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ゆっくりと書き始めたい・・・コミュのREKIRIMA6

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・・・我が名は『ノヴィス』主の魔の名なり・・・


       盟約のもとに我が意志を呼びかけたまえ・・・


       我は主の力を具現化するもの也・・・


胸の中で、頭の中で、誰かが語りかけてくる。

それと同時に何かが解放されていくのをレイは感じた。

「やめろーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!」

キースに飛びかかろうとするリザードに向けその行動を完全否定するよう叫ぶと共に、体中から解放された力が一気に周囲に駆け巡る。

放出する力は止まることなく、それどころか勢いを増す一方だった。

(・・・よかった。キースは無事みたいだ・・・)

真っ白に光り輝く自分の体は放出する力が弱くなっていくと、同時に体を纏っている光も徐々に小さくなっていく。

体を纏う光がなくなっていく変わりに、今度は体中をひどい疲労感が襲う。

薄れゆく意識の中でこちらを心配そうに見つめているキースを見つけた。

いつもは怒ってばかりで無愛想な表情のキースが心配そうな顔をしているのがなんだか無性ににおかしかった。

「よかった・・・」

大切な親友を守れたことを確認して完全にレイの意識はなくなった。





          第六話 夜中の講義




パチパチッ パチパチッ ・・・

気がつくと近くで木を燃やす火の音が聞こえてきた。

「・・・?」

「気がついたか?」

声のした方を見ると、見るからに屈強そうな戦士タイプの男が木の根に座ってこちらを見ていた。この人は・・・

「ガイン教官、ぅぅ・・・」

ガイン教官は薪を火の中にいれながら格別驚きもしないで話しかけてきた。

「あんまり動かんほうがいいぞ、体にかなりの無理させたんだからな。」

そういうとガイン教官は視線をたき火へとうつす。

「若いくせに体を大事に使わんやつだな」

ガイン教官は心底楽しそうに語りかけてくる。

「ぅぅぅ・・・いったい何がどうなって・・・はっ! リザードは? キースは無事?」

慌てて横で寝ていたキースを確認するレイを見てガイン教官はまたおもしろそうに話す。

「せめてリトライトの方を心配しろ。あれでも一様女だからな!」

ガイン教官の言葉にはっ! としたレイは、知り合ったばかりの新しい仲間にも目をやる・・・

(・・・? なんで離れたところに? しかも間にある土の上に引かれた線は何・・・?)

レイを中心に左側にキース・右側(の少し離れたところに・・・)メイアが静かに寝息を立てていた。

「全く、貴様いったい何歳だ? 爺くさい笑い方だ」

二人の穏やかな寝顔を見ていて思わず安心したレイの顔を見たガイン教官は吹き出しながら話す。

「そんな〜、ひどいですよ〜。」

苦笑いしながら答えるレイの顔にはどこか作ったような表情がある。

「まだ寝てなくて大丈夫なのか?」

不意にさっきまで寝ていたはずのキースが起きあがり、声をかけてきた。

「キース・・・」

「らしくもない顔をして・・・」

長年一緒にいるキースはどうやらレイのわずかな雰囲気の違いに気がついたらしい。

「うん・・・ガイン教官、あの力、いやオレはいったいどうしたんですか?」

レイは暗い表情のまま自分の中の不安をそのままに口にした。

「たいしたことじゃない。ただの覚醒だ」

ガイン教官は軽く返してくる。

「覚醒?」

レイがさっぱり? と言う表情になる。

キースも実のところ頭の上に疑問符を浮かべている。

「ガイン教官、覚醒というのは?」

知らない単語を耳にしたのでガイン教官に説明をうながした。

「うむ、その前に・・・メイア!」

ガイン教官も頷くと、二人の横の(少し離れた)ところにいるメイアに向かって呼びかけた。

「ん〜、ニャムニャム・・・」

がっ、返ってきたのは美少女の容姿をある意味引き立て、ある意味おおきく下げる子供のような寝言だった。

・・・・・・

・・・

「さっさと起きろ!」

焦れたガイン教官は背中を向けているメイアの後頭部に向かって石を投げる。

しかも意外と大きめな・・・

寸分違わずメイアの後頭部に容赦のない勢いでヒットする。

ガツンッ

「あたッ!?」

メイアは後頭部にひどい痛みを覚えて目を覚ました。

「ガイン教官・・・さすがに女の子相手に石はまずいのでは?」

キースは遠慮しながらも上申する。

「ふん、俺が女と認めるのは寝言でも色気のある・悲鳴も可憐な声を上げる、むちむちプリンな女のことだ!」

なにやら勢い巻いてガイン教官は熱弁する。

(あれ? さっきガイン教官「あれでも一様女だからな」って・・・)

レイの疑問をよそに起きがあったメイアは拳をわなわな震わせながら近づいてきた。

「く〜っ、乙女の後頭部にいったい何するのよ!? この野蛮男!」

メイアは眼にうっすら涙をためて迷わず犯人であるガイン教官に抗議をする。

「ふん、黙ってきいてろ! 小娘が! 俺はいちいち説明するのは面倒なんだ!」

抗議するメイアを一喝して、自己中心的な言い分をさらりと言う。

(それって自分の都合じゃない!? くぉの、お・と・こは〜〜〜!!!)

