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洋楽名盤・新譜 レビューコミュのメタリカ「デス・マグネティック」

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Metallica「Death Magnetic」2008年US
メタリカ「デス・マグネティック」
 
1. That Was Just Your Life
2. The End Of The Line
3. Broken, Beat & Scarred
4. The Day That Never Comes
5. All Nightmare Long
6. Cyanide
7. The Unforgiven III
8. The Judas Kiss
9. Suicide & Redemption
10. My Apocalypse
 
James Hetfield (Vo/G)
Lars Ulrich (Dr)
Kirk Hammett (G)
Robert Trujillo (B)

 
メタリカの夏に出た新譜。
 
まず結論から言って、非常に嬉しい、喜ばしい方向にメタリカが向かっているな、といううれしさを感じます。
  
 
聴いている内に、にやっ、としてしまいます。
2つの相反する意味で。
 
 
濃密なエネルギー、音の勢い、押し迫ってくるような音圧、つんのめるようなドラミングが生み出す緊張感、やっぱり破格です。
 
スラッシュに返ってきた、上に挙げたようなかつてのメタリカに見られた方向性が戻ってきたことに、うれしさを感じます。それがまず一つ。
 
 
ブラックアルバム以降のメタリカには、それが失われていました。
音楽性のキャパの広さ、無類の歌心が、頂点を極めた彼らを迷走させました。
 
 
からいことを言うなら、本作への注文は、いくつかあります。
 
 
まずジェイムス・ヘットフィールドのヴォーカルが、ちょっと弱い。
もちろん凄いんですが、絶頂期と比べると、すっきりしちゃってる。
 
かつての神が降りたような、鬼のような、人間離れした咆哮を知っているだけに、ちっとさみしいかな。
 
 
あとカーク・ハメットのギター。
ギターソロが戻っていること自体は嬉しいんですが、酔いしれるようなほれぼれするような域には達していないです。 
 
 
全体のトーンとしては、もろ本作をプロデュースしたリック・ルービンのテイストになってます。もっといえば、かなり最近のスレイヤーっぽいです。具体的に言うと、ギターやドラムやボーカルの音が、同じ扱いで音像化されていて、おなじ厚さで、同時に聞こえてきます。
 
このせいで、かなりライブ感のある生々しい音になってます。
その反面、あえてラフな、粗いテイスト、が感じられます。
 
さらに3rdの頃にみられた80年代的メタルの名残り的ハーモニーがなかったり、ブラックアルバム以前の曲にみられた緻密な計算された構成の作り込み方を廃した、ラフなテイストが、ブラックアルバム以降のグランジ的路線を踏襲しているところでしょうか。そのあたりがいわゆる全盛期のメタリカの音とは全く違うところです。
 
 
かつてのメタリカは、完璧な曲構成、その中でのドラムやベース、ボーカルのバランス、構成の妙ゆえにまるで音が塊のように一体になって転がり爆進してゆくような感覚があり、その完璧さ故に対照的に叙情的なギターソロが映えたわけです。
 
  
彼ら自身、ブラックアルバム以降はそのような音で頂点を極めた後で、それ以上できない、と薄々悟った中で、あえて違う路線に踏み出してゆかざるを得なかった、とも言えます。実際、ラーズもそのような発言をしていますし。
 
  
本作では、音自体に込めた”圧力”自体は、復活されたのだと思います。
曲のフレーズや、リフもスラッシーなものに回帰しました。
まあ初期のアルバムで聴いたことがあるようなフレーズやメロディの端々を、随所に感じることも事実です。聴いていて、にやっとしてしまうもうひとつの理由は、その辺です。
 
 
しかし、ブラックアルバム以降の90年代以降の音の作りは、捨てていないわけです。
  
 
この路線を全く否定するわけではありません。
彼らにしか出せない圧力のスラッシュメタル・サウンドの方向性を取り戻したことは事実です。
 
しかし初期に見られた、美学とその完璧さの域にはまだまだ達していません。
 
 
おそらく彼らは3rdアルバムのコピーを再び作る、ということは今後もしないのではないでしょうか。
 
 
ベースとして加入したトゥルージロのいたスイサイダル・テンデンシーズはとても好きなハードコアバンドでしたが、いわゆるメタルとは異なる、どっちかというとグランジ世代のHIPHOPテイストも含んだ現代的なバンドでした。
 
彼を入れている時点で、ラーズには80年代に完全に回帰する期はないのかもしれません。
 
 
しかし、現代的な、ダークでライブ感のある音で、かつての彼らの良さである構成美と叙情性を融合させることが出来れば。
 
 
その為には、4人全員が、過去の自身を超えて、我々を驚かせてくれるくらいの、あらたな領域に到達してくれることが必要になるのでしょう。
 
  
彼らの実績と歴史から言えば、はっきり言ってもう隠居して余生を送ってもらってもおつりが来るくらい十分なんでしょうが、もしも、我々が期待する、そんな領域に、今後到達することがあれば、その時は、、、彼らが、未だかつて無いほど偉大な存在になるときでしょうか。いまでも十分ですけど。

 
でも、いってみれば、ブラックアルバムは、そんなアルバムでした。
3rdや”One”で頂点を極めたかに思えたにもかかわらず、想像を遙かに超えた領域に到達し、あらたな世界をひらき、そして80年代的なメタルに、完全に引導を渡すことになりました。
 
 
まさに神の領域に達し、ロック界の景色を、時代を一変させてしまったアルバムでした。90年のあのアルバム以降、いまだにロック界は、それ以上の新しい価値観を手にしたとは言えないのではないでしょうか。 
 
いってみれば、世界はまだメタリカのブラックアルバムの影響下から脱しているとは言い切れないのかもしれません。
 
 
彼らが新しい領域に挑む時には、ロック界を変える力をもってきただけに、彼らが再び息を吹き返したことは、非常に注目に値することでしょう。 
 
  
なんてことも想像し、期待してしまうようなある意味での原点回帰的な作品である、ということは言えるんじゃないでしょうか。

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