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シークレットゲームコミュのシークレットゲーム 〜エピソード5〜 第9話[暗転]

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第9話[暗転]                              〈作・桐島成実〉

【残りの生存者・・・10/13人】

〈現在の状態〉

[グループA]    PDA      状態    総一との関係
 御剣 総一     (A)      腕を負傷      
 陸島 文香     (6)       健康      信頼
 北条 かりん    (K)      肩を負傷     良好
 色条 優希     (9)       健康      良好

[グループB]
 綺堂 渚       (?〉      ??      普通
 葉月 克己     (?〉      ??       普通
 姫萩 咲実     (?〉      ??      普通

 長沢 勇治     (?)      ??      険悪

 矢幡 麗佳     (?)      ??      敵対

 郷田 真弓     (?)      ??     未接触

 漆山 権造     (?)      死亡     知らない





総一の腕の手当てが終わった4人は、素早く部屋を後にしていた。

ゲーム開始から既に32時間が経過し、1階が進入禁止となっていた。

総一の怪我もさることながら、4人ともゲーム開始以来まともな睡眠を取っていない為、疲労は蓄積するばかりであった。

だがしかし、近くに襲ってきた麗佳がいる以上、安心して休む事など到底できる事ではなかった。

総一達は最後に麗佳がいた場所から離れるように北の方角に真っ直ぐ進んでいた。4階へ行く階段のある場所へは、多少迂回する事になってしまうが、仕方ない。

総一「ふぅ・・・」

総一は軽くため息をついた。腕の怪我の影響で、身体も精神も疲弊していた。

手当てはきちんとされているので、熱を出して倒れることはなかったが、さすがに辛いものであった。

かりん「御剣、大丈夫?」

総一のすぐ隣にいるかりんが他の2人に聞こえないようにそっと尋ねる。

総一「ああ、なんとか」

総一とかりんが並んで先頭を歩き、その後ろに優希、麗佳の存在を考えると、後ろからの奇襲も十分考えられるので、後ろは文香に警戒してもらっていた。

とはいえ、ナイフを失い、丸腰同然である今の総一達にとって、誰にも会わない事を祈るばかりであった。

こうして、ある程度の距離をとるまで、総一達は早足で歩き続けた。

その間、誰にも会わなかったのは幸いと言えるだろう。

そして、襲われた場所から結構な距離が離れた所から、再び部屋を探索し始めた。


総一「やはり、武器は必要なんですかね」

総一は同じく木箱を調べている文香にそう呟いていた。

文香「不本意だけど、仕方ないわ。身を守るためにも必要だと思うわ」

交渉するにしても、武器がない状態では人数では勝っていても、とても対等とはいえない。

やはり牽制する為にも武器は必要なのだった。たとえそれが戦いを望まぬ総一達にとっても。

一方的にやられるわけにはいかない。それもまた総一達の思いでもあった。

総一「けど、ここにある武器って・・・」

恐らく、いや間違いなくあるのだろう。麗佳が持っていたのと同じ様な銃が。

総一のその考えを見透かしているのだろう。文香はこう答えた。

文香「銃は相手を撃つばかりとは限らないわ。威嚇の為に使うことも出来るってわけ」

総一「それは、わかってるんですけど」

総一はそれでも、銃を撃つことを躊躇っていた。

しかし、その思いをあざ笑うかの様に、それはあった。

総一「まさか!」

ずっしりとした重み。そしてその形状。間違いなく拳銃そのものであった。

銃がある事は覚悟していたが、実際に手に持ってみると、やはりそれの持つことの意味の重さを実感していた。

同じくダンボールを探していたかりんと優希も、総一の手に持つ銃を見て思わず唾を飲み込んだ。

総一「ずいぶんと重いんですね・・・」

総一は驚いた顔のまま、率直な感想を述べた。

文香は探していた手を止め、総一の方を向いた。

文香「そうね、でも総一君」

文香は真面目な顔をして総一に告げた。

