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語部夜行 〜カタリベヤコウ〜コミュの懺悔17 ギロチンジャック

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聖「♪ある日 森の中 クマさんに 出会った♪ よーし、今夜は熊鍋だ!」


源造「ボケとる場合かー!!」


聖と知人の元刑事、仁科 源造(にしな げんぞう)の声が山中にこだました。















千里「あった・・・・ここだ。」


夏休み、青葉千里は幼なじみの加藤健一、沢村浩太、田中勇の三人を、山にある防空壕らしき場所に案内した。
事の始まりは夏休みに入る前、勇が「今年も夏休みに肝試しをやろう」と言ったことだった。
とはいえ墓地はありきたりだし、去年住職に見つかって目をつけられていた。
他に良い場所もなく企画倒れかと思われたが、数日前に千里がここを発見したので、ここで肝試しをすることとなったのだ。
四人は扉を開けて中に入る。

健一「中はかなり暗いな。」


千里「あ、ライト持ってきてるぞ。」


千里がライトを健一に手渡すと、浩太と勇が二人をからかった。


勇「おっ、仲いいな。」


浩太「二人は一番付き合い長いからな。中は広そうだ。俺らはこっち見てくるから、お前らはあっち見にいけよ。」


そう言い、浩太と勇は進んでいった。


健一「あ・・・・おい!」


叫ぶが、二人の姿はもう見えない。


千里「ど、どうする?」


健一「・・・・・・進むぞ。」


不機嫌そうに応える健一。だがこれは千里にほのかな恋心を抱いている健一の照れ隠しである。

ライトの明かりを頼りにしばし進むと、通路を遮るかのように鉄の扉が閉じられていた。


健一「重いな、この扉。千里、そっち押してくれ。」

二人で扉を押して中に進む。
中もまた通路が続いており、途中に部屋もあった。


千里「いろいろあるぞ。」

千里が入った部屋には保存がきく食糧や乾電池、水があった。


健一「おい、こっち来てみろよ。」


健一が入った部屋には使い古された机とベッド、そして机の上にはファイルが。
ファイルの中を見ると、切り取られた新聞や週刊誌の記事がファイリングされていた。


健一「なんだこれ・・・・『ギロチンジャック』?」


ファイリングされていた記事は全て『ギロチンジャック』と呼ばれる連続殺人犯についてだった。
ファイルの記事に目を通した結果、

・一番新しい記事は六年前
・遺体がギロチンで処刑されたかのように首がないことから、ゴシップ雑誌で『ギロチンジャック』と名付けられた
・『ギロチンジャック』は十数人殺害しており、なおも逃亡中

ということがわかった。


健一「・・・・なんでこんなファイルが?」


千里「まさかここ、『ギロチンジャック』の隠れ家じゃ・・・・」


そんなバカな。

健一はそう思いつつ、用心のために部屋にあった鉄パイプを手に探検を続けた。

その後、他の部屋も見たが何もない。やがて全ての部屋を調べ終わり行き止まりについた二人は元来た道を引き返すことにした。
その途中、

ピチャ ピチャ

水が垂れるような音が聞こえ出した。
音が聞こえてくる場所は先程調べた部屋。だが、調べた時には何もなかった。

いったい何が?

疑問に思い部屋の中を見ると、


千里「き、キャアアアアアアアアア!!」


浩太と勇の頭部が吊されていた。
二人の両方のこめかみには杭が打ち込まれており、そこに縄を引っ掛けることによって天井から吊している。


千里「・・・・あ・・・・・・あ・・・・・・」


千里は放心状態で後ずさると、向かいの部屋の扉にぶつかった。
千里がぶつかったことによって開く扉。開かれた扉の向こうを見て、健一は絶句した。
そこは先程調べた時は何もなかった部屋。だが今は違っていた。

