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シークレットゲームコミュのシークレットゲーム 〜エピソード5〜 第16話[度重なる悲劇]

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第16話[度重なる悲劇]                              〈作・桐島成実〉

【残りの生存者・・・5/13人】

〈現在の状態〉

[グループA]    PDA      状態    総一との関係
 御剣 総一     (A)      満身創痍      
 陸島 文香     (6)       健康      信頼
 北条 かりん    (K)      足を負傷     信頼

 高山 浩太     (2)       ??       普通

 葉月 克己     (?〉      ??        険悪

―――――

 綺堂 渚       (?)       死亡       疎遠

 郷田 真弓     (?)       死亡       敵対

 色条 優希     (9)       死亡      信頼

 長沢 勇治     (?)      死亡      敵対

 矢幡 麗佳     (8)       死亡      敵対

 姫萩 咲実     (Q〉      死亡      普通

 漆山 権造     (?)      死亡     知らない


総一「は、葉月さん・・・」

総一は、部屋の外で銃を撃った葉月に、そう呟いた。

その葉月は、初めて総一達と出会った時とは、まるで別人のようであった。

顔色は青白く、穏やかな人相も失せてしまい、まるで覇気が感じられなかった。

葉月は倒れて動かなくなった渚を尻目に、総一へと視線を向けた。

その時までずっと銃を構えたままだったので、総一に庇われている形で後ろにいる文香は、思わず前に出た。

文香「やめて!おじ様。これ以上犠牲を出さないで!」

文香のその叫び声は悲痛だ。

葉月「・・・」

だが葉月はまるで無反応のまま、反転して通路の向こう側へと走り出した。

文香「あ・・・」

文香は一瞬追いかけようとするが、すぐ傍に怪我をしている総一と、向こうの寝室にいる、歩くこともままならないかりんが居ることを思い出し、躊躇した。

総一「・・・行って来てあげてください」

総一も、文香と同じく葉月のことが放っておけないらしい。だが怪我をしている総一では、全力で走ることは無理だろう。だから、文香にすべてを任せるつもりでいた。

総一達が知る葉月は、決して無意味な殺戮を好む性質ではない。

一度仲違いした間柄だが、心の奥底では葉月のことを信じていたのかもしれない。それがたとえ願望であったとしても。

文香「・・分かったわ。総一君、かりんちゃんのことお願いね」

文香はそう言いつつ、葉月の後を追いかけていった。



・・・
・・・・・


一度葉月の行方を見失いかけた文香だったが、通路の先からドアが開く
音が聞こえた為、音のした方へと向かっていった。

そして文香は一つの部屋の前まで来た。

―――恐らくここにおじ様が居る。

文香は周りを見渡しつつ、部屋のドアノブに手をかけた。

ガァン!!

文香「!?」

その時銃声が部屋の中から聞こえてきた。

一瞬、文香に向けて撃たれたと思い身構えたが、弾はどこからも飛んでこなかった。

部屋の中で銃声が聞こえた。

文香「まさか・・・」

文香は嫌な予感がしていた。

ドアノブを回し、部屋の中をのぞく。

その予感は的中していた。

部屋の中で床に寝そべっている葉月。その葉月の胸の辺りから血を流していた。

そして右手には握られた拳銃。その銃口は、まっすぐ葉月自身へと向けられていた。

文香「おじ様!!」

文香は警戒することも忘れ、慌てて葉月の元へと駆け寄った。

葉月「う・・・」

文香「なんてことっ、今すぐ止血を」

文香はそう言い、手元を探るが、救急箱を総一達の所に置いてきたことを思い出し、歯をぎりりと噛み締める。

葉月「いいんだ、これで・・・」

葉月は初めて、側にいる文香に向けて呟くようにそう告げた。

葉月の目線は宙を浮き、もう目が見えていないということが伺えた。

文香「くっ、おじ様、どうして・・・!」

葉月はゆっくりと口を動かした。その声ももう途切れ途切れだ。

葉月「もう・・、妻や、子に、・・会わせる顔が、ない・・・」

かつての正しい僕は、もうこの世にはいないのだから。そう言いたげだった。

文香「!?な・・・!」

文香は狼狽したが、すぐに口を大にして叫ぶ。

文香「だから自ら死を選ぶっていうの!?残された者の気持ちも考えもしないで!」

文香は死にゆく葉月の身体を揺さぶり、必死で呼びかける。

文香「あなたの妻や娘が、それを望んでるっていうの!?そんなわけないでしょう!!」

文香の必死の呼びかけにも、もはや葉月は反応しなかった。恐らく耳ももう聞こえなくなっているのかもしれない。

だがそんなことはお構いなしに、文香は叫び続ける。

自らのやるせなさや無力さ、そしてこのゲームに飲み込まれてしまった葉月に対して。

それを拭い去ろうと、必死で自らの気持ちをぶつける。

葉月は意識が遠のき、視界が暗くなる中で、家族のその姿を浮かべていた。

―――僕は、総一君達を裏切り、人を殺した。こんな僕を家族が知ったら、どう思うだろう?

