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痛快!オザケン通りコミュのセックス、ドラッグ、小沢健二/

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セックス、ドラッグ、小沢健二/

何度も言うが、小沢健二の歌は仮装したロックンロールである。

彼の歌には両手で押えても弾け、飛び出してくるようなノー天気な“力”が充ちている。ストリートにたむろしている女子高生達のパワーをも編纂しうるその軽くて、しかも強力なロックン・ロールは現在、他の“いかにも”というようなバンドを遥かに凌駕して本物であり、我々個々の生に対する一種の讃歌として現われている。

私が今、毎日のように聴き狂っているのは「ライフ」であり、それ以外のオザケンの歌はかなりヒットしたものしか知らないし、最新アルバムも財政上の理由からまだ聴いていない。また自慢ではないがフリッパーズ・ギターなんてゼンゼン知らないしゼンゼン関係ないのである。

いつだって可笑しいほど/誰もが誰か/愛し愛されて生きるのさ
それだけがただ僕らを/悩めるときにも/未来の世界へ連れてく

ここで歌われている“愛”はかつて流行った大仰なスローガン、「“愛”は地球を救う」などというような空虚なものではない。愛はまず我々個々を救うべきあって最初からそれを超えた設定の仕方ではゼンゼンお話にならないのである。えっ?愛は地球を救うんだって?じゃオレ達は?てな疑問が当然浮かんでくる。オザケンのロックンロールはソレにヘイチャラで答え、神様なんぞに仲介されない、“らしい”愛を軽ーく提示して見せてくれたのだ。

オザケンの歌にはよく愛が出てくるが、彼の“愛”の扱い方は日本のポップス史上画期的である。そのどれもが彼を支持する女子高生達にとっても等身大に描かれており、同時に今の彼女等に顕著なクールな視線が見て取れる。

何となくウサン臭かったこれまでの愛のイメージを払拭し、生々しいピュアな精神と共に肉体性(この言葉はそぐわないが他にらしいものがないのでしかたがない)を前面に押し出した彼は、愛を新しく、今風に解釈し直したと言っていい。

かつて“セックス、ドラッグ、ロックンロール”という“幻想”があった。それはほんの一握りのスター達のみがむさぼる事を許された“超”快楽であり、我々はそれを夢見ることさえ悪とされた。それどころか普通の快楽でさえも我々は正面切って求めることは憚るように教えられてきた。

快楽を求めることが何故イケナイんだろう?と思いながらも回りの風潮がそうなので、フーン、そんなもんかと思って今まで我慢してきた人は多いであろう。気持ちよけりゃいいジャン、と口火を切ったのはおそらく女子高生達だったかもしれない。オザケンのロックンロールの中のあらゆる緊張と緩和がそれを加速させた。

今や“セックス、ドラッグ(これはともかく)、小沢健二”という“幻想”ではない“現実”を手にした彼女等の絶大なパワーに巻き込まれて、時代は最終戦争(ハルマゲドン)ではなく最終道徳(つまり快楽を積極的に追求することを道義とした、人間にとって本来的な道徳)へとバク進している、そんな気がする。

この間、オザケンが久米宏のニュース番組にナマ出演しているのをタマタマ観た。番組が進行し、いざオザケンが歌う段になるとスタジオ器材が故障したらしく、ピーピー・ガーガー何だか分からない。弱った久米宏の「しょうがないのでもう少し後にしましょう、それにしてもこんなことってよくあるんですか?」とのツナギにも「いや、滅多にありません。」などと憮然としている。

このアクシデントの原因が局側にあったのか、オザケン側にあったのか私は知らない。器材が直るまでの間ゼンゼン関係の無いニュースを読む久米宏の横でキュートな笑顔のままムッとしているオザケンのショットが脈絡なく入り、私はどうなるのかワクワクしてしまったが、結局器材は直らなかったらしく、番組の最後にキーボード抜きのスカスカの音の中(あと、リード・ギターとパーカッション)、ヤケクソ気味にギターを掻き鳴らし、新曲を思いっきり調子っぱずれにシャウトするオザケンが映しだされたかと思うと、いきなり歌の途中でコマーシャルに移ってしまった。

真面目なオザケンファンが怒り心頭に達したかどうか知らないが、私は手を叩いて喜んだ。ごたいそうな人気番組をオザケンがナメ切っているのが良く分かったからだ。歌は仮装させても、オザケン本人はやっぱりロックンロールでしかなかった。
 
(1996.November/ウッディー)

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