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バトル仮面舞踏会コミュの51.「おならぶ。」ten式

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 あ、マズい。
 遼平は思わず小さく体を揺らしイスに座り直しつつも、緊張で体が強張っていた。本気でヤバい。おならが出る。
 今日に限って教室は妙に静まり返っている。先生が一心不乱に黒板に文字を書きなぐっているチョークのカカカッという音が響き、みんな意味も分からず机にうっぷすように、それでいて時々ババッと顔を上げて見ては、意味も分からず古の日本語をノートにまるまんま写している。遼平も一瞬前まではクラスメートと一緒に、それをしていた。
 座り直した時、イスがちょっと鳴った。いや、滑ったのか、ズズズといったか。
 おならに似た音がした。
 隣の席の雄二が、ちょっとバツが悪そうにちらりと見やったのに、遼平は気づいた。怪訝そうではあったが、また焦るように黒板とノートの往復に戻った。
 さっきのあの音。近い音が出てあのリアクションなら、出してもいいのか。
 遼平はフトそう考えてみたが、慌てて否定する。それはまずい。さすがに音と臭いが一緒に出たら、周りの人間にばれてしまう。
 教室に整然と並んだ机とイス一つづつに生徒が一人一人と、全部で四十。この中でこんなことを考えているのはオレ一人なのかと、遼平は頭を下げたまま周囲をうかがった。集中している。ピリピリムードだ。
 おならから気を紛らわすために、遼平も他の輩と同じように、板書、板書とペンを走らす。
 細かくて走り書きのために読みにくいくせに、きれいに並んだそれだけでも古典のような白い文字を必死に追いつつも。きれいに並んでいる。丁寧な並び。御並び。おならび。おなら。
 もはやこじ付けでしかないくらいに、脳内ではおならに繋がる。そんな連想しかできなくなっている自分に対して苦笑いしたその擬音さえも、へ、屁、へ、にしかならない。ヘヘヘっ。きれいに御並んだオレたちの中で、こんなにおならまみれなのは自分一人だと、今度は音もなく笑った。
 音もなく。そうだ、すかしっ屁にするという手があったか。
 これまでの学校生活ではかつてないほどの真剣さで、鋭い眼光を放ちながら今まで以上に神経を肛門に集中させた。
 問題は口の広さに排気の勢い。ゆっくりか細くする必要があるであろう。ネットのコラムで、こういう技術を一部の女子は持ち合わせて、イザという時実践していると書いてあったか。
 初体験のオレでもできるだろうか。しかしやらねば。
 半ケツを浮かしたり、穴を絞めたり、改めてイスに座り直したりとモゾモゾしていると、今度は後ろの泰代が、軽い咳払いをしてきた。
 うわ、ヤべぇ。こりゃこの手を行使する前に怪しまれて、うまく音がないのが出ても臭いでばれる。もはや絶体絶命だ。
 追い込まれた遼平は、思わず口に手をあてた。まてよ。
 確かおならって、我慢し続けて無理に溜めるとついには上、すなわち口から出て行ってくれるんじゃなかったか。
 下手に息むと、爆発寸前のガスは下からフン出、とはいっても実まで出す気はサラサラないが、尻の穴から漏れてしまうのは時間の問題だ。大腸の先まで来ているであろう臭気ガスを上へ上へ小腸をくぐらすイメージで移動させていく。
 金魚のように口をパクパクさせて小さく喘いでいる微妙な振動の遼平を泰代と雄二はギョッとしつつ改めて咳ばらいを。と、脳裏にはかすめたのだろうが、現実には放っておかれてしまった。
 いよいよ遼平の動きがおかしく、いや、激しくなってきて、コレは出る、と思ったであろう瞬間。
 授業終了のチャイムが鳴り響き、教室のあちこちからため息が漏れた。それと同時に、一番後ろの席の人たちがノートを回収し始め、先生は黒板を消し始めた。
 途中までは書き埋められている遼平のノートも、泰代が持って行ってしまったが、そんなことはどうでもいい。もう出る。口から。いや、下から。もう我慢できない。上でも下でもどっちでもいい。上下どちらの口からも溜めこんでいたものをすべて吐き出す雄叫びともいえる声をあげて、遼平は放屁し、放心した。
 オラがおならをブーっと出し。おらがぶー。おらぶ。
 それはまさに叫びの古語たるおならび、もといおらびであった。

コメント(20)

投稿者:久遠 - 11/17 19:13

コメディーは好きなジャンルです。
わくわくしながら読みました。が、オチが大人しい。ぶっぱなしたら、回りの叫びも入れて欲しかった。
投稿者:はる☆ - 11/19 14:07

