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yapの四国遍路日記 コミュの薬王寺       四国遍路その13

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2006年  9月01日  雨


うぅ・・・・寒っ・・

あまりの寒さに目が覚めた。
時計は5時をまわっている。
地面はコンクリで、固くて冷たかったのだが
疲れていたこともあり、夜中に目を覚ますこともなく
眠ることができた。

おそるおそるテントから顔を出す。
あたりはまだ夜のように真っ暗で、しとしとと雨が降り続いている。
やっぱり、止んでないか・・・・・
台の上のメガネくんは微動だにしないので、
まだ眠っているようだ。
風がなかったため、横から雨が入って来るようなことは
なかったようだが、この肌寒い中
テントも寝袋もなしに良く寝れたもんだよ・・・
と、あらためて感心する。

遍路宿で見た天気予報では、今日は晴れになるはずなんだけど・・・・
雲はどんよりと厚く、止みそうな気配はない。


メガネくんが起きたところで、出発の相談をする。
今日の行程は22番平等寺、そして徳島県最後のお寺
薬王寺を行く、約30kmの道程だ。
遍路転がしを越えた昨日とはちがい、
ひたすら国道を歩くだけなので
一時間4キロペースと考えて・・・約8時間。
夕方までには、たどり着くことができるだろう・・・。
まぁ・・・・この雨が止み、歩き始めることができればの
話だけど・・・・・・

相談の結果、歩いていれば何時かは止むだろうということで
ふたり、東屋を後にする。


時計が7時をまわったころには、
雨はだんだんと小降りになってきていた。
うちは、カッパに菅笠と完全防備。
メガネくんには、菅笠しかない。
いくら夏とはいえ、雨に濡れながら歩くのは
少し肌寒い。
菅笠しか準備のないメガネくんには悪いが、
少し我慢してもらうしかない。


止みそうでなかなか止まない霧雨の中
遅れ始めたメガネくんを待とうと、後ろを振り返ると
メガネくんが、自転車のおばさんとなにやら
話しこんでいる。
あのおばさん、さっきすれちがった人だ。

おばさんとの会話を終えたメガネくんが
『カッパもらっちゃいました!!』と
歩み寄って来る。
もらえたカッパは、100均で売っているような
うすいビニール製の簡易ガッパ
メガネくんは、ビニールガッパを
さっそく着込んでいた。




22番   平等寺   8時 29分


あたりはまだ霧に煙っているが、
すでに雨はあがっていた。
雲も薄くなり、今日はもう雨の心配はないだろう。
お参りを済ませ、カッパをたたみながらベンチで休んでいると

『近くにコンビニとかないですかね?』とメガネくん。

そういや、うちもメガネくんも昨日の夜は、なにも食べていないんだった。
ロープウェイを下ったメガネくんは、
麓でなにか食べることができたかもしれないが、
うちは道の駅で食べようと、
太龍寺では、なにも買っていなかったため、
昨日の朝から食べてない・・・・。

うちの場合、旅に出ると、こんなことは日常茶飯事なため
一日くらい何も食べずとも問題はないが
育ち盛りのメガネくんには、ちょっとつらいかもしれない。

地図を開き、コンビニもしくは飲食店がないか探してみる。
少しだけ遠回りすればコンビニがあるようだ。
とりあえず、そこに向かうことにする。


9時をまわると空はすっかり晴れ渡り、気温がぐんぐんあがる。
朝までの天気がうそのようだ。
雨もいやだけど、晴れすぎるのもいやなんだよなぁ・・・・・・

道路脇の高校から、学生たちのさわがしい声が聞こえてくる。
そうか、夏休みも終わり二学期が始まったのか・・・
本来ならメガネくんも学校に居なきゃいけないはずなんだよな・・・

まぁでも、今日は始業式だけだろうし
この徳島遍路も、順調に行けば今日中には23番薬王寺にたどりつき
終わりを迎えることができるため
月曜日からの授業には十分間に合う。
メガネくんには、きちんと学校に行ってもらいたい。


コンビニで朝食を済ませ、
しばらく歩くと、国道55号線にさしかかる。
徳島県最後のお寺、薬王寺までのルートは二つある。
ひとつは、このまま国道55号線を歩き、山を越えていくルート。
ひとつは、55号線より25号線に入り、海沿いの道を行くルートだ。

メガネくんとうちは、海が見たい!ということで一致
海沿いの道を行くことになった。
海沿いを行くルートは、トンネルを抜けるなどして、
山を突っ切る55号線ルートよりも若干遠回りとなるわけだが

