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坂本ゼミ機関投資家班コミュの機関投資家の受託責任とSRIの是非

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 1)機関投資家とは
 主題を考察するうえで、まず機関投資家とは何か定義したい。機関投資家とは一般に、個人投資家以外で証券投資を行っている団体を指し、これらの投資家が機関投資家と呼ばれている。たとえば、銀行信託部、保険会社、投資信託、年金基金、財団、大学基金などである。また現代の機関投資家とは投資先の企業あるいは資金の委託者などからの「支配」を目的とした影響は受けないという意味において「自立的」な投資家であるといえる。
 ここで、機関投資家の存在は社会経済においてどのような影響を及ぼすのか考えてみたい。ニューヨーク証券取引所の所長であったキース・ファントンは機関投資家について次のように述べている。「機関投資家による投資は、資本を機能させるためのもっとも重要な発展である。それはCollective Capitalism(集合的資本主義)と呼び得る大規模な株式所有の始まりである。つまり貯蓄を多様な投資機関に向けて、投資の専門家に資金運用を委ねている何百万人もの個人による間接的投資の増大を意味し、大量の個人による資本市場への参加を表す、“People's Capitalism”(人民資本主義)と呼ばれる形態を補完するものである」
 People's Capitalismとは、株式市場の活況、大衆株主の増大によって国民の中での株主の比重が高まり、ついには国民全部が株主となって「株主国家」が出現する。すなわち国民のすべてが生産手段の共有者になり、資本主義は社会主義とかわらないものとなったということを意味している。(三和裕美子1999)ただしこの主張は、株主数の増大は、実質的には会社の支配権には無関心な株主の増加をもたらす、ということを捨象しているといえる。
 しかし、いずれにせよ、大衆株主の増加が株主市場の流動性を増し、大衆の資金を吸収する機関として投資信託や企業年金などの機関投資家が登場してきたということは認められる。銀行信託部、保険会社、投資会社は、もともと金融商品や対象とする顧客獲得において競合することはなかった。しかし株式保有の増大とともに、各種金融機関が多数の個人投資家の資金を獲得するために証券市場で競争するようになった。たとえば、年金資産の運用を獲得するための競争は1960年代に非常に高まった。こうした競争激化の当然の結果として、資金運用の専門家として各種ポートフォリオの管理を委ねられているファンド・マネージャー間、さらには年金スポンサー間でパフォーマンスを競争する気運の高まり、受益者もより大きなパフォーマンスを求めるようになった。(ここでポートフォリオとは、投資対象の金融商品の組み合わせや、企業経営上の事業の組み合わせ、製品商品販売上の組み合わせなどを、複数以上ある管理運営対象の固まりの全体を指す。つまり、投資家は単に個別の期待収益の総和を最大化するだけではなく、そのリスクも回避しながら、安定的に収益を獲得していく必要があるということだ。このためには、投資対象および事業内容、製品構成などの分散を図る必要があり、これを検討した結果がポートフォリオと呼ばれる。)
 こうして貯蓄獲得競争を通じて発展してきた投資主体である機関投資家の投資の意思決定は、自らの情報にのみ基づき、唯一受益者の利益のために慎重に運用がなされなければならない。

2)機関投資家とSRI
まず、SRIの種類をいくつか紹介する。1つめは、コミュニティー投資である。これは、限定された地域(コミュニテー)の抱える問題を改善、状況を向上させるための組織やプロジェクト等の投資行動である。2つめは、環境配慮型投資である。これは、環境問題に特化したSRIであり、二酸化炭素の排出量や植林事業の状況など様々な企業の環境行動を評価し、行う投資。3つ目は、CSR経営評価による投資である。これは、トリプルボトムラインに基づいた経営評価を行い、その結果に基づいて行う投資である。日本で今後、注目されるSRIは2つ目の環境配慮型投資に間違いないだろう。1980年代後半から、1990年代の後半にかけて、環境問題が顕在化し、日本だけでなく、世界中が環境問題に取り組みだした。今後もこの環境問題は世界規模の問題で注目され、SRIも環境配慮型が増加するだろう。
日本でSRIが行われたのは、アメリカやイギリスに比べてると、とても遅かった。1920年代に外国でSRIが広がりだしたが、日本は1999年の日興アセットマネジメントの環境問題に積極的に取り組んでいる企業へ投資するファンド(=エコファンド)が出た。これは、個人投資家向けのSRIである。このエコファンドは、始まって、一ヶ月間で資産残高500億円を突破した。その結果、他の企業もSRIを取り組みだした。このように、日本においてSRIが誕生したわけであるが、その頃、年金基金向けのSRIは無いに等しかった。住友信託銀行が2003年に企業年金向けにSRIファンドを投入したのをきっかけに企業年金向け商品の開発機運が高まっているものの、運用残高は数百億円程度ともいわれ、企業年金の運用資産全体からみればごく一部にすぎなかった。
