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以下、
FUNKISTのボーカル染谷西郷が自ら綴った
『FUNKISTが出来るまで』の最終話です

五体不満足の著者乙武洋匡さんのブログに掲載されていたものからの引用です

http://sports.cocolog-nifty.com/ototake/2007/02/funkist_818f.html


FUNKIST連載 最終回
〜あらすじ〜
ヨーロッパ旅行を終え帰国した染谷西郷は、
いよいよバンド結成に向けて動き出した。


『vol.7 始まり』

15才の春。僕の打ったシュートははるか明後日の方向へ飛んで行った。


「染谷先輩、ナイッシュー!!」


「うっせー、一年!! 玉拾いに行けぇ!! バカバカバカ」

中学3年生になった僕は、サッカー部でレギュラーでした。
ポジションは、サイドバック。

仲のいいタクローは、ゴールキーパー。
一試合で12失点したこともある、練馬区が誇る最強の守備陣でした。

それでも学校内では、えばっていいのです。
3年生は、偉いのです。
1年生は、玉拾え。
その年入部したタクローの弟も、例外ではなく玉拾い。

「染谷先輩、ナイッシュー!!」

「うっせー!! ヨシロウ! 玉拾いってこいっ!! バカバカ」


―6年後―

ヨーロッパから戻った僕は、父親の仕事の手伝いで
市原悦子さんのレコーディングに来ていました。
こよなく愛するサッカーマガジンを片手に持って。

「あれっ? 染谷先輩っ!?」

聞き覚えのある声が、人気のない廊下に響き渡りました。

「ヨシロウ?」

振り向くと、そこにはサッカー部の後輩であり、
親友・タクローの弟でもある、ヨシロウが立っているではありませんか!!

手には楽譜を抱えて…。

僕は、中学時代にこき使われたヨシロウが仕返しに来たのかと思い、

「お前…何してんの?」

と訪ねると、

「今日のアレンジャーの方のもとで音楽の勉強してるんですよ!! 
 先輩は?」

「おっ、おう、今日ギターで参加する父親の手伝いにな」

「てつ…だい…?」

と言うと、ヨシロウは自分の持っている楽譜から、
僕の持っているサッカーマガジンに視線をゆっくり移していきました。

うっせー、バカバカ。なんか文句あんのかコノヤロー!!
楽譜がそんなに偉いのか? いいえ偉くはありません。
サッカーマガジンのほうがはるかに偉い。エジソンくらい偉い。
楽譜には選手は一人もいないけど、サッカーマガジンには
もれなく生き生きとした選手が何人も載っているからな。
はい圧勝!! サッカーマガジン圧勝〜!!

と心で思い、ほくそ笑む僕を、
ヨシロウはハテナマークいっぱいに眺めてました。

仕事の合間に、いま何をしてるか聞くと、
「音楽を勉強してるがバンド活動はしていない。バンドをやりたい」
と言うので、

「半年くらいしたらお前の兄貴とも小学校同級生だった
 宮田とバンドを始めるから一緒にやろうよ」

というと、ヨシロウは二つ返事でOKしました。


じつは

vol.1で書いた僕の人生初ライブにヨシロウは客として来ていたのです。
そこで僕の歌を高く評価してくれていたこともあり、
話はトントン拍子に進んでいきました。


時を同じくして、、、

テクノ、ハウス系の音楽を学びにアメリカで修業中の宮田。

だったのですが、

「波計にはもう飽きたんだよっ!!」

と泣き言を言い出して、ほとんど弾いたこともないギターに転向…

世界一の音楽大学とも呼び声高いバークリー音楽大学史上、
最も下手くそなギターリストがここに誕生したのである(どどーん)!!


―数カ月後―

5月30日、ついにギター歴半年のミュージシャンが日本に帰ってきました。

染「おかえり!! 約束通り、バンドのメンバーそろえといたぜ!!」

宮「おう、俺もばっちり揃えといたぜ」

染・宮「えっ?」

2人とも揃えたらあかんがなぁ〜(T_T)


というわけで、FUNKISTの初期編成。

ギター3人
(宮田・ヨシロウ含む)

キーボード1人

ベース2人
(オガチ含む)

ボーカル2人

ドラム1人



多すぎるわっ!!


染「お前バカか? 俺が揃えとくって言っただろう」

宮「バカ? バカって言ったの? バカって言う奴がバカなんだぞ」

「きー!!」

「ぎぃえー!!!」


ポカポカポカポカ





ハァハァハァハァ


と、


ひとしきり喧嘩し終わったところで、

「ハァハァ。誘っちゃった手前、やるしかねえだろう」

「…だな」


ということに落ち着き、ムダに9人編成のバンドが始まりました。


事件は、最初のスタジオで勃発しました。

スタジオに入り、音を出す。

ものの数分。

メンバーの一人が言いました。

「ベースは2人いらないと思う。」


バカやろう〜!! そんなこと、こっちはやる前から気づいてんだよぉ!!

