本の雑誌コミュの5月号(No.311) 草むしり早弁号

特集は「二〇〇九年、私の(秘)新作!」。昨年好評を博した特集で、あること、ないこと作家自身が語っています。大沢在昌曰く「景気が悪いと(文学賞の)パーティに人が集まる」そうですが、人気作家は景気は悪くないのでしょうか、みなさん連載多数、執筆予定多数。穂村弘に至っては連載何本あるのでしょうか? ところでこうしてみると、作家とは言え何も無いところか物を書くことは出来ず、色々と長い間、調べた上で浮き上がった物から組み立てるのだなと、また、自由業とは言え相応の自己管理能力は必要なのだな、と改めて思いました。

連載陣は相変わらず好調。「「情報化社会」というのは、「情報化された」情報があふれていて、それに容易にアクセスできる社会であるが、必ずしも「情報化」するための技術やプロセスが高度であることは指し示さない。」とは」江弘毅の弁。内田樹との接点が次号で語られそうです。鼻が効く人は本当に早いし、伝えるのもうまい。
高野秀行はディズニーランドでの飲酒を告白しているけど大丈夫か? 宮田珠己は地球上の未知の場所<楽園>を身の回りの自然に求める楽しい展開。猟奇の鉄人は毎回どこからこんな面白いネタを持ってくるのか「別冊宝石第57号」。
風野春樹は精神医学者石田昇について魅力的な紹介と、自分のブログの盗用についてさらり、と。もっと怒れば? 関連で『<盗作>の文学史』タイトルや表紙から思うほど高尚でないそうですが、中身はしっかりしている感じ。メディアまで論じられているとか。
他に新刊では山崎まどか、金子のぶお、アライユキコのお薦め全部と『望郷の道』『ユダヤ警官同盟』、キムラ弁護士「ブラバンキッズ・ラプソディー」など。トヨザキ社長の『シャムロック・ティー』は多分、私にはラストが物足りないのだろうな。

表紙のタケノコ百合子がかわいい。