怒るのか、悲しむのか、蔑むのか、いずれにしても、愛する者達のそんな顔を見たくはなかった。

ついこの間、娘が愛人と婚約したという話を聞かされ、ショックを受けていたことを思い出した。

だが、しかし、今は妻と娘が幸せになってくれればそれでいい。

僕のせいで水を差す必要などないのだ。娘は立派に巣立っていったのだ。

だから、葉月は誰にも気づかれることなく、この世を去る決意を固めたのだった。

意識が途切れるその瞬間、葉月のうつろな目には涙が浮かんでいた。

それは変わり果ててしまった葉月の、最後の想いであった。



・・・
・・・・・


葉月が息を引き取り、ショックを受けてうつむく文香の元に、PDAから総一の声が聞こえてきた。

総一『文香さん!無事ですか!?』

文香は総一達のことが気がかりになり、悲しみを覆い隠すように明るく振舞った。

文香「え、うん。こっちは大丈夫」

PDA越しに、総一の安堵の声が聞こえてくる。

文香「事情はあとで話すから。今どこにいるの?」

総一「今、戦闘禁止エリアの近くにある部屋にいます。かりんも一緒です」

文香「わかった、今すぐ向かうわ」

そしてPDAの通信を切る。

文香「・・・・・」

通信が切れ、声も聞こえなくなったPDAを閉まった。

文香は悲痛な表情を浮かべ、涙が浮かんだままの葉月の目を、そっと閉じた。

文香「・・・え?」

文香はその時葉月のズボンのポケットから何かがはみ出ていることに気づいた。

それが見覚えのある形だったので、文香はそっと手に取った。

文香「!?これは・・・!」

それはPDAだった。だがしかし、それは葉月のPDAではないことは一目で分かった。

いや、正確に言えば、葉月の首輪を解除する為のPDAではない、とい言うべきか。

そのPDAの画面には、道化師の姿が映し出されていた。

そして角の部分にはJOKERの文字が書かれていた。

文香「まさか、おじ様が持っていたなんて・・・」

彼女は深いため息をつき、そのPDAを回収したのだった。



・・・
・・・・・


文香は急ぎ足で、総一達が述べていた通りの部屋へと足を運んでいた。

そしてその部屋のドアを開ける。

総一「文香さん、無事でしたか!」

総一は、部屋に入ってきた文香を見るなり、安堵の表情を浮かべて文香の元へ歩んできた。

部屋には総一だけでなく、壁にもたれる形で座っているかりんの姿もあった。そしてもう1人。

文香「え、高山さん!?」

そこには2人と一緒に高山の姿もあった。高山は部屋の隅で煙草をふかしながら総一達のやりとりを見ていた。

高山「無事でなによりだ」

文香の驚きにも反応せず、そう言った。

文香「どうしてここに?」

文香は一瞬身構えたが、高山がそれを制した。

高山「お前達が居た場所に、2つの首輪が近づいていくのがPDAを見て分かった。だから何かが起こると思ってここにやってきた」

高山の話によると、ここに駆けつけた時に、総一達が戦闘禁止エリアから出て行く所にちょうど鉢合わせをしたらしい。

最初は警戒して銃で牽制していた高山だったが、総一の必死の説得により、今ここに居るとのことらしい。

総一「あ、ところで文香さん。葉月さんは・・・」

簡単に事情を説明した総一は、文香の方に話を振る。

文香はその声に反応して総一に向き直る。

そして、事の顛末を述べていった。



・・・
・・・・・


総一「そう、ですか・・・」

すべてを聞き終わった総一は、悲しげな表情を浮かべ、そのままうつむいた。

文香「・・おじ様の事は残念だけど、悲しんでばかりもいられないわ」

文香は悲しみを断ち切るかのように話題を変えた。

文香「とりあえず私達の首輪を外しましょう」

文香の提案に異論はないようだった。

文香「私や高山さんが探していたJOKERなんだけど、あれは葉月さんが持っていたわ」

文香はそう言って、道化師が描かれたPDAを前に差し出す。

高山「ほう」

部屋の隅から総一達のやりとりを伺っていた高山は、そのPDAを前にぴくりと反応する。

文香「ただ、おじ様のことだから、偽装機能は使用していない可能性の方が高いわ」

たしかに、あの状態の葉月が、PDAを偽って人を騙すとは考えられないし、そうでなくとも『6』のPDAを持つ人を解除する為に使用するほど気が回っていたとも思えない。

文香「だから、高山さん。あなたの首輪を解除するのは少し待ってもらえないかしら?」

文香は尋ねる。

高山「問題ない。ゲーム終了までまだ時間がある」

高山は自身のPDAを取り出し、時間を確認する。

ゲーム開始より56時間経過/残り時間15時間

偽装機能を5回使用するには最低でも4時間は必要だ。だから文香と高山の首輪が外れるのはそれ以降ということになる。

文香「えーと、かりんちゃんの解除条件はPDAの収集だから・・・」

文香はそう言ってかりんの方に目を向ける。

かりん「うん。ここに来る前に、えっと、あの2人からPDAを回収したんだけど」

かりんはそう言って回収したPDAを順に前に出す。

PDAは全部で4個あった。それぞれ『J』『Q』『5』『7』の数字が描かれている。

かりん「ただ、この中にJOKERが含まれていると困るから、今までそのままにしておいたんだけど」

回収した時はこの4個に総一のを合わせて5個。その時点ではまだ『2』のPDAを持つ高山とは合流してなかったから、JOKERが含まれているかどうか分からず、文香が来るまで待つことにしたらしい。

