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KING3LDK-HIPHOP情報交換所-コミュのKING3LDK論(「みなさん、ごきげんよう」解説)

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昨年発表されたKING3LDK「みなさん、ごきげんよう」というミニアルバムの解説を恐れ多くも僕に…という話を頂きました。しかし、かなり熱く書いてしまったのでミニアル解説というよりKING3LDK論になってしまい、締め切りも間近で修正も間に合わないということで…ボツになってしまいました(笑)しかしながら熱く書かして頂きましたので、ここにUPさせて頂きたいと思います。

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KING3LDK(敬称略)が、自分達の主催していたイベントに出演して頂いてから3年が経とうとしている。そのイベント(BLOCK@大阪・ItoI)が僕とKING3LDKとの出会いのきっかけとなったのだが、まさかその数ヶ月後ほぼ毎日顔を合わせ、時に8時間以上も延々と熱い会話を繰り広げてしまう程の仲になるなどとは当時ではもちろん想像することなど出来なかった。 3年前の僕は大阪で(ラッパーとして)活動しており、彼は東京で活動していた。その後の2004年2月、僕は東京に活動を移すことになり、彼とは先に述べたような親しい関係を1年間続けることとなる。この1年間は大変濃密で、貴重な1年間であった。僕のアーティスト人生のみならず、生き方さえも方向づけられたような1年間であったと言っても決して過言ではない。それだけKING3LDKという男は魅力的な人生観を持ち、稀有なアーティスト感覚を持った人間だと思う。彼に何時間もぶっ通しで講議を受けていると、知恵熱が出るんじゃないかと思うくらい額が火照りだし、それでも夢中で彼の話に頷いている自分がいる…
と、序盤から甚だ持ち上げ過ぎた感はあるが、こうしていざKING3LDKについて僕の感情を文章に起こそうとすると、実際これが素直な気持ちなのかもしれないなと自分でも驚いているところである。さぁ、そうした訳で一生徒が教壇の上に立つ先生の魅力、おかしなところ、などを生徒同士で会話するような目線でこのまま筆を進めることにする。

今年で27歳になろうとする僕から見て、KING3LDKの感覚は僕が感じる時代の先を走っていると思っている。これが、30代までHIPHOPカルチャーをメインとした音楽、PV、映画、漫画など所謂HIPHOPに限らず若者の娯楽作品全般を漁りに漁ってきた人間が彼の作品を手にとっているならば、然程先を走っているというようなズレはないのかもしれない。しかし、現在の30代で先に挙げたような生き方をしてきた者はごくごく少数であり(それでも音楽業界や出版業界などでは、さながら学生運動を経て社会に出ていったようなハードコアな先生方と大勢出会うのも事実だが)ましてや、僕程の年齢でKING3LDKの作品を説明なしに、KING3LDKが意図する感覚そのままにキャッチできる人間は中々いないと思う。良くも悪くもKING3LDKのアーティストとしての立ち位置は日本のHIPHOP業界の中でもかなり特殊であり、その立ち位置の説明と理解が充分にされていない事が、本来聴き手も単純にキャッチ出来るであろう彼の作品を、複雑なものにしていると僕は思っている。
まずこのCDを手に取っている方々で彼の経歴をご存知ない方も少ない事だろうが、これからKING3LDKの魅力にはまっていく方のために僕自身が重要であると思う事柄を解説付きで説明しようと思う。何故なら彼の歩んできた道その物に、僕を震え上がらす魅力的な価値観が足跡として残っていると考えるからだ。もしかしたら今までのKING3LDKを眼鏡越しに見てきた人にこそ、この説明は重要であるのかもしれない。

まずKING3LDKが兵庫県、つまりは関西で生まれ育ったこと。

僕は岐阜県出身で19歳から大阪に5年暮らし、現在東京で2年を過ごして思うことだが、やはり関西という土地はかなり独特の文化を持った街であると断言出来る。同じ日本でそんなに違う?という疑問の声が出てくるかもしれないがやはりこれは事実だと言える。関西の名産ということで一番最初に頭に浮かんでくるのは「笑いの文化」であろう。しかし、この「笑いの文化」はただ単に「笑い」というものを会話の中で重要視する風潮が蔓延しているというような単純なものでなく、関西…ここでもう少し絞れば大阪という街の「笑い」が東京やその他の地方と比べても「特殊な笑い」なのだ。
では、大阪の「笑い」は他とどう違うのか?「笑い」というものは、一つ、差別や劣等感を工夫するという作業によって生まれてくることが多い。誤解を恐れず書かせてもらうと、関西の「笑い」というのはあくまでも自虐的な立場から、差別感、劣等感というものを引きづって最終的にそれを「笑い」に転化する、浪花節で言う所の「泣き笑い人生」である。関西での「笑い」は、この「泣き笑い」がキーワードになる事が多い。 例えば、関西で製作されるテレビ番組や映画や書籍。勿論、音楽に至ってもこの「泣き笑い」の霧がそれらを覆う。それを黒人的な泣きの入るジョークと強引に重ねるなら「ブルーズ」とも言い換えれるのかもしれない。奇しくも1960〜70年代、関東でロックブームが巻き起こったころ、関西からは「上田正樹とサウストゥサウス」「憂歌団」などの関西ブルーズ・シーンが生まれている。 その「ブルーズ」は現在の関西HIPHOPシーンにもやはり色濃く受け継がれていると思う。KING3LDKが大のお気に入りである「SINGO☆西成」を筆頭に「MISTA O.K.I」や「韻踏合組合」。京都の伝説「MAGUMA MC'S」にも「ブルーズ」が彼らを取り巻いていたような気がする。 約10年間を東京で過ごしたKING3LDK、関西に対して客観的な見方を持った上で、そうした関西の「ブルーズ」または「泣き笑い」に魅了された1人なのだろう。一旦はまってしまうと、この魅力からは中々抜け出すことは出来ない(かく言う岐阜出身の僕自身もその魅力に憑り付かれた1人なのだから)。つまり、この感覚が最近のKING3LDK作品の大きな核の一つになってくることは多い。