と思いながらも、

「そ、そうかな。俺は舞台に弾いたり弾かなかったりする
 ベーシストがいるっていうのアりだと思うよ。…なぁ、宮ちゃん?」

「お…おう。そりゃもう! 弾く気満々で舞台に立ってるのに弾かない!!
 あのベーシスト弾きそで弾かない!! バークリーにもいない!!
 すごいオリジナリティーだよ」


しーん


すると、何か身の危険を感じ取ったのか、オガチが突然叫びました。

「俺、やだよっ!! 絶対にベース弾くからね!!」


この日から、染谷&宮田による「パーカスがいかに素晴らしい楽器か」
という、あくなき説得が続き、3ヶ月後にはベースを弾いたり
弾かなかったり、パーカスを叩いたり舞台をウロウロしたりする
ベーシスト(?)が誕生しました。


オガチ、すまん。


さて。
ライブを決めようと思いますが、
ライブなんて一回しかやったことありませんから。

とりあえず、宮田と公衆電話をし、町を駆け回り、
タウンページを見つけるや否や、

「ライブハウス」

を調べました。

どうせ選ぶならかっこいい名前のお店にしよう。
と言うことで2人が選んだのが、

「ロサンゼルスクラブ東高円寺」

この店のすごいのは、住所は南高円寺。最寄りの駅は新高円寺。
なのにロサンゼルス。であり、東高円寺。


どこやねーん

超かっこいい!!

ということで、早速、電話しました。


ぷるるる…ガチャ。

「はい。ロサンゼルスクラブ東高円寺です」

「(カッコイイ!!)あの〜、僕らライブがすごくしたいです」

「はぁ?」

「本気です!!」

「は、はぁ? ブッキング希望ですか? ホールレンタルですか?」


ぶっきんぐ??? はにゃ? なんじゃそりゃ?

恐ええ。ライブハウス恐ええ。


「ほ、ホール…レンタルで…」



かくして、望まずして僕らの最初のライブは、ワンマンライブになりました。

3ヶ月間でワンマン!!

そりゃあ、必死で練習しました。

俺は歌い、宮田は学んだ音楽知識を惜しみなく使い、
ヨシロウはギターをかき鳴らし、オガチは興味のないボンゴを
叩いたりウロウロする!!


そして決してうまくはなかったけれど、
僕らの初ライブは大成功で終わりました。完全燃焼でした。


あっという間の3ヶ月。

喧嘩をして、諦めて、踏ん張って、よろこんだ3ヶ月間。

メンバーはみんなすごく仲良くなっていました。
宮田がアメリカに帰る日。みんなで飛行場に見送りに行きました。

みんなの頬をつたう涙。

そしてみんな思い思いのプレゼントを宮田にあげました。


俺はキットカットを

オガチとヨシロウはプリングルスを

キーボードとベースはコーラを


宮田は涙を浮かべなから、

「全部…アメリカで…買えるよ」

を最後の言葉に、アメリカへ旅立っていきました。


染「しょうがねえなぁ〜。宮ちゃん帰って来た時、
  戻る場所ないとあいつまた泣くからなぁ。
  バンド続けといてやるかぁ」

ヨシロウ「そうっすね」

オガチ「俺、ベースを…」


かくしてたくさんの荒波を越えて今に続くFUNKIST船は、
大海原に飛び出しました。

病気に全てを奪われたあの日。
この日の僕の姿は夢物語だったはず。

暗い部屋で一人膝を抱えた日。
こんな風に笑える自分がいることを知らなかった。

南アフリカで少女が僕に微笑みかけた日。
世界に希望があることに僕は気づけなかった。

アウシュビッツの悲しい声に耳を傾けた日。
僕の声は音をなくした。

それでも仲間と呼べる人間と出会う度、
僕の人生は輝きを取り戻し、いつも眩しいほどの光りを感じるのです。

孤独、仲間、音楽、命、

その全部をイコールで結んだところにあるもの。


それが、FUNKIST。

そう、それが僕のFUNKIST。


僕の知る

『FUNKISTができるまで』

http://sports.cocolog-nifty.com/ototake/2007/02/funkist_818f.html

10月14日(日) open 17:00 start 18:00
【音楽食堂4周年special thanks Vol.4】
FUNKIST(東京)/SPANK THE AGE(東京)/LIFT/シトロンミスト
ADV 2000yen DAY 2300yen(高校生以下 前売/当日500yen)

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