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タンポポコーヒーネット支部コミュのギルドナイトレイピア13

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第十三話 〜雪山の暴君とランポスメン〜



沼地の怪鳥を狩りに行ってから3日が経った。
傷も癒え、準備を万端にし、
さて何を狩りに行こうかと思っていた
プゥの元に、長老自らが顔を出したのだった。


コツコツ と、杖で戸を叩く音が、プゥの耳に入った。

長老 「プゥよ、そろそろ起きてるじゃろう。ちょっと話を聞いては
    くれんかの?」

長老からとは珍しいと思い、プゥは窓から顔を出す。

プゥ 「なんだよ?ばあさんからなんて・・・」
長老 「少しワケあってな。出てくるがよい」


プゥは不思議に思って、シャツを着るなり表にでた。


プゥ 「なんかあったのか?」
長老 「それなのじゃが・・・おぬしらにあるクエストに出て
    貰いたいのじゃ」
プゥ 「そんなの、いつものことじゃないか」
長老 「ふむ、たしかにそうじゃが、今回は相手が違う。
    雪山に発見された『雪獅子ドドブランゴ』、
    こやつを狩ってほしいのじゃ。必ず三人で、じゃ」

プゥ 「雪獅子・・・図鑑でみたことあるな・・・
    この付近に住み着いたのか?」
長老 「その通りじゃ。しかしコレが凶暴でな、
    エサとなりそうなものを食い散らかし、
    挙句に別の村にも現れ、数軒の家が壊されたそうじゃ」

このままではいかん と、小さな老人はプゥを見上げる。


長老 「かなり危険な狩りになりそうじゃが、他に頼める者がおらん。
    頼まれてくれるかの?」

少々不安そうな長老に、プゥはいつもと変わらない自信に溢れた顔で
長老を見下ろした。

長老 「ふむ、いい顔じゃて。できれば今日中には出てもらいたい」

長老は安心した感じの口調で言うと、プゥは返した。

プゥ 「メシを食ったら、すぐに来る」



狩人は踵を返した






雪山はいままで何度も来たが、今回は少々天気が悪かった。

ハリーは支給品を三等分に分けると、携帯食料の一つを口に放り込む。

ハリー「噂に聞く、雪山の暴君と戦う日がこんなにも早いとわな・・・」
モモ 「不安ですか?」
ハリー「初めての相手なだけで、不安にはなるだろ?」
プゥ 「ビビリ過ぎだな。おれのサポートがあって、勝てない相手なんて
    いるわけねー」

ハリーは相変わらずのプゥに少し緊張が解けたが、
やはり前線を張るのは自分なので、拭いきれない部分はあった。

モモ 「兄さん、今回こそは私も頑張ります。だから・・・」

モモが言いかけてハリーが遮る

ハリー「モモこそ、あんまり気負うな。俺は大丈夫だから」


ハリーの言葉に、モモは微笑む。



雪獅子が住み着いていると情報があった、
雪山のエリア8。ちょうど、その狩場の頂になる。



3人は慎重な足取りでエリア8に中央まで歩み出る。

プゥ 「・・・いないか?」
ハリー「いつもここにいるとは限らないからな。他にあたるか」

そう言った時だった。モモが何かに気づいた。

モモ 「何か聞こえませんか!?咆哮のようなものが・・・」


耳を澄ませば、ゴォォ っと、遠方から、たしかに咆哮らしき
ものが聞こえる。

だが、それは次第に大きくなってくる。


プゥ 「このエリアにくる・・・!!」


プゥがいうなり、声はもう近くまできていて、
次の瞬間、ズシンと地に下りた音がした。


だが、辺りには見えない。


ハリー「っ!!上か!!」

ハリーはたまたま見上げた岩壁の上をみる。

どうやら、どこからか上る場所があるらしく、
平坦に切り崩された岩壁の頂上に、豪腕の白い牙獣が
こちらを見下ろしていた。


雪獅子は自分のテリトリーに侵入した人間達を睨むと、
先ほどと同じような咆哮を上げる。


すると、辺りの地面から隠れていた子分のブランゴが3〜4匹、
勢い良く飛び出した。

丁度降りてきたドドブランゴを含めると、囲まれた形になる。


ハリー「流石は親玉ってところか!?」
モモ 「兄さん!感心してる場合じゃありません!切り抜けましょう!」

プゥ 「雑魚を先に片付けるぞ!だが、ドドブランゴには気をつけろっ!」

プゥの言葉を聞いているのか、いないのか、
3人は同時に散開する。


ブランゴたちは、ドドブランゴの命令に従って、
プゥを囲んだ。

ハリー「プゥ!!」
プゥ 「逆に好都合だ!おれはいいから、親玉をひきつけてくれ!」

モモ 「わかりました!!」


ドドブランゴに一番近かったモモは、前足を斬りつけ、
サッと横転して離れる。

予想通り、ドドブランゴが振り払った腕が、
先ほどまでいた場所の空を切る。

モモ (もう・・・私もハンター。足は引っ張りたくない。でも・・・)

