moving （movies and musicals）コミュのラブストーリーズ　コナーの涙

THE DISAPPEARANCE OF ELEANOR RIGBY: HIM
ネッド・ベンソン

ジェームズ・マカヴォイ /コナー・ラドロー
ジェシカ・チャステイン/ エリナー・リグビー
キアラン・ハインズ/ スペンサー・ラドロー
ビル・ヘイダー/ スチュアート
ニナ・アリアンダ/アレクシス
ヴィオラ・デイヴィス
ライアン・エッゴールド
キャサリン・ウォーターストン
アーチー・パンジャビ
ウィリアム・ハート
ジェス・ワイクスラー
イザベル・ユペール
クリスチャン・コールソン
マルタ・ミランス
リー・ジュン・リー

最愛の子どもの死をきっかけに互いの心がすれ違い、やがて別れを決断したカップルが、
再生へと向かう紆余曲折の道のりを、男女それぞれの視点から捉えた２つの作品で描き出した異色作。
（by allcinema）

ねたばれ

あるカップルの出来事について、彼女（エリナー）側と、彼（コナー）側から描いた２部作。

最初に観たのは彼（コナー）サイド。

原題が【エリナーの失踪】なんだから、
置いてきぼりの設定の彼側は、中途半端になるのは当然か･･･。

オープニングの食い逃げの場面にキラキラ感が、過去を照らす光でもあり、
現在の影をより濃くさせてる光でもあったな。

だから、彼がレストランの食い逃げ客を本気で追いかけて、
男の方を捕まえてたけど、追いかけていたのは、過去の自分達だったんだろうな。

だから、『お金はいらない』んだ。
ただ、追いかけてみたかっただけなんだな。

父親の、実業家のような、老人のような、含蓄があるんだかないんだか微妙な台詞が
何気にツボ。珍しいタイプ。

親友のシェフが、全然料理しない謎は、謎のままになりそうだな。
父親のレストランでは、まともに働いているような雰囲気で、やっぱり謎。

眉間に皺を寄せてる表情が多かったけど、だんだんまともになってきたっけ。

彼サイドのストーリーなので、彼視点で観ようと思っていたけど、
ほとんどは彼女視点で、彼を見つめていた感じだった。

純粋に彼視点になったところは、画面に彼女が登場する場面。
特に、滅多にない笑顔が観れる場面でのときめきは、半端なかったです。
まだ、希望は残されている!?、みたいな気分。
（ちなみに自分視点だと、ジェシカ・チャステインの眉毛、細い！でした。）

以下、彼ver.を彼女視点で観た映像がとても気に入ってしまったので、
ラストの部分だけ、そのまま文章で残しておきます。

＊＊＊

彼を好きな気持ちは変わらないはずだけど、
彼を見ると、亡くしてしまった息子のことを思い出さずにはいられなくて、
結果、辛くなってしまうということ。

彼を愛したいのに愛せない、その原因は自分自身にあるのが分かっている、
最悪な状態。

だから、彼と離れて、あの場所から距離を置いて、気持ちをリセットしたかった。

やがて、少しは距離を置けたかなと思った頃に、彼が店を閉めて引っ越そうと
していることを知る。

ふと、『いるのかな、もういないのかな』と電話をかけると、向こうから懐かしい声。
一挙に過去が甦ってきて、言葉が出なくなる。

だけど、思いきってその場所に戻ってみる。

物音はしない。

もう去ってしまったのか。
･･･と、思ったら、疲れて眠り込んでしまったらしい。

静かに流れる時間。

やがて、彼が目を覚ました彼に、「息子を思い出せない」と言ってみる。
だけど、そんなことはないのは分かってる。
彼の言葉は、いつも記憶を鮮やかに蘇らせてしまうのだから。

それでも。

昔、彼の前から去った時ほどは辛くないことに気付く。
こうやって、哀しみはだんだん透き通っていくものなのか。

そして、言葉に出して言ってみる。
自分の不確かな気持ちを。

I love you.

過去形ではなく、現在形で。

そして。

彼は、私達が２人で過ごした場所を処分して、新しい生活を始めた。
店を閉めて、家を出て、でも、遠くに去った訳ではない。

ある日、父親の店を継いで、フォーマルな格好で働くようになった彼の姿を偶然見かけた。

散歩する彼の姿を、そっと気付かれないように追いかける。

ううん、本当は気付いて欲しいのかもしれない。

どちらだったのかは、次の瞬間に分かるはず。
だって、彼が振り向いてこっちを。

･･･な、感じでした。

＊＊＊

さて、エリナー視点だと、どんな作品になっているのだろう。