ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

シークレットゲームコミュのシークレットゲーム 〜エピソード7〜 第10話[ジョーカー始動]

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
第10話[ジョーカー始動]                              〈作・桐島成実〉
〈現在の状態〉

             PDA      状態     解除条件

 御剣 総一     (2)        健康    JOKER破壊
  
 桜姫 優希     (6)       ??    JOKER5回使用
 
 姫萩 咲実     (?)       ??      ??

[グループA]
 北条 かりん    (?)       ??       ??
 北条 かれん     (Q)       ??    2日と23時間生存
 色条 優希     (4)       ??    首輪3個収集

 矢幡 麗佳     (7)      ??    全員との遭遇
 
[グループB]
 綺堂 渚       (10)     健康    首輪5個作動
 麻生 真奈美    (J)      健康    24時間共にしたプレイヤーの生存

 手塚 義光     (?)      ??      ??

 高山 浩太     (5)      健康     チェックポイント通過

 葉月 克弘     (K)      死亡     PDA5個収集

 長沢 勇治     (9)       死亡      皆殺し

【所在不明のPDA・・・『A』Qの殺害、『3』3名殺害、『8』PDA5個破壊】







渚「な、なんでこんな事にっ・・・!」

真奈美「も、もういやっ!!」

ひた走る2人の後ろを追いかけているのは高山だった。

高山「生き残る為だ。許せ!」

その高山の手には日本刀を持っており、その刃はむき出しになっていた。

渚「真奈美!もっと早くっ!!」

渚は必死で真奈美の片腕を引っ張るのだが、真奈美は足並みが揃わず半ば引きずられているような状態だ。

運動神経がバツグンな渚に対し、運動が苦手でトロい感じの真奈美。こうなるのは必然だった。

高山「なかなかしぶといな。・・・だが、俺には勝てまい!」

足の速さでは高山の方が上だ。だがなぜか彼は速度を渚たちと同じペースで、渚達を追い続けていた。

渚「きっと私達の体力を失わせて、そこを狙って攻撃するつもりなのよ!だから早く!」

渚はそう言うものの、このままではジリ貧だということは十分理解していた。

このままではインストールしたあのソフトも使えない。

渚「こうなったら・・・真奈美!代わりに地図を見て探して!」

渚はそう言うと、空いていた片手で自身のPDAを取り出し、真奈美の手に握らせる。

真奈美「げほげほ、・・・えっ、えっ?」

PDAを手渡された真奈美はうろたえたものの、渚の言いたい事を理解し、慌てて地図の画面を呼び出す。

渚「負けないっ!こんな所でっ!!」

渚は瞬時に反転し、接近してきた高山に突撃する。

高山「ほう、度胸だけは認めておこう」

対する高山も、相手の動きに合わせて刀を振るう。

渚「刀を持っているのは右手。それなら・・・」

高山が刀を振り下ろす直前、渚は左にステップし、壁に身体をくっつける。

高山「む・・・?」

こうすれば、高山と渚の位置関係から刀を振り下ろそうとすると、ただでさえ横幅が狭い通路の為、壁に遮られる形となる。

高山「着眼点は良いな、だが戦闘経験は俺が上だ!」

高山は右足を軸にし、身を横に倒して左の蹴りを繰り出す。

渚「きゃあ!!」

渚は身を潜め、なんとかその蹴りをかわす。

高山「甘いっ!!」

高山は蹴りの軌道を変え、そのままかかと落としを食らわせた。

ガツンッ

渚「あぐぅっ!!」

渚はなんとか身をかわそうとするものの、高山の容赦ない蹴りは渚の左肩を直撃する。

高山「終わりだ」

刀を両手に持ち替え、そのまま真上に振り上げる。

真奈美「渚ぁっ!!?」

その時真奈美の叫び声が聞こえた。

高山「むっ」