山ばかりの景色に飽き飽きしていたこと
海で泳げるかもしれないということ
そしてもうひとつ

海水浴場の『シャワーを使えるかもしれない』と、いうことが
海沿いの道を選ぶ一因となった。

ウェットティッシュで体を拭いたり、
水の使えるところでは、汗を流したりしていたが

さすがに、この真夏に二日以上もの野宿で
シャワーすらあびていないというのは気持ち悪い。


ちなみに、一旦ここで別れることとなる『国道55号線』

高知市街まで100キロ以上に渡って続くこの道に
次回、高知遍路編では嫌というほど
苦しめられることになるのだが、それはまた次回のお話。


道は峠へと差し掛かり、登り坂へと変わる。
日差しもだんだんと高くなり、気温もどんどん上がる。
メガネくんも、どんどん遅れ出す。

採石所だろうか?工事現場の道路脇の看板に
『冷水機あります、ご自由に休憩してください』の文字。

これは、寄らせてもらわなければ!

小さなプレハブの事務所裏に、冷水機が備え付けてあり、
テーブルと椅子で休憩もできるようだ。

メガネくんより先に、冷水機の水をいただく。
むぎゃ〜!!冷た〜!!ウマ〜!!生き返るよほんとに!!
おもわず、ガブ飲みをしてしまう。
自販機で、飲み物を買ったとしても、
歩いているうちに、すぐにぬるくなってしまうため、
冷たい状態で飲むことができるのは、
いつも、最初のひとくちだけだったりする。

今度は、メガネくんと交代。
メガネくんも、ガブ飲み!!
そして、すかさず空いたペットボトルに水を汲んでいた。

冷たい水でノドもうるおい、ふたり休憩していると
事務所の中から工員のおじさんが、タバコを吸いに出て来た。

メガネくんとふたり『こんにちは』と挨拶をする。

くしゃっとした笑顔で笑う
関西の人特有の人なつっこさを持ったこのおじさんは、

どこから来たの?とか
いつから歩いているんだ?とか
どこまで歩くんだ?とか

いつも出会った人に必ず聞かれる質問をした後に
『徳島の人は親切だろう?』と、聞いてきた。

初日に200円くれたおばあさん
地図を食い入るように見ていると親切に教えてくれたおっちゃん
雨の中、傘をもってきてくれたおばさん
車で送ってくれたおじさん
メガネくんも、カッパを貰っていたし

うちら二人とも初めての四国遍路で
これから訪れる高知や愛媛、香川の人たちが
どう接してくれるのかは、わからないが
そういえば充分すぎるぐらい、親切にしてもらっている。
否定する理由もないので
『ホントそうですね!とっても、親切にしてもらいました!』と、
告げると、おじさんは得意げに
『そうだろう!!そうだろう!!これから、高知とかじゃ
こうは親切にしてもらえないぞ?!
徳島県の人たちが一番やさしくて親切なんだ!!』
おじさんは、よっぽど気分がよかったのか
『高校生の遍路は初めてみたよ!がんばれよ!
これで冷たいジュースでも飲め!!』と、メガネくんにだけお金を渡す。

すかさずうちも
『あ!実はボク、同級生です』と言ってみる。
一瞥のもと、ない ない(苦笑)と一蹴されてしまった・・・・。

お・・・おのれぃ・・・・・
メガネくんばっかり・・・・・・・。



PM13:00、ついに!由岐海岸の田井の浜海水浴場に到着!!
あたりを見渡しても人っ子一人いない!
まさに!ぷぅらいゔぇええとびぃぃいーち状態!!
メガネくんと二人、荷物も服も投げ出して海へと突撃する!!

メガネくんは堤防の上で甲羅干し、
うちは、海でひと泳ぎだ!!

堤防より海に入り、ぷかぷかとあおむけに浮かぶ。
川のひんやりと冷たい水とは違い、海の水はぬるくて気持ちいい。
今度は対岸の砂浜まで泳ごうとクロールを始める。

朝からこの海岸まで、歩き通しだったのを忘れていた・・・・・・。
今のうちにはクロールで対岸まで
泳ぎきる体力など残ってなかったのだ。
体力が続かず、途中で休もうと足を着こうとする。
これがいけなかった・・・

着こうとした足は思いっきり水中を蹴り
ズボりと沈む!
どわぁ!!思ってたよりぜんぜん深い!!
予想外の深さに慌ててしまい、したたかに水を飲む!

ぐへぇ!!

