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北海道発PT旬情報コミュのご報告・きくみるはなす熊野・嶋津集落縁坐舞台

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2012年6月15日に、和歌山県熊野川上流地域の嶋津集落という
住民数11名の限界集落で、きくみるはなす縁坐舞台を実施しました。



近隣地域や他県からも参加者があり、役者も入れて40名程の人が
集まりました。


川岸の道に面して立つ小さな公民館に住民が集まってきます。
洪水の時には道から数メートルの高さにある電線に流木が
ひっかかっていたそうです。



嶋津集落の名物区長、平野さんは車で高齢の方々を迎えに行きます。
車椅子を奥様に押してもらって参加される方もありました。


まず全員で円坐を作り、一人づつ名前や住んでいる場所などを
告げます。



縁坐舞台の役者たちは真剣にその声を聞き、その日の会場の
雰囲気とそこに集まった人々の発する言葉に共感していきます。


全員のご挨拶が終わると、司会役を務める縁坐舞台の座長が
天気や季節、あるいは日頃念頭にある言葉や大事にしているもの、
こと、場所などについて参加者の発言を求めます。



自薦他薦OKなので、どなたかが発言することになります。


人形役者は公民館の部屋の片側に一列に坐り、囃し方は
小さな楽器類を備えてその両側に坐っています。



「ではご縁の坐をお願いします。」との囃し方の宣言で
舞台が始まります。


たとえわずかの発言であっても、
その話し手の言葉全体に含まれる思いや感情、
話された言葉が他の人々に与える響き、
会場となっている部屋や場所にすでにある雰囲気などを
受け取った役者たちは、時には舞い、時には演じて
即興で舞台を作っていきます。



見ている話し手や観客は、思いがけず自分自身の深い気持ちや
思いを、さらにはその場所に生じていた「何らかの」エネルギーや
環境からの影響などを芸術的な表現として舞台上に見ることができ、
観客全員にもその驚きや感動が共有されて場に一体感が生じてきます。


嶋津集落では、人形役者によるていねいな傾聴の努力が参加者に
認識されるにつれて、話者のお話が自然に深いものになっていきました。



高知県から来ているIさん(女性)が、公演前に、集落の89歳のおばあさんと
出会ってお話をして、その人生の長さそのもの、長く生きて在ることの「凄さ」に
触れて感銘を受けた、と語りながら涙になります。


Iさんは、後ろに座っているそのおばあさんに何か話してください、と
頼んだのですが、おばあさんは凛とした表情で、暖かくその女性を
見つめながら何も語られませんでした。



人形役者たちはこのお二人の邂逅と、しみじみとした二人の人生の味わいを
舞いや簡潔な言葉で表現していきます。


縁坐舞台公演のためにいろいろ労をとってくださった
平野区長のお母様が言葉をくださいます。



この公民館の前の道は、嫁入りしたときはとても細いあぜ道だった。
あれからいろいろあった・・・特に大洪水が辛かった、、
しかしこの度、息子に子供が生まれた。
おかげでこの集落も少し若返った。皆の助けで生きていける。
有り難いこと。


舞台には半世紀前のお嫁入りのシーンが作られ、続いて
洪水や家族、お孫さんを象徴するエネルギーが人形役者の
身体を通じて顕れ、そして去っていきます。



あるおばあさんは、去年9月の台風による熊野川の大洪水で家を
失った悲しさと、次の台風への不安な思いを話されました。


奥様とともに車椅子で来られたNさんは、脳梗塞で死線をさまよった挙句
やっと回復したことを、はじめは「三途の川の渡し賃が高かったから帰ってきた」と
笑っていたのですが、
しばらく時間をかけて、自分は高齢なので家族や集落の仲間、
さらには行政の福祉課にもまた迷惑をかけるから死んだ方がよかった、
という心境を話されました。



その言葉を聞いた人々は初めてNさんの深い心と、周囲を思うが故の
生き続けることへの逡巡を知ったのでした。


舞台終了後は皆さんから暖かい言葉を沢山かけていただきました。



特に熊野川森林組合の田中組合長は、ことのほか喜んでくださって、
是非また準備して舞台を行いたい、熊野古道や大杉のある山など、
縁坐舞台がよく似合う場所がたくさんあるんだ、と言ってくださいました。


きくみるはなす縁坐舞台は、現代の日本を生きる我々が、
人間存在への新たな洞察を加えて再び編み上げた
「日本の民衆の祭り(祀り)としての芸能舞台」です。



このような「祭り」によって、人々の絆が強まり、住んでいる土地への
愛情や誇りが賦活されて、地域の集落や都会の人々が、「魂の復興」に
向かう新たな力を生み出していきます。


きくみるはなす縁坐舞台は、数日の稽古の時間と
舞台結界という構造があれば、周囲のエネルギーを聴き分ける繊細な
能力を常備している平均的な日本人(ネイティブ・ジャパニーズ)ならば
どなたでも実施できる舞台芸能です。


そもそも古代日本の暮らしの中において、嶋津集落のように
常に何らかの限界に生きる民衆とともに生きてきた、
「ともにいる」という「芸能の力」(結座性)を発揮する芸能民たちの姿こそ、
日本人としての我々が実はすでに身に付けているメタスキル
(取り去ることのできない態度的要素)であり、原型であると思います。


      シアター・坐・フェンス  はしもとくにひこ

           

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