仏像彫刻コミュの仏像彫刻の基本３　刃物を研ぐ！

これまでの２回は彫ることについてご説明させて頂きましたが、今回は刃物の研ぎについて少しお話しさせて頂きます。

木彫刻をする際、彫刻刀を上手く操る基本として、刃物が真っ直ぐ平面に研げているかどうかは大変重要になります。

まず刃先が曲がっていると思った方向に進めにくいですし、全体が丸く研げてしまうと、つるっと滑りやすくなり手を切る最大の要因になってしまいます。

ですから、彫る練習も大切ですが、出来ることなら刃物を研ぐ練習も平行してやられるとバランス良く上達できると考えます。

現在彫刻刀や鑿を研ぐ手段としては、１、手研ぎ（砥石を使い、自身の手によって研ぐ昔ながらの研ぎ方）と２、研磨機（動力で砥石が動く機械）の２方法が主流です。

１、砥石での研ぎ
　通常、彫刻刀を研ぐ場合、基本として中砥、仕上げ砥を使用し研ぎ上げます。（現在セラミックなどの人口的な砥石も多数出ており、人によって使用する数や順序は様々です）

・研ぐこつ、ポイント
　砥石での研ぎは手が決まる（研ぐ型ができる、慣れる）までは大変難しく感じるものです。
とにかく、経験を重ねることが唯一の習得方法と考えます。
しかし、知っておくと良いポイントは多少あります。
まず、１、砥石がきっちり平面である事（平形の刃物の場合）。２、台に砥石を置いた際、がたがたいしない事。３、水をつける際の適量の見極め。

私の場合、中砥で荒研ぎし刃こぼれなどを取り除き、次に裏が出ているか確認し（出ていなければ裏刃を出す、）次に表に仕上げをかけ、続いて裏に仕上げをかけて裏に返った表刃を取り、再度表に仕上げをかけて完了の肯定で研いでおります。

理論的には、砥石と接している刃物がぴったり接している状態で前後に動かして研げば上手くいくはずです。
しかし、実際実行してみますとなかなかイメージ通りにはいかないものです。

まず利き手で柄を持ち反対の手で刃物を押さえます。
私の感覚ですが、その際あまり刃物を押さえる手に力をいれず
添えて、左右前後にがたがたしない程度の力で良いと思います。
力をいれすぎると砥石が部分的に極端に減ってしまい、より平らに研ぎにくい状況になってしまいます。
柄を持つ手は手首がぐらぐらしないよう多少手首を固めぎみで行うと良いと思います。

丸刀や丸鑿など、平形鑿以外を研ぐ場合はその形に合わせて砥石を作る必要があります。

特徴　手で研いだ刃物は切れ味も良く、刃こぼれしにくく、切れ味も長く持続するのが特徴です。真っ直ぐ平らに研ぐことが出来ます。

運慶、快慶の様に数々の名作を残した過去の日本の佛師達も修業を始めた頃、皆師匠や先輩に怒られながら指導を受け、手で刃物を研ぐ訓練を行ったと思います。そんなことを考えながら彫刻刀を研いでいますと、またその偉大な先人達の夢を抱いていた若かりし頃の息吹が感じられるような気がします。

２、研磨機での研ぎ
現代では研磨機という機械を使い研ぐ方法もあり仕事の能率を考えた時には大変便利な機械です。

・研ぐこつ、ポイント
　研磨機で研ぐ場合、気を付けなければいけないのがやはり跳ね返りです。
めったなことはありませんが、慎重に刃をあてる必要があります。その際、大変速い回転のため、すぐに熱をもち、刃物が焼き戻ってしまい痛んでしまいがちになります。小まめに水を付け、あわてずそっと軽く刃物を砥石にあて、少しずつ研ぐ感覚で行うと良いと思います。

少し切れなくなったら軽く仕上げをかけると、すぐに切れ味が戻り大変便利ですが、手研ぎに比べて刃が若干丸くなりがちになるのが特徴です。

その他に、木の材質や堅さによって刃を薄くしたり、厚くしたりすることもあります。

以上の事から手研ぎと研磨機２種類の方法がありますが、その用途によって使い分けていければ良いと考えます。

説明があまり上手くありませんので分かりにくい点が多々あるかと思います。
ご意見、ご質問などありましたら、どうぞお気軽にお書き込みください。