しかし、「ロックンロール」という言葉を成り立たせている「ロック」と「ロール」の二つの言葉が持つ意味そのものを読み解くと、興味深い事実が見えて来る。「ロック」という言葉は「一点に留まらず前後に揺れる様」を意味し、「ロール」というのは「表面上に沿って留まることなく回転しながら転げ落ちていく様」を意味しているのだが、これらの動作が同時に起きうるのが不可能なことから、「ロックンロール」という音楽の核には内在する二つの衝動が衝突し合い、矛盾が常にその核を包囲しているというのが解る。それは個人の意志と欲望が持つ個性の衝動と社会から受ける抑圧や批評といった社会性の衝動がぶつかり合う構図を描いているもので、彼ら、そして我々が戦い無くして避けては通れない不朽のテーマでもある。FUGAZIの写真を撮っていたGlen E. Friedmanの「Keep Your Eyes Open」の冒頭文を書いたIan F. Svenonius (The Nation of Ulysses, Make–Up, and Weird War)も、それについて書くシャブの打ち方も知らないどこかのライターも、そいつにレビューを書いてもらいたいと願う年金を払いながら革命を唱うバンドも、そのバンドのTシャツをお揃いで持ってる君の恋人もこれについて言及しているが、皆共通して共産主義者であるのと、