前回の某バトカメ作品の?と思ってしまったーはる☆でした。へーっと。来たかーみたいな感じです。
投稿者:シャケ弁 - 11/18 22:41

見た事のない日本語。《机にうっぷす》とか《まるまんまノートに》とか……自分が持っている辞書には載ってない。最近の言葉かな。

意味はニュアンスで通じるから問題ないですけど。これは前回にもあった考えるな感じろ系ですね。

オチは意外と静か。悪くないと思います。

勉強になりました。


構成:アッ

テンポ:アタッ

フィーリング:アタタッ

叫び:ア
「バツが悪そう」というのがひっかかって。
 バツが悪い、というのは「場都合が悪い」のであって、場都合が悪いのはむしろ遼平であろう、と。そこは気になった。

 しかしながら、そのおならを我慢して、蓄積して、一気に解き放つだけの話なんだけど、なんともいえず面白くなった。最後の爆発は映像として想像すると、かなり愉快である。
確かに、小中学生が人前で放屁などしようものならば、その後の学校生活を左右するほどの大事になり得ます。
そういった子供の残酷さや、それに怯える感情が描かれていれば、化けたのではないかなと。
投稿者: ひねもすのたり(寝袋青組?22) - 11/22 16:58

おならに対する深い考察が、笑えます。おならだけで良くここまで書いたなと感心しました。
しかし、最後のオチまで考察レポートになってしまった感じが惜しいですね。
投稿者:鳥新-11/23 10:36

 テーマは「屁」でややシモ系なのに、最後は古語で格調高く閉めているギャップが面白かった。
 悶絶が伝わってくる文章でした。
主人公の思考がおもしろく書けていると思います。
ただ元ネタをしらないからか、オチが唐突に感じました。
嗚呼お間抜け。
パンツと並んだのは損かな(苦笑)。
ラストの台詞というか、おらびとやらがこじつけ臭くてマイナス。
勢いとしてはパンツのほうがあるなぁ。
投稿者: ちまみぃ - 11/28 10:56

戦いだなぁ。戦闘だ。日常バトルものですね。色々思うのですが、言葉にできない。なんでこんなに面白いんだろう。
凄く短い間を濃厚に書かれていてしかもそれがオナラで、胸がふつふつ笑いを堪えました。爆発的な笑いはないんですが、じわじわくる感じでもう少し長かったらツボだったかもしれません。
ふふふふふ!
D・J・koby - 11/28 23:03

なんでだか知らないが「うっぷす」で吹き出してしまった。なかなか見ないからかな。

しかしこの内容で異様にうまいものだからびっくらこいた。最後のオチも、これをやってしまうのは逆にすごいと思う。そうとうふてぶてしい顔をして書いたんじゃないだろうか。

面白かった。いうことナス。
投稿者:萩鵜-11/29 01:41

 ホラー小説をごらんになったことはありますか?
 本作には手に汗握る臨場感がない。
 オナラが出るまでを論文にしたような印象しかうけない。

 この作品をもっと良いものにするためには、もっともっと臨場感を出すべきです。

 出たらダメだ! ってみんなに感じて貰うための描写が必要です。読み手はそりゃオナラが出たらまずいって本能的に察知していますが、それをリアルの読み手に求めずに描写仕切ってください。

 こういう作品は最後の最後まで追求しないとただ下品なだけで終わりますよ……。
投稿者:サンソン - 12/03 17:33

 いいねぇ〜。
 おならだねぇ〜。
 読んでいる自分も、腰をうずかせてしまいました(笑)。思考の混乱具合に悶え具合がよろしい!笑ってしまった!

 おならネタは、お嫌いですか?
 いいえ、自分は好きです。
誰もが経験したことがあるであろう、この事象だからこそ、受け入れやすかった。
しかし、だからこそ、オチへのハードルは高いはずである。

オチ。
惜しい。
投稿者:ゆきのしん - 12/06 07:38

 大笑いまでは至らなかった……こういう経験は「あるあるー(笑)」で良いと思いました。文章も自然で肩が凝らない感じで。ケツにチカラこもっちゃいましたが。
 淡々と話が進んでいって、さぁどうなるかと思ったんですが、タイトルそして最初の三行で結論が出ているだけに、オチが弱いのが悔やまれます。そこに関しては「あ、ええと、そうですか、はい」ってのがオイラの感想です。

