一方で、このようなブラックホールの蒸発が起こるとすると、次のようなパラドックスが生じる。質量 M のブラックホールに質量 m の物体が吸い込まれた後、ホーキング輻射によってブラックホールが質量を失って再び質量 M に戻るという過程を考える。ここで、ホーキング輻射は完全な熱放射であるため、その輻射は各時点でのブラックホールの質量から決まる温度以外に全く特徴を持たない。よって、最初に吸い込まれた質量 m の物体がトマトであってもオレンジであっても、最終状態は「質量 M のブラックホール+質量 m 分の光子」という全く同じ状態になる。つまり吸い込まれた物体についての情報は完全に失われてしまう。しかしこれでは初期状態が異なっているにもかかわらず同じ最終状態に達することになり、量子力学の時間発展のユニタリ性と矛盾する。このパラドックスは「ブラックホールの情報喪失問題」と呼ばれて長年議論されてきた。
[編集] 映画 『ブラックホール The Black Hole』(1979年アメリカ映画 ゲイリー・ネルソン監督) 『ゴジラVSスペースゴジラ』(1994年、東宝) - ブラックホールに吸い込まれたゴジラの細胞が、宇宙生物や超新星爆発のエネルギーを吸収して誕生したという設定の怪獣「スペースゴジラ」が敵役として登場。