KING3LDKが多感な青春期を過ごしたのが1980年代後期。あくまで若輩者の僕では想像の域を超えないが、80年代というのはお洒落な思想、元気のある思想(価値観というべきか)が楽しまれた時代ではないかと思う。新しい音が台頭しテクノロージーの飛躍的発展によって音楽機材のみならず、現代では当たり前となった「映像と音楽のリンク」(MTVの出現)が目新しいものとして若者を夢中にさせた時代ではないかと思う。そしてクラブ文化の発展期にあって様々な音楽ジャンルの垣根が比較的低い時代であったのも大きな特徴といえる。僕自身感じることであるが、80年代のカルチャーを体感した人間とそうでない人間は21世紀を迎えた現在のアーティスト活動にかなりの違いを見せてくる。大雑把に言うのであれば、それら体感してきたアーティストが活動する場合「どのように自分を見せるか?」というテーマが重要視される。一つの音楽作品をリリースするのでも、そのジャケット、PVにもトータルでこだわっている印象を受ける。つまり僕から見るとそう言った80年代を通過して来た人々は「お洒落でセンスがいい!」のである。しかし、KING3LDKも80年代に多感な時期を過ごしてきたのだが70年代の持つ反骨精神や土臭さというものも引きづって80年代に突入した人間ではないかと思う。それが、関西出身だからか、ただそういう人間だからなのかは僕にはまだ分からないが、そこが同年代のアーティストの中でも「80年代的なアーティスト」とも、また一つ違ったKING3LDKの大きな特徴ではないかと思う。

<中略>

僕の浅い考察では皆さんに十分理解して頂けたか甚だ不安ではあるが、KING3LDK本人の講議と他の先輩達との貴重な会話の上で、諸々の諸事を僕なりに理解しここまで書かせてもらった。そこで…そろそろKING3LDKについてまとめようと思う。 KING3LDKとは…「脱線3」の時のような「HIPHOP」と「笑い」の比率をほぼ同率に置いた物も、LB的でセンスの良さをふんだんに盛り込んだ表現方法も、NITRO MICROPHONE UNDERGROUNDのSUIKEN氏等と楽曲を制作し、当時あった日本のHIPHOPの垣根をいち早く壊していったことも、そして現在関西に活動を移しこのような作品が制作されたことも、全てKING3LDKが限りなく筋を通したハードコアなスタンスだと言う事の象徴なのである。何故筋の通ったハードコアであるかは、長々と前述した事から十分理解して頂けると思っている。そして、KING3LDKは言う…「ハードコアとアングリースタイルは違うんだよ」と。しかしながら、今回のミニアルバム「みなさん、ごきげんよう」この作品は怒っている。もちろん、ユーモアや研ぎ澄まされたセンスは忘れない。 この中のメイン曲である「SEVEN SAMURAI」は大阪のトップMC達が一同に介した、関西HIP HOPマニアを自負する僕自身も鳥肌ものの一曲である。
しかし、今までの関西の感覚でこのミニアルバムをまとめ上げるなら「THE 関西」的なテーマを持って来ても良さそうなものなのだが、そこはKING3LDKのハードコア魂が許さず「そんなことを言いたいんじゃない。そして、このMC達はそんなところが素晴らしいんじゃない」と、このアルバムに参加している個々のアーティスト、そして逆に安易に関西を自分の手でまとめ上げようとしないその姿勢こそが関西で活動するHIP HOPアーティストへのKING3LDKの愛情が十二分に伝わってくる。
KING3LDKは、現在でも誰より純粋にHIPHOPと真正面から向かっている数少ないアーティストである。ただ、彼のHIPHOPは大きな包容力を持っているようでいて実は、恐ろしい程のこだわりを見せたハードコアHIPHOPなのである。安易な解釈で褒めても貶しても火傷してしまう。
しかしここから僕と同じように、KING3LDKの魅力にどっぷりとはまってもらえることを心から期待する。

エムラスタ

コメント(3)

凄い、、なんとか読みきりました。圧巻ですね。僕の3Kさんに対しても文章の前半部分そのものでした。恐るべし。
ラベルさん>稚拙な文章ですのに最後まで読んで頂いてありがとうございます!
はうゎ!
私はこんな凄い人にタメ語を・・・
いや、あまりにナチュラルな空気をまとってらっしゃったので、ついつい・・・

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