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シークレットゲームコミュのシークレットゲーム 〜エピソード7〜 第7話[緊迫]

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第7話[緊迫]                              〈作・桐島成実〉

〈現在の状態〉

[グループA]    PDA      状態    総一との関係
 御剣 総一     (2)        ??      
 桜姫 優希     (?)       ??      愛情
 北条 かりん    (?)       ??       良好
 北条 かれん    (?)       ??      良好

[グループB]
 矢幡 麗佳     (7)      健康     知らない
 葉月 克己     (K)    背中を切傷   知らない
 高山 浩太     (?)      健康     知らない
 綺堂 渚      (?)      健康     知らない

 手塚 義光     (?)      健康     知らない

 長沢 勇治     (9)       死亡      普通






麗佳達が2階で見張りをしている頃と時を同じくして、総一たち4人は状況をイマイチ理解出来ないまま、行動を続けていた。

総一「おっ、地図の通りだと、この先にエレベーターがあるな」

自身のPDAを操作しつつ、画面の一角を指差す。

桜姫「あ、ホントね。1階がダメだから、このまま一気に最上階に上っちゃおっか?」

桜姫はそう提案する。6階ないし屋上からなら外の様子が見えるかもと思ったのだ。

状況を把握したいという考えもあるが、本音の所は目が覚めてから今まで、ずっとこの封鎖されたコンクリートを見続けている為、外の景色を見る事で安心したかったのだ。

かりん「さんせーい。私も外の空気が吸いたいよ」

かれん「うん。・・・なんかココって落ち着かないし」

どうやら異論はないようなので、このままエレベーターの前へとやって来た。

総一「それにしても、ハラ減ったなぁ・・・」

重苦しい雰囲気を少しでも晴らしたいからなのか、総一がふとそんな事を言い出す。

桜姫「うーん、そういえば私も。・・・どこかに食料ってないのかしら?」

この建物内で目覚めてから、ここに至るまでに幾つかの部屋を調べてはいたものの、食べ物らしき姿は何処にも見当たらなかった。

変わりに薄汚れた日常雑貨などが、ダンボールに所狭しと敷き詰められていた。

ただ一度だけ、それだけ妙に真新しい感じの薙刀が、部屋の隅の方にポツンと置かれていたのを目にしていた。

現状をよく理解していない4人は、まさかそれを使って他のプレイヤーが襲撃してくるかもしれない、という考えは持っておらず、武器そのものに対して警戒し、その武器には手をつけていなかったのだ。

かりん「私もおなか減ったなぁ」

かれん「うん・・・」

などと呑気な事を言い合っている内に、目的の場所へとたどり着いた。

総一「おっ、どうやらここがエレベーターのようだな」

そこには2基のエレベーターが並んで設置されていた。

さっそくその内の一つのボタンを押してはみるものの、故障でもしているのか、電気が通っている様子がない。

総一「おっかしいなぁ。まるで反応がない」

何度もボタンを押すが、やはり変化はない。

桜姫「壊れてるのかな?」

総一「かもしれない」

ボタンを押すのを諦め、途方に暮れている所に、もう一基のエレベーターを確認していたかりんが、慌てて総一を呼ぶ。

かりん「そ、総一!?ちょ、ちょっとこっちに来て!」

その様子はただ事ではない。

総一「どうした!かりん!?」

総一たちが慌てて駆け寄ると、かりんはエレベーターの上側を指差した。

そこにはエレベーターのカーゴが今何階に居るのかを表示しているパネルがあった。

かりん「そ、それがホラ!今このエレベーターが下に向かって降りて来てるの!?」

かりんの言うとおり、4階の部分が明るく点灯していたのが、3階、2階へと下がってきているのだ。

総一「だ、誰かが乗っている!?」

その事に気がついた総一たちは、真っ先にそれに乗っている人物が誘拐犯の一味ではないか、という考えを思い浮かべた。

総一「とりあえずどこかに隠れよう!」

かりん「隠れるったって、どこに!?」

桜姫「こっちよ!こっち!」

桜姫はもと来た通路の方へと駆け込む。総一たちも慌ててそれに続く。

このエレベーターホールには隠れる場所など皆無だった。しいて言えば隣の壊れたエレベーターだが、そんな所に悠長に隠れる暇などなかった。

そうこうしている内に、エレベーターは総一たちが居る1階へと降り立った。

ガタンッ!

