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I am NOT神子!コミュの『君へ』

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オリジナル主人公、『莉海』。
何故か自分の部屋から、ゲームを終えてスイッチ切ると同時に時空を越えた社会人の設定です。

ヒノエがお相手で、関係は現在『仲間以上恋人未満』。
舞台は現代ではなく、平泉です^^

ちなみに・・・・ものっそい長いです(汗)


****************************************



雪がちらつく、寒い夜。
キンと冷えた空気が辺りを支配する中・・・・そんなものを吹き飛ばすくらい、邸の中は賑やかだった。


望美がクリスマスについて皆に話して、それがきっかけで「24日にクリスマスパーティーをしよう!」と言う流れになった。
弁慶さんや敦盛が色々とクリスマスについて聞いてて、望美が応えて譲が補足を入れる。
あたしもキリスト生誕についてとか色々話したら、何だか妙に感心された。
皆にとってはまったく未知の事の知識だから、興味があったんだと思う。
カトリック系の高校に入ってたから授業で習った(必修科目に『聖書』なんてモンがある学校は、あの辺りじゃウチくらいのもんだろーよ)うろ覚えの知識なんだけど、どこで役立つかわかんないもんだね。
ちなみに、その割にあたしは無宗教派。キリストも仏陀もアッラーも信仰してません。


そして、皆で色々準備しながら日にちが経って・・・・今まさに、クリスマスパーティーin源平時代の真っ最中。
料理担当になったのは、いつも通り譲とあたし。
さすがにケーキは難しいから、お菓子系は譲がプリンを作ってあたしはドーナツを作った。
餡をくるんでみたり、ゴマを入れたり。ミカン(こっちじゃ大柑子って言うんだっけ?)の汁を入れたオレンジ風味ドーナツは、我ながら結構良くできた。
あと、さすがにローストチキンや鳥の唐揚げってわけには行かないから、代わりに白身魚の唐揚げを作ってみたら好評だった。
失敗しないで良かった良かった♪(あ、揚げ物ばっかじゃん、ってツッコミはスルーで)





そして・・・・今あたしは、その楽しい騒ぎをちょっと抜け出して、一人雪見酒と洒落込んでいた。

ちゃぷん、と水音がする酒瓶・・・徳利?からはアルコールの匂いと共にオレンジの香りがする。
用意したお酒を少し水で薄めて、ミカンを潰して果肉ごと放り込んで混ぜれば、つぶつぶオレンジ割の出来上がりだ。
興味を持ったらしい望美に「飲んでみる?」って薦めたら、譲が物凄い勢いで止めに来た。
「ダメです!未成年の飲酒は法律で禁止されてるんですよっ!?」とか言って。
今時そんな事律儀に守ってるヤツなんて、アンタと天真くらいのもんだよ・・・。あたしは普通に高校から飲んでたよ?

雪を見ながら、お猪口でちまちま飲むのがタルいんで徳利ごと煽る。
なんとなく「きよしこの夜」を鼻歌で歌いながら、空に上る三日月をぼんやりと眺めてた。

不思議だ・・・・ここは遠い時空を隔てた場所なのに、月も空も、同じ・・・。



「浅茅生の 小野の篠原 忍ぶれど あまりてなどか 人の恋しき・・・・」



聞き慣れた声に、もう一口飲もうと思っていた手がそこで止まった。
そこに誰がいるか・・・・振り向かなくてもわかる。
にしても・・・・普通に声かければ良いのに、わざわざ和歌ですか。どういう意味の歌なんだろ?

「フツーに声かければ良いのに・・・・・こんなとこで何してんの。いいの?パーティー抜けてきて」
「こっちのセリフ。・・・・雪の中にたたずむ美しい天女を見かけたから、思わず後を追ってきてしまってね」
相変わらずのヒノエ節だ。
基本的にあたしは、こういったあからさまな口説き文句には反応しないタチだから、「ハイハイ」と投げやりに相槌を打つ。
向こうもそれはわかってるんだろう。大して気にもせず、あたしの隣に腰を下ろした。
「こんなところで、一人で雪見酒かい?」
あたしの手からひょいっと徳利を奪って、同じように直接一口煽る。
すると一瞬驚いた顔になって、それを返してくれた。
「ずいぶん変わった飲み方をするね。酒に大柑子を入れるなんて、初めて見たぜ」
「あたしの世界じゃ、結構一般的な飲み方だよ?こーゆー味の方が好きなんだ、あたし」
飲み会行っても、カクテルとかチューハイばっか飲んでるしね。
ビールや日本酒の味が好きじゃないのもあるけど。
返してもらった徳利を、あたしもまた一口煽る。


・・・・・・・・・・ちょっと待て!これってもしかして間接キス!?