高山の注意が一瞬それたのを見抜き、渚は痛みを堪えつつ後ろに下がる。

真奈美「こっち!こっちの部屋!ドアにも鍵が付いてる!」

渚「わかったわ!」

真奈美と渚は部屋の一角を目指す。そしてドアを開いて中に入る。

真奈美「ドアに手動の鍵が付いてるの!」

そう言いつつ、ドアを勢いよく閉めて鍵をかける。

その部屋はドアが一つきりで、他に出入り口がない様に見えた。

渚「ダクトはどこ?」

真奈美「こ、こっち!」

真奈美の指差す方向には、確かにダクトらしきものがあり、鉄格子もはまっていた。

渚達は高山に襲撃される前に、3つのPDA用ソフトを手に入れていた。

一つは地図上に現在位置を知らせるもの。もう一つは生存者数を示すもの。そしてもう一つがダクトの経路を記している地図だった。

それを使って高山の追撃をかわそうというのだ。

渚「鉄格子が外れたわ!真奈美から、早く!」

悪戦苦闘しながら逃げようとする2人だったが、必死になっている彼女達は気づいていなかった。

ダクトの中に逃げ込むその間、高山の追撃が止んでいたことに。



・・・
・・・・・


ディーラー「ゲーム開始から既に39時間経過・・・。そろそろかな?」

そうつぶやきつつ、ディーラーは目の前にあるコンソールを操作し、パネル上にあるメッセージを書き込む。

[準備は整った。行動を開始せよ]

それはプレイヤー達の中に紛れ込んでいるジョーカーに向けてのものだった。それを送信し終わったのを確認したディーラーは、ふぅと一息つく。

いつもは、ゲーム開始から24時間が経過した時点で行動を開始して良いと、いうルールのはずだった。

だが今回に限っては、ディーラーよって事前に、指示があるまで行動を控える様に通達されていたのだ。

その理由はシナリオの存在。プレイヤー達を固め、仮初の絆を作っておいて、後々にそれらを引き裂く。それは着々と進行しつつあった。

ディーラー「所詮、彼らは私達の手のひらで踊っているに過ぎない」

そうほくそ笑んで、並んでいるモニターに視線を移した。

その一番端のモニターに、葉月の娘の映像が映し出されている。しかし、それに映る人物は微動だにせず、ピクリとも動こうとしない。

ディーラー「金髪のお嬢ちゃんは、まさかこれがただの作り物だとは微塵も思うまい」

そうなのだ。

葉月の娘は捕らえられているわけではない。わざわざそんな手間をかけるくらいなら、プレイヤーの一人として参加させるはずだ。

これは事前に作られた偽の映像だったのだ。

ディーラー「こうしておけば、死に物狂いで生き残ろうとするはず」

しみじみと物思いにふけっていると、一つの通信が入ってきた。

ディーラー「ん?・・・こちらディーラー」

すると雑音と共に、低い男性の声がスピーカーから聞こえてきた。

高山「こちら高山。綺堂と麻生の襲撃は完了した」

ディーラー「ご苦労さまです。これで彼女達も他のプレイヤーと敵対せざるを得ないでしょう」

高山「そうなるな」

高山はまるで感情を含めずに、事務的に答えた。

ディーラー「葉月の首輪を作動させた件と言い、さすがはベテランのゲームマスター、と言ったところですかね」

高山「おだてても何も出んぞ」

2人の言うとおり、高山浩太という人物は、ゲームマスターの一人というわけだ。

そしてディーラーの指示で、高山はJOKERに偽装した『5』のPDAを、葉月の首輪に読み込ませたのだ。

結果は予想どおりの成果を挙げていた。事実その場にいたプレイヤー達は互いに疑心暗鬼を強く持っていた。

今の所シナリオ通りに事が進んでいる。率直にその手ごたえを感じていた。

ディーラー「そうですね。では、そのまましばらく休んでいてください」

高山「了解した。ひとまず控え室に戻っておく。・・・ところで、一つ質問があるのだが」

ディーラー「なんでしょう?」

高山「事前にゲームの参加者のリストに目を通したが、サブマスターの分の資料が欠けていたのだが」

ディーラー「あ、それはすみません。ええと、サブマスターとの連絡があれば、こちらで中継しますので」

高山「別に問題はないのだがな。ただ俺がメインマスターを務めている以上、ゲームの詳細は把握しておかんとな。・・・リストに載っていなかった人物が、サブマスターということになるのだろう?」

