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我が小説、世に憚る。コミュの第一弾 「ドスグロ」

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―なにしてんだろう―

 大学の友達と合コン、3対3。お嬢様と言われている女子大の子と修二は今、乱交していた。一次会は、ちと洒落た居酒屋で自己紹介、洒落た雑談、二次会はリーズナブルな居酒屋で一気合戦、みなヘロヘロになり、近くの修二の友人A宅(一人暮らし)で三次会。友人宅に着いた途端、友人Aがお嬢様Aにキスをした。お嬢様Aは拒否するどころか抱きついた。取り残された四人は負けじとキス合戦。気がついたら全員半裸の状態でベットで、トイレで、ユニットバスで、ハイ次、ハイ次と選手交代。
 全裸の男女六人、修二は一人、目を覚ました。近くにあった誰のかわからない煙草に火をつけ、一服した。修二は乱交が初めてではなかった。もう二度と会う事のない番号すら知らない女三人とまだ眠っている男二人を残して、修二は帰った。
 乱交した朝はいつも罪悪感、嫌悪感に襲われる。別に女三人にではなく、女手一人で育ててくれた母にだ。中学の時、煙草、シンナーに手を出しながら喧嘩の日々、母は常に泣いていた。高校に入ってから女遊びに走り、浮気、二股、三股当たり前、レイプまではいかないがそれに近い事もした。馬鹿だった。

 母はほとんど休みなく働いていた。一人息子の修二を立派な社会人にするために。

 修二はチェーン店のコーヒーショップに入ってブレンドコーヒーを飲んだ。朝早くからいる客はどこか淀んだ空気を漂わせていた。その中にいた修二も淀んでいた。ただ一点を見つめながら修二は空虚感に襲われていた。自分は何の為に生きているのか、自分は必要とされているのか。空っぽの自分を愛してくれている母に『ありがとう』と言いたくなった。
 ジーパンの中にいる携帯が動いた。友人Aからだ。お嬢様の一人が修二を気に入り、修二の番号を教えたというメールだった。別にいいよと、そっけないメールを返した。修二は連絡がきてもシカトする。友人Aはその事を知っていた。
 半分も飲んでいないブレンドコーヒーはアイスコーヒーのように冷たくなり、修二は何故だかこのコーヒーから切なさを感じた。父は毎朝、コーヒーを自分でいれてから新聞を読む。新聞を読むのに夢中になり、コーヒーは知らぬ間にアイスコーヒーになる。そのアイスコーヒーをいつも修二は片付けていた。父は自殺した。家の近くのマンションから飛び降りた。修二が小学4年生の早朝の出来事だった。

その日の朝、アイスコーヒーを片付ける事はなかった。

 コーヒーショップを出て、近くの川に行き散歩をした。ジョギングをしている中年男性、ウォーキングをしている主婦たち、犬の散歩をしている老夫婦、スーツで自転車に乗るサラリーマン、何人の人とすれ違っただろうか。
 前から老婆が子犬を散歩させながら修二に挨拶をした。「おはようございます。」「あっ、おはようございます。」と急いで挨拶を返した。老婆は満面の笑みで通り過ぎていった。修二は少し泣きそうになった。こんな自分に挨拶をしてくれた事が嬉しかった。

 雲一つなく、真っ青な空を修二は見上げた。自分の小ささを感じた。川が太陽の光を反射させていた。眩しかった。

 アルバイトもあまりせず、必死で働いた母の金を常に当てにして生活、いや、遊んでいた。母は何も言わず、金を渡してくれた。修二の財布が急に重くなったように感じた。
 空虚感、罪悪感、嫌悪感、今日は特に感じる。なんでだろう。色々と考えてしまう。母は何を思って働いているのだろう。母の人生を修二が台無しにしてしまったのだろうか。母の人生は台無しになっているのだろうか。修二にとっては修二が台無しにしているとしか思えなかった。母と話したい。今日という日があるから、今日話したい。
 家に帰ると母はもう仕事に出かけていた。閑散とした家の中を改めて見渡してみると母の愛情がたくさん敷き詰められていた。冷蔵庫にはメモ書きで「中のラップしてある物を一分チンして食べてね」、壁に貼られている修二が小学生の時描いた父と母の似顔絵、中学校の門で撮った入学式の写真はテレビの上に、今月の修二の誕生日にマルが付いているリビングのカレンダー、修二はソファーに座って少し泣いた。

 家の電話が騒がしくなった。修二は知らぬ間にソファーで眠っていた。

「はい。もしもし。」「佐々木さんのお宅ですか?お母さんの職場の者ですが、」母は過労で倒れたらしい。しかも階段から落ちた。頭を打ったらしく意識がない。修二は急いで教えてもらった病院へ向かった。ごめんと心で叫びながら全力で走った。
 病院に着くと母は意識を取り戻していた。修二はほっとして床に座り込んだ。「よかったぁ。」「ごめんね。心配かけて。」母は小さい声で力なく言った。修二は頭を振った。
 修二は母の顔をよく見れなかった。見たら泣き出してしまいそうだったから。そのかわりに手を握った。母が喜んでくれているのを修二は感じた。母は眠りに就いた。眠っている間、修二はずっと手を握り、そばにいた。起きたらいっぱい話そう。そして、謝ってお礼を言おう。親孝行しよう。アルバイトして毎月母に渡そう。母の誕生日は盛大に祝おう。母にしてあげなくては、いや、してあげたい事がたくさんある。ゆっくり眠ってて欲しいが早く起きてこの気持ちを早く伝えたい。



しかし、母が目を覚ます事はなかった。

 通夜、葬式は母の姉という人物とその夫によって進められた。修二は何もできなかった。火葬される時、涙が溢れ出て修二は声をあげて泣いた。ごめんなさいと叫びながら泣いた。骨になった母は白く、美しかった。修二は骨をポケットの中に入れた。
 誰もいない家に帰り、母の部屋を片付けた。母の机の上に一冊のノート(日記)が置かれていた。修二の事が書かれていた。一緒に夕食を食べたという事だけで母はすごく嬉しかったらしい。一緒にテレビを見ているだけで母は幸せを感じていたらしい。修二が成長していく事が幸せで生きがいで、すべてだったらしい。修二は泣きながらこの日記を読んだ。そして、後悔した。

もっと夕食を食べてあげたかった。もっと一緒の時間を過ごしてあげたかった。立派な社会人になるために、もっと努力をして、母を喜ばせたかった。今からでも遅くないだろう。遅くないだろう!遅くないだろう!?こんな俺でもまだ間に合うだろう!?

 高速で流れるマンションの窓を横目に想った。ドスグロの血が地面に流れた。 

END

  

コメント(4)

やりたい事・言いたい事は大体わかるけど、リアルを感じなかった。ビジュアル系のバンドみたい。
ビジュアル系バンドってのが
よくわかりませんが・・・?
リアルじゃなかったか・・・。
頑張ります!!
言っちゃいますよ。
彼は親父さんが飛び降りた
マンションから
飛び降りたんだね。
その飛び降りた時に
走馬灯のように
思い出し、
後悔し、やり直そうと、
でも気づくのが遅かったんだね。

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