メイアは押し黙るが内心すさまじい雷雲が吹き荒れていた。

「全員ちゃんと聞いてろ。二度は言わんからな・・・」

「あれ? あんた目が覚めた―――

ビシッ

「黙・っ・て・い・ろ。いい加減にしないと燃やすぞ?」

青筋を浮かべたガイン教官は再度口を開いたメイアのおでこに石を投げつけ見事に沈黙させた。

(うわっちゃ〜・・・)

(愚か・・・)

二人はその一部始終を見て思わず思った。

「さて、っと・・・まず、レイ・ジーニアス!」

「は、はい!」

「お前はアル学でも珍しい覚醒者だ!」

「覚、醒者・・・?」

「ああ」

ガイン教官は腕を組みながら説明する。なんか偉そうだ・・・

「簡単に言うと、覚醒とは簡単な盟約、もしくは盟約をしない状態でエレメント(=魔法)を使用することだ。そしてした者のことを覚醒者という。アル学でも覚醒者はいまだに2名しかおらずそのどちらもエレメントにおいてはすさまじい才能が見出されている。ま、お前はその3人目って奴だ」

「えっ? ・・・と言うと・・・どういうことですか?」

レイは話が飲み込めず思わず聞き返す。

「・・・君に分かりやすいように言ってやる。つまり君はエレメントの才能・素養が高いって事だ。分かるか?」

ガイン教官の眉がぴくっと上がるのを見たキースがしょうがなくガインの話を端的に説明する。

「あ、な〜るほど・・・それで?」

レイはさらに無頓着に聞いてくる。

キースはずり落ちそうになる眼鏡をなおしながら必死にレイに言い聞かせるように再度説明する。

が、その肩を掴んだガイン教官は「俺が説明するさ」というような目でキースに言い聞かせる。

「つまり、お前が聞きたいのはさっきの光のことだろう? あれは覚醒の証って事だ・・・レイ・ジーニアス、恐らくお前の心の中で何かが起こり、その心に答えるように力が放出されたはずだ」

いまいち完全に理解のできないレイをおいて今度はキースが質問する。

「先程簡単な盟約と言いましたがそもそも盟約とは何なんですか?」

「盟約とは力を持たない我々が魔物と対等に戦えるように我々のうちに秘めた力を解放する過程で生まれてきた、いわばルールみたいなものだ。お前らも属性検査のときに盟約は済ませてある。」

「では僕達ももうエレメントは使えるんですか?」

「むずかしいがな」

期待を散々あおっておきながら今度は突き放してきた。

「なんせ属性検査の時に結んだ盟約は不完全な物で特定の条件下でしか使えないようになっている」

「なぜですか?」

キースは矢継ぎ早に聞いてくる。

「エレメントというのはその者の心に大きく左右される。特に感情が高ぶったときは一番力が発揮される。この時力になれていない者、つまり新米はあふれ出る力をコントロールできずに、ボカンッ。爆発するものが多い。いわゆる暴走だ。暴走はかなりの確率で周囲を巻きこむ。そのうえエレメンター自身もかなり危険な状態になる・・・爆心地だからな。あいつのように体が輝くだけならまだいいものだ。」

ガイン教官は少しトーンを下げて話す。どうやら真面目な話のようだ。

「なるほど・・・だから、新兵である僕達にはまだいわゆるフィルターがかかっていると言うことですか・・・そしてフィルターがかかっているにもかかわらずエレメントを放つのが覚醒で、それほどの素質をもつものが覚醒者・・・」

「そういうことだ」

レイには全く分からないがどうやらキースとガイン教官の間では話は終わったようだ。

(後でキースに訳してもらおう・・・)

「話はこれで終わりだ。レイも気がついたことだし、明日の朝には偵察任務を再行するぞ。さっさと眠れ!」

(ぐ〜・・・自分で起こしたくせに・・・この自己中心的男め・・・)

メイアは悔しがりながらもまた木の根を枕にしはじめる。

「それと、『レイ』が起きたことだしまた言っておくけど、私を襲ったらただじゃすまさないからね!」

っと、寝る前に言うのを忘れない。

「さっさと寝腐れ自意識過剰娘が! ガキには興味ないっての」

至極失礼そうな顔をするガイン教官。

「なんですって〜!!!」

二人の間に険悪な雰囲気が漂う。

その丁度間にいるキースは迷惑そうな顔をして、

「(『レイ』か・・・自分のできなかったことをしたレイを少しは認めたようだ・・・)寝るか・・・」

っと、即座に寝付く・・・

一方キースと一緒に険悪な雰囲気まっただ中にいたレイは目を輝かせながらメイアを見つめていた。

「な、なによ・・・」

視線に気づくとそのあまりの輝きに思わずたじろぐメイア・・・

「初めて名前を呼んだ! うん、仲良くしよう。明日が楽しみだな〜」

レイはにっこり笑うとキースの隣で同じように即座に寝付く。

「あ、あのね〜、私は・・・ ただ・・・」

言い訳しようとしたメイアはすでに寝息まで立てているレイにどうも調子を狂わされてしまう。

「私はただ・・・」

(覚醒者だなんて私でもできないことをやってのけたことが素直にすごいと思えただけで・・・)

内心キースの予想どうりのことになっているメイアに「さっさと寝ろっ!」とガイン教官がその額に向けて石を投げる。

ガツンッと一発鈍い音がしてメイアは沈黙した。

リバーズコロニーの外壁の近くの森はさらに更け込んでいった・・・


             第六話完                                
 
                                                                第七話へ・・・

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