そしてエレベーターの扉が開く。

ダダダッ!

通路に隠れてその様子を見ていた総一たちだったが、エレベーターから2つの人影が物凄い勢いで飛び出してくるのを目にした。

桜姫「あっー!?」

息を呑む間もなく、その人影はまるでエレベーターから逃げるかのように、通路の方へと駆け出す。

通路は一本道しかない。もちろん、その先には総一たちが・・・。

??「きゃあぁっ!!?」

その内の一人は、総一たちが居る事に気がついたとたん、駆け出していた足に猛烈にブレーキをかけ、反動で身体が後ろに倒れてしまう。

??「さ、咲実お姉ちゃん!?」

もう一方が、慌ててその人物の方を振り向く。

咲実「あ・・・、あ、あ・・・」

咲実と呼ばれた人物は、驚きのあまり硬直してしまっていた。

もう一方の、おそらくまだ子供と言える少女が、咲実と、総一たちの方を交互に見ながら、咲実に身を寄せてガダガタと震えていた。

その様子からすると、とても誘拐犯には見えない。恐らく誘拐された側の人物なのだろう。

ただ、その異様とも言える怯え、恐らく総一たちに対してのものなのだろうが、そこが今一つ理解できなかった。

総一「あ、えーと」

咲実「ひっ」

総一が一歩前に出てきた事に咲実は驚き、か細い悲鳴を上げる。

対する総一は、咲実の顔を見た時、それが今横に居る桜姫にうり二つな事に気がついた。

総一「え・・・?」

もちろん当の桜姫はすぐ隣に居るから、赤の他人なのだろう。

桜姫「大丈夫、落ち着いて。ひどい事はしないから」

一瞬固まった総一を差し置いて、ゆっくりと優しい声で桜姫がなだめようとする。

咲実「いやっ!こないでっ!」

そう言いつつ後ずさりするものの、肝心のエレベーターは扉が閉じてしまい、逃げ道が完全に塞がれていた。

桜姫「私達も状況がよくわかってないの。たぶんあなた達と同じ立場だと思うんだけど」

なおも優しい言葉で語りかける桜姫の声に、かりんが大声で割り込む。

かりん「ま、待って!優希さん!あ、あれ・・・」

かりんは再びさっきのパネルを指差す。

総一「エレベーターが再び上昇している・・・?」

通常なら、1階に降りた所で上の階にカーゴが移動するとは考えられない。と、すると誰かが上の階からボタンを押した、ということなのだろう。

咲実「えっ!!?」

幼い少女「そ、そんなぁ・・・」

視線をパネルの方に向けた2人は、その事実に顔を蒼白にする。

総一「一体どういう・・・?」

考え込もうとする総一だったが、それを咲実が遮った。

咲実「も、もうダメ!もうおしまいよっ・・・」

甲高い声でそう叫ぶと、目に涙を浮かべ始めた。

誰かが後から追ってきていて、その誰かから、この2人は逃げ回っていたのだろうか?

状況としてはそれで合っているのだが、だからと言ってどうしていいかはとっさには思いつかない。

総一「ええとっ、うーんと」

引くべきか、待つべきか?

それにこの2人はどうする?共に連れて行く?でも、どうやって・・・?

