谷繁元信　シゲシゲファイト！！コミュの司令塔が語り尽くす落合野球　監督に花道を！！　谷繁

各所で既出かと思いますが保存版として、決戦へ向けて張っておきます。

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司令塔が語り尽くす落合野球　監督に花道を！！　谷繁

　オレたちを認めてくれた監督に最高の花道をー。
中日谷繁元信捕手（４０）が野球観を語る独占コラム『野球』。退任が決まった落合博満監督（５７）最後の日本シリーズへ向けた特別バージョンです。先発マスクをかぶれば勝率６割５分を超える正捕手が逆転連覇からヤクルトと激闘のＣＳをいかに勝ち抜いたか。そして、８年間で築かれた落合監督との信頼関係。落合野球を支えてきた司令塔が語り尽しました。

−気持ちを表にー

　ついに、日本シリーズまできた。ＣＳもそうだったけど、短期決戦では気持ちを表に出していくことが大事だと思う。変に格好つけずに、泥臭くても、勝ちたいという気持ちを素直に出せばいい。その部分に関してはペナントレースから自分に言い聞かせながらやってきた。
　今年は６月に左膝をケガ（靭帯損傷）したんだけど連覇をあきらめたことはなかった。１軍の試合もテレビで観ていたし、とにかく気持ちが離れないようにと思っていた。今まで優勝は何度か経験したけど、連覇はない。何としても連覇したいって思いが強かった。

　７月末に１軍に復帰してからは絶対に何とかなるって自分に言い聞かせていた。その気持ちを表に出していこうと思った。復帰したばかりの時期は１０ゲーム離されていたけど、ヤクルトとは９試合残っていた。しかも、すべてナゴヤドーム。大きく離されずに食いついていけば何とかなると思っていた。

−転機８・１７−

　オレが転機だと思っているのは、８月１７日の巨人戦（ナゴヤドーム）で内海からタイムリーを打って、勝った試合。あの日、お立ち台に上がった時、自然と出てきた言葉がある。『生まれ変わります』。オレは今までああいうことは絶対に言わなかった。でもあの時はなぜか、そういう気持ちになったんだ。自分にハッパをかけるために言った言葉だった。言った以上はやらないといけないからね。
　シーズン途中に落合監督の退任が発表されたけど、動揺はしなかった。オレは自分の仕事を、やれることをやるしかないって思っていた。この８年間、監督からもずっと、そう言われてきたから。普段、落合監督とはほとんど言葉は交わさない。話す必要はないと言ったらいいのかな。守りの野球というのを細かく説明されたこともないし、守ってきた。監督も『わかってるだろ』という感じだと思う。信頼してくれているのも感じるし、任せてくれているのを感じる。

　１軍に復帰したばかりの時期は、試合の終盤に出るだけだった。まだ痛みがあって、正直スタメンで出るのは無理だった。でも、チームの順位は下がってきていた。その時、監督に言われたんだ。『まだ無理するな。（スタメンで）いけると思ったら自分で言ってこい』って。だから、とにかく我慢しようと思えた。

−頭なでられたー

　（監督退任発表から２日後の）９月２４日、ヤクルト戦、オレがサヨナラヒットを打って勝った。試合後監督とベンチで握手する時に頭をなでられた。泣いているのがわかった。あの時、ああ落合博満という人に認められたんだなと思った。だって、今まであんなことをしたことはないし、ああいうことをする人じゃないから。日本シリーズへのイメージはまだこれからだけど、このチームで勝って、最後にまた笑えるように、自分の仕事をしっかりやろうと思っている。
　（中日ドラゴンズ捕手）

ー監督が選んだベストショットー

　１枚の写真がある。桜井カメラマンが撮影して本紙１面を飾った写真を、落合監督は今季のベストショットとして選んでくれた。鬼の司令塔・谷繁が、落合監督に頭をなでられている。いつも能面の指揮官が目を潤ませている。４０歳にして頭をなでられた正捕手もどこか誇らしげだ。これは、落合監督と選手の関係を象徴した１枚だと思う。９月２２日、落合監督の退任発表から２日後のヤクルト戦、チームは谷繁のサヨナラ打で３連勝を決めた。これまで選手をほめることの少なかった指揮官だが、この瞬間、８年間が報われたような気がしたという。『あいつら、オレの言っていたことが、やっとわかったのかな』。落合監督が理想とする、どんな状況でも己のために仕事を全するプロフェッショナルの集団がそこにいた。谷繁はその代表格であり、成熟したチームの象徴だった。『オレはこの写真が次の日の１面になると思っていたよ』。落合監督はにやりと笑った。照れ屋の指揮官が選手たちへの思いを精一杯、込めたワンシーン。見れば見るほど、今の落合竜の強さがわかる。【中日担当＝鈴木忠平】