ディーラー「ええ、そうなります」

高山「うむ。何かあればまた連絡してくれ。ではな」

そう言うと高山は通信を切った。

実はサブマスターの資料を抜き取っていたのは、ディーラーが意図的に仕組んでいたことだった。

ジョーカーであるサブマスターの存在をメインマスターに知られると、後々面倒なことになるからだ。

ディーラー「サブマスターが殺戮を開始する時、最も効率の良い方法は何か?」

それは誰に問うたものではない。

ディーラー「通信不可、PDAのソフトも皆無。だが、唯一他のプレイヤーと違う点がある」

そして、ディーラーは画面を切り替えた。そこに映っているのは控え室の映像。

ディーラー「建物の構造だけは、熟知しているということだ」

そして冷たく言い放つ。すべてを知る彼は確信を持っていた。

ディーラー「もう二度と通信をかわすことはないでしょう。・・・さようなら、高山さん」

そして彼はモニターから目を背けたのであった。



・・・
・・・・・


総一「くそっ!みんな無事で居てくれよっ」

総一はひとまずかりん達が居るであろう場所へとひた走っていた。

通路を迂回せざるを得ない為、時間にして数十分かかっていた。

総一「仕方がなかったとはいえ、俺はなんて事を・・・!」

総一のせいではない筈だったが、総一は自身の選択に愚かさを感じずにはいられなかった。

悲鳴が挙がった以上、誰かにおそわれたのは想像に容易だ。問題はあれが誰の悲鳴だったか?

シャッター越しに聞こえた悲鳴はくぐもっていて誰のものかは判別が出来なかった。

あの時、もっと別の脱出方法を探るべきだったのではないか?メンバーの振り分けをもっと考えるべきではなかったか?そんな後悔に囚われていた。

そしてやっとのことで、かりん達が居るであろう通路の前まで来た。

あれから時間が経っている。ま、まさか・・・!

嫌な思いを振り払いつつ、通路の向こう側へと目線を向ける。

まず最初に目に入ったのは、完全に閉じきったシャッターだった。

それは総一がかつて見たものと同様で、やはり4グループともすべて分断されているようだった。

しかし、肝心のかりん達の姿はどこにもない。まるで何事もなかったかのように静まりかえっていたのだ。

総一「手筈では、かりん達はこの場に留まっているはず。・・・何かあったのか?」

不安を払拭するかのように、周りを丹念に調べ始める。

総一「・・・!!」

悪い予感は当たっていた。

総一「これは・・・!血痕!?」

床に微かに落ちているそれは、紛れもなく血だった。その血はまだ完全には乾ききっておらず、真新しい事を証明していた。

もちろんかりん達は事前に怪我をしていた訳ではない。ならばそれは別れてから付いたもの。

総一「く、くそぉぉぉっ!!」

焦った総一は、周りの通路や部屋をあちこちに探し出す。

総一「どこだ!どこにいる!?」

しかし、かりん達の姿はまるで見当たらなかったのだった。



・・・
・・・・・


ディーラーの予想どおり、あれから1時間と経たない内に事は動いていた。

ゲームを観戦しているカジノの客達は、数々のモニターの内の一つに注目していた。

客A「おおっ!ジョーカーがメインマスターを毒殺したぞ!」

客B「対メインマスター戦、占めて5連勝。ジョーカーの異名は伊達ではありませんな!」

客C「これでジョーカーの独断場決定ね!今から怯えるあの子達を想像すると、ゾクゾクしてくるわぁ」

カジノの客達のボルテージはみるみる内にあがっていった。

これまでジョーカーは最初のターゲットを必ずメインマスターに絞っていた。

なぜならメインマスターの存在は、ジョーカーにとっても脅威である。ならば存在を知られる前に始末した方が良いからである。

また、メインマスターの持つPDAには、様々なソフトが組み込まれていることを知っていた。

そして自身とメインマスターしか通らないであろう控え室。そこで待ち受けていれば必然と出会うことになる。

ジョーカーもディーラーも、それをよく知っている。そして、ゲームは本格的に始動したのであった。



・・・
・・・・・


闇雲にかりん達の姿を探し回っていた総一だったが、ラチがあかないことを悟り、ひとまずどうするか考えていた。

総一「落ち着け!俺がしっかりしなくてどうする!」

総一は自身に活を入れ、パシンと頬をたたく。

総一「ひとまず、優希達2人と合流するのが先決か?」

大きい方の優希は、PDAに首輪の探知機能が備わっている。だから逆を言えば彼女と合流すれば、咲実さん達4人の行方も見えてくるはず。

だが、分断されてから1時間以上経過している。それでは優希がどこに居るのか検討がつかない。

考えあぐねていると、遠くから誰かの大声が聞こえてきた。

??「御剣さんっ!!」

この声は・・・?