焦りながらもなんとか足の着く所まで泳ぎ
事なきを得る。

あ・・・あぶないところだった・・・・・。
自分でも気づかないぐらいに、体力を消耗していたらしい・・・。

ま、まぁ、ここで足を引っぱられなかったってことは
14番寺の霊たちも、霊感のまるっきりない
うちには興味を示さなかったにちがいない。


今のうちには、海は危険すぎるということで、早々に退散し
シャワーを浴びる事にする。

海水浴場のシャワーで、しっかり頭と体を洗う。
ううぅ・・・気持ちいい・・・・。

目的地の薬王寺まで、ここから残り約10キロ
3時間てとこか・・・・・
もうすでに14:00をまわっているので
あまりゆっくりもしていられない
ふたたび二人歩き始める。


途中、えびす岩にて自然の雄大さを全身に感じ、
しばらく行くと、山の緑と海の青に映える白いホテル。
そして、その先の山の上に赤い多宝塔が見えて来た。
おそらく、あれが薬王寺・・・・・。


ついに、ついに発心の道場、徳島遍路が終わろうとしていた。
思わず足取りも軽くなる。

歩きながら一週間にも及ぶ、長くて辛かった
この歩き遍路の旅の感慨に浸ろうとする。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


なんというか、感動がこない・・・・・。

う〜ん・・・・・
もっと、こう、じ〜んと鼻の奥につ〜んと来るような
感動が込み上げて来るもんだと思っていたんだけど・・・・

デジカメとの別れ・・・・
メガネくんとの出会い
焼山寺での暗闇の中の強行軍
雨の中での野宿
親切な徳島の人々

この一週間に、ほんとにたくさんの出会いと
発見と冒険があったはずなのに・・

感動がこない理由。
それは、もうわかっていた。

それは、『まだ23番寺』だということ
残り65寺もあるのだ・・・・・・。
終わるどころか、折り返しにすらほど遠い・・・・・。
まだお遍路の『お』の字ぐらいまでしか
知らないのに、感動なんてするわけがない・・・・。

歩きながら菅笠に書かれた

迷故三界城
悟故十方空
本来無東西
何処有南北

について考えていた。

要するに、
迷うからこそ周りには壁ができ、
悟ることができれば、周りは空となる。
本来、東西なんか無いし、
南北すらもない。
ということみたいだけど、

悟ることができて、壁をとっぱらってしまえば
さえぎるものはなにもなく、決まりごともない。

あけっぴろげで決まりごとすらもないというのは
それはそれは自由で、理想ではあるけれど
それはそれで不安でもある。
壁を作ることにより、その壁に守られているということも事実だし、
決まりごとがあるからこそ、安心できるような気もする。

今のうちには、実践することは
到底できそうもない・・・・・。

これはやっぱり四国遍路、最後までやりとげる必要が
あるようだ。
悟りなんて開けるかどうかわからないけど・・・・・・



ウミガメの産卵地として有名な日和佐の海岸に到着。
うちは、ここのホテルに宿を取っていたので
チェックインを済ませ、荷物を置いて来る。

せっかくここまでいっしょに来たんだから
いっしょに薬王寺の山門をくぐろう!!と
メガネくんには、ちょっと待ってもらうことにする。

今日はメガネくんも、善根宿での宿泊が決まっている。



23番   薬王寺   18時 20分

やた〜!!ついに徳島県最後のお寺、薬王寺に到着!!
山門をくぐり、メガネくんと固い握手を交わす!!

いろいろあっただけに、喜びもひとしお!
無事にふたりともここまで辿り着けて
ほんとうによかった!!
まさか、最後までメガネくんといっしょにいるとは
思わなかったが・・・・・

石段の隅っこ、一段一段に一円や5円、10円などの
小銭が数枚置かれている。

なんだろうこれ?なにかの魔除け?

メガネくんが、お遍路おじいさんと話をしている。
おじいさんが薬王寺の説明をしてくれた。
この薬王寺は、厄除けのお寺として有名らしく
女厄坂33段、男厄坂42段と男女の厄年分階段があり
厄年の人は、この一段一段にお賽銭を置いていくと
厄払いができるということらしい。

おじいさんは、車でのお遍路。
なんと今回のお遍路で37回目!!
納め札も『銀』色だ!

すかさずメガネくんが
『一枚、もらえないでしょうか?』と、お願いしている。
うちも便乗して、お願いしてみる。

おじいさんは、快く承諾してくれた。

ただもらうだけというのもなんなので
納め札交換ということで
『うちらのお札なんていらないかもしれませんが・・・・』
恐る恐る、白い札を差し出す。

おじいさんは、にこやかに
『出会ったお遍路さんのお札は、大事にしているよ』と
白い巡拝袋の札挟より、いろんな人からもらったという
納め札を見せてもらう。
遠くは北海道や九州から来ている人、
なかには、ニュージーランド人の納め札もある。
おじいさんが、納め札交換したであろう
その数は、その厚さかから100枚以上?

