突如体勢を崩してしまう麗佳達。それもそのはず、突如小屋の床そのものがゆっくりとではあるが傾いているのだ!

渚「わぁ〜!扉と壁がきれいに崩れていく〜」

まるで仕掛けていたかのように、幾手を遮っていた壁と扉がきれいに外れ、床の傾きと自重に沿って、床を滑り落ちていく。

残ったのは床のみで、坂と化したその先にあるものを見て2人は驚愕する。

麗佳「な、何よ!あれ!」

渚「大きなおナベに、揚げ物の油みたいだね〜」

渚の言うとおり、人が揚げ物にされるにちょうど良い大きさの鍋に、油が注がれていた。

麗佳「のん気に解説してないで、床が傾ききらない内に逃げるわよっ!」

思い切り出口に駆け寄る2人だったが、その先から落ちてくる壁や扉、看板の残骸が通路を塞ぎ、思うように脱出出来ない。

そうこうしている内に、床はもうだいぶ傾き、支えきれずに倒れた身体に力を入れて、床に踏ん張るのが精一杯だった。

麗佳「くぅぅぅっ!」

渚「あ、揚げ物にされるのは嫌ですぅ〜!?」

そんな2人の悲鳴も空しく、床はさらに傾いていった。

麗佳「だ、ダメ!このままじゃ・・・!」

もはや身動き出来なくなった2人。渚は首だけを後ろに回し、鍋の方を見やる。

渚「あれ・・・?」

するとある物が目に付いた。それは先にナベの方に落ちてしまった扉や壁の残骸だった。

それらは満たされた油の中に浸されているのだが、揚げられることも発火して燃え上がることもなく、ただ油の中に沈んでいるだけなのだ。

渚「でも、この熱風は間違いなく近くで火が燃えている事の証明」

渚の目つきが変わった。それは料理人としての鋭い目なのだろうか?

つまり、このナベに火は掛けられているが、まだ温度が十分に上昇していないのだと見抜いたのだ。

渚「ってコトはぁ〜、きっとこうすれば!!」

麗佳「え!?」

麗佳は驚きに目を見開く。渚は身をよじり、ポケットから2つに分割された機関銃らしき物を取り出したのだ。

それを片手で器用に組み立て、ナベの方へと狙いをつける。

渚「年季がかったレアものの銃!けれど、威力はお墨付きっ!」

などと好き勝手言いながら、銃弾を放つ。

ズドドドドドドッ!!

派手な音と共に、銃弾はお椀型のナベの、比較的油の浅い部分に向けて連射する。

ズルズルッ!!

ナベに開けられた穴をつたって、温まりきっていない油が流れ出す。

ズドドドドドドッ!!

次々と放たれる銃弾によって、ナベ全体に穴が空いていく。

シュゥゥゥゥゥッ!!

ナベの下の方から火が消える音がして、吹き付けていた熱風が次第に収まっていく。

渚「よぉ〜し、任務完了〜!」

麗佳「じゃないわよっ!!」

事の次第を見届けていた麗佳は、渚の無茶ぶりに、思わずそうツッコむ。

麗佳「あ、あなたねぇ!?油の温度が思ったより低かったから良かったものの、一歩間違ってたらどうするのよ!?」

もしかすれば、文字通り〈火に油を注ぐ〉結果となり得たかもしれないのだ。

渚「まぁ、結果オーライってコトでぇ〜!」

そして悪戯っぽく微笑む渚。その笑顔には曇り一つない。

麗佳「うぅ、前途多難だわ・・・」

麗佳の嘆きは、そのまま現実のものとなっていくのであった・・・。



・・・
・・・・・

そんなこんな7組のペアは脱落する事もなく、それぞれ違う色の旗を手に入れたのでありました。・・・そこのところは全部紹介してるとキリがないので省略します(汗)

咲実「そんな!私達の活躍は無視ですかっ!?」

文香「いい加減、出番寄越しなさいよ!私は[エピソード5]のみの使い捨てじゃないわよっ!?」

次回は第3話[次第に(間違った方向に)過激さを増して]第一の条件をクリアし、次は第2の条件が出現!今回出てこなかったペアも登場します。乞うご期待(^@^)



〈ちなみに・・・〉

スミス『あ〜あ、総一&桜姫ペアはすりつぶして、手塚&漆山ペアは煮込んで、渚&麗佳ペアは揚げ物にする予定だったのになぁ〜』

真奈美「この豚肉美味しいよねぇ〜」

かれん「うんっ♪味付けもサイコーですね」

優雅に食事をしながら2人はモニターを見ていた。そこには、かりん達の様子が映っていた。

かりん『ちょっとアンタ達!この状況を見て、よくもまぁ食事が出来るわねっ!?』

優希『うぅ〜・・・』

一体2人に何が・・・?詳細は次回!?