ハリーの 気負うな という言葉がよぎる。

モモ (焦っちゃダメ。基本に忠実に・・・)

モモは一瞬、沼地の出来事を思い出す。
必ずしもマニュアル通りにはいかないが、
基本は大事だ。

モモの体は、そのことを刻み込んでいるようで、
以前よりも軽快な動きを見せた。


脚力があり、素早さと高い攻撃力を誇るといわれる
ドドブランゴだが、そのときのモモの動きには
翻弄されているようだった。


だが、氷を放つフロストエッジはあまり効果が見られず、
どうも致命傷を与えられない様子だったが、

もちろん、それをカバーするのは兄のハリーだった。



ハリー「モモ、悪いがあわせてくれっ!攻撃重視でいくぞっ!」

モモ 「!!  はいっ!!」

初めて、頼られた瞬間の言葉であった。


モモはあくまで注意を引くために動き、背後からハリーが殴打する。


ドドブランゴも、二人の考えは読めていたようだが、
モモの攻撃もダメージがないわけではない。

おまけに、狙う場所が顔付近や前足といった
重要な場所なだけに、気に障るようすだった。





プゥは4匹のブランゴに囲まれ、少々焦っていた。
どうも親玉の言うことを聞くと、コンビネーションが取れていて
確実にどれか一匹が攻撃を当ててくる。

プゥ 「チッ、調子乗りすぎだろゴラァ!!」

プゥは道具袋に入っているペイントボールを二つ三つ掴んで、
正面のブランゴに投げつける。

それは、先ほどからと同じように後方に跳んでよけられ、
続いて左右のブランゴが少し近寄ってくる。


しかし、流石に何度も同じことをされると、読めるというものだ。

左右は囮で、攻撃はしてこない。

そして最後は・・・


プゥ 「猿がっ!!!クレッセントローカスっ!!」

プゥは背後に振り向く勢いで、足を思い切り振り上げた。

突進してきていた背面のブランゴのアゴを蹴り上げ、
ブランゴは少し宙に浮く。

続いてプゥは矢を抜いて、落ちるブランゴの首を
矢で突き刺した。

イャンクックの弓である鳥幣弓で放ったわけではないので、
火を起こすことはなかったが、
絶命させるには十分だった。



ソレを見て混乱した3匹を仕留めるのに、
時間はかからなかった。


プゥ 「ぷぅ、さて向こうは・・・っ!!」



ちょうどプゥがハリー達をみたとき、
ドドブランゴは堪忍袋の緒が切れたようで、
高々と咆哮を上げ、腕をゴリラのようにドスドスと打ち付けていた。


モモ 「兄さん!」
モモは盾で音響を緩和したものの、ハリーは方向のボリュームに
耳を防いでいた。

ハリー「斬れっ!!!俺に構うな!!!」

ハリーは咆哮に負けないように大声で叫ぶ。


モモはうなずくより先に雪獅子の顔を斬りつけると、
獣は口から出ている頑丈な二本の牙でその剣を防いだ。


ガツンッ と、弾かれる。
モモは驚き、反射的に盾を前に突き出すと、
豪腕がモモを弾き飛ばす。

モモ 「っきゃあ!!?」
ドスファンゴの突進かと思うほどの衝撃に、
耐え切れずに尻餅をつく。


その尻餅をついたモモの頭の上を、
2本の矢が飛翔したものだから、またモモは驚いた。


矢は牙の前に弾かれたが、火が上がり、雪獅子の顔は
炎に包まれる。


プゥ 「安心しろ!ちゃんと尻餅をついたあとに撃った!
    追撃が来なくて助かったな!」
モモ 「あ、ありがとう(?)ございます!!」

モモは素早く立ち上がり、
ドドブランゴに接近する。


その頃ドドブランゴは、燃えた顔を地面に押し付け、
さらに雪を被る。

顔をあげるなり、大きな槌が見え、
雪獅子はすかさずまた牙で防御しようとした。

すでにハリーが復帰していて、顔を殴打する寸前だったのだ。



だが、牙は重量のある鉄槌の前に破れ、根元付近で
折れて飛んだ。

寒さとドドブランゴが吹くといわれる氷の息で
凍らされた大きな二本の牙は、
さきほどの炎で大分溶かされたようで、
鉄槌を防ぐほど硬くはなかったのだ。




牙が折れ、激痛に悲鳴を上げる雪獅子の親玉に、
容赦なくプゥとモモが追撃する。


雪獅子は牙のダメージが予想以上にあったらしく、
抵抗に勢いがなかった。


ハリー「かなり弱ってるぞ!!!」
プゥ 「このチャンスを逃すな!逃げられたら、また子分が付いてくるぞ!」
モモ 「畳み掛けます!!」


モモは尚も足を斬りつけ続ける。

そしてハリーが乗じて足を殴打したときだった。


雪獅子はババコンガのときのように、崩れて横転し、痛みに悶えていた。


兄妹はそれを機にさらに追撃。


そしてプゥはいつも以上に慎重に狙う。


そして 離れろ! という叫び声とともに放たれた炎の矢は