総一「もしかして、咲実さん!?」

声は後ろから聞こえてきた。総一は後ろを振り向くと、そこには他ならぬ咲実の姿があった。

咲実「御剣さん、無事でしたか!?」

咲実は慌てて総一の元へ駆け寄ると、総一の無事な姿に安堵の表情を浮かべる。

総一「咲実さんこそ怪我はない?」

咲実「はい、おかげさまで」

総一も咲実の無事な姿に心底安心するものの、さっきまでの出来事を思い出し、緩みかけた心を再びを引き締める。

総一「っと、それどころじゃない。実は・・・」

総一は先ほど見た血痕について説明する。

咲実「血痕!?それって・・・」

咲実も悲鳴を聞いてはいたのだろう。だが血痕の事は知らなかったらしく、思わずそう聞き返した。

総一「考えたくはないけど、恐らく・・・」

それだけで言いたいことは分かった、が口には直接出したくはなかった。

咲実「・・・・・」

それの行き着く答えに気づいた咲実はさっと表情が青ざめた。きっと総一が血痕を見た時も同じ表情をしていたことだろう。

総一「ともかく、ここでジッとしているわけにはいかない。まだ優希やかりん達はこの近くに居る可能性が高いはず。早く見つけ出さないと」

咲実「ま、待ってくださいっ!」

気ばかり焦る総一を咲実が止める。

総一「どうした?早く・・・」

咲実「闇雲に探しても、行き違いになる可能性があります。それに襲撃者に出くわす場合も。ここは別の方法を考えたほうが良いかと」

総一「良い方法って、そんな事考えてる暇なんて・・・」

咲実「実は、ここに来るまでの間、ずっと考えてたんです」

咲実も冷静というわけではないが、最適だと思う方法を模索していた。

咲実「実は周りを警戒して気づいたんですけど、所々に館内放送のスピーカーがある事に気づいたんです」

総一「スピーカー!?」

咲実「はい。それを使えばうまく皆さんを誘導出来るんじゃないかと」

総一「そ、そっか」

総一は人ばかり気にしていたので、その事には微塵も気づいていなかった。

咲実「あとは、それの元となるマイクがどこにあるかなんですけど。さっき私達が閉じ込められた時、ソフトをいくつか手に入れましたよね?」

総一「あ、ああ」

咲実「私のPDAには地図拡張のソフトが組み込まれています。それで、気になった所があるんですけど・・・」

そう言うと咲実は自身のPDAを取り出し、総一に見せる。

咲実「ここの警備室という所なんですけれど、もしかしたらここにあるんじゃないかと」

たしかに、総一たちが居る4階の地図の一部屋に、警備室という所がある。

咲実「他の部屋は、倉庫だとかそんな記述しか載ってないんです。だから、あるとすればこの部屋ぐらいしか考えられないんです」

総一「へぇぇ」

俺よりずっと考えてたんだな・・・。ずっとうろたえ続けていた自分がなんか恥ずかしい。

総一「その方が確実性はあるな。じゃあそこへ行こう」

咲実の提案を元に、警備室へと急いだ総一たちであった。



・・・
・・・・・


総一「これか!」

警備室へとたどり着いた総一と咲実は、そこに備え付けられているマイクを手に取った。

咲実「館内放送だけでなく、モニターもあるんですね・・・」

そこには所々に据え付けられているのであろう、カメラの映像が映し出されていた。

総一「優希やかりん達は映ってないのかな?」

2人はいくつかのモニターをじっくりと見渡す。

総一「あっ、優希!」

するとモニターの一つに、優希と思われる人物像が見えた。

そしてその隣に居るのは・・・。

総一「え!?優希も一緒なのか!」

総一の言う優希とは、最初に言った優希とは違う。

―――なんで優希が優希と一緒に・・・ええいっ!まぎわらしい!

思考が変な方に行きかけたが、一息ついて改めて考える。

優希はかりん達と一緒じゃないのか?何かあって分断されて、その後俺と咲実さんの様に出くわしたか?