 日本のSRIの現状は、様々な理由から普及しているとはいえない。日本でSRIが普及しない原因の一つとして「受託責任論」が挙げられる。受託責任とは、「資産の運用・管理を委託された者(受託者)が、委託者のためにベストを尽くす責任」をさす。また、受託責任の要素に忠実義務と善管注意義務というものがあり、忠実義務は、「受託者は受益者の利益のためだけに行動しなければならない」義務である。そして、善管注意義務は、「思慮分別、能力のある人間が自らの資産を運用するに際して用いるであろう注意を怠らないようにする」という義務である。日本では、2002年に確定給付企業年金法により、受託者責任がはっきりと定められた。この受託責任の是非がSRIの普及の妨げになっている要因の一つである。
 現在では7ファンドが実際に運用・販売され、SRIを扱うファンドも投資信託会社のみに限られている。しかし国内の株式市場の低迷、エコファンドのパフォーマンスの不振、SRIの中心的役割を担う機関投資家の不在などが理由となり資産残高は著しく減少している。純資産額の合計は2003年4月末時点で640億円と、日本の株式投信全体の約0.4%にしかすぎない。


3)アメリカのCSR SRI
アメリカのSRIは、100 年前のキリスト教会の資産運用における特定業種の排除に始まる。このネガティブ・スクリーンは現在まで踏襲されているが、時代状況に合わせて投資基準も変化してきた。ベトナム戦争のあった60 年代には武器生産を疑問視する投資家が現れ、70年代には消費者運動の高まりを受けて株主提案などの株主行動が活発化した。70年代後半から80年代にはアパルトヘイト(人種隔離)政策下の南アフリカで操業する企業の株式が排除された。90年代に入ると、投資対象を選別する社会的基準は広がり、労働条件や雇用問題あるいは動物保護や森林減少、有害化学物質抑制など多様なものとなった。90年代後半になると、冷戦後のグローバル化の歪みが表面化してきた。開発途上国に工場を移した複数のグローバル企業が、現地の労働者を過酷な労働条件や低賃金で雇用していることが発覚した。常に労働組合や人権団体が監視しており、不買運動にもつながりかねない状況となった。象徴的な事件は、ナイキのベトナムでの児童労働問題である。議員からも批判の声が出ていたが、98年4月には欧米で抗議デモが起きた。ナイキは、ブランドイメージを守り問題の早期決着と業績回復を図るため、アジアの工場従業員の最低賃金と最低就業年齢を引き上げざるを得なかった。アメリカのSRI規模は2 兆3,000 億ドル(280 兆円)に達する。そのルーツは20世紀初頭まで遡り、キリスト教ある宗派が“教会資産をアルコール、たばこ、ギャンブル関連企業に投資しない”という宗教的倫理観に基づき、教会への寄付金を運用したことに始まる。
近年、アメリカの企業、特に大企業ではCSRに関する情報開示は当然のものとなってきている。理由として第一に挙げられるのがアカウンタビリティ(説明責任)である。アカウンタビリティを果たすことがステークホルダーとの良好な関係を形成していく上で、不可欠であると理解されるようになったのだ。ボイコットや不買運動などが日常茶飯事に行われるアメリカにおいて、企業の行動次第で痛い目にあったり、逆に、好意的に受け止められたりもすることを企業側が学習したのだ。第二に、企業内の各レベルでの認識の変化である。昨今の環境問題の深刻化、NPOの活躍、社会起業家の台頭、また、それを受けて環境・CSR特集を組むメディアの影響で「企業の発展において、環境問題や社会問題などに取り組むことは当然だ」と、担当者から経営者に至るまで企業側の全レベルで考えるようになっている。SRIが活発になっている背景には、こうした企業のCSR化の動きがあることは明らかである。ファンドは投資先を慎重に吟味して、いわゆる、「罪の株」と言われるアルコールやギャンブル、武器メーカーなどへの投資を避け、環境保全、人権擁護、動物愛護、地域貢献などに熱心な企業に投資する。こうした社会責任投資のメジャー化が進むにつれ、企業はその善し悪しに目を光らす社会責任投資家たちの動向を意識するようになる。そして企業が社会に対してさらに善い取組みを行うと、社会責任投資がより積極化する、と良いスパイラルが形成されてきているのが、ここ数年のSRIの傾向と言える。また、アメリカのCSRの特徴は、政府の直接的な関与が少なく、多様な投資・運用機関による年金基金やSRIファンドなどの民間レベルの歴史的な蓄積が著しいことである。アメリカのSRI資産残高は年々増加し、2001 年には2 兆ドルを超えた。SRIの普及がCSRの説明責任を促すとともに、「持続可能性報告書」の存在意義を高めている。