うっわ、すんごいナチュラルに飲んじゃったけど、そーじゃん!
うわあぁぁ・・・・・どーしよ。得したような困るような!


顔に出さないで(出てたかもしれないけど)内心慌ててたあたしに気付いたのか気付かなかったのか、ヒノエは微笑んだままあたしに顔を近づける。
つーか・・・マジ近いんですけど!!頼むから離れて!せめて15cmは距離保って!!
そっちは平然としてんのかもしれないけど、こっちは心臓もたないからッ・・・!!

「ところで、さっき聞こえてきた旋律は・・・・お前のものかい?」
「え、え?旋律・・・・って、ああ、あれね。ま、まあ・・・そーだけど・・・」
くっそ、言葉がカミカミだよ。
でも何気なく歌っちゃったけど、聞こえてたのか・・・・。
つーかコイツ、いつからいたんだろう・・・・。なんとなく怖いから、聞かないでおこう。
「出来れば、ちゃんと聞きたいね。もう一度、天上の調を聞かせてくれるかい?」
オレだけに、とわざわざ囁くように言う。
耳元で言うのやめて・・・!!ゾクッと来るから!
「・・・・っ、べ、別にいいけど・・・・原曲だと、ヒノエには理解できないと思うよ?」
「へぇ、そうなのか?どこか、別の国の言葉とか?」
「うん。ずーっと海を越えたとこにある、遠い国の言葉」


すぅ、と一息吸って、ゆっくりと歌い始める。

そっちの方が好きだから、あえて英語バージョンで歌う。
人前で歌うなんて、カラオケ以外じゃ高文連と合唱コンクール以来だな・・・・何年ぶりだろ。
こうやってクリスマスに歌うと、高校の時に教会で歌ったのを思い出す。

言葉は理解できないはずなのに、ヒノエは黙って聞いてくれていた。
そんなにキーが高い曲じゃなくてよかった。
前は結構高いキーでも声が出たけど、本格的な発声練習はもう何年もしてないからな・・・。


空で歌えるのは一番だけだったから、一番だけ歌い終わると「これで終わり」って意味で笑ってみせた。
ヒノエは満足そうな笑顔で拍手をくれる。
何かちょっと照れるなぁ・・・・ちゃんと歌えてたかな?

「美しい旋律だね・・・・」
「外国で生まれた歌だよ。クリスマスの・・・・聖なる夜を謳う曲」
「聖なる夜の歌・・・・・それでこんなに、澄んだ調べを奏でてるのか。・・・・それを歌うお前の歌声も、それに勝るほど綺麗だよ。鈞天の楽もかくや・・・・と思うほどに、ね」
「・・・・よくそんな言葉がぽんぽん思いつくね・・・」
多分こいつの目には、女の人に関するあらゆる項目が5割増くらいに映ってるんだろう。
つか、キンテンノガクって何だっけ・・・・?
「あたしの歌なんて大したもんじゃないけど、でもこの歌は綺麗な歌だよね」
「ああ。歌の意味がオレにはわからないのが少し悔しいけど、ね」
そう言ってヒノエは、眉を寄せて苦笑した。
まあ、英語だし意味わかんないか・・・・

えと、確か・・・・



「静かな夜 神聖な夜
みんな静かに輝いて 聖なる母と子の周りで
赤子は優しく穏やかに 神の御許で安らかに眠る」



「・・・・ってとこかな、直訳したら」

・・・確か、こんな感じだったよな。
これは学校で習ったんじゃなくて、あたしが自分で調べたんだけど・・・・どこで役立つかわかんないな、ホント。
ヒノエは一瞬驚いた顔になったけど、そのあと、凄く嬉しそうに笑った。


あ、いい笑顔・・・・。

いつもスカしてるっつーか気取ってるっつーかだけど、たまにこんな風に、歳相応って言うのかな・・・・自然な顔を見せる。
土台がいいから、ホントに綺麗って言うか・・・・可愛い笑顔。

