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語部夜行 〜カタリベヤコウ〜コミュの懺悔11 口裂女

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『・・・・この連続通り魔殺人事件、被害者は全て女性で殺害方法も同じという・・・・』
 
 
聖「物騒だねぇ。」
 
 
朝のニュースを見て聖は呟く。ここ最近、この近くで女性だけを狙った連続通り魔殺人事件が発生している。
殺害方法は同じで、口を引き裂いた後に首を切るという極めて残忍なやり方だ。
 
 
誠「聖も気をつけてくださいよ。」
 
 
聖「いやいや早坂さん、俺XX染色体じゃないから。」
 
 
誠「今まではたまたま女性ばかりが被害にあっていただけかもしれませんよ。それに女性だけを狙うのであれば聖が祈さんを守ってあげないと。」
 
 
早坂がそう言うと聖は凹んだ。
 
 
聖「守るって言っても・・・・俺より強いんだよね、祈。」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
聖「やっと終わったぁ・・・・」
 
 
祈「うむ、お疲れ様。」
 
 
放課後、聖と祈は生徒会の仕事をしていた。実は聖、生徒会副会長だったりする。もっとも生徒会会長である祈が会長権限で強引に副会長にしたのだが。
その生徒会の仕事も終わり、伸びをしながら外を見る。
 
 
聖「うわっ、暗っ。」
 
 
時間はまだ6時にもなっていないが、この時期は日が落ちるのが早い。すでに外は暗くなっている。
 
 
祈「やはり暗いと不安だな。すまないが家まで送ってくれないか?」
 
 
聖「送るも何も、俺ら帰り道一緒じゃん。つーか俺らの家、斜向かいじゃん。」
 
 
そう、祈の家と早坂の教会は超が付くほど近所なのだ。
二人はそんなやり取りをしながら、帰路についた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
祈「そういえば最近、この辺りは物騒な事件がおきているな。」
 
 
聖「ああ、例の殺人事件な。」
 
 
聖は朝に見たニュースを思い出す。
 
 
祈「若い女性の口を切り裂いて殺す、それはさながら現代に蘇った『口裂け女』のように・・・・」
 
 
聖「むしろ『口裂き女』じゃね?その前に犯人は女なのか?」
 
 
祈「ああ、それもそうだな。」
 
 
聖「それに『口裂け女』が殺しをやるのは、もうほとんどないぜ。知らない?『口裂け女の最後』。」
 
 
事件と『口裂け女』について話しながら歩いていると、前方から女性が歩いてきた。その女性は帽子にマスク、そして赤いコートを身に纏っていた。
二人がその女性とすれ違った瞬間、
 
 
ヒュッ
 
 
女性が鎌で祈に切りかかってきた。
聖は祈に鎌が当たる前に止め、それと同時に祈は女性へハイキックを放った。
ハイキックにより吹き飛ぶ帽子とマスク。露になった素顔には多数のニキビ跡とシミがあり、その瞳は陰気な感じがした。
 
 
「ちぃっ!!」
 
 
女性は手で顔を隠しながら逃げていった。
 
 
祈「今のが連続通り魔殺人事件の犯人か?」
 
 
聖「逃がすかよ!」
 
 
女性を追いかける聖。しかしその足はすぐに止まった。
 
 
祈「?どうした?」
 
 
聖「俺の出番はなくなったのだよ。」
 
 
祈「何を言っている?」
 
 
聖「まあまあ、それよりポリスメン呼ぼう。」
 
 
霊感のない祈には見えていなかった。女性が逃げた方向に、サングラスをかけた少年と赤いレインコートを着てマスクをした女性が歩いていったことを。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「はあ・・・・はあ・・・・・・はあ・・・・」
 
 
十数分間全力で逃げた女性は、足を止め息を整えている。
予想外だった。殺しそこねるだけでなく、まさか反撃を受けるとは。
殺しそこねたせいで顔を見られた。早急にこの街から逃げねば。
そう考えていると、二人分の足音が聞こえてきた。
音の方に目を向けると、そこにはサングラスをかけ杖を持っている少年と、その少年の手を引く赤いレインコートの女性がいた。
赤いレインコートの女性はマスクをしていて顔の半分が隠れていたが、それでも美しい容貌だ。
 
 
「・・・・・・憎い。」
 
 
何の努力もせずに生まれながらにして美しい女性が。
自分はこんな顔になってしまったのに。
わき上がる殺意。女性は隠している予備の鎌に手を伸ばす。
すると、赤いレインコートの女性が声をかけてきた。
 
 
「ねぇ・・・・私、綺麗?」
 
 
その一言が合図となった。
 
 
「ええ、綺麗ね。だから・・・・・・殺してやる!!」
 
 
予備の鎌を取り出し、赤いレインコートの女性に近づいていく。
それに対し赤いレインコートの女性は怯える様子もなく、マスクを外した。
 
 
「そう。なら・・・・・・これでも綺麗!?」
 
 
マスクの下から現れた口は耳まで大きく裂けていた。それはまさしく口裂け女だった。
 
 
「ひっ!!」
 
 
恐怖で動きが止まった女性を口裂け女は鎌で切り裂いた。女性が今までやってきたように。
 
 
「終わったの?」
 
 
「ええ。さあ、行きましょう。」
 
 
少年の問いにマスクをつけ直してから答えると、少年の手を取り口裂け女は去っていった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
その後、聖たちから連絡を受けた警察官が周囲を捜索すると、口を切り裂かれ首を切られた女性の遺体が発見された。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
祈「結局この事件、どういう結末を迎えたんだ?」
 
