モラルハザード2007コミュの幼き日の思い出

あるところに北村という男がいた。

そいつは滋賀県出身なのだが、学部、院生時代は福島にいた。

計６年間。

実家に帰るも、弟と話をする機会は０であった。

東北へ行く前の１年間も話はしていなかった。

計７年間。

世界をみても、これだけ兄弟と接する機会が少ない２人はそう多くはいないだろう。

あるとき北村はｲﾝﾀｰﾈｯﾄのホームページ上で弟のサークルの画像を見た。

「あいつ、今こんな顔をしているんだ。」

久々に見た弟の顔。

北村の目にはうっすらと涙がこぼれていた。

ある時奇跡が起こった。

父、母が北村と弟を会わせる為に食事会を開いたのだ。

７月７日

織姫と彦星が年に一回だけあう日。

偶然にも、その日は７年ぶりに兄弟が会う日となった。

心の中はそのことでいっぱいだった。
会社では、そんな不安を隠すため、その話を笑いにした。

当日。

北村に緊張がはしった。

７年ぶりの再会。

はたして弟の顔はわかるのだろうか？

元気にしているのだろうか？

そんな不安もかき消すように弟と対面。

髪の毛の生え際、話し方。

自分に似ている。

まるで生き別れの弟に会ったように、北村の心は強く締め付けられた。

父と母はその日に滋賀に帰らなくてはいけないため、兄弟を二人残して帰った。

続く沈黙。

北村は勇気をふりしぼり、弟に言った。

「俺、病気になってしまったんだ。親に心配かけたくないから、病院に提出する書類、お前が書いてくれないか」

弟は言った。

「え？それは治るのかよ？」

弟の真剣な顔は、血の繋がる兄貴を見るものだった。

その後、携帯の番号を交換し、帰宅した。

何日か経ち、北村は弟にメールをした。

北村 to 弟
「今度、２人で飲みにでも行きますか？」

メールが帰ってくる時間が待ち遠しかった。

何度も何度も新着メール問い合わせをした。

数分後、一通のメールが届いた。

新着メール１件
弟 to 北村
「おう、じゃあ飲みに行くか!!」

そのメールを見たとたん北村は号泣した。
今まで弟に会えなかった時間。
７年間の辛さをかき消すように。

数日後、本格的に飲みの日時も決まり、無事２人で会うことが決まった。

新着メール１件

弟 to 北村
「渋谷のホルモン屋にしない？」

ホルモン屋？
北村は思った。
飲み屋なら、どこでもあるだろうに。

北村 to 弟
「おう、いいけど。そこはお前のお奨めなのか？」

不思議に思いながらも、メールを送信し、弟の再会を不安に思いながらも、楽しみにした。
安心したのか、その日は寝てしまった。

次の日の朝。

携帯をチェックするとメールが届いていた。

新着メール１件

メールしたまま寝てしまった事を思い出す。

半分眠りながらも体を起こし、ゆっくりと携帯をあけた。

弟 to 北村

「だって兄貴、レバー好きだっただろ」