この場をどう切り抜けていいか焦る総一だったが、

ぐぎゅるるる・・・

総一「・・・・・」

緊迫した今の状況を完全に無視した、気の抜ける様な大きな音が、総一の、そしてその場に居る誰の耳にもそれが聞こえてきた。

その音の発信源は、固まっている総一のお腹から聞こえてきたものだ。

桜姫「あ、あんたはっ・・・!」

この場にまるでそぐわない展開をした総一に、反射的にいつもの叱り癖が出た桜姫。

桜姫「もうちょっと場の空気を読みなさいって、いつも言ってるでしょっ!」

そう言いながら、顔を総一に向けて前に突き出す。

総一「わ、悪い!ワザじゃないんだってば」

それに合わせて総一は背中を後ろに曲げて、両手を前に出して許しを懇願する。

かりん「・・・はぁ〜」

緊張の糸がプツリと切れたのか、視線を下にして深いため息をつくかりん。

咲実「・・・・・」

幼い少女「・・・・・」

対する2人は、最初に総一たちと会った時とは別の意味で固まってしまった。

かれん「え、えっと、あのね」

すると今まで後ろで控えていたかりんの妹のかれんが、おずおずと声をかけてきた。

かれん「多分、私達が居るからこの人たちが動けないんだと思う。だから私達がどいてあげればいいんじゃないかなぁ・・・?」

かれんの提案に、しばし沈黙したものの、考えてる猶予はない。

桜姫「ひとまず、そうしましょうか」

総一「だな。えと、じゃあ俺達はもう行くから」

本来ならば、か弱そうな2人を放っておくのは尋常じゃないのかもしれない。

しかし状況が状況だけに、今の彼女達にとってこれが一番良いのかもしれない。

それが分かっているのか、総一たち4人はそそくさとその場を退散した。

咲実「あ・・・」

幼い少女「い、いこっ!今のうちに!」

幼い少女はそう言って、咲実の腕を引っ張る。

咲実「あ、う、うん」

それにつられて咲実もようやく身を起こす。

そして総一たちに続いてその場を後にしたのだった。



・・・
・・・・・


かれこれ5分ほど移動しただろうか?エレベーターがあった場所からある程度は距離をとっていた。

総一「も、もう大丈夫かな?」

そう判断した総一は、走る速度を遅くする。

かりん「そうみたいだね」

かりん達もそれに続き、同時にペースを落とす。

かれん「ふぅ〜っ」

かりんと手をつないでいたかれんは、少し息が上がったのか、何度か深呼吸を繰り返す。

かりん「大丈夫、かれん?」

かれん「すぅ〜、はぁ〜。・・・うん、なんとか」

全く平気そうな姉のかりんと比べると、体力の有無に差があるのだろう。

不思議そうな顔をしている総一に、桜姫がそっと耳打ちをしてきた。

桜姫「・・・かれんちゃん。不治の病に侵されてて、ずっと病院暮らしなの」

なるほど、それなら納得がいく。桜姫がボランティアで親身に勉強を教えていた理由が分かった気がする。

総一「それにしても、一体何だったんだろうな?」

そう言って他の5人全員に問いかけてみるが・・・。

―5人!?

幼い少女「はぁ、はぁ・・・」

これは一体どうしたことか?総一たちに怯えていたはずの2人は、そのまま総一たちの後に続いてここまで走ってきていたのだ。

総一「え?ええっ??」

状況が理解出来ない総一だったが、それは咲実も同じだったようだ。

咲実「ちょ、ちょっと優希ちゃん!どうしてこの人たちと・・・!」

優希と呼ばれ、桜姫は一瞬反応したものの、咲実の視線から、その幼い少女の名を呼んだことが伺えた。

どうやら咲実はこの優希に腕を引っ張られ、そのままここまで来てしまったようだ。

優希「ふぅ〜、うんっ!これでいいのっ!」

何度か息をついた後、まるで何かを悟ったかのように明るい声でそう言い切った。

優希「だって怯える私達をどうこうせずに、そのままいっちゃうんだもん。きっと悪い人たちじゃないよぉ〜」

先程までの怯えた姿はどこへやら。この明るさが本来の彼女の姿なのだろう。

咲実「で、でもっ・・・!」

なおも反論しようとする咲実だったが、後の言葉が続かない。

優希「大丈夫、大丈夫っ♪」

優希と呼ばれた少女は、言葉どおりの意味あいもあるのだろうが、恐らく人を見る目があるのかもしれない、と思わせるほど確信に満ちた表情でニコニコと笑顔を振りまいている。