三人称で書かれているが、表現はどう見ても一人称。それが随所で違和感を覚えさせた。

内容は、作者さんが書きたい事を、書きたいように、書きなぐったという印象。
(上でも指摘されているとおり、辞書に載ってないような言葉もあるし…)
こういう話って、ウチの子供(幼稚園生)とか大好きです。

そういうレベル。

く、くだらねー……www
いっちゃってます。
明らかにいっちゃってます。
心地よい程しょーもない話。
なんかすごく息抜きになりました。
嫌いじゃないけど、嫌いじゃないけど、票はあげないよ。ww
あほや(褒め言葉)


バカバカしい事を、克明に、真剣に描写してるのがとてもツボでしたw
「おならぶ。」を書きました、文章力向上委員会から参加の古森はなです。
読んでくださった皆様、また、感想つけて下さった皆様。
本当にありがとうございました。


>久遠様
「オチが大人しい」
うーん、確かにそれだけで終わってしまいましたか。
精進いたします。

>はる☆様
「前回の某バトカメ作品の?と思ってしまった」
私も書きあがって「あれ? これって……」って思いましたorz

>シャケ弁様
「見た事のない日本語」
この辺は古典と現文と「感覚で伝わるけど正しくない日本語」と織り交ぜてみた。
と、あとづけ(笑)で考えてみました。
そして、最近の言葉ではないと思います。なんとなく気分の言葉です。
すみません、精進します。

>んがちる様
「バツが悪い、というのは「場都合が悪い」のであって、場都合が悪いのはむしろ遼平であろう、と。そこは気になった。」
後付ですが(苦笑)。雄二は遼平のおならを聞いてしまって(正確にはおならではなく、イスの音ですが)、「聞いちゃいけない音を聞いた自分が、遼平は気にやむかもしれない」ととっさにというまなざしで遼平を見ちゃったんです。
ええ、後付です。
えーっと。精進します。ばつが悪くなりました(苦笑)。

>前条@みぎゃ様
「子供の残酷さや、それに怯える感情が描かれていれば」
なるほどー。そこにはたどり着きませんでした。
今後の参考にいたしまして精進いたします。ありがとうございます。

>ひねもすのたり(寝袋青組?22)様
「最後のオチまで考察レポートになってしまった」
こちらも言われてみれば、です。
人に読んでもらってはじめて気がつきました。
ありがとうございます。

>鳥新様
「テーマは「屁」でややシモ系なのに、最後は古語で格調高く閉めているギャップが面白かった。 」
お褒め頂きありがとうございます。

>としあきα様
「元ネタをしらないから」
えーっと……元ネタはなんもないです。
この話だけでは説明不足だったのです。すみません、精進いたします。

>花屋まと。
自分のコメントですので。
投稿した三作中、これが一番コメントしにくかった……orz

> ちまみぃ 様
「もう少し長かったらツボ」
これはこれ以上長くできないです……。
でも、精進します。

>D・J・koby様
「面白かった。いうことナス。」
お褒め頂きありがとうございます。

>萩鵜様
「ホラー小説をごらんになったことはありますか? 」
全くないのです。
というか、基本的にホラー(といわれているもの)で怖いと思ったことが一度もないの鈍い感性の持ち主でして……。
「手に汗握る臨場感」
これは必要です。精進いたします。申し訳ないですorz
「ただ下品なだけ」
それはまずいです。下品でも面白さがないと。
精進いたします。

>サンソン様 - 12/03 17:33
「おならネタは、お嫌いですか?  いいえ、自分は好きです。」
私も好きです。
それで精進いたします。

>海賊様
「オチへのハードルは高い」
全くです。
自分でハードルあげたのです。
精進いたします。

>まったり茶++様
「心の中や仕種とか見事に書けている」
お褒め頂き恐縮です。
ありがとうございます。

>ゆきのしん様
「オチが弱い」
締めは難しいです。作品のもう一つの顔です。(タイトル、書き出し、オチの一つ)
精進いたします。

>鐵様
「三人称で書かれているが、表現はどう見ても一人称。」
違和感はまずいです。精進いたします。
「(幼稚園生)とか大好きです。 そういうレベル。」
コロコロ系(スカトロ入るとどちらかというと今はなきボンボン系か?)のそういうレベルの話、私が好きなんです。すみません。それを大人も楽しめるレベルにしないとまずいです。
精進します。

>うなぎ様
「く、くだらねー……www 」
最高の誉め言葉として受け取ります(笑)。
ありがとうございます。

>hidesuke様
「あほや(褒め言葉) 」
こちらも、最高の誉め言葉として受け取ります(笑)。
ありがとうございます。

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