こういう表情の方が、あたしは好きだな・・・。


「・・・ま、本来の意味でクリスマスを祝ってる人なんて、日本人の中に何人いるか、って話だけどね」
「本来の意味?ああ、キリストとかって神が生まれた日なんだっけ」
「そ。多分キリスト教徒以外の人は、ただの騒ぎイベント程度の感覚だと思うよ。日本のクリスマスなんて、カップルと子供のためのイベントみたいなもんだし」
意味がわからない単語があったせいか、ヒノエは少しきょとんとした様子で首をかしげた。
あたしも「恋人達と子供が中心のお祭りってこと」と言い直し、それで納得したらしい。
「けど、本来の意味は違う日なんだろ?」
「一応ね」
「ずいぶん意味が違って浸透してるんだな。・・・聖なる夜を愛しい人と共に祝いたい、って所なのかな」
「さーね。人恋しいんじゃないの?冬だし、寒いし」
投げやりな調子でかなり適当な事を言う。
まあ間違ってはいないだろうし、多分。
『子供』って言えない歳になってから、ホントあたしには縁のないイベントになったけどね。
ここ何年かは仕事に追われてるし(デパートにとってクリスマスは稼ぎ時だ)。
高校時代は『ドキッ☆女だらけの6時間耐久カラオケ大会』とかもやったけど。
楽しかったけど、冷静に考えれば実にサムい。クリスマスのラブラブムードの中、密室に女(注:全員独り身)が7人って。

「あとは、サンタを心待ちにしてる子供達のためのものだよ、日本のクリスマスは」
「さんた?」
「んーとね、その年1年間いい子にしてれば、クリスマスの夜、みんなが寝静まった後に『サンタクロース』っておじいさんがプレゼント・・・贈り物を運んできてくれる、っていう・・・・まあ、伝承?みたいなのがあるの」
「へぇ・・・・今度はずいぶんと可愛らしい伝承だね」
「そうだね」
クリスマス近くになると、店でも見る。
きっとサンタさん役の夫婦とか、子供にプレゼントを買ってる家族とか。
そういう姿って見ていて凄く微笑ましいって言うか。あったかいよね、って思う。
「じゃあお前も子供の頃、贈り物をもらったのかい?」
「うん、もらったよ。・・・でも、サンタってホントは実在はしてないんだけどね。親がその存在を借りてこっそりプレゼントを置いてくのを、サンタからもらったって思ってるの」
ちなみに我が家のサンタクロースはあたしが小5まで活躍してた。
普通にそれまで信じてたからなぁ・・・・ウチのサンタはよほど上手くやってたんだろう。
・・・・いや、あたしもアニキも揃って疑う事を知らなかったから、やりやすかったんだろーけどね。

「実在はしてない、けれど心の中には存在している・・・・か」
「そういうこと。あたしも結構遅くまで、サンタはいるって信じてたし」
「その頃のお前を、ぜひ見てみたかったね。きっと、可憐で愛らしい姫君だったんだろ?」
「まさか。小生意気なガキだったよ。今と大して変わってないかも」

自分でも、可愛げのない子供だったと思う。今もそうだ。
でも小6になったら、さすがにもう『サンタはいない』って気付いたから、その年は普通に親からもらった。

「ま、今じゃさすがにわかってるけどさ。もうとっくに貰えない歳だし」

ずっと小さい頃から、『サンタさんがプレゼントをくれるのは小学校まで』って教えられてた。
それをずっと、サンタの存在と共に何の疑いもなく聞き入れていて・・・・全てに気づいたときは、やっぱ少なからずショックでもあったんだよね。
淋しい、って言うかさ。

ああ、もうサンタさんは来ないんだ・・・・なんて。
それまで何の疑いもなく信じきっていただけに、なおさら落胆が大きかった。


「・・・・・莉海」


「ん?何・・・」

呼ばれて振り向いたと思ったら、あたしの顔にそっとヒノエの手が添えられた。
体格の割に骨ばった、意外と大きくてしっかりした手。
こんな気温の中にずっといたせいか、ひんやりしてて・・・・。

至近距離で、じっとあたしの顔を覗き込んでくる。
その真っ赤な瞳から・・・・目が逸らせない。

「ヒノ・・・・」
「・・・・不思議だね。ずっと外の空気にさらされていたのに、お前の肌は・・・熱いくらいだ」
「え・・・・あ、いや・・・・あたし、体温高いから・・・・」

・・・・・・絶対にそれだけじゃない気がするけど(体温が人より高いのは本当だけどね)、気のせいにしておく。
気のせいじゃなくても、気のせいにしておく!