総一「え、えーと・・・」

どう話に割り込んでいいのか分からない総一だったが、このまま声を掛けないわけにはいかない。

総一「さっきも言ったけど、恐らく俺達と状況は同じだと思うんだ。だから・・・」

迷ったが、ここはストレートに言うのがいいだろう、と判断した。

総一「俺達と一緒に来るかい?・・・出来れば何があったのか聞かせてくれると嬉しいんだけど」

優希「うんっ!」

その誘いに、優希は一つ返事で頷く。

咲実はしばらく悩んでいたようだが、仕方なくといった感じでゆっくりと頷いた。

桜姫「うんうんっ!じゃあ、とりあえず近くの部屋まで行きましょうか?ここだとなんだし・・・」

そして総勢6名となった総一達ご一行は、比較的広い部屋へと足を運んだのであった。


・・・
・・・・・


優希「そういえば、まだ名乗ってなかったよね?私の名前は優希、色条優希!」

咲実「・・・姫萩咲実です」

元気いっぱいな声でそう名乗った幼い少女、優希に対し、いまだ総一達のことをいぶかしんでいるのか、言葉を選んでいる咲実。その姿は対照的だった。

総一「俺の名は御剣総一。で、こっちが・・・」

桜姫「桜姫優希です。よろしくね」

丁寧にお辞儀をする桜姫に対して、幼い方の優希は驚きの声を挙げる。

優希「へぇぇ、私とおんなじ名前なんだぁ〜」

桜姫「ふふっ、そうね。ホント偶然だよね」

微笑む2人に対し、総一は唸りをあげる。

総一「ん〜、すると2人を呼ぶ時はどう呼べばいいんだろ?優希、って言うとどっちがどっちだか・・・」

桜姫「えっ?そうね・・・」

桜姫はもう一人の優希に視線を向ける。

優希「苗字で呼ばれるのも変だしなぁ。うーんと・・・」

かりん「『ちゃん』付けならいいんじゃないかな?」

そう提案したかりんに対し、優希は複雑な表情を見せる。

優希「そっか。そうだよね。でも皆から『ちゃん』付けで呼ばれて、なんか子供扱いされてるみたいだなぁ〜」

なんとなく不満そうな表情が逆に微笑ましくて、かりんの頬も自然と緩む。

かりん「ゴメンゴメン。えと、私は北条かりん。で、こっちが妹の・・・」

かれん「妹のかれんです。よろしくね」

優希「うんっ♪私の方こそよろしくねっ」

年が近いこともあって、自然と2人は笑顔に変わる。

優希「姉妹かぁ。私は一人っ子だし、うらやましいなぁ」

かれん「うん。私はこんなだし、とっても頼りになるの!」

いつも控えめな彼女にしては珍しく、語気が強い。それだけ姉の事を信頼している証なのだろう。

かれんのほめ言葉に対し、照れている姉のかりん。この建物に連れ去られてから今までで、これほど微笑ましい会話はなかった。

優希「いいなぁ、私のパパとママはずっと留守だし。私もお姉ちゃん欲しいなぁ〜」

他の人たちもそれに安心感が持てるのか、今の状況を忘れて、続々と会話に加わっている。

きっと今の残酷な現実から離れたいのだろう。総一も出来ることならばずっとこのまま話し込んでいたい気分だった。

優希「総一お兄ちゃんは兄弟っているの?」

総一「ん?いや、一人っ子だな」

桜姫「私もそうなの。私と総一の両親は家に居る事が少なくって。だから小さい頃から色々と助け合ったりしてたの」

優希「へぇぇ」

かりん「小さい頃からラブラブだったんだ?」

するとかりんが悪戯っぽく茶化した。

総一「か、かりんっ!」

恥ずかしそうに顔を真っ赤にする総一。

優希「それじゃあ、咲実お姉ちゃんは?」

咲実「え!?私ですか。私は、その・・・」

妙に歯切れが悪い。まだ総一達の事を疑っているのだろうか、と一瞬思ったのだが、どうやらそうではないようだ。

咲実「私には、妹がいました」

優希「いたって、もしかして・・・」

優希の問いに、咲実は首を横に振る。

咲実「私の両親は、私が小さい頃に事業に失敗して、家族がバラバラになってしまったんです・・・」

優希「あ・・・」

つまりは、生きているかどうかさえ分からない、ということなのだろう。

優希「ご、ごめんなさい」

気軽に聞いたことを、優希は悔やんだものの、咲実の沈んだ声はすぐに元に戻った。

咲実「いいんですよ。もう昔のことですし・・・」

どことなく居心地が悪くなったことを肌で感じた総一は、ふとすぐ隣に居る桜姫の方を向いたものの、桜姫はそれに気づかなかった。

桜姫「・・・?」

総一「ん?どした、優希」

どことなく考え込んでいる優希に疑問を持ち、問いかけてみると、ようやく反応した。

桜姫「さっきから何かが引っかかってて・・・。ううん、気のせいかも」