そこには腐敗した頭部が数個吊されていた。

その光景を見た瞬間、健一は千里の腕を掴み出口に向かって走り出した。
ひたすらに。がむしゃらに。
しかし二人は足を止めた。否、止めざるをえなかった。何故なら、


健一「そんな!?」


通路の扉が閉ざされていたからだ。
扉には内側に南京錠がつけられている。南京錠は頑丈そうで、破壊は不可能だ。


千里「な、なあ・・・・鍵が内側についてるってことは・・・・」


そう、鍵が内側についているということは、浩太と勇を殺した犯人はこの中にいるということだ。


健一「くそっ!」


扉を何度も叩く。全力で叩いた為に痛みを感じたが、その痛みが冷静さを取り戻させた。


健一「・・・・そうだ、何か武器になる物を・・・・・・それと最初に調べた部屋にあった水と食糧を!」


健一の判断は正しかった。
二人は中学生なので腕力は乏しい。相手が成人男性だとすると、武器は必要だ。
そして水と食糧を独占しておけば相手から出てくるだろうし、水分不足により弱らせることも可能だ。

早速二人は行動に移し、出口である通路の扉付近に陣取った。ここにいれば水と食糧が無くなって外に出ようとする犯人と必ず遭遇するし、犯人が外に出た際に外側から鍵をかけられる心配もない。
武器として切れて先端が尖った鉄パイプと長い鉄の棒を所持し、出口付近に陣取る二人。

だが、犯人は一向に姿を現さなかった。

一日経ち、二日経ち、一週間経つころには、犯人に対する恐怖は薄れ、別の不安が出てきた。


千里「私たち、生きて出られるのかな?」


健一「・・・・・・わかんね。」


別の不安、それは水と食糧が少なくなってきたことだ。このままではこちらの体がもたない。


千里「このまま出られなかったら・・・・・・」


健一「・・・・やめろよ。」


千里「やだなぁ・・・・未練残して死ぬのは・・・・」


健一「やめろって・・・・」


千里「健一・・・・私、その・・・・・・オマエのこと、好きなんだ・・・・」


健一「だからやめ・・・・って、ええっ!?」


突然の告白に驚いた健一は思わず聞き返してしまう。


健一「い、今なんて?」


千里「・・・・だから、私はオマエが好きなんだよ!まあ、どうせオマエは私のことなんて好きじゃないだろ?」


そう言うと千里は唇を尖らせてそっぽを向いた。


健一「あ、いや・・・・・・俺もオマエのことが好きだ。」


千里「嘘だ。オマエ、よく私に冷たい態度とってたじゃないか。」


それは思春期男子の照れ隠しなんだが、千里にはわからないようだ。


健一「悪い。その・・・・恥ずかしかったんだよ。それにオマエ、どんどん可愛くなるし。」


千里「か、可愛い!?」


赤面して照れる千里。それを見た健一の心臓が大きく脈打つ。
気付けば健一は千里の肩を抱き寄せていた。


千里「健一・・・・」


健一「・・・・千里。」


二人は見つめ合い、唇を重ねた。
一瞬とも永遠とも思える時間。
それが終わると、二人は再び唇を重ねた。今度は激しく舌を絡ませて。
舌を絡ませながら健一の手が千里の胸に触れようとした時、通路の奥から足音が聞こえてきた。
二人は離れて武器を手に取り、ライトの明かりを通路に向けた。

ライトの明かりに照らされ現れたのはピエロの格好をし、斧を持った男性だった。


「んふふ、ようやく狩り時になったよ。」


そう言い、健一に向かって斧を振り下ろすピエロ。
健一は鉄パイプで受けたが、鉄パイプは真っ二つに切られ、健一は吹っ飛ばされた。


千里「このぉ!」


千里が先端が尖った鉄パイプをピエロの腹部に突き刺す。が、


「んもう、痛いなぁ。」


刺された箇所から血が出ていない。痛みを感じていないのか、ピエロは片手で千里を持ち上げ投げ捨てる。


「女の子は後。ボクは女の子をたっぷり虐めてから殺すのが好きなんだ。だ・か・ら・君から死んで♪」


倒れている健一に向かって斧を振り上げ、次の瞬間


ドガァ


遠くで破壊音がした。


「んもう、お邪魔虫が来たのかな?」


ピエロは鍵を取り出し南京錠を開けようとすると、


ドガァ


「ぶはぁ!」


扉ごとぶっ飛んでいった。健一と千里は倒れていた為、扉が頭上をかすめる程度で済んだ。

いったい何がおきたのか?