4)具体的事例
 日本で実際にSRIを取り入れて話題となったのが99年8月に発売され話題となった、環境対応を評価した投資信託「日興エコファンド」である。日興エコファンドは初の環境を配慮した金融商品として、環境に関心の高い個人の人気を集めた。それに続いて99年秋から2000年春にかけて安田火災(当時)興銀第一ライフ、UBS、パートナーズ(当時)が相次いでエコファンドを設定し2000年3月には、資産総額2000億円を超える規模に急拡大した。これらはすべて国内株式型の投資信託である。2000年9月には、朝日ライフアセットマネジメントから国内株式型の投資信託「あすのはね」が発売される。これは環境だけでなく消費者対応、雇用、社会貢献も項目(クライテリア)に含めた初の本格的なSRI投資信託である。同年10月には、国内の債権も投資対象とし、環境対応の中で温暖化対策に的を絞った「海と空」が三井海上(当時)から発売された。その後次々とSRI投資信託が設定され2003年2月末時点では9本の投資信託が設定・運用されている。こうした投資信託は主に一般の個人投資家を対象としたものである。機関投資家によるSRIの取り組みは、東京都教職員互助会が、議決権行使のあり方について議論をすすめていき、2000年12月日本の機関投資家として始めてSRIファンドの運用をはじめた。グットバンカーが提供する企業評価情報に基づいて互助会が投資ユニバースを決定し、興銀第一ライフが運用する。ここでは環境、社会貢献(社内)教育、女性の雇用という観点から評価し、不祥事や社会問題を起こした企業は投資対象からはずすことになっている。また、住友信託銀行は、年金基金向けSRIファンドを2003年6月から導入した。ここでは、企業評価を財務的側面だけではなく環境的側面から行い、ファンドの開発は日本総合研究所と提携して行う。「経済責任」分野は、住友信託が担当し、「社会的責任」「法的責任」「環境責任」分野については日本総研が調査を担当する。顧客(消費者)からの信頼性、従業員にっと手の魅力、社会とのコミュニケーション、法令遵守、経営の透明性、環境対応などの項目をアンケート調査に基づいてスクリーニングする。このように日本のSRIは環境への社会貢献的立場からはじまったが、近年社会性や地球環境の保全といったSRIの本質にせまった活動に近づいている。日本のSRIはアメリカやヨーロッパに比べるとまだまだ発展段階にあるといえる。
おまけ
日本企業のCSR
損保ジャパンのCSR活動として、損保ジャパンは社会発展に寄与する資金循環を作り出すことに社会的意義を見出し、1999年からエコファンドを取り扱っている。個人投資家からは環境だけではなくCSRに配慮した企業へ投資したいと言う要求が高まってきており、そのような状況をふまえてSRIを促進するような商品開発を行っている。CSRとしては、「CSRコミュニケーションレポート2004」というCSR報告書をだし、CSRを、コンプライアンス、人間尊重、環境、社会への貢献活動の4からとらえている。

5)SRIのメリットデメリット
SRIは株式投資をする際の企業評価に、企業が利潤の追求以外に社会的責任を果たしているかどうかを基準にして、収益性や成長性だけでなく社会面も取り込んで総合的に評価して対象を選ぼうという投資行動のことで、株式投資はリターンが大きくまたリスクも大きいと考えがちですが、長い目で資産を運用しようというときは、目先の上がり下がりにとらわれず、10年20年先にも着実に存続する企業に投資していくという目が必要です。そんな時には社会性という考えがとても重要で、投資という形を通して資本市場から良い企業をサポートしていくことがSRIなのです。SRIの最大の特徴は、普通の投資家が短期(3カ月から1年間)の収益をもとめるところをSRI投資家は、マクロに、長期の運用実績をみる器量と能力をもっている点です。
SRIの特徴は3つあり、1つ目にスクリーニングがあり、これはスクリーニング企業を財務と環境と社会面について調査、評価し、投資するべきかどうかふるいにかけます。これにより、億単位での金融面でのメリットデメリットが発生しています。環境・社会面での企業努力を促進させるために有効な機能です。また、2つ目に株主行動として、投資先企業の株主(オーナー)になることで、株主総会での議決権と直接提案をすることができるようになるということがあげられます。SRI投資家による株主行動についての、身近な例としては、スターバックスのフェアトレードコーヒー購入があります。3つ目はコミュニティ投資で、SRI投資家の預貯金や投資、提案活動により、例えば、信託投資銀行など地域密着型金融機関にSRI的アプローチをしてもらうようにプレッシャーをかけることです。