そう言って考えるのをやめた。

総一には何のことか判らなかったが、ちょうど区切りがよいので本題に移ることにした。

総一「それで、一体何があったんだい?」

本当ならばこんな物騒な話はしたくはないのだが、そういう訳にもいかない。

咲実「えと・・・、この建物の1階の部屋で目覚めて、最初に優希ちゃんと出会ったんです」

咲実の話を総合するとこうだ。

咲実と優希は目覚めてからしばらくして、男の死体を発見したそうだ。

その男性はシャッターによって身体を分割されており、あまりの情景にしばらく身体を震わせていたそうだ。

それから、その場を逃げるようにして2階への階段へと上ったそうだ。

そして2階でエレベーターを発見し、試しに6階へと一気に上ったのだが。

咲実「どうしてなのかは分かりませんが、通路のあちこちにシャッターみたいなのが下りてまして、結局どこも通れなかったんです」

そのシャッターは地図上には表示されておらず、仕方なくエレベーターに戻ろうとしたところで、突然謎の男の襲撃にあったそうだ。

総一「謎の男?」

咲実「はい・・・、なんというか、服装が派手で頭に帽子を被っている、鋭い目つきの人でした」

咲実はそこまで言うと、沈痛な表情に変わる。

咲実「なんとか必死に逃げ回って、エレベーターに乗ることが出来たんですけど・・・」

その時の記憶が蘇ったからなのだろう。優希がギュッと咲実の身体にしがみつく。

咲実もそれに答えるかのように優希の手を握った。

総一「そっか・・・」

どう声を掛けていいか迷ったものの、言おうとしている事は既に決まっていた。

桜姫「私達と一緒に行きましょ!このまま放っておく事なんて出来ない」

どうやら皆、同じ気持ちらしく、一様に頷いていた。

咲実「・・・いいんですか?」

おずおずと尋ねる咲実に対し、総一は大きく頷く。

優希「よかったね、咲実お姉ちゃん!」

頼れる人達が居ることに、素直に嬉しいのだろう。

桜姫「すると、残りの問題はこの首輪、ってコトになるのかな、総一?」

そう言って桜姫は、自身の首に巻かれた首輪に手を触れる。

総一「そうだな・・・。死体があったってことは、もうこれは冗談じゃないってことだ」

桜姫「ルールは幸い、といっていいか分からないけど、一応把握してるし。首輪を外す為には解除条件を満たさなければいけないんだけど・・・」

総一「あー、俺はその時コンクリの壁を掘ってたしな・・・。たしか俺のPDAはクラブの・・・」

そこまで話が進んだ時、かりんが慌てて話を遮った。

かりん「ま、待って!?そんなの出鱈目だよ!?真に受ける必要ないって!」

総一「え・・・?」

あからさま過ぎるほどの否定に、総一は首をひねる。

総一「もちろん、これらがすべて本当って保障はどこにもないけど、かといって全て嘘って決め付ける訳にもいかないだろ・・・?」

総一の言い分はもっともなのだが、かりんはそれでも首を横に振る。

かれん「お姉ちゃん・・・」

かりん「いいからっ!ダメなの!ホラ、早く出口見つけよっ」

慌てて立ち上がるかりんに引っ張られる形で、かれんも続いて立ち上がった。

かれん「あっ・・・」

その時かれんが、引っ張られた勢いで右手に持っていたPDAを誤って落としてしまう。

かりん「ああっ!」

かりんは慌ててそれを拾おうとするが、壊れずに済んだそれは、総一達の眼前にさらけ出す結果となった。

総一「ハートの、クィーン」

かりん「くぅっ・・・!」

かりんは思わず歯軋りをした。

桜姫「たしか、クィーンはゲーム開始から73時間経過した時点での生存だったはず。それなら解除出来るかもしれないね」

そう言うものの、かりんの表情は引きつったままだ。

桜姫には、それに思い当たることがあった。

―――そっか。きっとかりんちゃんはエースの存在を恐れているのね・・・。

エースの人間が居れば、いつか必ず妹の命を狙ってくる。それを心配してのことだろう。

しかし、気づいていないのか総一の解釈は違ったようだ。

総一「それなら何も問題ないじゃないか。・・・俺のPDAは『2』。首輪を解除する為にはJOKERを探し出して破壊しなくちゃいけない。優希は?」

桜姫「私のは『6』だから、JOKERを5回使用する事」

総一「って事は、JOKERを5回使ってから破壊すればいい、と言う事になるのか?」

桜姫「うん、そう」

総一「ええと、優希、ちゃん。・・・なんか違和感ある呼び方だけど、どうなんだい?」