何はともあれ無事な姿を見れただけで十分だった。かりん達の姿が見えないのが気にかかるが、今は優希が先だ。

総一はマイクを手に取り、オンに切り替える。

総一「あー、あー、あー」

警備室にもスピーカーがあり、そこから総一の声が聞こえる。

総一「よし、優希!俺だ、総一だ!」

すると、モニターに映っている優希2人は、キョロキョロとあたりを見渡す。

総一「ええと、右に45度、斜め上を向いて」

カメラに正面から向き合えるように誘導する。

桜姫「・・・!」

モニターから音声は聞こえないが、カメラの存在に気づいたようだ。

総一「俺達は今、4階の警備室に居る。怪我もなく無事だ」

そう言うと、桜姫はにっこりと微笑んだ。総一にはそれが優希達2人も元気だという合図に見えた。

しかし、小さい方の優希はなぜか不思議そうな顔をして首をかしげる。

総一はすぐにその意味を悟った。

総一「あ、俺と咲実さん、一緒にいるんだけど、共に無事だ」

言い直すと、納得したかのように頷いた。

総一「とりあえず、一度みんなで集まろう」

あまり長居はしてられない。この館内放送は他のプレイヤー達にも聞かれているはずだ。

しかもこちらの居場所を言ったしまった以上、真っ先にこの警備室へと向かってくるはず。それで襲われたのでは元も子もない。

総一「集合場所は・・・」

その先を言い淀む。何と言えばいい?5階への階段で・・・じゃダメか。

すると後ろに控えていた咲実がそっと耳打ちする。

咲実「優希さんに示してもらえばいいんじゃないですか?」

総一「あ!そうか。そうすれば他の人達には気づかれない」

やっぱり頭が良いな、咲実さん。その事に頭が下がる思いだった。

総一「すまないけど、優希が場所を示してくれないか?手信号か何かで」

するとモニター越しに映る優希は互いに相談し出し、やがて大きい方の優希がピシッと姿勢を正した。

最初に示されたのは5本の指と、上を指差す一本の指。

総一「5階ってことか・・・」

咲実「あ、あの。口に出しちゃダメです」

あ、しまった・・・。マイクに流れてないだろうな?

すると、優希は次の手信号を示した。

―――右手で・・・、喋ってる?ん?真正面を指差す?カメラかな?