この3つの機能を相互にバランスよく使うことで、SRI投資家の環境と社会面のメリットが増加させることができます。
資本主義におけるSRIのメリットとして、投資家が社会貢献したいという自己満足を手助けがあげられます。近年成長しているファンド(投資信託)の存在がそのメリットを後押ししている面があり、ファンドは大口の資金だけではなく、様々な小口(個人)の資金を集める事によって成立しているため、モラルの高い個人からもより多くの資金を集めたいなら、SRIを考慮しなければならないのは、いうまでもありません。これは投資家が社会貢献したいという自己満足を手助けというメリットが、今では広く個人に広がっているといえます。さらに、SRIファンドは投資家に、従来の投資収益に匹敵する、もしくはそれを上回る収益をもたらし、さらに金銭的収益の枠を超え、幅広い社会的・環境への還元という二重の利益をもたらします。
個人投資家のなかにはSRIに取り組む最大のメリットを「投資成果」と考えている人も多いでしょう。欧米では「SRIインデックス」がいくつか開発されていますが、過去の実績を見ると市場平均を上回っているものも多くあります。このことで、CSR(企業の社会的責任)に熱心な企業はあまり熱心でない企業にくらべて収益性が高いと感じている人も多くいます。そのため海外では、SRIが収益を得る手段としても注目され、社会的な視点で優良企業を選別していくSRIに大きな期待が寄せられています。また、SRIは、社会的に無責任な企業、その可能性の高い企業を投資対象としないことにより、長期的には、予期せぬ不祥事など企業の社会的責任の欠如から生じる株価下落リスクをある程度低減する効果が期待できます。つまり、社会貢献に真面目に取り組まない大企業は、何らかの大きな不祥事を抱えている事が大変多く、社会貢献しない企業の株価はある日突然暴落する可能性がより高い、と考えられるのです。 SRIを基準にしてそのような企業を避けて投資すれば、そのリスクを回避でき、これによって最終的には金銭的なメリットとなって返ってきます。このような金銭的なメリットは資本主義の原理に即している分、SRIが社会に本当に根付いてくれるであろう期待感を抱かせてくれるのです。
SRIのデメリットとしては、小額でも投資することは可能だが、その分、手数料等は割高になるということがある。これは、小額でもいいのですが、ロットが小さい資金でも大規模な資金でも、管理コストはほとんど変わりません。従って、手数料等の体系は、小額投資には不利になっています。株式のアクティブ系の投資信託では、多くの場合、小額投資の売買手数料は3%程度に設定されていますが、1億円を超える資金の場合には、この手数料は1%程度まで低下します。小額でも投資信託は始められるとはいえ、やっぱり、資金の豊富な投資家のほうが、有利なことには変わりません。さらに、有意義な分散をしているのか、無意味に分散しているのかをチェックすることが難しいということがあります。投資対象を分散することの意義は、「一つの投資対象の価格が下がっても、他の投資対象は値上がりして、トータルするとプラスになる」という状態を作りだすことです。適当に分散させて、「一つの対象が値下がりしたら、分散させていた別の投資対象もつられて下げて、トータルでは全てマイナス」となったのでは、分散させている意味がありません。例えば、日本株式と外国債券の場合は、一般に相関関係は低いとされています。これなら、分散させる意味があります。しかし、米国の債券と英国の債券に分散させたのでは意味がありません。日本株式の場合でも、トヨタ自動車と日産自動車に分散かることには、意義がありません。自動車産業全体が不況になったら、両方とも価格が下がる可能性が大きいからです。さらに、投資する株式を選ぶことと同様に、信託する専門家を選ぶことも難しいということです。投資には一般的に価格が変動するリスクが大なり小なり伴うものです。たとえ専門家が運用したとしても、市場全体の動向に勝つことは相当難しいことです。株式市場全体が冷え込んでいる場合には、どんなに銘柄選別が上手であっても、それほど市場平均から乖離した実績が残せるものではありません。専門家であっても、市況にはなかなか勝てないものです。更に、問題となるのは、例えば株式を選ぶことと、優秀な投資の専門家を選ぶこととは同じぐらい難しい、場合によっては、後者のほうが難しいという点です。株式の場合には、近年会社の情報開示への姿勢が積極的なものに変わってきています。今や、現在進行中の会計年度についての業績見通しや、四半期ごとの決算実績の開示、リスク情報の開示などが行われています。しかも、インターネットの発達によって、これらの情報は個人投資家でも簡単に手に入れることが出来ます。

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