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自分が持っている歌詞中の世界コミュの第4話  キミノイイトコロ

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2003年6月20日     
今日は金曜日なのに僕は家で、
親父が来るのをワクワクしながら待っている。

ピンポーン

「よ!!悠介これ頼まれていたもの!!」

「サンキュー!!」
 
「せっかくここまできたんだから、みーちゃんに会いてーな
 正月だって来れなかったし、
 あれから時間が出来た、と言って
 帰ってきてもお前一人で帰ってきやがって〜
 ミーちゃんも連れてこいよ」

「わかった、わかった、夏休みにでも二人で帰るから!!
 今日は瑞樹の誕生日なのだから、二人っきりがいいの!!
 それでわざわざ有給までとったんだから
 はい、はい、手伝ってくれてありがとうね、」

そう言って親父を部屋から追い出した。
せっかく遠いところから来てもらっったうえ
色々と手伝ってもらったのになんだか、悪いかな?
と思ったりもしたけど、
まぁ、しょうがないと自分に言い聞かせ
今の僕に出来る最大限の事をしようと、
誕生日パーティーの準備をしていた。

部屋の飾り付けを終え僕は買出しに出かける事にした。
なぜだろう?瑞樹の喜ぶ顔を想像しながら、
僕も自然と笑顔になった。

今日は愛車のバイクは置いて
仏飛号(ぶっとびごう、と勝手に名前をつけた自転車)
で買い物に出かけよう!!

長い坂道をすり抜け、人で溢れるスーパーに着いた。
僕のシャツのポケットには自分の会社の
デジタルオーディオを
片手にはスーパーで買った花瓶と花を持ちながら
ご馳走を作る予定の僕は食材を選んでいた。

プルルルループルルルルー
瑞樹から電話がかかってきた。
食材選びはいったん中断して電話に出た

「もしもーし」

「悠ちゃん?電話くれた?」

「うん☆今日はどうする?」

「今日?」

瑞樹は仕事に追われ自分の誕生日さえ忘れている様子だった
この誕生日パーティーは今まで
極秘で進めていた計画だったので
驚かすにはちょうどいいと思い

「う〜ん、いい天気だなぁーと思ってさ、
 こんな晴れた日はぜひ瑞樹と
 会いたいなぁーと思ったから電話した。」

と、とぼけて見せる僕に

「なに?なに?おぬし、なんか企んでおるな」

と冗談ぽく返してきた瑞樹。
相変わらず勘がいいというか、
僕の考えている事はすべて筒抜け?
と自分の彼女ながら、感心した。

「とにかく今日は俺の部屋に来て欲しいから
 仕事が終わったら来てよ!!」

「うん、わかった。」

やけにあっさり引いたなぁーと僕は思いつつ買出しを続けた。
もしかしたら瑞樹は今日が自分の誕生日で、
僕が何かしようとしている事に
気がついたのかもしれない。
でも瑞樹は僕の努力を無駄にする事はしない。
たとえバレバレでも
知らないふりをしてくれた。

買出しも終えて部屋に帰ってきた僕は
机の上に今買ってきたばかりの花瓶に
花を挿して腰を掛けた。
部屋を見渡すとなんだか寂しい感じがする。

飾りつけといっても「部屋を模様替えした?」
といわれるとそれで済んでしまうような
飾り付けだったから・・・
この部屋に瑞樹が、入ってきたときに今日は自分の誕生日で
僕がお祝いするために呼ばれたのだと
わかるようにしたかった。
それが1つ目の誕生日プレゼントだったから・・・

「よし!!」

と自分に気合を入れて文房具屋さんに走り
大判紙とマジック、折り紙を買ってきて、
幼稚園のときしたような、飾り付けをした。
部屋の真ん中には
<瑞樹29歳の誕生日おめでとう>
の文字、それを飾るように折り紙で輪と輪をつなげて飾った。
飾りつけを終えたときには15:00を過ぎていた。

ヤバイ!!料理も速く作らないと!!
もちろん料理はあまりしたことがなく
瑞樹が風邪を引いた年明け
台所に立ったのは小学生以来だった。

でも今日は失敗を出来ないと思っていたので
数週間前から練習していた。
そのため段取りよくこなす事ができた。


時間は18:00を過ぎた頃
僕は料理を終えて、瑞樹が来るのを待っていた。
今日は準備のため早起きしたのが原因か
その頃にはもう疲れ果てて
ソファーで横になって眠ってしまった

19:30

「あーあ」

とあくびをしながら目が覚めた僕は伸びをして
ソファーから起き上がると
一気に目が覚めた。
僕の用意した料理の前に笑顔で頬杖を着きながら
僕を見ているスーツ姿の瑞樹の姿が・・・・・

「えーーーーーーーーーーーー」

と叫ぶ僕に黙ったまま子悪魔のような笑顔で
瑞樹は頬杖をついているもう片方握り締めた手を開いた。
するとそこには僕の部屋の鍵が
プラーンとぶら下がっている・・・・・