でも・・・・いつも思う。
ヒノエの瞳は、反則だ。

一度捕らわれたら、もう目が逸らせなくなる。
その鋭い視線と鮮やかな色に・・・・動けなくなる。

あたしだけ・・・・なのかな。
わかっててやってんなら、こいつ相当な確信犯だけど。


「ふふっ・・・・もしかして、オレを誘ってる?」
「はぁ!?な、何言ってんですかアンタ!?」
「違うのかい?・・・・じゃあ、そんな顔でオレを見つめるのは・・・・何故なんだろうね?」

言いながら、にっといたずらに笑う。
そんな事言われても、今自分でどんな顔してんのかわかんないよ・・・!
ただ・・・手も体も冷えてるのに、異常に顔だけは熱い・・・・って事しか。

「あ・・・・あたし今、どんな顔してんの・・・・?」

我ながらアホだとは思うけど、つい聞いてしまった。
もちろん、聞いた直後に後悔したけど・・・・・案の定コイツ、「待ってました」って顔したし。

「・・・・可愛いよ」
「う、ウソだ・・・・」
「オレがお前に嘘を言うわけがないだろ?・・・・・本当に、今夜のお前は・・・・」



―――誰よりも、可愛いよ。



気がつけば、あたしの顔に添えられていた手は、片手から両手になっていた。
触れたばかりのヒノエの手は、冷たくて・・・・けど段々と、ゆっくりと、あったかくなっていく。
あたしの顔の熱が、ヒノエの手に移ってるのかもしれない。それくらい今のあたしは、顔だけが熱かった。

その赤い瞳が・・・・ゆっくりと、近づいてくる。
逃げようと思えば、簡単に逃げられた。振りほどけた。
ヒノエの手は軽く・・・・ビックリするくらいに優しく、頬に添えられてるだけだから。

なのにあたしは、抵抗できなかった。


ダメだよ。あたしとヒノエは、そういう関係じゃないのに。

今だけは・・・・いいよね。今日はたった一日のクリスマス・・・・なんだから。


全く逆の、2つの意思が、頭の中でぐるぐる回ってた。
金縛りにでもあったように、体が動かない。


どうしよう・・・・

でも・・・・



ヒノエの顔が、すぐ間近にある。
考えるうちにあたしは・・・・無意識に、目を閉じた。

何でそうしたかは、わからない。
ただ本当に、自然と・・・・そうなってた。

ヒノエの片方の手が、頬から離れてあたしの後頭部に回る。
あたしの髪がヒノエの指に絡まったのが、感触でわかった。
息がかかるくらい・・・・近い。


今日だけ・・・・今だけは・・・・。


・・・ヒノエ・・・・・・。




「あ、いた!莉海さん、ヒノエくん・・・・・」




ぎゅっ、と手を握りしめたその瞬間、明るい声が聞こえた。
思わず反射的に、触れるか否かまで近づいていたヒノエの体を押しのけてしまう。

そして勢いよく振り向けばそこには・・・・真っ赤な顔で固まってる望美の姿。

ちょ、なんでこんなタイミングで・・・・!!
いや、ある意味お約束だけど・・・。


「あ、えっと・・・・ご、ごめんなさい!お邪魔しました!!」
「え!?ちょ、望美!?これ違うよ?違うからねッ!?・・・・って、待て!誤解しないでよー!!」


慌てて弁解してみるけど、今の望美がそんな人の話なんか聞いてるわけもなくて。
真っ赤な顔のまま、走って行ってしまう。
うあ―――――!!もしかして望美、あのまま皆のとこ戻っちゃうわけ!?
それじゃ、あたし達に何かありましたって全員に宣言してるよーなモンじゃんよ―――!!

・・・・いや実際、後2、3秒でも遅かったらもっとヤバイ状況に直面されてたんですけど。
望美のヤツ・・・せめてあと1分遅く来てくれれば・・・・・・

・・・・って違うだろあたし!
何で素でガッカリしてんだよ!!