扉があった場所を見ると、そこにはトランクス以外身に纏っていない、高校生ぐらいの少年がいた。どうやら彼が扉を蹴破ったようだ。
いったいこの人物は誰なのか。疑問に思っていると、少年が口を開いた。


「まっぱだカーニバル。」


「アホかぁ!」


今度は老人がやってきて、少年にドロップキックをくらわせた。


「いてぇな源さん!」


源造「やかましい聖!服着ろ!」


聖「仕方ねぇだろ!熊追って川に落ちたせいで服ずぶ濡れなんだよ!携帯も壊れるし!」


口論を始める聖と源造。そしてポカーンとした表情で二人を見る健一と千里。
しばし口論していると、ピエロが立ち上がってきた。


「クソが!」


聖「源さん、あれがギロチン持ってないけどギロチンジャック?」


「ん?ジジイ、テメェの顔は覚えてるぞ!俺を捕まえた奴だな!?」


そう、このピエロことギロチンジャックは六年前に源造が逮捕した凶悪犯なのだ。
そして半年ほど前に極刑になり死亡した。


聖「で、死刑により肉体という枷から解放されたオマエはこのかつての隠れ家で入ってきた奴らを殺してたってわけか。」


言い終えてから髪をかきあげる。
たったそれだけの動作。だがその動作を終えた瞬間、聖が纏っている気が変わった。


聖「源さん、その二人連れて先に出てて。こっからはR-18になるから。」


聖が纏った気、それはさながら獣のようだった。


聖「おいクズ野郎。キサマの懺悔は聞かねぇ、冥府に堕ちな。」
















健一「あの・・・・さっきの人は大丈夫なんですか?」


千里「そ、そうですよ。あのピエロ、斧持ってたし鉄パイプ刺しても何ともなかったし。」


源造に連れられ外に出た二人は一人残った聖を案ずる。が、


源造「心配ない。あれ見ろ。」


源造が指差した先にはずぶ濡れの聖の服が。


源造「すまん、あっちじゃった。」


改めて指差した先には熊が。ピクリとも動かない為、どうやら死んでいるようだ。


健一「・・・・あの熊は?」


源造「聖が素手でやった。」


健一「・・・・・・はい?」


思わず聞き返してしまった。何を言ってるのか理解できなかったからだ。


源造「だから聖が素手でやったんじゃよ。決め技はコークスクリューブローによるハートブレイクショットじゃったかな。」


源造の話を聞いて呆れつつ、ふと思った。


健一「・・・・聖って人、人間ですか?」


源造「人間じゃよ・・・・・・多分。」
















そんなことを言われている聖はというと、


聖「気分はどうだい?」


ギロチンジャックをボコボコにして頭を踏みつけていた。
地に伏しているギロチンジャックの四肢は歪んでいて、顎は引きちぎられている。


聖「って、その顎じゃ応えられないか。んじゃ、そろそろ冥府に行こうか。」


聖がそう言うと、どこからか蠅が。
一匹、二匹、どんどん増え、気付けば夥しい数の蠅がギロチンジャックを覆っていた。


聖「ソイツらは冥府にいる蠅の王の使い。オマエを冥府にいざなう。」


蠅は闇となり、ギロチンジャックの体を闇に沈めていく。
顎を砕かれた為に声をあげれず、四肢を歪められた為に動くこともままならないギロチンジャックは闇に消えていった。


聖「向こうに行ったら蠅の王によろしく言っといてくれ・・・・って、もう行っちまったか。」


腕を上げて伸びをすると、聖は出口に向かって足を進めた。


聖「さて、今夜は熊鍋だ!」


コメント(3)

どうも、らはぶです。地味に月一で書いてますが、今回は危うく落とすかと思いました。

さて今回はホラーではなくパニックな方向性でいきました。つまりリングではなくジェイソンな感じ?
で、何故か「パニック映画にちょいエロはつき物だよなー」と思って健一と千里に絡んでもらいました。まあ、残念ながらあれ以上はやりませんよ。

・・・・しかしなんでそう思ったんだろう。


だがそんな甘い空気を破壊する凶悪犯。そしてそんな凶悪犯を破壊する聖!
聖め、相変わらず壊しまくりだぜ。「まっぱだカーニバル」についてはスルーで。



今回ので今後に必要なことはやっといたから予定通り書けるぞ。やった!
何だろう、トランクス一丁で『ワッハハハーうれしい顔』ってしてる聖君が一瞬見えちゃった(笑)
> 梟†Syndromeさん
少々ギャグに突っ走ってしまった感があります。やはりパンツ一丁がアレだったかもしれません。

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