コメント(14)

渚ちゃん………何て恐ろしい娘!!!
一歩間違えたらリタイア処じゃないよ!!!
それにしても………幽霊って抱き着けるの???
まぁ………おまけエピソードだからいいっか(^^;
次回はどうなることやら楽しみです〜〜〜



所で今回もBETはあるのでしょうか?
あるとしたらどのペアが優勝するかですね。
ほわとと@千尋LOVEさん、夜分遅くにこんばんわ♪

今回の渚さん、目一杯壊れちゃってます。そう、天然ボケ100%の状態で(汗)

ちなみに、愛さえあれば抱きつくことも、話す事も、心を通わせる事も可能です♪♪♪このまま総一・桜姫の2人揃って仲良くいけば、最強のペアは確実かも!?

咲実「じぃ〜」(何かを企んでいる目)

もちろん、総一達にも更なる難関が待ち受けているわけですが・・・。

今回はあえてBETは執り行っておりません。なにせ何でもアリなのが、今回のシナリオの特徴なので。代わりに、といってはなんですが、応援したいペアを挙げていただければ☆☆☆
うわぁ、俺のつけたペア名がほぼ採用されてる(汗
ありがとうございます〜

がんばれローズプリンセス・・・つか渚さん!w
マシンガン乱射する渚さんも、天然100%の渚さんも応援します!!w

・・・1つだけ疑問が
優希(大)はともかく・・・旗は扉を通過できる!?(汗
うわぁあせあせ(飛び散る汗)クモさんの巣を枝でぐるぐる巻いてくってあせあせ末恐ろしすぎる。





それにしても漆山にも取り柄があったんだ。誰にでも1つ2つ取り柄があるんですかね?笑
荒井熊さん、ペア名ありがとうございました♪これで皆に箔がついたことでしょう♪

渚さん〜、応援のメメッセージ来てますよ〜

渚「応援ありがと〜☆優勝する為に頑張るからねぇ〜♪」

麗佳「・・・私への応援はないのかしら・・・?」(チラチラッ)

桜姫「旗を通過させる事は出来ますっ!その気になれば、総一を抱えて壁をすり抜ける事も・・・」

総一「いや、だったら俺も連れてって、・・・いや、この廃墟から出して」

実の所、指摘されるまで全く気づきませんでした(汗)

もりへいさん、お元気ですかぁ〜♪

クモの巣事件は、きれいなローズ(薔薇)にはトゲがある、を表した一面ですね(笑)

漆山「お、俺は職人なんだ!見直したか?」

手塚「それを本編で十分に発揮すりゃあなぁ・・・」

実際の所、エピソード『7』のどこかで、この漆山の活躍を入れようと思っていましたが、結局出番がないまま終わってしまいました。
うぉう、渚さんのメッセージありがとですー
そして・・・渚さんごめんなさい
8/12はあなたのにじゅ(ぴー)の誕生日だったのですね><
誕生日おめでとうございましたー(滝汗

麗佳さんの応援は・・・麗佳ファンの方に譲りますw
とは言え、2人で1つのチーム・・・お、応援してあげてもいいんだからね!(やめぃw

旗は・・・きっと独房のような覗きこむ穴があってそこから旗だけ出した事にしましょう!w

>総一を抱えて壁をすり抜ける事も・・・
優希(大)ちっからもちー。もちろんお姫様だっこですよね?w

>真奈美&かれん
目の前においしそうなかぼちゃの煮つけもあるよー(鬼w
漆山に活躍の場が…

クモの糸でクモをがんじがらめに…だと…!?
俺、素手でやってもできなかったんですが…
渚さんすご過ぎる…
あ、あのぉ〜、荒井熊さん、その台詞は禁句・・・。

渚「私は永遠の乙女、永遠の18歳ですよぉ〜?」

麗佳「ついでに、あなたの上から6行目のその台詞は、このツンデレらんらららんらんツインテールの、プリンセス麗佳の台詞よっ!?」

・・・だそうです。

桜姫「実をいうと、総一とこうして危険なゲームを楽しむの、ドキドキで楽しかったり・・・。あ、これ総一には内緒ね♪」

かれん「あ!美味しそうなカボチャの・・・あれれ?居ない・・・?」

次回、スミスもゲームに乱入します。そして様々な横槍を・・・。

ユリさん、こんにちわ〜♪

渚「これからは、強い女の時代なのよぉ〜☆」

麗佳「あれって、強いって言えるのかしら・・・?」

彼女が恐れているのは、迫り来る老化だけ、だそうです。・・・!何か殺気が・・・(汗)

ちなみに、他のエピソードで全く活躍しなかった漆山さん、もしかしたら今回は大活躍する・・・・かも?
こんにちは、なるみさん。
EXエピソード突入おめでとうございます〜。

何やら今回はネタ路線が強めなSSですなw
シリアスさがないシークレットゲームですが、これはこれでアリかも。

各チームについて一言ずつ。

総一&優希ペア 
・イチャつきよりも男を見せてくれ!総一!!w
・幽霊スキルが反則的に強い気が・・・w

葉月&文香ペア
・頑張れ葉月のおっちゃん><
・エースの実力がここで活かされるかっ!?

