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洋楽名盤・新譜 レビューコミュのジーザス&メリー・チェイン「サイコ・キャンディ」

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80年代の英ロックシーンは不毛だった。米国のMTVの影響で、英国勢はデュランデュラン、カルチャークラブを中心に米国のチャートを席巻して、60年代のビートルズ・ストーンズらの第一次に続く、第二次ブリティッシュインヴェイジョンを巻き起こしていた時代だった。78年ピストルズ解散以降、レゲエやブラックミュージックのリズムとエレクトロニクスを取り入れた自由な新しい動きが始まっていたが、それらはまとめてニューウェーブとよばれ、さらにYMOやクラフトワークに影響を受けたダンサブルなエレクトロポップにグラムロックリヴァイバル的なルックスが加わり、ビートルズ以来映像に力を入れていた英国勢が、映像不足のMTVで重宝されヘビーローテーションされた結果が時代の音になったのだ。85年には象徴的な世界的イベント”バンドエイド”がもりあがった、そういう時代だった。

この時代の英ロックバンドとしては、ニューロマンティックスのコマーシャル性、パンクから派生したハードコアパンクなどの反動として、ネオアコースティックと呼ばれる一派がインディレーベルを中心に生まれていた。

今でも残っている名前で言えばラフ・トレードなどのレーベルから出たアズテックカメラ、スクリッティ・ポリッティ、エブリシングバットザガール、そしてザ・スミスだ。しかし80年代という圧倒的なポップス勢の時代の中で、ロックの動きは細々としたもので、ザ・スミスが83年のデビュー以来4年連続で一位人気と新陳代謝の早い英国市場で、代わり映えのしない状況が続いていた。そんな状況になんとか一石を投じようと試みたのが、アラン・マッギーのクリエイション・レーベルであり、ジーザス&メリー・チェインだった。


アラン・マッギーと同じスコットランドはグラスゴー出身の彼らの音は、一聴した印象は、やはりバブル80年代を感じざるを得ない。特にディーーープなエコーのかかったボーカルはもろ80年代のニューロマ、はやりの音。メロディーも、10代の頃をなつかしく思い出す甘くイージーなポップスメロディー。懐かしのメロディー映像で肩パットはいりまくりのはずかし映像のバックで流れていそうな。。さわやかで、青春トレンディドラマとかタッチとか思い出してしまう感じ。しかし、このバンドのユニークネスは轟音フィードバック・ノイズギターと力の抜けたローファイボーカルスタイル。この2つの要素は、間違いなく後に影響を与えることになった発見となった。

この音のインパクトは音量を最大にするとわかってくる。というか当時のライブの逸話を聞いても、大大大音量で演ることを前提にした音と思った方が理解しやすい。ガンガンするほどのノイズの合間にユラユラと甘いメロディーが、夢の中の膜の向こう側から聞こえるような波にしばらく浸っていると、だんだん80年代だろうが21世紀だろうが関係なくなってくる。エコーやノイズが3次元的な奥行きを持ち始め、人それぞれのこの音に対するイメージをかき立てるようなサウンド的深みを持っている。エンジニアはジョン・ローダー。

しかし同時に感じられるのは、80年代は今と比べて音楽とのつきあい方がちがっていたのではないかということ。80年代後半のCMJ系ガレッジミュージックやグランジを経て現代人のロックとのつきあい方はより深く浸透し、ロックは音楽という以上に僕ら自身になった。多種多様な表現形態がインディやインターネット配信で、ガレージ系インディでも数万枚売るほど受け入れられる時代になって、ロックが僕らの心のひだまで映し出すほどに深く、文化として進化したのでは、と。ジザメリを今聴いて感じて逆説的に感じてしまうのは、すこしまだ英国においてロックがポーズであったり装飾品であった時代に、一歩踏み出すことになったきっかけの一枚だったと言えるのではないか、ということだ。

ドラムだったボビー・ギレスピーは次にくる80年代終わりのマンチェムーブメントで日の目を見るし、さらにその後の直径子孫のシューゲイザー達へとそのスタイルは流れ、92年には似たボーカルスタイル、ギターノイズという特徴をもつダイナソーJr.とブラーと3バンドでツアーを敢行、最近は映画ロストイントランスレーションで本アルバムの1曲目ジャストライクハニーが使用されて、さらにはシューゲイザー見直しの向きもある。アラン・マッギーの仕掛けたライブでの暴動でピストルズ以来の衝撃という妖げなインパクト攻撃が成功してシーンに一石を投じたが、このアルバム以降はそれ以上のインパクトを与えきれなかったかもしれない。が、たしかにジザメリをきっかけにして生まれた音が、ガレージパンク、グランジ、シューゲイザー、はてはポストロックまで今の時代の音の一要素として間違いなく受け継がれ、時代を切り開くアーティスト達のベースとして大きく花開きつつあると言えるかもしれない。

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