37回も四国を廻ったたまものとはいえ、
うちも、この先こんなにまでも
納め札交換してもらうことできるだろうか・・・・


納め札には、白、緑、赤、銀、金、錦とあり

白は1回〜4回、お遍路を廻った人
緑は5回〜7回、赤は8回〜24回、
銀は25回〜49回、金は50回〜99回
そして錦札は100回以上廻った人のみが
使うことを許されるらしい・・・・。

銀や金、錦のお札は持っているだけで、お守りになると言われ
特に錦のお札は、たいへんご利益があるらしく
お寺の納め札箱を、あさってまでも持ち帰る人がいるらしい。

うちが、37回もお遍路しているなんて
すごいですね!!と感嘆していると

おじいさんは、
『私なんてまだまだだよ
数100回廻っているお遍路さんもいるし、
そういう人には、金剛杖の先端が先別れして魔道師の杖みたいなのを
持った人とか、車遍路で車のナンバーが四国遍路の『88』とか
弥勒菩薩(みろくぼさつ)の『369』にしている人がいたよ』
と、笑っていた。

杖の先っちょが2本とかって
仙人かなんかですか!?
いわゆる『お遍路オタク』みたいなものか?


お寺を後にし、メガネくんの宿泊予定の善根宿を探す。
電話で宿泊をお願いしたところ
無料で宿泊させてもらえるどころか
晩御飯もタダで食べさせてもらえるらしい・・・。


メガネくんが道行く人に善根宿を知らないか
尋ねながら歩いている。

てか、うちと話す時でさえ、目を合わせてしゃべれなかった
メガネくんが、今は率先して知らない人に道を尋ね、歩いている。

なんだか・・・・ほんとにこの短い間に
成長したんだな・・・・・・。

ドラえもんのような、ナマあたたかい目で
のび太くん・・・・もといメガネくんを見てしまう。

結局その善根宿のことは、だれも知らなかったので
場所を聞くため電話してみると
ちょっとはずれた所にあるらしい。

もう一度、メガネくんと硬い握手を交わし
ここでメガネくんと別れた。

発心の道場 徳島遍路 23札所 約220キロの旅が
ここで終わった・・・・・・。



ホテルにもどり夕食をいただく
無事に旅を終えたご褒美に、
『カツオのタタキ』と『ビール』を追加注文する

ん〜・・・・なんだかここのカツオのタタキより
メガネくんといっしょに食べたスーパーのが
数倍うまい気がする・・・

そして、部屋に帰るとともにブッ倒れる・・・・。

どうやらこの旅中、炎天下の中一週間歩き続け
体の水分吸収率が格段に上がっていたため
酔いがびっくりするぐらい廻ってしまったらしい・・・。
もともと飲めないのにかっこつけるんじゃなかった・・・・・・


夜、コメカミの血管がどっくんどっくん言って
苦しんでいる所に、メガネ君からメールが届く。
『こちらはもうそろそろ寝るところです。
おじいちゃんと一緒にご飯食べました。(笑)
たのしくトークしてたりしてる!笑
(本当に最後まで良い旅になりそうです。)』


メガネくんのメールを確認後、
うちは、そのまま意識を失ったのだった・・・・。




今日歩いた距離  28kmほど・・

徳島県最後の寺 23番薬王寺まで あと0km!!


四国遍路最後のお寺 88番大窪寺まで・・・        約1000 km?



発心の道場 徳島遍路             





修業の道場 高知遍路につづく・・・・・・

コメント(4)

これが始まりだったんだねぇ。
もう、3回目の夏も終わったのに、yapさんの中では
徳島は鮮やかなままなのかちら。

本来無東西
何処有南北

何かいいね。これ。
何にもない真っ白な空間にいるみたいで怖いけどウインク

お疲れ様でした。
ほんと、長い長い旅だったねウッシッシ


cloud9さん>
いやぁ〜、ようやく徳島終わりました・・・・・

前回あっぷから半年たってたんですね〜><
月日が経つのははやいよ・・・・

お次は高知ですか・・・・
まぁ、去年今年とで耕地なわけだから一気に書きますよ!
2年なんか・・かからないと・・思う・・たぶん・・・たらーっ(汗)


izuさん>
修行の旅だからね!!

次回、高知編は錦のお札と台風あたりが、物語の核となっていきます。
あまりにも間が開いてしまったので、最初からまた読みかえしちゃった
いやー長いね、それに2006年って・・・

私がレッチリでフィーバーしてる時、悟りを開いちゃってたんだね〜

メガネ君、卒業したかな?
お遍路って孤独な旅の印象だけど、ずっと何かと一緒の旅で
出会いの旅だったんだな〜と改めて感じました。

続きまってまーす手(パー)

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