文香「銃は使っても、その重さは忘れないこと。いいわね」

文香のその言葉に、いつもの明るさはない。

文香「忘れてしまったら、それは不幸を呼び寄せる結果にしかならないわ」

文香が言いたい事は、銃を持つことの意味だ。銃を持ち、そして撃つことに何のためらいも無くしてしまうと、それは人を傷つける為に使う事を意味してしまう。

文香は武装をすることは受け入れても、それで人を傷つけることをひどく嫌っていた。

文香の真剣な眼差しを受け、総一は銃をみんなを守る為だけに使うことを決意した。

総一「・・・わかりました」

総一はうなずくと、文香は真剣な表情を崩して微笑んだ。

文香「よろしい」

その口調は、いつもの文香に戻っていた。

そして、再び探索を開始したのだった。



・・・
・・・・・


文香「ん、これは?」

いくつかの部屋を回った時、文香が何かを発見したようだ。

文香はそれをダンボールから取り出した。それは以前見かけたPDA用のソフトであった。

だが、以前と違うのは、同じプラスチックの箱が2つあったこと。そして、それがコードのようなもので繋がれていることだった。

総一「これは・・・?」

文香はその箱に書かれた文字を読み出した。

文香「“Tool:NetworkPhone”?」

箱にはそう書かれていた。

文香「うーん、通話が出来るって事かしら?」

総一「とりあえず、インストールしてみましょうか」

総一はそう言い、箱の端子の片方を総一のPDAに、もう一方を文香のPDAにそれぞれ差し込んだ。

【インストール完了】

画面にそう表示され、総一達は端子をPDAから抜き取り、PDAを起動した。

すると、機能一覧に、新たな項目が追加されていた。

総一はそのボタンを押すと、突然PDAからいつもの電子音と違う、目覚ましのベルとでもいうべき甲高い音が鳴り出した。

総一「わっ」

驚いた総一だったが、すぐにベルは止み、かわりに雑音が少し聞こえてきた。

総一はその雑音に集中していると、

文香『総一君、聞こえる?』

すぐそばにいる文香の声が、本人からだけでなく、PDAからも雑音混じりで聞こえてきた。

総一「あ、そっか、そういうことか」

これはいわば携帯電話みたいなもので、PDA同士で通話が可能なのだろう。

かりん「けど、これってどのような時に使うのかな?」

そばにいて成り行きを見ていたかりんは首をかしげる。

文香「きっと、葉月さん達との時のように分裂した場合に使うんじゃないかしら」

総一達と葉月達とが二手に離れてしまった場合意思疎通の手段として使われるのだろう。

文香「けど、今の段階では意味はないわね」

たしかに、今は隣同士にいるので、普通に会話が出来る。出来ればこの機能を使わなくてはならない事態は避けたいものだが。

さらに探索を続ける内に、総一の持つ銃と同じ口径の銃を2つ手に入れた。それを文香、かりんの2人が持つことにした。

・・・総一としては、本来ならかりんにこんな物騒な代物を持たせたくはなかったが、かりん自身が持つと強く言うので、仕方なく持たせたのだった。



・・・
・・・・・


そろそろ適当な場所で休息を取ろうと、総一達は休めそうな部屋を探していた。

慎重に足を進める総一達だったが、ある部屋に入ろうとした時、突如全員のPDAが鳴り始めた。

総一「わっ、な、なんだ!?」

驚いた総一は思わず叫ぶ。

文香「しっかりしてよね、総一君」

後ろにいた文香が思わずそう漏らす。

・・・アラームが一斉に鳴り出すのはこれで2度目だが、どうにも慣れないな・・・。

総一は心の中で苦笑する。

かりん「あ、戦闘禁止エリアって書いてある」

PDAの画面を見たかりんは、目の前にある部屋のドアを交互に見る。

総一「もしかして、この部屋が?」

文香「どうやら、そうみたいね」

やっと休息をとれる。その安堵感で全員緊張していた表情をほころばせた。

総一「・・・ん?」

何気なしに通路の先に目線を向けていると、その先にある十字型の通路の右側から突如人影が現れた。

総一は安堵した直後の突然の登場に思わず身を固くしたが、よく見るとそれは総一達の知る人物であった。

総一「葉月さん!」

それは総一達がずっと探していた仲間の姿だった。総一は十字路の角を曲がって後ろに背を向ける葉月の名を呼んだ。

葉月「!?、総一君か!?」

葉月は総一達がそこにいることに気づき、こちらを振り向いた。

その声と表情は、なぜか切迫しているように映った。