優希「私はコレ、クラブの『4』!」

そう言って優希は自身のPDAを見える様に前に出す。

桜姫「『4』ってことは、ええと、3つの首輪の取得ね」

優希「えーと、ということは?」

桜姫「私と総一、あとかれんちゃんの首輪が外れれば、優希ちゃんの首輪も外れるってコト」

総一「今のところ、相対する解除条件はないな・・・。咲実さんは?」

咲実「私、ですか・・・。私は・・・」

とたんに口ごもる咲実。言っていいべきかどうか迷っているのだろう。

それをかりんは代弁するかの様にはっきりと口にした。

かりん「私は教えたくないっ!」

そう言い放ち、そのままスタスタとドアの方へと向かってしまう。

かれん「お、お姉ちゃん!」

総一「あ、おい!」

そのまま部屋を後にしようとするかりん達を放っておくわけにもいかず、仕方なく総一達も2人についていったのだった。



・・・
・・・・・


なぜか条件を明かしたがらないかりん。彼女は一体何を思ってそんな行動に出たのでしょう。

次回は第8話[突きつけられた現実]ディーラーのシナリオは、いよいよ現実のものとなってプレイヤー達を追い詰めていくのでした。乞うご期待♪


コメント(7)

これは咲実さんと優希の姉妹説浮上かexclamation & questionと妄想してるのは自分だけでしょうか?



ついでにかりんはエースのPDAですかね?流れ的に手(パー)面白くなってきたーぴかぴか(新しい)できれば手塚パパの次の行動を早く明らかにしてほしいです電球今日もバイトなもりへいでした
かれんのPDAが気になりますね。
どうなるのか先が読めません。
もりへいさん、毎度どうもなのです♪

咲実さんと優希ちゃんが姉妹だった、というシナリオもかなり面白いかもしれませんね。実は隠し子で・・・(以下略)

そういえば手塚くんは次回、登場してましたねぇ。その時の行動により、彼のPDAがある程度は判明するかも?

いつもバイトお疲れさまです♪私もお仕事頑張らなくっちゃ!

カンピオーネさん、こんにちわ☆

かりんちゃんのPDA、現状で可能性があるのは『A(エース)、3、5、8、10、J』ですね。

5とJなら隠す必要はないでしょう。なら残る可能性はQの殺害、3名の殺害、PDAの破壊、首輪の作動となります。

いずれにせよ、どれも困難な解除条件です。しかしそれはまだ解除条件が不明なプレイヤーにも言えることでして。

咲実さん、高山さん、渚さん、真奈美さん、それと手塚くん。一体誰がどのPDAを持っているのやら・・・?
なるみさん、どうもです〜♪

かりんの否定の仕方が怪しいですが、地雷を引っ張ったか…(汗たらーっ(汗)
Aを警戒しているのか?それとも自身がAなのか?
どちらにせよ、そこまで怪しいとスミスが来そうで(焦たらーっ(汗)
かりんの前回は即脱落だったので、今回は頑張ってほしいんですけどね。
あったらーっ(汗)かりん、前々回は大活躍してましたね(苦笑)
レッドさん、こんばんわ♪

スミスは今回、結構出番がありますねぇ(汗)裏を返せばプレイヤー達との接触、そして不幸をあちこちばら撒くという事を意味しているのですが・・・。

総勢6名となった総一くんご一行の内、かりんちゃんの場合はエピソード『5』では活躍の上生存。逆に『6』では最初に脱落したので、今回活躍するか否かは微妙なところです。

そう考えると『5』『6』共に長沢くんに殺されてしまった優希ちゃんの方が生き残る可能性は高いかも?咲実さんは今まで全く活躍してないので、今回活躍する可能性大!?

とはいえあくまで可能性なので、どうなるかは不明。ちなみに今回漏れてしまった文香さんと漆山さん。実は出番はあったりします。さて、どのタイミングで介入してくることやら・・・。
かりんのPDAはなにかなぁ?

とりあえず、咲美さんがジョーカーだと予想してます。

グライアイさん、ようこそいらっしゃいませ♪

かりんちゃんのPDAが判明するのは、大分先ですね・・・。結局自身のPDAが何かを明かすことなく、このまま先へと進むことになります。

咲実さんが例のジョーカーだとしたら、どうなるんでしょうね?うーん・・・、なんか想像つかないですねぇ(汗)銃を片手に「さようなら、御剣さん」と言って銃を撃つ、感じかなぁ?

逆に素のままの手塚くん=ジョーカーと言っても違和感を感じないのは私だけではないはず・・・。

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