よく考えてみればお互い合鍵は持っている。
大失敗だと落ち込んでいる僕に

「嬉しいよ、悠ちゃんありがとう」

と瑞樹は言い、僕は苦笑いをしながら自分の作った料理を
暖めなおしてパーティーは始まった。

二人きりのパーティーを始めて一時間くらい過ぎた頃
僕から瑞樹へのプレゼントを渡した。

1個目は誕生日ケーキを近くのケーキ屋さんで買ってきたもの
2個目は瑞樹の生まれた1974年のワイン
3個目は親父に作ってもらった花束だった。

「本当は形に残るものが良かったんだけど
 いいのが思いつかなくて・・・・」

申し訳なさそうにする僕に

「そんな顔しないで、本当に嬉しいよ!!
 それにプレゼントはこの三つだけじゃないよ
 私にはこうして悠ちゃんが作ってくれた料理も
 一生懸命してくれた飾りつけもみんなみんな
 大事なプレゼントだよ!!こんなにすばらしい
 誕生日は始めてだよ、ありがとう」

と涙ぐみながら言ってくれた。
それを見て僕も安心した。 

肩の荷が下りたように感じた僕を横に
後片付けを始めた瑞樹

「いいよそんなのあとで俺がやるから!!」

「やらないくせに〜」

さすがにばれたか、と思いつつも普段はしない
後片付けを僕も手伝った。

後片付けが終わると

「ちょっと座っていて、おつまみでも作るから」

とエプロンをし簡単な料理をし始めた
僕はその言葉に甘える事にした。

二人は74年のワインを飲み始め
明日は休みということもあり結構なペースで飲んだ

22:50
僕はいつもよりハイペースでタバコを吸いあと2本しかない

「お、タバコが切れそうだからちょっと買ってくる」

「うん、いってらっしゃい」

少し眠そうな返事を聞き僕は家を出た。
玄関を出てゆっくりと階段を下りて外に出て
自分の部屋のベランダを見上げたら、
涙ぐむ瑞樹の姿が見えた。

実はいつもよりハイペースでタバコをすったのも
僕が自然に外に出るきっかけが欲しかったための計画だった。

瑞樹は僕の家に泊まると朝早く仕事に出て行く
僕をベランダから必ず見送ってくれる。
それが例え近くのコンビニへの買い物だとしても!!
僕が曲がり角を曲がるまで見送って手を振り続ける。

その事を知っていた僕は瑞樹へのプレゼントとして
ベランダを数百本のバラの花で埋め尽くしていた。

家柄、花は比較的安く手に入るし
バラの花を並べるのに親父にも手伝ってもらった。
僕は急いでタバコを買い、走って自分の部屋へと戻ると
玄関で瑞樹が抱きついてきた。

「悠ちゃんありがとう!!
 しかも私の大好きな花をこんなにたくさん!!」

「瑞樹がバラの花を好きなのは
 高校のときから知っていたんだ、
 いつかこういう日が来たら数え切れないほどのバラの花を
 あげたかった。今日はその夢がかなえられて俺も嬉しいよ」

涙ぐむ瑞樹を抱えながらベランダのほうに向かった

「お店でもこんなにたくさんのバラなんて見たことがないよ
 高かったでしょう!!」

「値段の事はいいんだ!!親父に頼んだんだしさ!
 それよりもここには数え切れないほどの
 バラの花があるけど、
 順番どおりに並べられているでしょう?
 右の一番上のバラを瑞樹の1歳だとして、
 数えていってみて
 今日は瑞樹の何歳の誕生日ですか?」

「1・2・3・・・・・・・27・28・29」

「抜いてみて」

29本目のバラを抜くと

手紙と指輪がバラの茎の部分の結び付けてある

「読んでみて」

{29歳の誕生日おめでとう!!
 ねー瑞樹、この世の中で君と出会ってこうして
 恋人同士になれて本当に幸せだと思います。
 でもね時には僕の発する言葉で
 君を喜ばせることもあるでしょう、
 逆に君を傷つけてしまうこともあると思う
 言葉は時として暴れてしまうから・・・
 僕はキミノイイトコロを言わない!!
 内緒にしておく、
 何も図らないで君を喜ばせたいからさ
 だけど同じようなことをできるようにするからね
 そして君の良いところをまねして
 君が笑ってくれたらそのとき初めて打ち明けるから
 教えてくれたのは君なんだよってね
 だから僕のよいところも言わないで、
 内緒にしていてよ、何も図らないで君を喜ばせたいから、
 そして僕のいいところをまねして僕が笑ったら
 そのとき初めて打ち明けて! !
 教えたのは僕なんだよってね}

「ごめん、くさくて、キザだったよね?
 でもびっくりして欲しくて。最近瑞樹仕事で
 お疲れでしょう?ちょっとは疲れ取れてくれたかな?」

「うん(涙)ありがとう」

瑞樹はそのまま泣き崩れて僕らのパーティーは幕を閉じた。


(悠介の日記)
2003年6月20日(金曜日)
最初から失敗してしまい
一時はどうなるかと思ったが何とか成功した!!
悲しい涙は嫌だけど嬉しくて泣いている
瑞樹を見て何度でもうれし泣きさせたいと思った。



(瑞樹の日記)
2003年6月20日(金曜日)
今日悠ちゃんが私の誕生日のお祝いをしてくれた
私が誕生日を忘れているのに覚えていてくれた事
私がいつでも見送りする事
1つ1つの行動を覚えていてくれた事が
1番嬉しい!!
悠ちゃんは手紙で言わないでって言っていたから
日記に書くけど
ねー悠ちゃん
あなたは気がついていないのかもしれないけど
あなたは周りの人の幸せを考えられる人
幸せにする事ができる人なんだよ
だから私もあなたのようになるようにがんばるね
本当に本当にありがとう

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