だが、それに気づかずに総一は喜び勇んで葉月の元へ駆けていった。

文香「おじ様!無事なの!?」

後ろにいる3人も総一のあとに続いた。

文香も葉月の無事を確認すると、安堵の表情を浮かべた。

だが、その喜びは一瞬で吹き飛ばされてしまう。

総一はその光景に一瞬目を疑った。

葉月は腰にある銃を抜き、右手に構えた。その先にいる総一や文香に向けて。

総一「は、葉月さん・・・?」

総一は思わず立ち止まり、そうつぶやくのがやっとだった。

そして一瞬の内に頭の中が真っ白になった。

葉月「総一君・・・」

葉月は銃口を総一に向けたまま、総一の名を呟いた。

葉月の持つ銃は揺れていた。体中が震え、額には汗が浮かんでいる。

かりん「総一!?」

優希「おにいちゃん!?」

後ろから追ってきたかりんと優希は、そのただならぬ雰囲気に息を呑んだ。

が、葉月が総一に向かって銃を構えているのを見た文香は、腰にあった銃を手に持ち、葉月に向けた。

文香[おじ様!どういうつもり!?」

文香の初めて聞く鋭い声で、総一は我にかえった。

銃を向けられた葉月は、一瞬目線を文香の方に移したが、再び総一の方を向いた。

総一「な、ど、どうしてですか!?葉月さん!?」

総一は戸惑って葉月を問いただした。

葉月はしばらくじっと総一を見ていたが、やがておもむろに口を開いた。

葉月「渚君が・・・」

葉月はそこで一旦台詞を切った。

総一「渚さんがどうしたって言うんです!?」

葉月から渚の名前が出てきて、総一は気が付いた。

―――そういえば一緒にいるはずの渚さんと咲実さんはどうしたんだろう。

総一達と葉月達が最後に居た時は、他の3人はまだ一緒だったはず。

その疑問はすぐに当人の口から聞くことになる。

葉月は苦悶の表情を浮かべながら、口を開いた。

葉月「渚君が・・・・咲実君を・・・・・」

そして葉月は搾り出すようにその一言を発した。

葉月「・・・殺した」

総一「!?、っな!!」

文香「なんですって!?」

総一と文香は衝撃の告白に耳を疑った。渚さんが、咲実さんを、なんだって!?

自分の頭の中で今聞いた言葉を反芻する。だが浮ついた思考は、何度も空回りをした。

渚さんが、咲実さんを・・・殺した!?そ、そんなバカな!?


かりんと優希は、総一から仲間がいることは聞かされていたものの、会ったことはなく実感はなかったが、総一と文香は底知れぬショックを受けていた。

総一「な、なぜです!?どうしてそんなことに!?」

総一は葉月を向かってそう訴えた。

すると、葉月はややうつむき加減に答えた。

葉月「分からない。3人で、食事をしていた。何の前触れもなく、渚くんが、ナイフを持って、咲実さんに向かって・・・」

そう、まるで料理の皿を持って『どうぞ』と言わんばかりの動作で、かつて食材を切るのに使ったサバイバルナイフを咲実に突き立てたのだ。

そして、あたりは血まみれになった。3人で食べていた料理も、渚のナイフを持つ手も、そして刺された咲実本人も・・・。

総一は信じられなかった。葉月のたちの悪い冗談だと必死で思い込もうとした。

だが、葉月のその切羽詰まった様子は、その事が事実であることを示していた。

総一「そんな、バカな・・・!」

葉月「・・・・すまない」

葉月は誰に言うわけでもなく、そう呟いた。そして、銃を向けたままじりじりと後退していく。

文香「動かないで!」

総一と同じく驚きに表情を染めていた文香だったが、葉月が銃を向けていることを思い出し、銃を構えなおした。

だが文香のその言葉にも耳を貸さず、ある程度の間を取ったところで、まるで総一達を避けるように、その場を立ち去った。



・・・
・・・・・


通路を右往左往しながら走り続ける葉月には、先刻起こった惨劇が脳に焼きついていた。

自分の娘と同じぐらいの年齢の娘が、人を殺したという事実が。その時のまるで変わらないいつもの表情が、だがしかし、凍りついたような冷たく深い色をしたその瞳が。

その一連の出来事が、葉月を完全に混乱させていた。

そしてその出来事の後、銃を見つけてさらに動揺していたとはいえ、総一達に銃を向けてしまった自分が。

葉月は絶望と後悔の念に囚われていた。

葉月「・・・もしかしたら、もう自分はどこかおかしくなってしまったのかもしれない」

葉月は、もはや自嘲気味にそう呟いた。

すべてが日常からかけ離れていた。その状況が、自分と周りを狂わせてしまったのではないか?

