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フリージャズコミュのAlexander von Schlippenbach Trio

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Alexamder von Schlippenbach Trio at BIMHuis in Amsterdam

Thu. 29, Nov. '07


Alexander von Schlippenbach (p)
Evan Parker (ts)
Paul Lovens (ds, cymbals)


北部ヨーロッパに秋が終わり憂鬱な冬が始まる。 少々の憂鬱を抱えてぱらぱら降りそうな夜空を眺めながら会場に入った。 このトリオで聴くのは久しぶりである。 個別に他の機会にEvan ParkerやAlexander von Schlippenbachは聴いていたし、特に八月の終わりにオランダ北部Groningenの田舎で開かれた恒例のジャズフェスティヴバルではVon Schlippenbach 5のこの6年とも9年とも言われているモンクの70曲をCD3枚に組んだMonk's Casinoと題するパッケージ(Intakt CD 100)から数曲45分のセットを2回聴いたのだった。 その折にはモンクの足跡をVon Schlippenbach流にたどり、それに沿うRudi Mahallのバスクラリネットのドルフィー風味に加えてそこから彼らの現在に至るフリージャズを提示するのを見聞きするにつけ彼らの健在を喜んだとともにこの3枚は何かの折にはi-Podから流れて私の脳内で鳴っている。

会場は普段の半分ぐらいの入りで彼らの音楽に相応する聴衆のようだった。 我ら年寄りが集まるとインプロヴィゼーション、フリージャズが若年層にアピールしないことを嘆くようではあるがこれは今に始まったことではない。 けれど会場には20代の若者達があちこちに小グループとなって散見されオランダ語、ドイツ語、英語、スペイン語、イタリア語などのグループであるように聞こえたのだが聴衆の半数以上を占めるオランダ語グループの平均年齢は50をかなり上回るようだ。

この手のコンサートに通うと自然と顔見知りが出来、ポツポツといろいろなことを話すうちになまじ初めてではないような、友達のともだちは、、、というような嬉しい驚きがあるものだ。 この日、最前列中央に席を取った私の隣は一ヶ月ほど前にも、その前にも何回か同じ席になった老人で、この人と始まる前にバーで話していてこの人の孫娘と私の娘がスポーツクラブのチームのメンバーであることが分かり、また住所も運河を越して家から石を投げれば届くようなところに隠居しているデルフト工科大学元教授だったことが分かったのだ。 この家には何年か前に娘のチームのパーティーで既に訪れている。 この老人は若いときからのジャズファンでデルフト市のジャズ同好会で長年にわたって300以上のコンサートを企画してきたとかでこの日のメンバーEvan Parkerとはもう35年以上の付き合いだとのことだ。 お互いの共通の知人、故人の名前も出てきてまさに寄寓としかいえないようなジャズを通じての出会いだったがお互いに近所のことでもありこれから折りにつけぶらぶらと訪れてオランダのジャズこの30年以上のあれこれを聞いて記していきたいと思う。

この日の落ち着いた雰囲気のなかで始まったコンサートは定刻9時15分に始まり30分と15分の2曲で第一セットを終えた。 いつもと同じくマイクは使わない。 もう何十年と一緒に演奏しているトリオであるのだから全て自然の流れであり音を通して互いの意思、音の流れ、緩急が「決まる」、というよりそのように「出来ていく」のだ。 三人の息が合うのは当然のことだが三人が全力疾走するところが何箇所かありそこでの音の質と量が彼らの経験と筋肉の強度を充分保っていることを示していてまさしくヨーロッパフりージャズの重鎮としての彼らの現在を証明している。 緩急自在とはこのトリオの事だ。 それぞれが各自のビジネスに奔走しているのだがそこではそこから浮かび上がる世界が現れ、ソロで各自が同時に疾走しているのだがカオスともハーモニーとも聴こえる不思議なものが生起している。 まるでユニゾンで同調しているかのテナーとピアノの音の連なりなのだが耳を傾けてみるとそうではなく、各自別々、自分の事に没頭しているのだ。 これは不思議な体験だ。 ピアノが或るモードとかコードとかに従事しているからかとみたのだがそうでもないようだった。 奔放と調性、集合と離散、フリーと拘束ということを長年に亘って音を通して試みるグループの今なのである。

30分の休憩を挟んで再登場すると25分と15分の2曲に5分ほどのアンコールだった。 初めの25分の曲は静寂の空間をピアノが誘導する。幾つかの結節点があるのだがピアノソロでは19世紀のドビュッシーからラベルのピアノの動き、1970年代のECMレーベルで聴かれたようなピアノとVon Schlippennbachは自身のピアノでそれを検証していく風だったものがLovensが介入して別の世界を提示する。シンバル類を薄い小太鼓の上に置いた布や皮に裏返らせ引っかけて縦横に、平手で、ドラムスティックで、叩き、撫で、押さえ、くぐもり、透明感がこの人に特徴的な薄い太鼓のドラミングに呼応してピアノが造った世界を支え、更に世界を辺境に押し広げ、その中心部ではテナーが両者の拡張を見守るかのように安定した熱を保つかのような世界だ。 2曲目ではジャズスタンダードの歌心がピアノからバラードのように聴こえてきて、テナーがそれに呼応するのだがバラードの雰囲気を振りまくもののバップのフレーズはでてこない。 誠に居心地のいい音である。 これでこの夜のプログラムを安定よく終わらせる心積もりだったのだろうが聴衆はアンコールを求め、モンク調のリズムもフレーズもつけた小品でコンサートを終えた。

三人が舞台を退いた後、ピアノ自身が舞台に戻りこのツアーの、冬の旅、と題されたCDを20枚ほど売った。 

Schlippenbach Trio
Winterreise
psi 06.10 Live recorded in Cologne in 04 & 05


Schlippenbach Trio
Compression Live at TMM 02
FMP Freemusic LC 12005

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