文香「と、すると今すぐ解除出来そうね」

文香は喜びの表情を見せる。

かりんも頷き、さっそくそれらのPDAを自分の首輪に差し込んで言った。

そして5番目に総一のPDAを差し込み、最後に自分のPDAを差し込んだ。

ピロリロリン♪

この場にはあまりに場違いのけたたましい音が鳴り響き、続いて合成音声が首輪から流れてきた。

『おめでとうございます。あなたは首輪の解除条件を満たし、見事に首輪を外すことに成功しました』

言い終わると、首輪の端子部分から2つに開き、あっけないほど簡単に首輪はかりんの首から外れた。

かりんは外れた首輪を手に取り、それをじっと見た。

かりん「取れた・・・」

総一「やったな!かりん」

総一と文香も、我が事のように喜んだ。

高山も声こそ出さなかったものの、総一達の喜ぶ様を見て、口元には笑みが浮かんでいた。

かりん「あ、ありがとう」

かりんはようやく、このゲームの呪縛から逃れることが出来たのだった。

総一「これであとは文香さんと高山さんの首輪は外せば、万事解決だな」

総一のその言葉に、かりんの喜びは一瞬で失せてしまった。

文香「総一君・・・」

そう。残りの問題は総一の首輪だった。解除条件は【QのPDAを持つ人物の殺害】である為、どうやっても総一にはこの首輪が外れないのであった。

それに気づいた文香とかりんは、沈痛な面持ちを浮かべた。

そこに高山が口を挟んできた。

高山「少年の首輪を外す方法は後々探すとして」

そこで高山は一度言葉を切った。

高山「とりあえず身体を休めることだ。見たところお前達の疲労は著しい」

高山の意見に反対するものはなく、そのまま休息をとることにした。



・・・
・・・・・


敵対するプレイヤーがいなくなり、文香達の首輪が外れるのも時間の問題。あとは総一の首輪を外すのみ。果たして総一は自身の首輪を外し、無事帰還することは出来るのか!?

次回は第17話[文香の過去]文香も総一同様、悲しい過去を持っていたのです。乞うご期待♪

コメント(6)

やっとかりんの首輪がはずれましたね。
残っているプレイヤーも揃っているし、争う理由もないからこれであとは総一の首輪をどうやってはずすかだけですね。
ゲームマスターがいなくなると平和だな〜
かりん、おめー(長音記号2)手(パー)やったねウインクグッド(上向き矢印)


ただ葉月さんの家の事情知ってちょっと凹み気味の俺。娘に愛人いたんだあせあせ(飛び散る汗)葉月さん可哀想涙


そして次はいよいよ文香さんの過去かぴかぴか(新しい)文香さんの素晴らしい経歴で早く総一のPDA解除してあげてほしいものです手(チョキ)
Duvalさん、どうもなのですよ〜♪

最後に残された問題が、総一くんの首輪を外すことなのですが、もちろん簡単にはいかないのがこのゲームの特徴です。それは18・19話で明らかになっていきます。

リョウさん、おはようございますですよ〜♪

首輪を銃か何かで切断するという方法は、文香さんやかりんちゃんが危険だと言い、絶対反対するのでないと考えて良いです。

本編のかりん編の様な結末とは違う形になるということも明言しておきます♪

もりへいさん、ようこそいらっしゃいませ〜なのですよぉ♪

実は葉月さんの娘に婚約者がいるというのは、オリジナルの設定です。その方が巣立っていったという感じがするもので。

今まで波乱万丈の連続だった為に、総一くんと文香さんの逢引?が書かれることはあまりなかったのですが、敵対者がいなくなったことで、何か進展がある・・・かも?







葉月さんはやはり自殺しましたか…
彼の性格を考えるとそういう行動をとるでしょうね。

いよいよ、このゲームも総一の首輪の問題だけとなりましたね。
敵対者がいなくて、平和(?)な感じですが、ここまで満身創痍な彼らが活路を見出せるか気になります。
そして次回の文香さんの過去も気になります。更新楽しみにしています♪
茶そばダディさん、おはようございます♪

総一くんとかりんちゃんが怪我をしているので、文香さんと高山さんの活躍に期待、ですね。

文香さんはご存知のとおり、このゲームを運営する組織を潰そうと活躍しています。で、そこに至るまでの経緯が語られていきます。


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