真正面の指差しは、ちょうど総一たちを指差しているようにも見える。

もしかして、という答えが導き出され、今度はマイクを切って咲実に確認をとった。

総一「もしかして、5階の警備室って言ってるのかな?」

咲実「話している、の説明が他には思いつきませんね。恐らく間違いはないんじゃないかと」

総一「そっか」

総一はうなずき、再びマイクをオンにした。

総一「わかった。俺達もすぐに行く。・・・気をつけてな」

すると桜姫が再びニッコリと笑った。大丈夫という意味なのだろう。

総一「これで心配なのはかりん達だけということになるな」

咲実「そうですね・・・」

咲実は同意の返事を返すものの、何かが引っ掛かっているのか、その声には張りがない。

総一「どうしたの?咲実さん」

不安そうな顔をする咲実に気づき、そう問いただす。

咲実「その・・・、不安にさせる事を言ってしまうのですが・・・」

申し訳なさそうにそう詫びる。が、意を決したのか、それを口にする。

咲実「・・・どうして、5階の警備室なんでしょう?」

総一「え?」

総一は何とも思っていなかっただけに、その驚きは大きい。

咲実「私達は皆、4階で分断されたはずです。そうなりますと行方不明のかりんさん達も4階に居るはずです」

総一「あっ、そうか!」

咲実が何を言おうとしているのか判った。集合場所を4階のどこかにすれば、かりん達との距離もさほど離れないはずだ、ということだろう。

総一「もしかしてかりん達は今5階に居るのかな?」

首輪を探知していれば、かりん達の居場所も判っているはず。

咲実「あるいは、優希さん達が今5階に居るのかもしれませんね」

総一「・・・ともかく、バラバラになった以上、頼りになるのは優希のPDAだけだ。なら優希の言うようにひとまず5階の警備室へ行くべきだと思う」

咲実「そうしましょう」

今度の咲実の返事は納得したものなのか、しっかりしていた。

総一「もしかしたら5階の警備室にも同様のシステムがあって、そこにかりん達が映っているかもしれない」

そうと決まればさっそく行動しなくては。

何より俺達が警備室に遅れるわけにもいかない。

総一「行こう、咲実さん」

総一達は急いで5階の警備室へと急いだのであった。



・・・
・・・・・

あれから4時間余り掛けて、特に障害もなく5階の警備室へとたどり着いていた。

総一「・・・電源は死んでいるのか」

総一が見た5階の警備室は、モニター等の機器はあったものの、肝心の電気が来ておらず、操作パネルを動かしてもうんともすんとも言わなかった。

総一「まぁ、仕方ない。ひとまず優希達が来るまでここで休憩しよう」

咲実「そうですね」

総一「はぁ、ハラ減ったなぁ・・・」

ここには食料の類は全くといっていいほどない。

いつ優希達が来るか分からないから、下手に移動出来ないのがつらいところだ。

咲実「ふふっ、御剣さんらしいですね」

総一「ん?あ、そっか。そういえば最初に出会った時もおんなじこと言ったなぁ」

咲実「ええ。そういえば私も少し眠いです・・・」

総一と共に居る事に安心感が得られているのだろう。咲実の表情には青白さが抜けていた。

総一「そうだな・・・。なら俺が外を見張りしておくから、咲実さんは・・・」

そう言って振り返ると、既に咲実は眠りかけていた。

咲実「すぅー、すぅー」

・・・やっぱり疲れてるんだな。

ひとまずそっとしておいて、総一は見張りをする為に、物音を立てないようにゆっくりと警備室を出て行ったのであった。



・・・
・・・・・

総一と咲実。2人の優希。そして行方不明のかりん姉妹。彼らが再開するのは果たして何時なのか?

次回は第11話[仕掛けられた罠]プレイヤー達に隠れて暗躍する悪意。それはじわじわとプレイヤー達を引き裂いていくのでした。次回も乞うご期待♪

コメント(14)

はじめまして〜〜〜
PSP版をプレイしてからハマりました。
総一は咲美と合流しましたね、他のメンバーと早く合流して欲しいですね。
そして気になるのは、誰が「JOKER」なんでしょうか?
まさかの高山さんが…なんともアツい展開ですね手(パー)しかし、いったい誰がジョーカーなんだろあせあせ(飛び散る汗)ますます分からなくなってきたぴかぴか(新しい)来週からのジョーカーの活躍っぷりを楽しみに一週間過ごしたいと思いまするんるん
いつもドキドキしながら読ませていただいてます。
まさか高山さんがゲーマスだったとは!
そしてジョーカーって誰なんでしょう?!
次回も楽しみにしてます。
ほわとと@千尋LOVEさん、はじめまして〜♪♪♪

ハマっているのはお互い様ですね☆キャラはもちろん、ゲームの設定やストーリーも魅力的に感じております(^^

結果的に3グループに別れた総一達ですが、すぐに合流するのは難しいかも?問題はかりん姉妹。恐らく怪我をしていて、尚且つ桜姫さんが総一達との合流を優先させている状況を考えるとあまり芳しくないのかも?

もりへいさん、毎度どうもです〜☆

今回は郷田さんの代わりに、高山さんがメインマスターでした。最も、すぐにジョーカーに殺されちゃいましたが(汗)

エピソード『6』では比較的男性陣が活躍していた感があるので、今回は女性が多めになっています。男性3人脱落で、残るは総一くんと手塚くんのみ。言い換えればジョーカーが女性である確率も高くなるわけですが・・・。

ジョーカーが活躍すればするほど犠牲者が増えるので、もりへいさんはジョーカーに自粛する様にお祈りしてください♪

前に書いたかもですけれど、名前が被るので、PDAの方は[JOKER]、人物の方は[ジョーカー]と書き分けていますのでご注意を。
きすけさん、どうもはじめまして☆☆☆

高山さんの場合、肝が据わっていて、感情を表に出さないタイプなので、結局誰も気づきませんでしたね。ただ、エピソード『5』『6』とも活躍していたので、今回は早めの脱落となりました。

ジョーカーが誰なのかも、もろちん重要なのですけれども、各々の首輪の解除条件を満たすことも重要なのです。総一くんや桜姫さんはJOKERを欲してますし。そこのところにも注目、ですね。

今後の災厄は、ほとんどジョーカーが絡んでくることになります。今の所確実にジョーカーでないと言えるプレイヤーはいないかもですけど、今後その候補が絞られていきます。


総一たちは優希'sとうまく合流できるのかな?


かりんたちの怪我の具合も気になりますし、麗佳が誰と接触して協力していくんでしょうか?

毎回楽しく読まさせていただいてます!

個人的にはかりんルートが好きなんで、ハッピーエンドのかりんルートが見たい気がしてます。

がんばってください♪
グライアイさん、こんばんわ♪

スミスの手によって分断された以上、すぐに合流するのは難しいと思います。むしろ先に別のプレイヤーと接触する可能性の方が高いかも?麗佳さん、手塚くん、渚さんと真奈美さん。麗佳さん以外のプレイヤーとの協力は厳しいかも?