あああああ、と一人で苦悩しているあたしを他所に、当のヒノエはいたって涼しい顔で後ろに佇んでいた。

「仕方ないね。・・・丁度酒も無くなったみたいだし、そろそろ宴に戻ろうか」

何事もなかったかのような顔でにっこりと微笑む。
このヤロ、何でこんなに余裕なんだよ。
あたしってばいつだって、振り回されっぱなしじゃんよ・・・!!

「・・・・・・そーですね」

はあ・・・・なんだかなぁ。
色んなことに脱力して、同時に色々とどーでもよくなったあたしは、力ない返事を返して宴会部屋に足を進めた。
ヒノエももちろん、隣にいる。

そして、歩きながらぽんと肩に手が添えられて・・・・・


「続きはまた・・・・いずれ、ね」


ものっそいエロ声で、耳元でそう囁かれて。
あたしは思わず、ヒノエの背中をぶっ叩いた。






・・・・・・・案の定、真っ赤な顔でテンパったまま戻った望美から、あたし達に『何か』あったと思われて。

皆から妙に温かい目で迎えられたのは、言うまでもない。













パーティーも終わり、にぎやかな余韻を残したままみんなが眠りについたころ。
足音を殺して、赤毛の青年がある部屋の前で足を止めた。

その手には、金糸の刺繍が施された紅い布と、それに包まれた螺鈿細工の髪飾りがあった。
黒がかった鼈甲に淡く光る白い花の細工がとても映えていて、月明かりを浴びて輝いている。
どちらもかなり値が張るものだろうと、素人が見てもわかるくらいの一品だ。

それを包みこみ・・・・笑顔を浮かべたまま、ヒノエはそっと部屋の扉を開けた。


音を立てないように細心の注意を払って部屋の中に入ると・・・・そこには莉海がすやすやと寝息を立てていた。
冬の夜は寒いのか、体を丸めて眠っている。
北海道生まれである程度寒さに耐性があるといっても、さすがにこの時代の気候は莉海の世界の気候とは違う。

そんな莉海を見て、ヒノエはくすりと笑みを漏らし・・・・ゆっくりと、その傍らに膝をついた。
いとおしむような笑みが、彼の整った顔には浮かんでいる。
彼の方がかなり年下のはずなのに、その笑顔はまるで、幼子を慈しむような柔らかなもので。

めったに見られない彼女の寝顔を、じっくりと堪能して・・・・
手に持っていた包みを、そっと、莉海の枕元に置いた。



「・・・・『メリークリスマス』、莉海」



望美に教わったクリスマスの挨拶をかすかに呟き、そのまま、莉海の髪にそっと唇を落とした。
髪に残ったかすかな香の香りが、鼻をくすぐる。
そして、起こさないようにそっと、頬に触れた。
一度熟睡したら中々起きないと本人が豪語していた通り、起きる気配はなく、ヒノエもホッと安堵する。
こんなところで目を覚まされたら、問答無用で蹴り飛ばされかねない。

「よい夢路を・・・・・できるなら、今宵そこを訪れるのは、オレであって欲しいね・・・」

外気に触れて少し冷えていた頬が、ヒノエの手の熱でじんわりと熱を取り戻す。
そして・・・名残惜しそうに、その手を離した。



きっと明日の朝、莉海は包みを手に自分の元へすっ飛んでくるのだろう。
そして、こんな高価なもの受け取れないだの、子供が余計な気を回すなだの、様々な事を並べ立てるはずだ。

それをどうやって説き伏せようか、考えるだけで今から楽しみだ。


それに結局、最後にはちゃんと受け取ってくれるのだろう。
何だかんだ言っても、人の好意をつき返すような事はしないはずだから。

きっと最後には、笑ってくれる。


その笑顔が、早く見たい。









姫君、お前も子供の頃は、『サンタ』を待ち望む可憐な少女だったんだろ?
さっきの、「自分はもう貰えない歳だ」って言った時の、その憂いを帯びた表情が・・・それを物語ってるよ。