もうどうしようもないくらいに。

葉月はもう何か何なのか分からなくなってしまった。

葉月は逃げるその足を緩めることなく、必死であるものを探した。

銃を持つ右手は動いてくれなかった。どう動かしてもいいかわからないくらい固まっていた。

仕方なく、空いていた左手で自分の胸ポケットをまさぐり、それを手に取った。

葉月「僕は、一体どうしたらいい・・・?」

それは家族の写真だった。葉月は、妻と娘に助けを請うようにそう呟いた。

そんな葉月だったから、自らに危機が迫りつつあることを知る由もなかった。

麗佳「・・・・・」

葉月の背後から、麗佳は銃を構えて狙いを定めていた。

トリガーに指を引っ掛け、カチリとわずかに音がする。

バン!

そして、銃から弾が放たれた。



・・・
・・・・・

殺されてしまった咲実、殺した渚、そして疑念と絶望に囚われたまま麗佳に襲われた葉月。失われてしまった絆は、もう元には戻らないのでしょうか?
そして残された総一達の命運はいかに!?

次回は第10話[想い]お楽しみに♪

〈作者〉本作とは別のシナリオを展開する為とはいえ、渚ファンからクレームがつきそうな気がするような・・・ガクガクブルブル

コメント(10)



咲美さんやっぱり死んじゃうんですねたらーっ(汗)たしか生き残るエピソード以外はどれもひどい扱いでしたよねたらーっ(汗)

葉月さんは好きだから生きててほしい…


きむ兄さん。こんにちわなのです♪

咲実さんも含めて早めに脱落した人は、次回以降に活躍すると考えてください。

葉月さんは、このまま敵対していくのか、それとも総一達と和解するのか。それは今後の見所の一つではありますね。

Duvalさん。毎度どうもなのです☆

渚さんの解除条件はDuvalさんのおっしゃるとおりです。なので、今後新たなパートナーを見つけるか、葉月さんを生存させる必要があります。

彼女も葉月さん同様このまま敵対するのか、和解するのか。今までにない展開だけに、色々な可能性があるかも?


まさかまさかの渚さん敵対ルートとは………姫萩は生存ルート以外だと扱いが本当に酷いですね。
ここで渚が敵対したということは、やはり組織の命令なのかな?

そして葉月はショックのあまり総一達に銃を、まぁ渚がとった行動から仕方がないかもしれませんが。

後ろからは麗佳が銃を、どんどんドロドロになっていくな〜
リョウさん、こんにちわ〜なのです☆

第7話で渚に出された指令は、本作のエピソード3の指令と基本的に同じ内容で【ゲームが終了するまでに姫萩咲実を殺害せよ。手段は問わない。ただしすぐ近くに他のプレイヤーが共に行動している事】です。

組織がある限り、平和に解決、とはいかないのでしょうね。





俺の嫁が豹変したー(長音記号2)泣き顔笑 でも咲実さんのむごい死は避けては通れぬ道かと…そのほうが絶対盛り上がる手(グー)ただ優希の出番がちょっと少ないのが気になるかもあせあせ(飛び散る汗)

今週も楽しみにしてました手(パー)来週もよろしくでするんるん
もりへいさん、こんちわ、なのです♪

実は葉月さんが渚さんに殺されて、咲実さんが総一達に銃を向ける、という2パターンを考えてたのですが、結局この通りになったのです。

優希ちゃんは今の所足手まといにしかなってないですが、エピソード4の序盤の様に総一を助けたぐらいですから、どこかで活躍する予定です(まだ秘密ですけれど♪)
団欒の中で渚さんが咲実さんを殺すシーンを想像しただけで鳥肌モノですね…
葉月じゃなくてもパニック必死ですね。
しかも葉月はピンチが続いているようで…。
でもこのまま殺されると渚さんは新しい相棒を捜さないといけないですけど、現実的に生き残っている人物(仮)でそれが出来そうな人って高山、郷田しかいませんよね!?
もし高山と渚さんがコンビ組んだら恐ろしいことになりそうな…

あと今回インストールされたNetworkPhoneの使い道も気になりますね。きっと何か意味があるのでしょう。

次回の更新も楽しみにしています♪
咲実死んだー
咲実はやっぱり総一と一緒にいないと死んじゃうんだな。しかも死に方呆気なくない。1キャラだったのに。
茶そばダディさん。ようこそ、なのです☆

渚さんと葉月さんの今後の行方が一つの見所ですね。これ以上はあえて何もいわないでおきましょう。口をすべらせるといけないですから。

アンジェさん、こんにちわーなのです♪

咲実さんの出番がここで終了、と考えると残念な人も結構居るみたいですねぇ。今回はこうなりましたが、次回に期待、ですかね。





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