そういえば、かりん達を襲ったのは一体誰なのでしょう?これによって、今後の展開が大きく変わってくるかもですね。

やすのすけさん、どうもどうもなのです☆

お楽しみいただけているようで、よかったです♪今回のかりんちゃんは、妹のかれんちゃんが共に居ることで、まっとうな道から外れる可能性はかなり低いと思います。

あとはいかにして総一達と再び合流するか、ですね。あ、それとかりんちゃんの首輪の解除条件が何なのかも重要ですね。

まぁ、彼女達がジョーカーである可能性もないとは言えないんですけれど・・・。

なるみさん、どうもです〜♪

高山さんは前回も前々回も活躍していたので、早くの脱落は予想していました。ただメインマスターだったのは全く予想してなかったです(汗)
あの高山さんを指令後1時間で倒せる人物、そしてエクストラゲーム直後の手際の良い攻撃。やっぱりジョーカーは手塚さん??

頭がキレる咲実さんは、同人版キラークイーン以来ですね♪
レッドさん、こんばわん♪(よくキーを打ち間違えてこうなります・・・)

そう言われれば高山さんがゲームマスターだろう、という書き込みは一つもなかった気がします。やっぱり手塚くんのほうが『らしい』んですかねぇ?

ただ、ここからは誰が脱落するかは予想しにくいかもですね。なにせ活躍の度合いは皆似たりよったりですし。

咲実さん、ようやく活躍したような気が・・・。でも残念なことにしばらくの間、出番がなかったり(汗)
なるみさん、うp乙ですー。

高山さんは、プレイヤーの中では傭兵という職に就いている以上、生存確率が格段に上がるはずなんですが…
よく裏を取られて早いうちに亡くなることも多々あるので少し悲しいです;。;
今回はジョーカーの件もあってのため、仕方ないですがGONZO☆並みに扱いが…w

麗華の位置が今回は大きく変わりましたね。
大抵、過酷な条件が伴いやすい彼女が、逆に生存を条件に追加させられる所が面白いです。
それにその条件に加えて解除条件の全員との遭遇・・・生存確率がぐっと下がりましたな(笑)

そしてジョーカーが誰なのか。
まだ要素が少ないので特定はできませんが、次回あたりで大きく動くのでしょうか?
楽しみにしてまするノシ
とらぞうさん、夜遅くこんばんわ〜なのです♪

高山さんの場合、本編では誰かと行動を共にしている場合に限って、必ず最初に狙われて命を落とす、というのが定番です。きっと強いから故に余計に警戒されやすいんでしょうね。

麗佳さんの首輪の解除条件である全員との遭遇。今の所渚さん、真奈美さん、そして手塚くんはクリアしています。あとは総一くん達6人と遭遇すれは良くて、更に仲間に加入してしまえば、自分を含め5人の生存もさほど難しくはない・・・はずなんですよね。

問題とすれば、総一くん達6人の内の誰かがジョーカーだった場合ですね。それをうまく回避出来るか、にかかっていますね。
なるみさん、お初ですわーい(嬉しい顔)
毎回わくわくしながら読ませて頂いていますexclamation ×2
今回のストーリーはやっぱりジョーカーが肝ですよねexclamation 毒殺ってあたりがそれとなく女子供っぽい感じがしますw
今回は今まで以上にハードっぽいからみんなにはがんばってほしいです手(グー)
カレンさん、お初にお目にかかります♪

お楽しみにしていただけているようで、とても嬉しいです☆こちらも書いているかいがあるというものです☆

メインマスターが脱落した以上、ジョーカーの存在はより大きくなったと言えます。今回は高山さんが相手だったので、正攻法でなく、不意打ちを喰らわせる為に毒を使ったのです。なのでいまだ誰がジョーカーなのかは断定出来ませんねぇ・・・。

実はカレンさんとおっしゃる通り、今回はかなりハードといいますか、ジョーカーの特性として、ただ殺すのでなく、いたぶりながら殺す、というのが主なやり方です。なので過激な表現があったりするんですよねぇ・・・。

ログインすると、みんなのコメントがもっと見れるよ

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

シークレットゲーム 更新情報

シークレットゲームのメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。