だから今日は、オレがお前の『サンタ』になるから。
大人になったお前が、もう得ることが出来ない喜びを・・・・オレから捧げるよ。


愛しい姫君。

どうか、受け取って。


この贈り物に隠したオレの想いと共に―――。








*******************************


ヒノ莉、クリスマスSSです!
つーか長い・・・文字制限に引っかからないか本気で心配になったくらい長い・・・!
今現在、この2人で超切ない系の短編連載書いてるんで、これは出来る限り甘くしてみましたv
つーか・・・・あれが限界だ・・・・!!(ゼェゼェ)
お約束実行係は九郎か譲か望美かで迷ったんですけど、望美で^^
でも九郎でも面白かったかも・・・
「す、すまん!!・・・あ、いや!お、お前達こんなところで何をしてるんだッ!!(照焦)」・・・みたいな(笑)

最後は、ヒノエがサンタですー!
都合よくプレゼントが出てきましたが・・・・どこで用意したんだろ。

この後、ちょっとした続き・・・・って言うかオマケに続きますv
気が向いたら、この話のヒノエ視点バージョンも書いてみようかなぁ・・・?
つか、誰か書いてくだ(自粛)

コメント(4)


あぁあああぁぁ・・・・・!!!!(悶絶)
リミさん!素敵なクリスマス小説をありがとうございます!!!
すっごく良かったです!!!読んでて幸せな気分でした♪

ヒノエが莉海さんに「―――誰よりも、可愛いよ。」と言った瞬間、
「ノォォオオオ!!!!(ノ゚□゚*)ノ」とジタバタジタバタ(笑)

オマケやヒノエ視点もとっても気になります・・・・ッ!!(≧▽≦)

こちらも初コメ、失礼します。


いいなぁ・・・・・・

愛されてるっていい!!


リミさんのところのヒノエ君はなんというか、『背伸びした年相応』さんなんですね。

・・・・・いいなぁ・・・萌える・・・ハート達(複数ハート)
初コメント、失礼致します〜。

あああああああーーーーハート達(複数ハート)ハート達(複数ハート)

いい……余裕のヒノエも、ちょっとツンツンした莉海ちゃんもいい!!
素で期待しちゃった莉海ちゃんの気持ち、分かるなあ…。

丸まって寝てる莉海ちゃんを見て、よく我慢できたなーヒノエ(コラ)
私だったら問答無用で押したお(以下自主規制)

追伸:
北海道、寒いですよね〜。
私は3年間だけ住んでましたが…あの寒さに比べたら、盆地の寒さなんて…。
>梓さん

こんかいはほのぼの甘い路線でいってみましたー!
切ない系も考えてたんだけど、クリスマスだし幸せな感じで!って事で^^

いや〜・・・私もあそこは、自分で書いてて
「ぎゃ――――――!!!/////(*@□@*;)」
・・・って感じでした・・・!!(どんなよ)
ヒノ莉の甘々って何気に初めて書いたんですけど、恥ずかしい・・・!!あああ(悶)

オマケは今日中にUPする予定ですので、見てやってください〜(^-^




>凛さん

コメントありがとうございますー!

はい、今回は愛されてる感じで書いてみましたv
スゴイ自分で書いててこっ恥ずかしかったんですけどね・・・!!(待て)
一応相思相愛なんだけど、どっかのバカが素直にならないから・・・ダッシュ(走り出す様)

そうなんですよー!!ヒノエは『背伸びした歳相応』目指して書いてるんです!
なのでそう言って頂けて凄く嬉しいです・・・!!ハート達(複数ハート)
どうぞ萌えて下さいvこの後オマケ的なSSもUPする予定です^^




>ケイさん

わわわ、初コメントありがとうございます〜!
もしや莉海はツンデレ系なのか?と最近になって気付きました(遅ッ)
ヒノエはいつも余裕があるので、いつも振り回されてるんですよ〜。17歳にやりこめられる24歳の図(笑)
ふふふ・・・素直になれなくても、体は正直なのです^^(何か卑猥な言い方だ/殴)

いや、ヒノエ的にもやはり、熟睡中を襲うよりは起きてる時に反応を楽しみたいとか♪
莉海は寝付きも悪いけど寝起きはもっと悪いので、起きたばかりじゃあまり感(以下自粛)

北海道は今年も寒いですよ〜!
と言っても、去年今年はずいぶん雪が少なくて、例年に比べればマシな方ですけどね^^

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