高山&長沢ペア
・序盤で消えやすい高山さんには、ぜひ頑張って頂きたい^p^
・大人な高山さんがペアでよかった^p^

咲美&郷田ペア
・不人気&年増な幸薄きペア・・・とりあえずゼロ距離射撃に期待^q^

北条&色条ペア
・おっきなお友達が応援してるよーwww

綺堂&矢幡ペア
・かなりの重さと量がある撮影器具を体中につけた上で動き回れる女の子、きどうなぎさちゃんにじゅうは(ry
・( ゚∀゚)o彡゜ツンデレ! ( ゚∀゚)o彡゜ツンデレ!


続きも期待してまする。んであノシ
とらぞう@NPC寸前さん、こんにちわ♪

おやおや?さっそくプレイヤー達からお返事が寄せられてきてますよぉ。

桜姫「総一って、私がいないとダメなのよねぇ・・・。よくズルするし。もう心配で心配で・・・」

総一「そういえば、小さい方の優希にも、ヘタレだって言われたような?」

桜姫が危機に陥った時が、男の見せ所ですよ、総一くん!


葉月「僕達大人の余裕というものを、見せてあげるよ」

文香「もうっ、おじ様。私まだ2○才なんだけどなぁ〜」

安定した戦いを見せてくれるはず!あとは派手さの有無次第!?


高山「個性豊かな連中相手には勝てんな・・・」

長沢「いきなり敗北宣言しないでくれよ、おっちゃん!」

今回こそ、不運キャラの汚名返上となるか!?


郷田「だぁれが、年増ですってぇ(怒)」

咲実「単純計算で、私の2倍は長く生きてますよね?」

その気になれば、結構強いはず!意表を突く勝負を見せてくれるかも??


優希「うんっ♪私達、気合十分で頑張るぞぉ〜☆」

かりん「そのやる気を他に回してよ、優希・・・」

もしかすると、一番の大穴かも?彼女達の弾けた?活躍に期待!


渚「だ・か・らぁ♪私は永遠のうら若き乙女、綺堂渚ちゃん(18歳)ですよぉ〜☆」

麗佳「こ、こらっ!にこやかな表情をしながら、とらぞうさんを撃つのはやめなさいっ!」

今は渚さんの暴走を食い止めている麗佳さんですが、終盤になると自らが暴走していきます。


手塚「オイオイ!俺達は無視かよぉ。冗談じゃねえぜ」

漆山「むぅ、出来れば若い女性の応援が欲しいところだなぁ」

一番最凶の男と最弱の男の組み合わせ。互いに力を合わせられるかがカギ!?


次回いよいよ脱落するペアが出てしまいます><姿を消してしまうのは、一体どのペアなのか!?

たくさんの応援、ありがとうございます♪感謝感謝ですねっ☆
手塚&漆山ペア・・・素で忘れてましたすいませんww

ってなわけで追記という形になりますが以下に。

手塚&漆山ペア
・悪役という言葉がそのまま人になったようなキャラを、今回も期待してまする。
・見た目はメタボ!頭脳は大人!その名は…漆山、GONZO☆ミ

>きどうなぎさにじゅうき(ry
照れ隠しで撃ってくるのは愛情の裏返しってやつですね、分かりまゲフゥ(ry
手錠の鎖が長くて助かったね、総一。

そもそも霊体化してるし、手錠自体あまり意味ないですね。


かりん・色条ペア、渚・麗佳ペアの2組を応援します。
とらぞう@NPC寸前さん、再度ありがとうございます♪

漆山「む、見た目はメタボとは、し、失敬な!」

手塚「あん?頭脳は大人じゃなく、頭脳はエロの間違いなんじゃねえか?」

漆山さんのエロパワーが、今回も炸裂します♪

渚「マシンガンの連射って、最高ですぅ〜♪」

麗佳「その笑顔止めなさいって、ものすごく怖いから」

その恐ろしさは、もはやスミス以上かも??


グライアイさん、こんにちは、ですっ♪

総一&桜姫ペアには、手錠は無意味です。ただ、掴もうとすれば掴めるらしいです。なぜそんな事が出来るのか、桜姫さん自身も分かってないみたいですね。

さあて、応援のメッセージが入りましたよ、何か一言どうぞ♪

かりん「え、えっと、ええっとぉ」

かれん「一生懸命頑張るから、私だけを見て!」

かりん「って、かれん!勝手に割り込んで解釈するなぁ〜!!」


麗佳「応援されたからには、頑張らなきゃいけないわよね」

渚「おぉっ!やっと麗佳ちゃんもヤル気になりましたかぁ?」

いずれは麗佳さんがマシンガンを乱射する・・・かも??

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