雪獅子の目を貫き、顔を焦がす。

二人はプゥの指示通り離れ、ドドブランゴの様子を伺った。

前足に力が入らないまま顔を焼かれ、雪獅子はゆっくりと雪の地に
倒れこんだ。


そのまま、顔を焦がした火は冷たい風と地面の雪で消えたが、
白き獣はピクリとも動かなかった。



ハリー「た、倒したのか?なんか、割とあっさりだったような・・・」
モモ 「そ、そうですね。また私、
    危険に晒されるのかと思ったんですが・・・」

プゥ 「まぁ、モモは一瞬危険に晒されかけたが、
    俺が本気をだしてたから、余裕でカバーできた。
    なにより、今回俺らはかなり気をつけていたからな。
    まぁ、本当ならいつもコレくらい緊張感があるもんなんだろうけど」

ハリー「緊張感がないのは基本的にお前のせいだろうが!(怒)」
モモ 「ま、まぁまぁ兄さん。上手くいったんですから。
    いいじゃないですか。これからも、こうだといいですね」


モモは兄をなだめる。






村に帰った三人の帰還が思ったより早かったのを、
長老は驚いた。


長老 「アンタ達、もう倒したっていうのかい?」
プゥ 「なんだよばあさん。俺らは3人。余裕ってもんだろ」
ハリー「お前は相変わらずすぐ調子にのる・・・」
長老 「以前のババコンガや沼地の件があるから、
    かなり苦戦するかと思ってたんだがね。
    あたしはアンタたちを過小評価していたかもしれないね」
プゥ 「まぁな」
モモ 「もう、プゥさんわ・・・」

ハリーもモモも、ため息をつく。


プゥ 「俺の同じ年の友人が、もう街にでて活躍してる。
    なのに、俺たちはまだまだだ」

プゥが話し始め、長老はもちろん、兄妹も頭上にハテナが浮かぶ。


プゥ 「でも、そいつにできて、俺たちにできないなんてことはねぇぜ。
    だから、俺たちはもっと強くなって、ソイツに追いつくんだ」


プゥは握り拳をビシッと長老に突き出す。

長老 「アンタも、目標があったんだねぇ。いい心がけさね。
    だったら、今度からドンドン任せるから、覚悟しておくんだね」

長老は微笑んで言う。




家に帰ったプゥに、食事をしながらハリーは訊いた。

さきほどの、友人の話だ。

モモはもちろんだろうが、ハリーにも心当たりはなかった。


プゥは頬張った肉を飲み込むと、話し出す。

プゥ 「俺たちがハンターになって1年弱。モモは3ヶ月。
    だが、ソイツは今や英雄になってるんだ。
    聞いたことあるだろ?謎の水の邪龍を倒した英雄の話」

それを聞いて、ハリーは思い出したようにプゥと顔を見合わせた。


ハリー「D・・・『雷神・D』ぁ!?」
プゥ 「気づくのおせぇぇぇーーーー!!!」

モモ 「え、あの、新聞に載ってた、太刀使いのですか!?」
モモは訊く。

プゥは頷くと、話を続けた。


プゥ 「俺がハンターになったのが最近とはいえ、
    アイツはもう数々の大物を狩ってるんだ。
    俺も、アイツと同じ狩場に立ってみたいんだよ」

プゥの話し様子には、焦った様子はなかった。
だが、確固たる意思が表れていた。


ハリー「そうか・・・アイツが・・・そりゃあ負けてられないな」
プゥ 「だろ?」

モモ 「そういえば、あの人って昔同じ学校の人だった・・・?」

モモはようやく思い出した感じだった。


そう、プゥとハリーは幼馴染だが、 後に友人となったのが
雷神・Dと、また一人別にいる奴だ。

その4人でよく遊んだもので、モモもその様子を何度も見たことがあった。


プゥ 「そういうことだ。それに、おれももっといろんな
    モンスターと戦ったり、広い世界をみてみてえ。
    でも、いまの俺らじゃきっとまだまだだ」

兄妹は頷く。

プゥ 「だけど、俺たち3人なら、いけると思わないか?
    3人だぜ?文殊の知恵にも匹敵するってなもんだ」

ハリー「文殊の知恵は今はいいとして、目標があるなら、俺は
    プゥについていくぜ」
モモ 「あ、あたしは、日常の兄さんの面倒をみないといけませんから。
    もちろん、ついていきます」

プゥ 「決まりだな。だけど、さっきもいったが、まだすぐには出れない。
    でも、そのつもりでいてくれよ?」


プゥはニカっと笑う。ハリーもモモも、プゥに惹かれる。




三人の狩人生活は、まだまだ続く




           〜MHP2小説「ギルドナイトレイピア」14 に続く〜

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