 
チロ「そうそう。」
 
 
事件から一週間後、祈は炬燵の対面に座る聖に尋ねる。チロも気になるようだ。
ちなみにチロは聖が寒いのが嫌いなため、聖の懐の中にすっぽり入って顔だけ出している。聖の懐に入っているせいか、祈から嫉妬の視線で見られているが。
 
 
聖「それよりも動物が喋ることに疑問を持たないのかね、祈くん。」
 
 
祈「それ以上に聖の懐に入っているのが問題だ。そこは私の場所だ!」
 
 
そう言い聖に抱きつく祈。そのためチロは祈の豊満な胸に押し潰される。
 
 
チロ「むぎゅっ!」
 
 
必死にもがいて何とか脱出するチロ。それを見た祈は勝ち誇ったような表情になる。
 
 
祈「それで聖、この事件の結末は・・・・」
 
 
聖「とりあえずどきなさい。この状態で話すようなことじゃないから。」
 
 
祈「寒いから断る!」
 
 
聖「いいからどけぇぇぇ!どんなテンションで話せばいいかわかんねぇだろうがぁぁぁ!」
 
 
その後、祈を離すことに成功した聖は話し始める。
 
 
聖「まずこれまでの事件は祈に襲いかかってきた女、仮に『口裂き女』としよう。コイツが犯人。」
 
 
祈「『口裂け女』ならぬ『口裂き女』か、確かにそうだな。」
 
 
聖「この『口裂き女』の犯行の動機は自分の顔。美容整形に行ったら、そこの医者が無免許でニキビ跡やシミだらけの顔にされたそうだ。それ以来『口裂き女』は綺麗な女性を見ると憎くなり、ついには殺人を犯すようになった。」
 
 
チロ「なんか可哀想だね・・・・」
 
 
聖「けど、どんな理由があろうと一方的に殺される人にとっちゃたまったもんじゃないな。んで『口裂き女』を殺したのは『口裂け女』。都市伝説やホラー物で有名なやつ。ま、あんな殺し方してりゃ喚んじまうわな。」
 
 
祈「『口裂け女』で思い出したんだが、以前言っていた『口裂け女の最後』とはどんな話なんだ?」
 
 
聖「ああ、それは・・・・・・」
 
 
 
 
 
━━━━━━━━━━━━━━━
 
 
 
 
 
白い杖を持った少年が夕暮れの街を歩いていた。
 
 
「ねぇ、きみ。」
 
 
少年が振り返ると大きなマスクを着け、赤いレインコートを着た女が立っていた。
 
 
「わたし、きれい?」
 
 
少年は困ったように
 
 
「わかんない。」
 
 
と答えた。すると女はすかさずマスクを外して
 
 
「じゃあ、これならどぉおぉぉ?」
 
 
女はニヤリと笑い、その口は耳元まで裂けていた。
 
 
「ごめん、やっぱりわからないよ。僕、生まれつき目が見えないんだ。」
 
 
少年はサングラスを取ってみせた。その目は白く濁っており、何も写っていないことを示していた。
 
 
「あ・・・・・・」
 
 
女は途方に暮れたように立ち尽くし、目からは涙がこぼれていた。
 
 
「ごめん・・・・ごめんなさ・・・・」
 
 
「いいんだ。慣れてるから。」
 
 
少年は杖を左右に振りながらサングラスを掛けなおし、ゆっくりと去っていった。
 
 
「ごめんなさい・・・・ごめんなさい・・・・」
 
 
女はその場に立ち尽くしたまま、しばらくの間ぼろぼろ涙をこぼしていた。
 
 
 
 
 
━━━━━━━━━━━━━━━
 
 
 
 
 
聖「この日を最後に『口裂け女』の噂はぱったりと途絶えたわけだが、ここで疑問が二つ。この少年は誰なのか?そして『口裂け女』はどこへ行ったのか?」
 
 

コメント(3)

今日はバレンタインデーですね。
でもこの話はバレンタインデーとは全く関係ないです。まあ、どうでもいいことですが。
 
今回の話は都市伝説の『口裂け女の最後』を見て思いつきました。聖が最後に言った疑問は、らはぶが感じた疑問です。
あと今回のタイトルの『口裂女』は『口裂け女』と『口裂き女』の両方から来ています。
 
 
 
それにしても最近寒い!ここ数日、かなり寒いです。おかげでこの前、水道が凍りましたよ。
> キート⇔ゼトワールさん
「面白かった」と言って下さって何よりです。
今回の話はギャグ部分をちょこちょこカットしました。聖が警察に犯人を殺したと勘違いされて捕まりそうになりキレた祈が大暴れしたり、帰宅途中にやたら祈が聖に抱きついたりとか。
 
 
 
まあ、怪奇なのにギャグが多いのはどうかと思うわけですが。

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